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ドラゴンの日常 1-4


「がおっ!」


 炎を吐き出す小さなドラゴン、その炎でツタを焼くと思いきや、ただのパフォーマンスだったようで、何やら足踏みを始めた。


「がうっ!」


 次に氷のブレスを吹くドラゴン、しかしそれも凍ることなく溶けていく。

 ダークエルフの子供もその隣でドラゴンと同じ足踏みをしている。あれは、何をしているんだ?


「涼玉様、今日もノリノリだなー」

「あの小さな足でどうやってステップ踏んでるんだろう」

「リーダー、あの炎と氷を交互に吐いているのはなんすかね?」

「演出だな」


 人間たちは平然と眺めているがいいのかな!? 俺ら完全に拘束されてるんですけど。助けてくれませんか!?


「がおがぉ」

「ががう」


 人間たちの会話を聞いていて判明した。どうやらあれは足踏みではなく、踊っているらしい。

 踊りなんて生まれて初めてみた……楽しそうだけど、この状況で踊る意味は?


「♪」

「可愛すぎる」

「いやぁ生ダンスなんて貴重っすね」

「あ、ツタが引き始めた」


 やがてドラゴンのダンスに合わせてツタが動き始め、俺たちの拘束が解け始めた。

 動くツタすら踊っているのだが……もしやあのドラゴンの能力なのか?

 そんなことを考えているうちにツタが完全になくなり自由に動けるようになった。

 他の大人たちも同じように解放されたようでキョロキョロとしている。


 ただ長老だけはその場を動かなかった。

 理由は簡単だ。

 ずっとデレデレしながらドラゴンたちに見惚れているからだ。


「がお!」

「ふぅ、楽しかったんよ」

「そうかそうか、上手に踊れていたの。ご褒美をあげようか」


 長老は拘束されていた事に気付いているか怪しい、もしやずっとあのドラゴンとダークエルフを見ていた?

 俺たちを放置し過ぎじゃない?


「やったぜ!」

「わーい!」

 

 はしゃぐドラゴンとダークエルフ、彼らが帰った後、俺らは知ることになる。あのドラゴンの真実を。


『ありゃぁ古龍の息子じゃの、能力が普通のドラゴンとは桁違いじゃった』

『長老、それに気付いて二人を必要以上に褒めていたのか!!』

『俺たちを守るために……?』

『いんや、あれは単にあの二人が激かわだったからじゃの』


 だめだこの長老。ただ単に孫に激アマなだけだったわ。


 こうして第二の爆弾騒動は終わりを告げた。

 俺、いつかこの谷を出て世界を旅したいとか思ってたけどやめておこう、外であんな意味が分からない生き物に遭遇したら生き残れる気がしないし。



END

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