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夢の異世界転生 1-6


 それから更に半年が経った。

 ダンジョン清掃にも慣れてきた頃、行動範囲が広がった俺は一人でダンジョン内をうろつくことが多くなった。

 たまにね、落ちてるんだ魔物に追いかけられた冒険者の落し物が。


 ダンジョンで落とした物は所有権がダンジョンに移る。

 俺たちは拾ったそれを王様に届け、王様がまとめて冒険者ギルドに持っていって転売するかお金と引き換えに返品するか決めるらしい。

 ここで得たお金で宴会したり、おやつの材料買い込んだり、ボス部屋の装飾買ったりしていると聞いた時のなんとも言えない感じ。


 俺はドロップするおやつ狙いの冒険者に言いたい。

 貴方たちが楽しみにしているレアなおやつは、貴方たちの私物を売り払ったお金で買った材料で作ったんですよ。と。


 半年の間に色んな人に会ったけど、やっぱり基本的に人間は魔物に対して悪いイメージがあるようだ。

 まぁそうだろうな。人間にとって魔物は敵、それは間違いじゃないし当たり前のことだと思う。

 このダンジョンが特殊過ぎるんだと俺だって分かる。


「おっ、これ良いんじゃないか!」


 落ちていた剣はなかなか立派なものだった。

 錆びてはいるものの刃こぼれもなくまだまだ使えそうだ。

 よしよし、これも王様に渡そう。


「ふむ、これは中々」

「カタカター」

「あぁ、我ながらいい出来だ」


 今日はクッキーシュー作りに勤しんでいた王様。

 この間は失敗してぺちゃんこになっていたけど、どうやら今日は成功したようだ。

 美味しそうな匂いがフロア中に広がっている。

 

「ほれ、お前たち食べてみなさい」

「カタカター」

「カタッ!」

「カタカター♪」

「喜んでくれたか、嬉しいぞ」


 王様は優しい。魔物である俺たちをまるで家族のように接し、大切に扱ってくれる。

 スケルトンになって初めて知ったが、魔物の中でもスケルトンは最弱の存在で、生まれたばかりのスケルトンが進化するまでに他の魔物に食べられてしまうことが多いらしい。天敵は骨が大好きな犬系です。


 最弱はスライムじゃなかった衝撃。

 あれこそ雑魚の代表格でしょう?


 そう思うのは前世の知識がある俺だけで、この世界においてスライムは頂点の一角を担う存在らしいです。

 もちろん生まれたてのスライムは弱い、冒険者に踏まれるだけで消滅する。

 俺もうっかり踏んでこけた時に一匹倒してしまったことがあるぐらいだ、ただあれは事故扱いで「足元には気をつけようね」で終わった。

 矛盾するスライム情報、ただこれ以上の情報を知るスケルトンはこのダンジョンにはいない。

 答えは外の世界に――出れねぇよ、俺様最弱、王様過保護、前世の知識じゃどうにもならない壁がある。


 ちなみに外の世界は、ここよりも強い魔物だらけで、人を襲う凶悪なものが溢れているという。怖い。

 掃除スキルがカンストしてるだけのスケルトンが外に出たら即、餌になるしかない。俺、まだ死にたくないよ。


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