表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/90

君を愛することはない系 1-1

「君を愛することはない! なぜなら、もうすでに愛しているから!」


 ドヤァ!!


「馬鹿なこと言っている暇があったら仕事しなさい」

「はい」

「……あの、お兄ちゃん。私もお姉ちゃんのこと好きだよ?」

「同志よ!!」

「はいはい。シスコンシスコン」


 ため息交じりの呆れた声に顔を上げると、書類が山のように追加された。

 解せぬ……。


◆ ◆ ◆


「ふぅ~。ようやく終わったなぁ」

「アンタがあほなことを言わなきゃもっと早く終わってたわよ」

「はい、すみません!」


 あれから一週間。俺は溜まりに溜まった書類を必死こいて処理した。

 捌いても捌いても終わらない書類地獄、正真正銘の悪夢だった。

 でもそのおかげで、婚約者と一日中一緒にいれたのだからよしとしよう。でへへ。

 俺ってば超頑張ったんだから褒めて!


 …………なんて言おうものならまた怒られるだろうから黙っとこう。

 それにしても、転生したことに気付いてから約二年。

 あっという間だったような気もするけど、やっぱり長かった気がする。

 最初は言葉すら分からなくなって混乱したよなぁ。

 今はこうして普通に会話できているし、文字も書けるようになった。

 全てツンデレ婚約者のおかげである。うんうん。ほんと感謝してるよ。


「……何ニヤついてんのよ気持ち悪い」


 おっといけない。

 思わず頬が緩んでしまったようだ。

 これは失敬。


「何でもありませんことよ」

「まったく。そろそろ行かないと遅刻するわよ」

「あー待ってくれよー」


 スタスタと歩き出す婚約者の後を追う。

 いつも通りのやり取りだ。


「いよいよね」

「ああ、そうだな」


 俺たちは今、王都にある学園に向かう馬車の中にいる。

 今日は入学式が行われるのだ。


「ついにこの時が来たか……」

「まぁ私は去年から通ってたんだけどね」


 俺は記憶喪失扱いで入学遅れたからなぁ~、ツンツンしながらも付きっ切りで勉強教えてくれた二年。

 思い出すだけでも笑みが浮かびそうになるな!頑張れ表情筋!

 

「知っているか、入学式の日に現れるピンク髪は高確率で危険人物だ!」

「え? そうなの?」

「俺調べでは90%以上だ!」


 特に男爵に引き取られたばかりとかは要注意さ!

 俺はラノベを嗜んでいたから詳しいぜぇ!


「まぁいいわ。どうせすぐに分かることだし」

「それもそうだな」


 そんな話をしているうちに目的地に着いたらしい。

 馬車の外には立派な校舎が建っている。

 ここが今日から俺たちの通う場所――王立魔法学園である。


「んじゃ行きますかね」

「はいはい」


 こうして俺たちの学園生活が始まった。



主人公はツンデレ婚約者が大好きです。

もちろん婚約者も主人公のことを好きですわよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