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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
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カザー星系の所有する観光用トレインの旅... 塩の惑星とおいしい食べ物(2)

 ミミアの電話が鳴った。

「なによ」ボスからだった。


「ミミア。伝えておくことがある」

「なんなの?」迷惑そうにミミアは言う。


「実はな… 太陽系が破壊されたみたいだ」


「は?」


「だから言ったとおりだ」


「なっ。太陽系が破壊って…それ…ほんとなの?

地球はどうなったの?」

 つい大声をあげてしまったミミア。


 うさ耳っ子達はいっせいに顔をあげて、こっちのほうを見ている。


「ああ。そうか…太陽系と言っても、地球がある太陽系ではない…別のだ」


「な。なんだ…別の星系のことね…びっくりしちゃった。紛らわしい言い方しないでくれるかしら…

ここには地球人もいるんだし…

で? 何なの?」

 ミミアはラミちゃんやミアお姉さん、幼稚園児のララちゃん。ララお姉さんのほうを見て言う。


「ああ。別の星系なんだが…困ったことになってな…部下が間違って破壊したみたいだ。

そこはな…困ったことにK.K星系の会社所有のものだったことだ…」


「そうなの? それってやばいんじゃない?

報復されるわよ…」


「まあな。だから伝えておこうと思ったのだ…ちょうどトレインの航路もK.K星系所有の惑星を数か所通るからな…」


「わかった。注意するわね…ありがと…」

 ミミアは電話を終えた。


 じー。

 ミアお姉さんがこっちを見ている。


「えーとね。聞いていたと思うけど…太陽系といっても…地球がある太陽系じゃないから…

安心して…」


「それ本当? 本当に地球じゃないのよね?」

 ミアお姉さんが聞く。

「ほんとよ。ウソつかないし…」


「で。大丈夫なの?」ミアお姉さんはミミアに聞く。


「まあ。注意する必要があるけど…なんとかするわ…

ところで行先なんだけど…先の星系に寄ろうと思うんだけど…そこで昼食にしようと思って…」


「いいんじゃない? 停車時間は?」

 ミアお姉さんがミミアに聞く。


「停車はしないわよ。近くなったら借りたこのデバイスで惑星上へ降りて、ご飯食べてちょっと観光をしたら、デバイスでこのトレインの中へ戻るの…TMRの技術をつかっているの…ただし…時間制限があるけどね…最大で2時間ぐらい」


 そのときトレインの放送が聞こえた。

『まもなく、A2星系の近くを通ります。星系内では速度を惑星内の航行速度まで下げて運行します。

この間は、A2星系の2惑星へ降りることが可能になります。星系内での航行速度での運行は2時間です。お戻りになる最は時間内にお願いします。なお、乗り遅れた場合はB4星系まで各自で移動してください。B4星系への到着は今から8時間後となる見込みです』


「へー。惑星上に停車しないんだ…」

 ラミちゃんがミミアに聞く。


「そうよ。いちいちトレインで惑星上へ降りるなんて…非効率なのよ… TMRで惑星上へ空間をつなげないといけないし…そのときちょっと空気が宇宙に逃げるし… それに惑星は公転しているから…季節や時間によって座標が異なるのもめんどうだし…」

