とある異世界村の3姉妹
「おねぇちゃん。」
異世界の大陸の中にある一番大きな国の最西端にある村に3人の姉妹が住んでました。3人の両親は王国に仕えるために王宮で暮らしています。
ただ両親の『都会は変な奴が多いから危ない』との意向で、3姉妹はお母さんの故郷である村で過ごすことになりました。
「どうしたのニノ?」
ある朝、長女であるメアが朝食を準備していると、妹のニノが声をかけてきました。
「…手伝う。」
そういってニノは食器棚からお皿を取り出し始めました。
「ありがとうニノ。助かるわ。」
メアは包丁をまな板において、手をエプロンで拭った後、ニノの髪をくしゃくしゃと書き撫でました。
「…んん、あぶない。」
お皿を持っていたニノは怒ったようにそう言いましたが、すこし顔を赤らめて嬉しそうにしてました。姉にはまるわかりです。
「ごめん。ごめん。そういえばナノは?」
「…まだ寝てるよ。」
ナノとはメアの妹で、ニノとは双子です。顔は瓜二つな妹たちですが、ニノはしっかりとした性格であるのに対し、ナノは(かなりの)のんびり屋さんな性格で違っていました。
「ナノはまったくしょうがないな。ニノ、お皿をテーブルに置いたら起こしてきてくれる?」
「…ん、わかったおねぇちゃん。」
「お願いね。」
メアにお願いされたニノはお皿をテーブルに置き、即座にドタバタと寝坊助なナノを起こすために2階の寝室に向かっていきました。
-2階寝室-
「ナノ、朝。」
寝室にたどり着いたニノは、まだベッドの上に眠っているナノに声を掛けました。
ベッドはかなり大きな作りになっていて、姉妹3人で眠っても問題ないくらいの大きさです。姉妹の両親が寝る時くらいはさみしい思いをしないようにと3人で寝れるベッドを買ってくれたのです。
そんなベッドにナノは大の字で寝ていました。
「すー…。」
「むっ。」
ところがニノが声をかけてもナノはぴくりともしません。
少し怒ったニノは、
「ナノ、もうすぐごはん。」
「むににににっ!?」
ナノのほっぺたを少し抓りながら起こすことにしました。
気持ちよく寝ていたナノは驚いて瞼を開けます。
「ニノーなにするのー!」
目を開けて、自分のほっぺを抓っていた犯人を見たナノは間延びた声で抗議しました。
「ごはんだよ。起きて。」
ニノはナノの抗議をスルーして起こしにかかります。
「やだー。まだねむいー。」
しかしナノは、掛け布団を頭から被って再び眠ろうとします。
「わがまま。だめ。」
ニノは負けじとナノから布団をはぎ取ろうと手につかみます。ナノを起こしてとおねぇちゃんにお願いされたのですから、あきらめるわけにはいきません。
「じゃあー。一緒に2度寝しよー。」
「にゃっ!?」
ところがナノがニノの腕を掴み、布団の中へと引きずり込みました。ニノは突然のことに反応できずにあっさりと布団の中に入れさせられてしまいました。
「ナノ…!」
ニノが少し怒った声で言うと、
「いいじゃんニノー。まだお外寒いしー。ぬくぬくして気持ちいよー?」
ナノがニノの体をがっちり抱きしめ逃げられないようにしてからそうささやきました。今はまだ春になったばかりで確かに朝の外はまだ寒いです。
「…まずい。」
思わずニノがポツリと声を漏らします。ナノの言う通り、布団がポカポカして気持ちよく、更にナノに抱きしめられているため、安心感もあってニノも眠くなってきました。
ニノは、せっかくさっき寒いのを我慢しておねぇちゃんを手伝うために起きたのに!と、なんとか眠らないように頑張ります。ここで眠ってしまっては全て水の泡どころか、おねぇちゃんに怒られてしまいます。
「ほらニノー。眠くなってきたでしょー?…すー。」
「ナノ…だめ…。」
再び眠りに入ったナノに慌てるニノですが、自分も眠気をこらえられなくなってきました。
「(やばい…早く布団から…でないと。)」
そう思いナノの拘束を解こうとするニノですが、がっちりとナノが抱き着いているため解けません。
「(もうむり…)」
ニノが睡魔に負けそうになった時、
「もう、ミイラ取りがミイラになってどうするの。」
がばっと布団がめくられ、メアが少し笑いながら妹二人に声を掛けました。
「今起きようと思ったー。おはよーおねーちゃんー。下にいこー。」
「あっ…!」
ニノがメアにどう言い訳しようと考えていると、自分を布団の中に誘い込んだナノが、ひょいっと起きてメアに抱き着いてそういいました。
「そうねナノ。ニノも早く降りてきてね。」
「ニノもはやくねー。」
そういってメアとナノは階段を下りていきました。
残されたニノは…。
「あーーーー!!ナノーーー!」
そう叫んで布団にバタンと倒れこみました。