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152、担当教授

「こんにちは、皆さん揃っていますか?」


 女性はふんわりとした笑みを浮かべながらそう言って私たちの前に立つと、教卓に荷物を置いて教室をぐるりと見回した。


「初めまして、私はAクラスの担当教授になった、ベレニス・ノヴィエです。これから三年間、皆さんの担当をすることになったので、よろしくお願いしますね」

 

 ノヴィエって聞いたことがあるような気もするけど……爵位を全く覚えていない。覚えてないってことは、少なくとも侯爵家以上ではないはずだ。

 この教授は優しそうだけど、オードラン公爵家との関係性がどうなのかはちゃんと確認しておかないと。


「今日はこれから、学院の説明や明日からの講義に関しての話をします。それが終わったら皆さんに自己紹介をしていただくので、内容を考えておいてください。――まずは学院の決まりについてですが、一番大切なのは侍女や侍従、そして護衛の同行は原則禁止という点ですね。これは本日限定ではなく三年間続きますので、守ってください。それから金銭のやり取りに関するお話ですが……」


 それからノヴィエ教授に色々と学院の決まりを聞いたけど、特に目新しい情報はなく全てお養父様に聞いた内容だった。


 ノヴィエ教授は話し終えると私たちの顔を見回して、にっこりと笑みを浮かべながら両手を合わせる。


「では皆さん、退屈な話はここまでにして、次は講義の話をいたしましょう。今から講義の日程表を配りますね。こちらの表の通りに、皆さんには一年間講義を受けていただきます」


 ノヴィエ教授が教室を回りながら一人ずつ手渡してくれた一枚の紙は、なんだか懐かしい感じの時間割だった。十日ある一週間のうち休みは二日あるようで、八日連続で学院に行って二日連続休みの繰り返しになるらしい。


 一回の講義は半刻で、一日の講義数は基本的に四つ。講義内容は読み書き、計算など基礎のものから、王国史、世界史など歴史の分野、さらには地理、他国の文化、他国語、精霊魔法学、魔物学、魔道具理論、経済学、農業、領地運営学、帝王学、音楽、ダンス……とにかくたくさんの講義がある。


 ただ中には選択制の講義もあり、全てを学ばなければいけないわけではないようだ。


「講義の内容はそれぞれの教授に聞いてください。ちなみに私は他国語が専門なので、皆さん頑張ってくださいね。それからここには書かれていませんが、講義が終わった後の時間には研究室に所属して、自らの専門分野に対する知識を深めることができます」


 あっ、研究室。ダスティンさんが言ってたのはこれだよね。


「研究室は任意なので、興味がある人は教授のところに直接向かってください。皆さん歓迎してくれると思います。私の研究室もいつでも生徒の所属は大歓迎ですので、皆さんも興味があればぜひ来てください。他国の物語を読んだり、会話の勉強をしたりしますよ」


 ノヴィエ先生の研究室も楽しそうだね……他にも気になる講義がいくつもあるから、まずは講義を受けてみて面白かったやつがあれば、研究室への所属を考えても良いかもしれない。


 あっ、でも二つに所属するのはダメなのかな。ダスティンさんの研究室に所属するのは決定事項だから、一つしかダメなら選ぶ余地はない。


「ではここで私の話は終わりとなります。ここまでで何か質問はありますか?」

「……あの、一つ良いでしょうか」

「レーナさんですね。もちろん構いませんよ」

「ありがとうございます。研究室への所属は二つ以上でも良いのですか?」

「そうですね、数に制限はありません。熱心でとても良いと思います。ただ研究室の活動が被ることがあると思いますので、その時には双方の教授に相談をしてください」


 おおっ、それならもう一つぐらい所属できる可能性はありそうだ。生活に余裕ができたら考えてみよう。

 他国の文化とか、かなり興味があるんだよね。せっかくこの世界に生まれ変わったのだから、この国だけじゃなくて世界中のことを知ってみたい。


「分かりました。ありがとうございます」

「いえ、質問してくださってありがたいです。他に質問がある方はいませんか?」


 ノヴィエ教授の問いかけに今度は口を開く人がいなく、それを見た教授はにっこりと微笑んた。


「いないようなので、ここで私の話は終わりとしますね。次は皆さんにお話しいただく番です。そうですね……最初ですから順当に、爵位の順としましょうか。まずはリオネルさんとレーナさん、どちらかからお願いしますね」


 ノヴィエ教授が私とリオネルに笑い掛けてくれたので、私は右隣にいるリオネルに視線を向けた。するとリオネルもこちらを向いていて、綺麗に微笑み頷いてから、その場に立ち上がる。


 リオネルから挨拶をしてくれるようだ。

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