とある生徒の、普通とは少し違った日常。 1-5
僕の後にも数人が自己紹介した。
その後先生が話した内容は今後の授業についてだった。
基本的な授業内容は座学、実技、課外活動などで構成されていて、他のクラスと合同授業もあれば突発的に発生する授業、新たに追加される場合もあるらしい。
「そろそろ時間か、それじゃ行動に移動するぞ。はぐれないようについて来いよ」
列をなして講堂に移動し、広さに感動しているうちに式は終了。
理事長はなんとこの国の国王陛下で、とても優しそうなおじいさんだった。
生徒会と風紀委員のメンバーが紹介されたが、風紀委員のメンバーは二匹の蛇と同じクラスの寝坊助君、あと筋肉隆々のゴリラみたいな人間と、狼の獣人など生徒会と比べ明らかに人外が揃っていた。
生徒会の人の紹介もちゃんと聞いていたはずだけど、顔も名前も覚えていないや。
風紀委員のメンバーが濃すぎる。
「明日は早速最初の授業だ、教科書を忘れるなよ。それと、学園の敷地内は自由にしてもらって構わんが、あまり遠くまで行くなよ、迷子になったら帰るのはかなり大変だぞ、地図は常に携帯しておくように」
こうして初日は終了した。
疲れた。
寮に帰って冊子をもう一度最初から読み直そう、ああその前にお腹空いたなぁ。
まず食堂に行ってみようか、学園の生徒なら無料らしいから、どんなものがあるのか見てみたい。
「ねぇ、食堂に行くんだけど一緒に行かない?」
声をかけられ振り向くと、数人のグループがこちらを見ていた。
一人は窓際で寝ていた担任から危険人物指定されていた寝坊助君だ。
「うん、いいよ」
「他に食堂利用したい奴はついてこいよー」
グループのリーダーらしき少年の声かけで僕らはそのまま食堂へと向かった。
食堂は大広間になっていて大勢の生徒がいた。
学園の制服を着た生徒たちが思い思いに食事を楽しんでいる。
「二階もあるの?」
「あっちは生徒会と風紀委員だけが使用を許可された特別席、生徒会は特に忙しいからな、席を探す手間を省くためだって。貴族だからって特別扱いを望んで利用させろって言うとEクラス直行」
この学園……想像以上にトラップが多い。
「お前何食べる? 俺は肉定食にするけど、悩むタイプなら日替わり頼めば外れはない」
「じゃあそれにする」
「おばちゃん、スペシャル定食一つ」
「アンタも飽きないねぇ、スペシャル一丁!!」
「デザートもスペシャルなのつけて欲しけりゃウィンクの一つでもしてみな!」
「……」
寝坊助君、おばちゃんのリクエストに応えてウィンクを飛ばし、本当にデザートをもらっていた。
「すげぇ、あれいつもやってんのかな」
「いつもだよ」
リーダーの少年の言葉に全員が納得している様子だ。
寝坊助君のことはとりあえず置いておいて、僕たちは食事を受け取り空いているテーブルにつき、目の前に広がる料理に目を見開いた。