表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/292

171、早々の再会

 検証結果をまとめた紙を改めて確認しながら、ダスティンさんが満足そうに口を開く。


「これならば異空間収納に入れておいた物に対して、体への悪影響などを心配する必要はないだろうな」

「良かったです。では異空間収納は、凄く便利な保冷庫と思っておけば良いでしょうか」


 どこからでもアクセスできる巨大な保冷庫って考えたら、凄く便利だよね。ただ私はあまり物を持ち運ぶ必要がないから、恩恵をそこまで感じられないような気もする。


 何を入れておこうかな……保存の効く食料とか? 後は服や布、桶とか何かの時にあったら便利そうなものは入れておいても良いかも。

 あっ、武器もあったら護身用に便利かな。私でも扱えそうなナイフとか。


 そんなことを考えていたら、ダスティンさんが書類や散らばっている物を片付け始めた。


「レーナ、今日の検証はここまでとしよう。これから騎士団と魔法の訓練だ」

「おお、ついにですね」


 検証で少しだけ抑えられていた高揚感が一気に戻ってきて、自然と口角が上がってしまう。


「早く片付けちゃいましょう」


 クレールさんにも手伝ってもらって訓練場を綺麗に戻したら、パメラたちとも合流して皆で別の訓練場へと向かった。


「ダスティン様、私と魔法の訓練をしてくださるのは、どの騎士団なのでしょうか」


 パメラたちもいるので様付けでダスティンさんに問いかけると、前を歩いていたダスティンさんは私のことを振り返ってくれた。


「第一騎士団だ」


 第一なんだ。じゃあシュゼットと早々に再会できるね。騎士団は第一から第五まであると聞いているので、その中で一人でも知り合いがいるところなのは嬉しい。


「騎士団ってそれぞれに特色があったりするのですか? 例えば第一騎士団は火属性の加護を得た人たちが集まっているなどの」

「いや、そういうことはないな。平等に分けられている。ゲートが出現した時には団ごとに出動するので、どの団も同じ実力を発揮できるように人員を配置し鍛錬をしているんだ」

「そうなのですね」


 そんな話をしているうちに、さっきまで精霊魔法の検証をしていた訓練場より一回りも二回りも大きな訓練場が見えてきた。


「あそこが第一騎士団の訓練場だ」


 訓練場からは剣戟の音や魔法を放っているのか衝撃音が聞こえ、人の叫び声も届いてくる。まだ中に入っていなくても、迫力を感じることができた。


 訓練場を取り囲む壁の一部が門のように開いているのでそこから中に入ると、数多の騎士たちが大迫力で剣を振るっている。


 凄い……この光景だけでテンションが上がる。ファンタジーな世界で思い浮かべるものといったら、やっぱり剣と魔法、それから騎士だよね。それら全てが目の前に揃ってる!


「カッコいいですね……!」

「確かにこの光景は目を奪われるな」


 ダスティンさんも魔道具に対してほどじゃないにしろ、興味深げな色を瞳に乗せていた。


 そんな私たちが現れたことに気づいた騎士の一人が、よく通る声で訓練の中断を告げる。


「訓練やめ!」


 声掛けに従って騎士たちの動きが一斉に止まると、訓練をしていた騎士の中から一人の大柄な騎士がこちらに進み出た。

 四十歳ぐらいに見える壮年の男性だ。かなりガタイが良くて、鍛えているのが一目で分かる。


「第二王子殿下、お待ちしておりました。そしてレーナ・オードラン様、お初にお目にかかります。第一騎士団の団長の任を賜っております、ヴァレール・カディオと申します」


 この人が団長なんだ。確かにそんなオーラがあるね。


「カディオ団長、ご丁寧にありがとうございます。レーナ・オードランと申します。今回は私のためにお時間を取ってくださり、ありがとうございました。これからよろしくお願いいたします」


 騎士団の団長ならかなり上の立場だしと思って、まずは敬語で接することにした。するとカディオ団長は丁寧に頭を下げてくれる。


「カディオ団長、今日からよろしく頼む」

「はい。こちらこそよろしくお願いいたします。騎士団一同、本日をとても楽しみにしておりました。皆、お二人に挨拶を」


 カディオ団長の言葉に騎士たちはビシッと合わせて敬礼をすると、声を揃えて挨拶をしてくれた。


「本日より、よろしくお願いいたします!」


 そんな騎士さんたちを端からざっと確認してみるけど、シュゼットらしき姿が見えない。女性騎士は数人いるみたいだけど、シュゼットじゃないね……今日はお休みなのかな。


 そう考えて視線をカディオ団長に戻そうとした瞬間、訓練場を囲う壁と一体化している建物のドアが開き、そこから見知った姿が出てきた。シュゼットだ。


 シュゼットは騎士たちが全員こっちを向いていることに気づいたらしく、私たちの方に視線を向けて……視線がバチっと絡まった。するとその瞬間に、頬を緩めて手を振ってくれる。


「レーナ、来てたのか! 今日来るって聞いてたから楽しみにしてたんだ。あっ、第二王子殿下も、ようこそお越しくださいました」


 ダスティンさんにはしっかりと挨拶をすると、シュゼットは私の下まで駆け寄ってきてくれた。そんなシュゼットに、カディオ団長や他の騎士の方々は呆気に取られた様子だ。

本日で書籍が発売されてから一週間が経ちました。ご購入くださった皆様、本当にありがとうございます!

まだの方は、ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。書籍限定書き下ろしもありますので、web版を既読の方も楽しんでいただけると思います!


また明日明後日と二日間、書籍発売を記念して番外編を投稿する予定です。こちらも楽しんでいただけたら嬉しいです!

ちなみに内容は、スラム街でのお話になると思います。本編では最近登場していない、スラム街にいる友達たちも出演予定です。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