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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
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カザー星系の所有する観光用トレインの旅(1)

 カザー星系の所有する観光用トレインの旅。


 ボスはチケットを余分にくれたので、未来から呼んできた16歳のシロちゃんソラちゃんと

 ヒメル、そして幼稚園児のシロちゃんを入れたトリのハーフ組。

 またララちゃんの日記を読んで未来から来たララお姉さん。ミアお姉さん。ミミア。ラミちゃん、幼稚園児のララちゃん、そして異世界から来た12歳のララちゃんのウサギハーフ組。

 キララ、シマ君、ミケア・ミレイちゃん、遊びに来たギンちゃんのキツネハーフ組。

 遊びに来たレオ、トラ、ココ、ミルク、そしてミミちゃんのネコのハーフ組。

 そしてみのるお兄さんとユキ君の人間組。

 大勢での参加となった。


 それぞれ大人数なので、それぞれグループ分けをすることになった。


 ミミちゃん達はネコミミグループ。

 トリのハーフ組とみのるお兄さんのグループ。

 キツネハーフ組のグループとユキ君。

 そしてウサギハーフ組と分かれることになった。


☆☆☆


「あたしはユキお兄ちゃんと一緒のグループがいい」異世界から来た12歳のララちゃんはユキ君の腕に抱きついた。


「だめ」ララお姉さんは12歳のララちゃんをひっぱる。


「ふっふっふ。ララお姉さん。ダメと言ったらあのことばらすよ。ユキお兄ちゃんに…」

 と笑いながら言う12歳のララちゃん。


「な。なによ…」ララお姉さんは12歳のララちゃんを見る。


 こしょこしょと耳元で言う12歳のララちゃん。


「わ。わかったわよ。許可します」ララお姉さんは言う。


「ちょろい…」12歳のララちゃんは隠れて舌を出した。


☆☆☆


「これがカザー星系の所有する観光用トレイン?」

 ユキは停泊しているトレインの映像を見て言った。


 直径18メートルほどの円筒形のトレイン。そこそこの長さのものが列車のように連結されていて、かなり長い駅に停泊されている。


 トレインへ乗り込む前に、手荷物検査とかを実施するところにいる。


 まずはキララ。

「あなたは、TMRを所有していますか?」と係員の人に言われる。


「うん。なんで?」キララは係員の人に聞き返す。


「規則ですので…トレインでの旅をする人は、TMRの使用を一時的に停止させていただきます。TMRが無い、ひと昔前のトレインの旅をお楽しみください」


「えーで。でもぉ」キララは言う。


「規則ですので…」係員の人は言う。


「例外はないの?」キララは聞く。


「ええ。ありません。一部の機関に属している人のみが使用許可されています。カザー星系の幹部でさえもTMRは使用禁止です」


「そうなんだ… しょうがない」キララはTMRを見せる。


 係員の人は期間限定でTMRの機能を停止させる。


 別のところでは…

「ねえ。あたしも?」

 ララお姉さんがTMRの仮想インターフェースを見せながら言う。


「そうですね。あなたは長耳族の人ですね…念のため言っておきますが、宅配ボックスも利用できません」


「えー。いっぱいニンジンスナックを入れてきたのにぃ…」ララお姉さんは文句を言う。


 そして12歳のララちゃんの番になった。

「あたしはTMRを持ってないよ…おいてきた」と言う。


「そうですか。では検査させてもらいます。こちらへ…」

 検査器具の中へと入る。


 そして…

「どう?」12歳のララちゃんは係員の人に言う。


「たしかにTMRは検出されませんでした。どうぞ…」

 みんな乗車用のカードを受け取る。

 発車時刻が近くなり、みんな係員からもらったカードを、壁のスロットに入れて、列車内へと乗り込む。スロットへ入れると自動ドアが開き列車の中へ入れるのだ。列車には入り口はない。