 ミミアはすらすらと答える。


「そうなんだ…これも空間移動のテクノロジーがあるからなのよね。

ねえ。どんなものがあるの? 名産とか? お昼のメニュー気になって…」

 ラミちゃんはお腹をみながら言う。そのとき。お腹から音が鳴る。


「A2星系のα惑星へ降りるとしよう…そこ果物や野菜が名産だな…肉食の文化があまりないらしい…」


「じゃあ…ニンジンはある? それともニンジンよりおいしいものはあるの?」

 幼稚園児のララちゃんがミミアに言う。


「ん? ララちゃんも食いしん坊だな… 。えーと… あるな…そういえば…」

 ミミアはデバイスの画面をララちゃんに見せた。


「でっかい」自分の胸ぐらいの大きさがあり、根菜の太さが自分の腰回りぐらいある根菜が画面にうつっていた。


「おいしいぞ…生でも… 地元のソースをつけて食べるんだ…」


「へー 楽しみー」


☆☆☆


 そのころのネコミミっ子達は…

「A2星系のβ惑星へ降りるー」ちびっこのトラが言う。

 そしてちびっこのミルクも「あたしも…魚介…魚介…」


 お魚系がうまいβ惑星へと降りるネコミミっ子達。

 そこは塩の惑星。キララ達が行こうとしている惑星だった。


☆☆☆


「おーい。おーい。ねえ聞いている?」

 ソラがみのるお兄さんに言う。


「おーい。おーい。聞こえてないのかしら…ねえ。ねえってば」


 ゆさゆさとみのるお兄さんの肩をゆさぶる。


「ん? あ。な。なんだ? もう着いたのか?」

 みのるお兄さんはヒメルの頭に顔を埋めながら言う。


「また…二人だけの世界に入って… ねえ。お昼。お昼に近いから…惑星へ降りる予定なんだけど…塩の惑星か、野菜のおいしい惑星かどっち?」


「まあ。どっちでもいいけどな… 野菜のほうか? ヒメルだったら…」


「そうね。そっちかも」


 みのるお兄さんはヒメルの頭から離れて、ヒメルの頭をなでる。

「んー」


「二人とも。くっつきすぎ… トレインの旅行の意味ないんじゃない? みのるお兄さんはヒメルしか見ていないし…ヒメルはみのるお兄さんになでられてばっかりだし…」


「そんなことないよ… 宇宙っていいね… 重力制御できるじゃない…」

 椅子のベルトを外すヒメル。


 ゆるりと浮かびかがるヒメルの体。


 でもみのるお兄さんはぎゅっとヒメルの体を抱きしめているので2人とも一緒に浮かび上がる。

「なあ。俺は無重力苦手だから…ヒメルとくっついている…一緒に移動しよう」


「そうね。あたしはトリのハーフだから飛ぶのは得意…」

 ヒメルもみのるお兄さんの体をぎゅっとして…少し移動する。

 そばのテーブルの横のソファへと移動して座る。

 ソファのベルトにみのるの腰を固定して、ヒメルはそばの冷蔵庫から飲み物を1つ取り出し、みのるお兄さんの口へとあてる。みのるお兄さんはごくりと飲み、その後ヒメルはその飲み物を一口のむ。

 2人で1本のようだ。


「しかし…ラブラブよね」

「そうね…」

 シロとソラは2人を見ながら言う。


☆☆☆


 惑星へと専用の自動ドアを開ける装置を使って移動するキララ達。

 初めての宇宙。そして…初めての他の星系へと落ちるギンちゃんのしっぽがぶんぶんとふりまわしている。そんなにうれしいのかな。


 僕ユキはキララのしっぽ。シマ君、ミケア・ミレイちゃんのしっぽを見る。


 キララは普通。


 シマ君とミケア・ミレイちゃんは尻尾を左右に動かしている。たまにしっぽがお互いの体に触れて、からまる。ミケア・ミレイちゃんのきつねしっぽはシマ君の腰にまきつき、シマ君のしっぽはミケア・ミレイちゃんの腰にくっつく。しっぽをからめている2人。


