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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
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カザー星系の所有する観光用トレインの旅... カロリーが高いおいしいスイーツとウサギっ子達(4)

「ねえ。お2人でどこ行ってたの? 何かおいしいもの食べてたんじゃないの?」

 12歳のララちゃんが、戻ってきたユキとキララに向かって、頬っぺたを膨らませて言う。


「いやちょっと」

「うん。共用スペースのトレインでこの先経由する惑星のことを調べていたんだよ…」

 とユキは正直に言う。


 ララちゃんはユキ君とキララのそばに行って、鼻をふんふんとする。

「どうやらお菓子の匂いはしないわね。じゃあ共用スペースへ行きましょ。食堂車とかあると思うし…

おごってね。お兄ちゃん」

 とララちゃん。


 キララとユキは2人して顔を見合わせる。


 ミケア・ミレイちゃんとシマ君はいない。

「ねえ。あの2人はどこ行ったの?」

 ユキは聞く。


「あの2人はみのるお兄さんのところへ行ったの」


「なんで?」


「ヒメルが呼んでたから」


「そう…1人だったんだね。ごめんね」

 ユキは12歳のララちゃんの頭をなでなでする。

ララちゃんは大きいけど…なでられると甘えてくる。


☆☆☆


 共用スペースの一角。すでに知った顔の子がいる。

 ウサギのハーフの子達。それとミミちゃん。


「あー。食べてる…」おいしいスイーツを食べているミアお姉さんとミミアとラミちゃん。そしてララお姉さんを見て12歳のララちゃんが言った。


「これ。すっごくおいしいの…3皿目よ…」

 ララお姉さんが3つ皿を重ねている。


「え? これ…3皿も食べたの?

えー。知らないの? まあ。知らないか…ねえ…ミミアお姉さん。これのカロリー教えてないの?

たぶんあたしの知っているスイーツと同じと思うんだけど…」

 12歳のララちゃんが、可哀想な顔でララお姉さんのほうを見る。

 ミミアだけ1皿しか食べていない。他の子はみんな2皿とか3皿食べている。

 ミミちゃんは4皿食べている。でも違うお皿も入っているか。


「え? 何? これ。カロリー高いの?」

 聞いた子達。食べるのをピタッとやめる。


「ま。まあね。1つ地球でいうと…たしか6000キロカロリーだっけ?

