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人相の悪い三人組 1-8

 初心者講習の講師は俺らより人相がさらに悪いおやじだった。

 声はでかいし、ゲンコツは飛んでくるし、正直うちのおやじより怖かった。

 シオンさんよりさらに若いのなんてぴぃぴぃ泣いてたもんな。


 ギルマズ補佐の飴に励まされ、講師のおやじの鞭に怯え、それでも俺らは頑張った。

 そのおかげもあって、なんとか無事に講習を終わることができた。


 正直、全てを覚えてなんていない。

 でも俺らにはシオンさんという知恵袋がいる!! きっとなんとかなるさ!


「今日までよく頑張った! 冒険者の道は険しいぞ、だが必ず生き残れ!」

「「はいっ、ありがとうございました!」」


 さて、帰って飯を食うか。

 俺たちが帰る準備をしていると、ギルマズ補佐に呼び止められた。

 何だろう。


「これを持っていきなさい」


 手渡されたものは麻袋に入った硬貨のようだ。

 ジャラっと音が鳴ることから中身はかなり入っていることが分かる。


「これは一体……?」

「今日の講習代と昼食代です。あなた達の分を用意しておきました」

「えっ、講習代無料どころか俺らがもらえるの!?」

「良いんです。これはあなた達の先輩が後続のためにギルドに寄付した資金です」


 マジかよ、冒険者ってその日暮らしと思ってたけど、イメージが違いすぎる。

 おやつ美味かったし。


「本当に、いいのかな」

「あ、兄貴が持ってて!」

「持ち歩くのが不安な場合はギルドに預けることが出来ます、パーティーを組んでいる場合はパーティー名義で預ける方法もありますよ」


 ギルドすげぇ。

 ちょっと前までその日食う物にも困って、道に迷ってどこに行けば分からなかったのが嘘みたいだ。


「それでももし、ただ受け取るのが嫌だったり施されるのが嫌と言うのならば、将来貴方達がランクを上げ、生活が安定した時に後輩のためにギルドに寄付をお願いします」

「寄付……」

「それが冒険者というものなのです」


 なんかすげー。冒険者って格好良いかも。


「分かりました!ありがとうございます!大切に使わせていただきます」

「いえ、冒険者は助け合いの精神が基本です」


 冒険者、超良い職業だ。

 講師のおやじの人相が凶悪なおかげで、俺らの人相の悪さが薄れているのもいい。

 そう言えば王都に来てから一度も衛兵に声かけられたりしてないな、講師のおやじで慣れてるのか?


 シオンさんは受付カウンターで手続きしている。

 俺らも一緒にやろう。


 そういえばシオンさんは何者なんだろう。

 一緒に冒険してたらいつか教えてくれるだろうか。


 楽しみだな!

 俺らの戦いはこれからだ!!




END


ガンド兄貴「そういや結局誰が転生者だったんだ?」

ゴラン「俺シオンさんだと思ってた」

シオン「違いますよ」

ベルナ「あ、俺っちです」

ガンド「お前かよ!」

ベルナ「転生チートするにも転生前もバカだったから無理でした!」

ゴラン「お前らしいなぁ」

ガンド「じゃあシオンさんは何者だったんだ?」

シオン「冒険者に憧れる貴族のボンボンという設定が今生まれました」

三人組「雑ぅ!」


この後、特に有名になるわけでもなく、和気あいあいと冒険して、

一人も欠けることなく引退を迎えて幸せに暮らすと思う。


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