 12歳のララちゃんは僕の腕にくっついている。逆側にキララが腕を組んでくっつけてきた。

「最初はお肉とお野菜を食べて…デザートにスイカみたいな果物を食べることにする?」

 キララがみんなに聞く。


 惑星上。海に近い地域。今の時期は海の水は干上がっている。

 観光客や、地元の人がいる。


 パッと見た感じは地球のどこか外国の沿岸部に似ているが…

 地元にいる人は人間に似ているが頭に固いつのが2つ生えていた。


 そのほかにも、小さい人や、大き目の人。いろいろな人種の生物が歩いている。


 きつねっ子みたいな太いしっぽがある子もいる。

 耳が長い長耳族というウサギっぽい人もいる。


 キララ達と一緒に歩いていると… ネコミミの子が見えた。


「おーい」ユキは声をかける。


「え? あ。ユキ君。あなた達も降りたの?」

 ミミちゃんだった。


 男の子のレオ。ちびっこのトラ。女の子のココ。ちびっこのミルクも一緒。


「うん。後ろ姿が見えたから…でもね…おかしいの… 君たちのしっぽの動きが同じなんだもん。

左右にふったり、尻尾を下ろしたり。あげたり…」


「え? そう? 気が付かなかった」

 ミミちゃんは後ろの自分のしっぽを見る。ネコミミの子は無意識にしっぽを動かしているみたいだが… 尻尾は細くて長いのでわかりやすい。

 うさ耳の子は尻尾が丸いので尻尾が動かせるのかもわからない。


「君たちは魚介目当て?」


「まあね」


「お肉とお野菜もあるんだけど…」

 塩をつけて食べるレアなお肉とか…塩をつけて食べる新鮮なお野菜。


「ここが太陽系じゃないなんて…信じられない…」

 ミミちゃんは上を見上げながら言う。


「まあね。地球に似た星系だし…」


 オープンテラスのようになっているお店がある。


「ここに入ろう」

 ちなみにお支払いはトレイン乗車のカードを見せるとカザー星系に請求が行くようになっている。

 ミミアが手続きをしてくれた。

 ほとんどの子が宇宙で使える共通マネーを持っていないからだ。

 ちなみにちょっとしたおみやげなら買ってもいいと言われている。


 席に座る。


 最初は何かな…


「ねえ。この惑星のお塩を使っているアラカルトはどう?

お肉。お野菜。魚介。お塩がとってもおいしいスープってのはどう?

スイカみたいなデザートもついているし…」


「いいねえ。僕。いや私は…このミニミニ塩ラーメンがついている。お肉。お野菜。魚介のセットにするよ。こっちもデザート付き」

 キララは言う。


「じゃあとりかえっこしよう…」ユキは言う。


「うん。私もそう思っていたところ…」


「じゃあ。僕は何にしようかな… この天ぷらみたいなもののセット。お肉つき…デザートには…

そうだな…ミケア・ミレイちゃんとか?」


「え? 何? あたし? あたしがデザートなの?」


「いや。みのるお兄さんとヒメルを真似しただけ… きっとずっとくっついていて…シロ達に言われて、2人気が付くみたいな…それからお昼で… デザートに君があればいいよとか…」


「うふふ。そんなこと言わないよ… 2人であーんとかはしてそうだと思う…

人の目は気にしないで…」


「ああ。やってるな…絶対」


「そうね…」


 シマ君とミケア・ミレイちゃんは隣どうしに座っている。


 僕とキララもは別テーブルで隣どおし。

 向かいにララちゃんが座っている。


「わしはこれじゃ… この油揚げに似ているものがついているやつ」

 キララはその声に…「これは油揚げじゃないと思うよ… 植物の袋状のものにお肉とかお野菜を入れて煮たものみたい…」


「いいのじゃ…それにデザートもついているし…お子様はデザート2倍なのじゃ」


「あたしは…これ…お魚セット各種ミニサイズのお魚が10種類のね」


「お。いいなそれ…僕も」


「いいなー。じゃあそれ」


「こらこら。多すぎるよ…こっちのハーフセットはどう?」

 レオは言う。


 テーブルに映し出されたメニューからそれぞれ選択し、待つことにした。

 待っている間。セルフサービスの飲み物を持ってくることにした。

 レオ君とココちゃん、それとシマ君に手伝ってと言う。


「今頃鳥のハーフ組。それとウサギっ子達はどうしてるかな」


「どうだろうね。この惑星に下りているのかな?」


「いいや。きっともう一つのほうかな…おいしい根菜があるって書いてあった」


「そうなんだ…魚介よりは根菜だよね…鳥のハーフ組もお野菜かな?」


「うん。そうかもね…」


☆☆☆


 それぞれ注文したものが運ばれてきた。


 お塩が5種類入った細長い小皿がついている。


 説明によると『赤道付近の海のお塩』、『高緯度の海のお塩』、「気候が温暖な地域の岩塩」、「深海の海水からとったお塩(年代物)」、「この付近の沿岸の海から取得した塩」とあった。