 カザー星系の管轄するトレインはみんなこんな感じのようだ。


「じゃあ後でね…」ミミちゃんはユキ君に言う。ひさびさにミミちゃんは、昔ホームスティしていたネコミミの子達と一緒にトレインで過ごす。

 家はウサギのハーフの子や、きつねっ子が多いからな。ネコミミの子はしばらくミミちゃんだけだったし…


 出発。少しずつ速度をあげる。

 窓から外を見ているユキ君。


 だんだん乗り降り用のプラットホームから遠ざかる。


 そして…


 星系外へと移動するための大きな自動ドアを通り抜ける。

 ドアといっても、四角い穴が空いているだけのもの。


 係員の人からもらった説明書を読むキララ。

「えーと。このトレインはTMRの空間移動機能を使用しています。不要な干渉を避けるため個人所有のTMRは使用できません。ご了承ください。なお経由する惑星にはTMRの技術が使用不可の惑星がありますので…申し訳ありませんが旅が終わるまで一昔前のトレインの旅をお楽しみください。銀河の景色や、めずらしい惑星の景色も途中。お楽しみいただけます…ってさ」


「そうなんだ。銀河鉄道だね…」ユキはキララに言う。


「ゆっきおにいちゃん」12歳の異世界から来たララちゃんがユキにくっつく。


「えー。なに? 君もくっついてくるの?」

 ユキは12歳のララちゃんを見る。


「いいでしょ。減るもんじゃないし…」うさみみをすりすりくっつけてくる。


 はあ。ユキはため息をついた。

 ララお姉さんは別のトレインに乗っているし…まあいいか。

 年下の子供だし…でも。でもね。身長はとっくに僕を超えている。そして…

 体重も負けているだろう。


 隣で「なんかTMRがないと不安だよ…」キララがつぶやく。


「そうだよね。キララがTMRを使えないとただのきつねっ子だもんね」

 シマ君が言う。


「ま。まあそうなんだけど…」


「そうだよね。いつも身に着けているし…あたしはほら…」

 12歳のララちゃんはTMRの仮想インタフェースを表示させる。


「へ? 持ってないって言ってなかった?」シマ君は12歳のララちゃんを見る。


「ああ。あれ。ウソ。実は…これ…」12歳のララちゃんは胸元にしまってあったカードを出して見せる。


「えーと。特別犯罪調査員(期間限定)って何?」シマ君はキララに聞く。


「あ。うん。これはたしか…警察みたいな組織が持っているもの…ひょっとしてララちゃんは警察?」

 しっぽを太くしてキララが12歳のララちゃんに聞く。


「えっへん。一時的なんだけど…調査のためにやっているの…この旅行の間だけなんだけど…

だから…TMRは必需品。捜査のためにTMRを隠蔽できるの…すごいでしょ…

キララちゃんには負けないんだから…

あ。ちゃんでなくてお姉さんだった。

つい。背の大きさで見てしまうから…」


 さすがララちゃん。12歳でも大きい。


 ミケア・ミレイちゃんが急にシマ君のキツネ耳をつまんでひっぱる。

「びよーん」ミケア・ミレイちゃんが言う。


「うわぁ。何するの…耳をひっぱらないで…」


 シマ君はきつね耳に手をあてる。


「ごめん。ごめん…ほら。そとの景色… 以外に早いスピードで星がながれていくよ…」

 ミケア・ミレイちゃんが言う。


「ん? あ。ほんとだ…」シマ君は見てから「ねえ。ユキ君。ほら…はやいよ…」


 隣にいるシマ君がユキに言う。


 たしかに早い。


「ねえ。これって?」ユキはキララに聞く。


「ああ。えーとね。これもTMRの技術。一定期間ごとに空間をとばすの。映画とか。24コマで静止画を見せているのと同じ。これはきっと1秒間に144回。通常空間へ具現化させているんだけど。間は空間移動しているの…ずっと先の直線上に空間を開けることで、光速を超えて移動しているように見えるんだよ…だからなのかな。このトレインの航路はなるべく直線で構成されている…」


「そうなんだ…一定おきに、空間を飛ばして、ちょっとの間通常空間へ戻ることで星空を見せる。

だからこんなに早く移動しているように見えるのか…」


 いきなり航路を曲げると、直線的に動いていた星が一瞬不自然な動きになるからか。


 今はマトラ星系が管轄するトレインが一番長い直線航路の記録を持っている。


 カザー星系が管轄するトレインは、どうやら地球が属する星系が邪魔で長い一直線の航路を実現できないでいる。


 なら… 地球がある太陽系を空間的に飛ばして、先にTMRで空間の穴をあければとなるが…

 一定期間ごとにTMRで空間に穴をあけることをしないといけない…

 ちょうど地球の公転軌道上にかぶさっているようだ。

 そして…ちょっとずらせばと思うが、許可がされていない星系内にはTMRの穴をあけることはできないそうだ。TMRの技術を提供しているところがそういうふうに決めているとのこと。


