夢の異世界転生 1-3
「てめぇら今日こそは覚悟しろ!!」
「「「いえぇぇぇぇい!!!」」」
「……」
え、ノリ軽っ!
「よく来たな!我こそは、えっとなんだっけ?」
「忘れた!」
「ワハハハハ!!」
酔っ払いしかいないボス部屋、戸惑う冒険者……戸惑ってないですね。
「まーた飲んでるのかよ、好きだなー」
「あっ、これ今日の差し入れっす、川魚の燻製」
「カタカターーー!!」
え、なんか凄くフレンドリー?
スケルトンたちは嬉しそうに差し出された魚を受け取っている。
「あとこっちはおまけ、俺の新作」
「「おおー!!」」
優雅に差し出されたのは、色とりどりの果物がのせられたフルーツパフェだった。
それをみて大喜びする骸骨たち。
いや待って、それ以前に今どこから取り出したの?
「王様やっててよかった! いただきまーす!」
「「ずるいーー!!」」
いや、自由か!
骸骨の王は幸せそうな顔をしながらパクリとスプーンをくわえると、またカラカラと笑っている。
「美味しかった!ごちそーさま」
「「ご馳走様でしたー」」
食べていないはずの髑髏たちも一斉にお礼を言っている。
え、共有機能みたいな何かあるの?
俺何も感じてないけど!?
「あ、そうだ、君名前は?」
「……ありませんけど」
「じゃあ俺がつけてあげる!」
「いえ」
「スケルトン!」
「ワハハハハ!!」
冒険者に突然名前を聞かれたと思ったら、ちょっと前に王様とやったやり取りを繰り返すことになった。
王様は酔っ払いだけど、冒険者は素面でこれ?
「リーダー、早く食べよう!」
「おう今行くわ!」
いつの間にか仲間が髑髏たちの間に座り、酒を酌み交わしていた。
え、バトルは?
俺ここにいる意味あります? もう帰っていいですかね?実家ここっぽいけど。
そんな俺の考えを無視して冒険者達は盛り上がっている。
「よっしゃぁ、お前ら行くぞ!!」
「おぉぉぉぉ!!」
「いぇぇぇい!!」
もう帰りたい!でも帰れなかった!!
飲み比べ始めてるし!
勝負は勝負でもそっちぃ!?
もしかしてこの世界、魔物と冒険者って仲がいいの?
誰か教えてーーー!!