「いただきまーす」それぞれ言う。


……


 そして…「うんまーい」ミミちゃんが言う。

 ミニサイズのお魚にお塩をつけて食べたミミちゃん。しっぽが上がり、びっくりしているのがここからでもわかる。


「お。うまいな… お土産にほしいぞ…このお塩」

 ギンちゃんも言う。


「ほんとーおいしい… はい…シマ君。あーん」

 ミケア・ミレイちゃんがシマ君にお魚をひときれおすそ分け…


「じゃあ。こっちもあーん」キララ。


「えー。ちょっと恥ずかしいよ…」ユキは言う…

 キララはしっぽでシマ君のほうを指さす。

 ちょうどシマ君はミケア・ミレイちゃんのお魚を食べたところ。


 ユキも口をあけた。


「うまいね」


「じゃああたしのも…」12歳のララちゃんもユキ君におすそ分け。


 こっちには12歳のララちゃんがいるから絶対こうなると思っていた。


 お肉。

 この塩のどれかにつけて食べるんだけど…ほんのり味が違う。


 ミネラルが豊富なお塩。

 お塩の味が大人しいもの。

 オーソドックスなお塩。

 それぞれ素材に応じて味がかわる。

 素材の味を強く感じたいときはおとなしい味のお塩とか。


「これうまいぞ」ギンちゃんが油揚げに似た袋に入った煮物を食べて言う。


☆☆☆


 みんな満足したみたいだ。

 デザートはみんなが食べ終わった後、別皿で冷え冷えのものが運ばれてきた。

 お塩はまた別のもの。


「うまかったのじゃ」


 スイカに似た果物にお塩をつけて食べると甘さが引き立つ。


 魚介を食べて満足したネコミミっ子達。


 お塩をつけて食べたお肉とお野菜。それぞれ素材の味を引き出している。


「塩ラーメンもおいしかったね」キララが言う。


「うん」


 そのあとお土産屋さんに寄ることにした。


 ユキは、その惑星。というか星系を中心に描いた宇宙地図。デフォルメされている。近くの観光名所が書いてあり、その名所の3D写真が表示されるものだ。


 ここは緑はあまりない。

 干上がった海。


 観光名所。


 他の星系からも来ている人達。


 おみやげ。


 風。


 ものめずらしい他の星系の惑星。


 空気の匂いは塩っぽい。


「ねえ。キララ。この星の他の地域はどうなの?」


「ん? どうだろうね…この惑星は塩で観光名所が成り立っているようなところだし…

長く住むには適さないかもね。だから…他の地域も同じかな」


「ふーん」


 付近の観光名所を見てまわる。


 海底の構造が見える博物館や、昔の海の映像。

 大自然。

 ダイナミックな景色や、北国の吹雪の映像。


 見て回ると、あっという間に1時間30分ほど経過していた。


「もう戻ろうか」


「そうだね」


 星系内にトレインがとどまるのは時間が限られている。


 トレインは動き続けている。


 そのトレイン内へ直接移動できる自動ドアを開ける。

 キー認証され、割り当てのトレインの車両へと通じるようになっている。


 あっという間に惑星上からトレインの中へと移動する。


「ふう」

 ユキは床に寝っ転がり、買った宇宙地図と本を並べ、床に開けた窓から外の宇宙を見ながら本を読み始める。


 キララはその隣で一緒に本を見る。


「次の星系はどんなところかな」

 12歳のララちゃんはキララに聞く。


「えーとね」キララは調べる…「次は珍しい惑星だね… 双子星。地球と月でいうと月より10倍近い距離どうしで2つの惑星が互いに公転しているの…うまく公転しているから衝突しないみたい…

惑星上から見る景色が絶景みたい…おいしいレストランもあるみたい…」


「そうなんだ…」


 のんびりトレイン観光。こういうのもいいなとユキは思った。


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