 綺麗に星が流れていく。


 トレインの窓からは外が見える。


 外の星空。


 不思議と恐怖はない。


 このトレインの外は宇宙空間なんだけど…


 ぽーん。音声案内が入った。

「次は塩の惑星。塩が有名な惑星です。今は海は干上がり、陸地と元海だったところは塩だけになっています。ミネラルが豊富な塩。おみやげにいかがでしょうか。あるいは業務用の食べ物の調味料として、格安でお求めになるのもおすすめです。なお…税金として0.1% 収める必要があります。

購入の際は申告を…」


 と放送が流れた。


「あ」

 キララが言った。


 何やらトレインに備え付けのデバイスで調べている。


「何? 塩ラーメンでもあった?」ユキはキララに聞く。


「ま。まあね。ラーメンもあるみたいなんだけど…塩をつけて食べるレアなお肉とか…

塩をつけて食べる新鮮なお野菜とか… 甘いスイカみたいな食べものにお塩をかけるのとか…

いろいろあるみたい… 2時間後なんだけど…降りてみる?」


「へー。お塩を付けて食べる油揚げはないのか?」

 ギンちゃんが言う。


「あはは。油揚げはないよ…」キララはギンちゃんに言う。


「じゃあ。甘いスイカ。気になるのだ…」


「そう…スイカみたいな食べ物なんだけどね… じゃあ行く?」

 キララが再度言う。


「うん。いいね。2時間後だったらちょうどお昼に近いし…」


「いいね」シマ君もしっぽを動かしながらミケア・ミレイちゃんに言う。


「うん…」


 決まったようだ。


 トレインは最寄りの惑星へ降りることも降りないことも選択できる。


 止まっている間は、他の車両とおいて行かれることになるが、停車後出発したら、他のトレインと合流が可能だ。これも移動に空間移動を使っているおかげ…


 2時間どうするか…


 どうやら…このトレインは床に窓をあけて、外の景色を寝っ転がったまま見ることができるみたい。


 ソファとか、テーブルをどかせば… ふかふかの絨毯の床に寝ることができる。


「よっこらしょっと」

 シマ君が言う。


「おじさんみたい…やだぁ…」ミケア・ミレイちゃんがシマ君の肩をたたく。


「えー。そうかな…」シマ君の隣にはミケア・ミレイちゃん。2人はくっつく。


 ユキはユキの隣にキララを手招きする。


 その逆どなりには、12歳のララちゃん。


 床に窓をあけて外の景色が見えるようにする。


 がたんごとん。というような定期的にレールの音が聞こえるわけではない。


 ただし…がこん。と定期的にちょっとだけトレインがゆれる。


 これは演出。


 その定期的なちょっとしたゆれが、心地よい。


 トレインの外を流れゆく宇宙の星々…


 流れていく…星ばかり…


 めだった星系はない。


 うつらうつらしてくる。


 隣でララちゃんはすーすと深い寝息をたてはじめた。


 その逆どなり。


 キララはしっぽを僕の体の上に乗せてきた。


 太くてふかふかのしっぽ。


 さわってみる。


 毛並みがいい。


 ふかふかだし…


 さわって。なでていると気持ちが良くなっていく。


 ふああ。ユキはあくびをした。


 ユキは宇宙が好きだ。


 流れゆく星々を見ていると眠くなってくる。


 トレインの床。


 ふかふかの絨毯がしいてある。


 室温もちょうどいい。暑くもなく、寒くもなく…


 近くにはウサギのハーフのララちゃん。


 キララ。


 そして… ギンちゃんと、シマ君。ミケア・ミレイちゃん。


 みんなぼんやりと外の星々が流れていくのを見ている。


 みんなしゃべるでもなく、とろんと外の景色をながめているだけ…


 ゆっくりと時間が流れていく…


 ユキは目を閉じた。














 

 

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