呪われ少女は祈り続ける 1-2
「女神、さま……」
瞼を開くと目の前には真っ白な天井があった。
いつの間に眠ってしまったのでしょう、懐かしい夢を見ました。
起き上がるとそこには、心配そうな顔をしている侍女たちがいました。
「あの、大丈夫ですか?うなされていたようでしたが」
「……なんでもありませんわ、気にしないで下さいな」
そう言って微笑むと皆安心して下がっていきました。
「女神様、貴方は一体どこへいってしまわれたのですか?」
ベッドの横にある窓を眺めながら呟きました。
……今日もまた、お祈りをしなくてはいけないですね。
「女神様、お願いいたします。どうか私の願いをお聞きください」
目を閉じて神に祈るのはいつもと同じ。
ただ一つだけ違うことは、窓の外から賑やかな笑い声が聞こえること。
「とうしゃまーー!!」
「ははは」
「とうたま、おやつのおじかん! かあたまおこしゅ!」
「じゃあ皆でお寝坊さんを起こしにいくぞ!」
「きゃあ~」
楽しげな子供と男性の笑い声、子供たちが元気よく家の中へと入っていく。
私はゆっくりと立ち上がった。
「かあしゃま!」
「かあたまーー!」
「はあい、今行きますよ」
「おはよう、よく眠れたかい?」
「はい……お陰様で、ゆっくり休むことができました」
私は今、家族と共に穏やかな日々を過ごしている。
氷の公爵と呼ばれた夫に塔から助け出されてから数年、二人の息子に恵まれ、お腹にもう一人。
ゆっくりと過ぎ行く穏やかな日々。
あの日、女神様が長ったらしく語った理想の幸せが目の前にある。
「ぼくね、おーきくなったらとうしゃまのおよめさん!」
「じゃあぼくはとうたまのだんなしゃま!」
……幸せで、幸せで泣きそうになるぐらいなのに、たまに不安になる子供たちの言葉。
呪いから解放され、虐げる家族から解放され、恐れるものなど何もないはずなのに、不安がぬぐい切れない。
女神様、そういえば男性同士の恋愛が好きな方でした。
もしかして私を助けてくれたのではなく、自分の妄想を叶えるために家族を与えてくれたのでしょうか。
「かあしゃま、女神様が笑ってるよー」
「ぐへへへへだってー」
家族は私が守らなければ。
もう私は塔の上で一人、孤独に震えていた少女ではないのだから――!
END
今回の反省点:AIが神に祈って女神を登場させる描写を入れたのが最大の敗因。
結果、本編から腐った女神が降臨して構想をぶち壊しました。