言うの忘れてたわ…

まあ。もう遅いけど…きっと2,3キロ太ってるわよ…このトレインの旅が終わったらね」


「げっマジ?」

「うそっ。こんなに小さいのに…

あたし3つ食べちゃった。食べたから…えーと18000カロリー?。ひえっ」

「ちょっと。ミミア。なんで黙っているのよ…」


「でも。おいしいでしょ」

 ミミアは最後の一口を食べる。


「そうね。すごくおいしい」


 12歳のララちゃんは…「ねえ。これ。2つ頂戴」と言った。

「はあ? 2つで12000キロカロリーよ」とミアお姉さん。


 12歳のララちゃんは「あたし子供で育ち盛りだから… 栄養が全部身長を伸ばすのに使われるか、胸に栄養が行くから…」

 と言う。


 あわてて「あたしも…胸に栄養が行くからいいのかも…」ララお姉さんは12歳のララちゃんの前に置かれたスイーツをみて「あたしももう1つ頂戴…この際いいわ」

 と言う。


「ねえ。ユキ君。私も思い切って食べてみたい。あまり太らないし…

ユキ君は大丈夫だよね」


「え? あ。うん」

 キララとユキもおいしいスイーツを注文する。


「ううう。もっと食べたいけど…太る…」

「あたしも…食べたいけど…太る」

「ねえ。カロリーが普通のでおいしいのないの?」

 ラミちゃんがミミアに聞く。


「そうだな…これなんてどうだ?」

 ミミアはメニューを指さして示す。


 甘い豆を煮て冷ましたものに、炭水化物系の団子が入っているもの。

「カロリーは?」


 みんな女の子は甘いものが好きだがカロリーは気になるようだ。

「マイナス50キロカロリーだ。食べるほうがエネルギーを使うからな」


「あたしはそれちょうだい。サイズも小さそうだし…どんどん持ってきて」

「あたしも1つ。食べるごとにマイナス50キロカロリーか」


 マイナス50キロカロリーのスイーツが来た。

 中に入っている団子を食べる。

「これ。おいしい。お。いしいけど…なかなか噛みきれないわね…弾力があって」

「そうね。みたらし団子みたいにも見えるけど…噛みきれない…」


「ぷっ。そうだろ。だからマイナス50キロカロリーなんだ…

疲れるから私は頼まないがな… でもさっきのスイーツ分少しでも減らすのにいいか。

あたしも1つくれ…」

 ミミアも注文した。


 結局ラミちゃんは3つ注文した。ミミちゃんは2つ注文して食べるのに疲れてやめた。

 ミアお姉さんは5つ注文した。


 その間。6000キロカロリーのスイーツを食べている子。

「いいわね。太ることを気にしないで食べることができて…

ねえ。ララちゃん…ちょっといい」

 ミアお姉さんは12歳のララちゃんのお腹を指でにゅっとつまむ。

 つまもうとしたが…つまめるところがないのに気が付いた。

「何。人のおなかをつまんでいるの? あたしもお返し…

お。おやおや…このお肉は何かな? ミアお姉さん」


「げっ。何つまんでるのよ…あたしはいいの。これは胸にいく予定なんだから…」


「うそばっかり…」

 ちょんちょんとお腹を指先でつっついている12歳のララちゃん。

 それに応じて、12歳のララちゃんのお腹を指でつっついているミアお姉さん。


「あ。あたし…こっちも注文しようかな…きっとおいしそう…」

 つっつくのをやめて、メニューで注文する。


 ユキとキララも食べ終わり、別のものを注文しようとしてメニューを見ている。

「ねえ。ユキ君。これなんてどうかしら? きっと気に入るわよ…

キララちゃんも」

 ミミアはメニューをめくり指さす。


「え? これ? 浮かんでいるの?」

 メニューにはプレートの中心にパフェのようなものの容器があり、パフェの周りには大きなドーナッツみたいなものが空中に浮かんでいる。どう見ても支えはない。


「そう。下のプレートは特殊なの重力制御のプレートで地球で言うドーナッツみたいなものが浮かんでいるの…面白いわよ」


 ミミアの示したものをじっと見ているユキ君。

「じゃあ。この浮かんでいるスイーツの茶色のとピンクのを1つずつ…僕とキララの分で…」


「あたしはもういっこ。6000キロカロリーのスイーツで…」

 また頼む12歳のララちゃん。


「じゃ。じゃあ。あ。あたしも…これで…」ララお姉さん。6000キロカロリーのスイーツを追加注文する。


「ねえ。いいの? 太るわよ…」

 ミミちゃんがララお姉さんに言う。


「いいの。全部。胸にいく予定だから…」


「そんなわけないじゃない。全部お腹に行くのよ…どうなっても知らないから…」ミアお姉さんはララお姉さんに言う。


「あたしはユキ君と同じのにしようかな…あたしも浮かんでいるドーナッツみたいの頂戴」

「じゃああたしも…同じの」

 ミミちゃんとラミちゃんも注文する。


☆☆☆


「おそろしいわ…」ララちゃん達が平らげたスイーツの総カロリー数を計算するミアお姉さん。

 ちょんちょん。ミミアがミアお姉さんの肩を叩く。

「ねえ。あれ。おそらくこの旅行が終わったら5kgは増えてるわよ…2人とも…」

 ミミアの言葉に…「12歳のララちゃんはいいけど…ララお姉さんどうなるのかしら…」


 キララとユキ、そしてミミちゃんとラミちゃんが頼んだものが運ばれてきた。


「ああ。やっぱり浮かんでる。ふわふわ動いているよ…大きいドーナッツみたいなもの。これは何?

