人相の悪い三人組 1-3
「おや、あなた方は……」
受付にいたのは以前会ったことのある職員だった。
確か……そう、ギルマスの補佐をしている人だったはず。
「お久しぶりです」
「どうも」
「こんにちは。今日はどのようなご用件で?」
「仕事をもらいにきたぜ!」
「俺たちに護衛の仕事を紹介してほしい!」
「護衛ですか?」
俺たちの話を聞いた途端に彼の表情が曇ってしまった。
やはりFランクに護衛は難しいと判断されたようだ。
「失礼ですが、冒険者になってどれくらい経ちますか?」
「三日ほどだ!」
「はい?」
「そうなんよ」
「……なるほど」
なんか遠い目をしながら納得しているけど、どういうことだろうか?
「つまり新人ということですね」
「おうとも!」
「はい」
「そうそう」
俺たちにはよくわからないけど、この人にはわかる何かがあるということなのかもしれない。
「ちなみにお聞きしますが、三人の中で一番強いのはどなたですか?」
「俺だな」
「俺様だ!」
「ウチ」
「……」
なぜか全員同時に答えてしまった。
こういう時って誰が答えるものなのか……。
「……ええっと、じゃあこの中でリーダーを決めるとしたら誰でしょうか?」
「それは俺だ!」
「そうだな兄貴だな!!」
「まぁ兄ちゃんでもいいけどよ!」
少なくとも俺らより頭いいだろ!と三人揃って声を揃えて主張した。
そんな三人を見てギルマズ補佐は深いため息をつくと、兄ちゃんに憐れむような目を向けてた。
「……もういいです。とりあえず説明だけさせていただきましょう」
「頼むぜ!」
「お願いするわ」
「お願いします」
なんだか諦められたような気がするが、まあいいか。
それより仕事の話の方が大事だからね。
「うん」
なんか疲れているみたいだけど、大丈夫なんだろうか。
まあ俺らに関係ない話だから気にしないでおくとするか。
「まず、護衛の依頼は基本的にFランクは受けることはできません」
「なぜ!?」
「当然の疑問ですね。しかしこれには理由があります」
その理由というのが―――
・護衛依頼とは、目的地まで送り届けるのが仕事。
・護衛対象がいるので戦闘は極力避ける必要がある。
というものだ。
特に最後の部分が大きいらしい。
「護衛は命懸けの戦いになります。モンスターと戦うこともあるでしょう。その場合、依頼主を守りながら戦う必要があります。なので実力のない冒険者は依頼主に迷惑をかけてしまうのです」
「なるほどな」
「確かに、戦えない人が一緒だとやりにくいよねぇ」
「はい。だからこそ、あなた達には講習を受けてもらいます」
「え」
勉強すんの!?マジで!!?
「ちょうど本日行われる講習の内容が、依頼主を守るという観点から護衛術を学ぶための講座です。これに参加しないと護衛資格が得られません」
「でも金が……」
「もちろん無料で受けられますよ」
「おおっ! なんて太っ腹な!!」
「素晴らしいです」
「ギルド統括の手配で履修した方にはおやつもでます」
「「「おやつ!!!!」」」
これは参加するしかないだろう! いやー、ギルドに来てよかったぜ!
「では、受講されるということでよろしいですね」
「おう!」
「はい」
「問題なし!」
こうして俺たちは護衛の仕事をするための勉強をすることになった。
……おやつの誘惑に負けないように頑張ろう。
ギルドで提供するおやつを作る人はその地域によって違いますが、
このギルドの場合、孤児院に発注しています。
今考えた。