地球のドーナッツと同じ?」

 ユキはドーナッツを指でつんとつつく。

 くるんとパフェの周りを半周だけまわる。


「これ。こっちのプレートに乗せたらどうなるんだろう」

 キララは自分の分のピンクのスイーツをユキのプレートの上に乗せた。


 すると…ユキの分のドーナッツとキララの分のドーナッツが一緒にゆっくりまわりだした。


「お。やっぱり。カップルだとやるんだな…」ミミアが言い、ちょんとドーナッツを指で止めた。

 すると、ドーナッツはいったん停止したが逆回りにゆっくりと回り始めた。


「へー。シンクロしてるね」

「うん」


 ラミちゃんとミミちゃんの分も来た。

 ミミアは、ミミちゃんの分をラミちゃんのプレートに乗せた。

 けれども一緒に回りだすことはない。

「まわんないわよ」

「そうね。きっとあなたの分が変なんじゃない?」

「だったらあなたのほうが失敗だと思うわよ」

 と言うウサギっ子とネコミミっ子。


「はっはっは。仲が良いカップルじゃないと回らないの…

厨房で細工がしてあってカップルの分だけ回るようにしているのよ」 


「なあんだ。そうなの」


 ラミちゃんは浮かんでいる外側のドーナッツみたいなものを手でつかんで食べる。

「うん。結構おいしい」


「そう。どれどれ…」

 ミミちゃんも食べる。


「はい。キララ。こっちのはどう?」

 ユキはドーナツみたいなものを指でつかんで、ひとかけらをキララにあーんして食べさせる。

「うん。味が違うね。じゃあこっちはどう?」

 キララが同じようにドーナッツをひとかけユキの口の中へ軽くほうりこむようにして食べさせる。

「うん。こっちは別のフルーツの味がするよ…ラズベリーみたいかな」


「こっちはチョコかと思ったら違うね。ちょっとほろにがの何かのフルーツみたい」


「うん。パフェも食べてみる」

「じゃあ。私も…」

 仲良く食べているユキとキララ。


「ねえ。シマ君とか、みのるお兄さんを呼んでこなくていいの?

きっとああなるわよ」

 とミアお姉さんは、ユキとキララを見て言う。


「まあ。カップル用の2倍サイズのもあるしな…それだったら1つ注文して2人で食べさせることも可能だぞ…スプーンは金色と銀色のペアになった柄がハートマークのだがな…」


「そうなの…さすがにユキ君達は頼まないわね…きっと恥ずかしがるから…」

「そうかも…」

 うさ耳っ子達はユキとキララを見ている。


 最後にみんなすっきりとしている味のお茶をたのみ、甘い味を喉の奥へ流し込みしめくくった。


☆☆☆


 トレインの旅の一日目。夕方がせまってきた。

「ねえ。K.K所有の星系なんだけど…惑星上へ降りて夕食にしようと思ったんだけどね。甘いものを食べたからあまりお腹が空いていないんだよ」

 とキララがユキとシマ君に言う。


「甘いものか。僕たちは明日食べに行ってみよう。ねえミケアちゃん?」

「うん。あれ。浮かんでいるドーナッツだっけ? カップル用の。明日頼もうね」

 シマ君とミケア・ミレイちゃんが言う。


「あ。ミミアお姉さんから聞いたもの…ねえところでさ。惑星上を観光して夜ちょっと遅めに食事はどう? もちろん甘いものを食べてない子達はそのまま食事にして…後で合流はどう?」

 ユキがシマ君を見ながらキララに言う。


「じゃあ。そうしようか。いったん、ネコミミ組とうさぎっ子、トリのハーフ組のところへ行ってくるよ。ちょっと待っててね」

 とキララが言うと「あたしも行く」ミケア・ミレイちゃんがキララの後を追う。


「わしは明日シロちゃん達と甘いものを食べるのじゃ」

「うん」シマ君はギンちゃんの頭をなでる。


「私はもう一度あのスイーツを食べよっと」

 12歳のララちゃんはまた言う。


「カロリーとりすぎになるよ」ユキはララちゃんの頭をなでなでしてから、ララちゃんのお腹をぽんぽんと叩く。


「余分なお肉。ついてないでしょ。ほら」12歳のララちゃんは胸をはって言う。

「ここはどうかな」ユキは12歳のララちゃんの太ももを指でつっつく。



「ねえ。お土産屋さんとかあるのかな? 水族館みたいなデートスポットとか」

 シマ君がユキに聞く。


「あ。そうだ。1番目の惑星へ行ってから4番目の惑星へ行くのはどうかな。1番目の惑星は機械化が進んだ惑星で、前にシマ君がしっぽにつけていた電飾でぴかぴかしているしっぽアクセサリをつけている人がいるみたい。その後に商業が盛んな4番目の惑星へ行ってお土産屋さんを見てから食事はどう?

ミケア・ミレイちゃんと一緒の写真をとったり…」


「えー。なにそれ。1番目の惑星にあるの?」シマ君は自分のしっぽを見る。


「面白そうなのじゃ。わしもしっぽに電飾のピカピカのつけるのじゃ。耳にもつけて…ピカピカのお狐様になるのじゃ」


「そうだね。ユキ君もつけるの? でもしっぽがないからお尻? 頭につけるの?」


「うん。残念ながらつけないわけにもいかないみたい。夜に電飾でぴかぴかしていない生きものは、死んでいる生物とみなされて巨大な飛行生物にさらわれるんだって」


「連れ去られたら食べられてしまうのか」ギンちゃんはユキに聞いた。


「たぶんね」


「こわいな」


 そういうことを話しているうちにキララとミケア・ミレイちゃんが戻ってきた。


「じゃあ。星系へ移動しようね」

 みんなに声をかけた。


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