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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
87/138

ミミアと昔のボス

「すまんの」病院のベッドの上でじいさんがミミアに言った。


「はい。これ。地球のお土産。養命酒というの…」


「そうか… 地球も我々の計画ではもうすぐで無くなるか。別の場所に移動することになっているが…予算の関係で無くなるほうかな… これはもらっておく」じいさんが言う。


「その計画無くならないの? 友達がいるのよ…過去にあたしの命を救ってくれた人もいるし… ミアっていう子」


「おまえそっくりな子か…まあ。わしの計画ではないしな。上の命令だからな…そういえば」

 じいさんは話し出した。

 じいさんは元ミミアの上司。

 上司が入れ替わり、ちょっと前に来た上司。腰を悪くして入院していたが、代わりの若手でやり手の人が来ることになって引退したのだった。


「その話聞かせてくれる?」ミミアはベッドに座る。


「そうじゃな…あれは30年前のことだった…

 マトラ星系の人と争いあっていたころ…

 その時代で、一番長い直線の航路を建設していたときだった。

 地球と同じようにある星系がじゃまでの…

 わしは、その星系の主星に潜入して調査していたが…

 へまをしての。

 その惑星の乗り物にはねられてしまったのじゃ」


ミミアは「ねえ。大丈夫だったの?」おじいさんを見る。


「かなり痛かったがな… 現地の人が助けてくれての…

 その後から友達になったのじゃ…

 でもな。計画があって上の人の命令だったからどうすればいいのか考えていたのじゃ。

 まあ。そんな中。ちょっとしたことから現地の人と喧嘩になっての。

 計画にゴーサインを出したのじゃ。

 もちろん。その星系は破壊されてしまい、現地の人も他の星系に移ったのだが…

 新しい惑星は環境が悪いところでの… その後200年ほどは環境が安定しなくての

現地の人には悪いことをしたなと思ったのじゃ…」


「そうなの? 他人事じゃないわね…」

 ミミアは病室の外の景色をみる。


「まあ。その後。現地の人と再会しての。わしも新しい惑星のことについて責任を感じていての。

できるかぎり環境を良くしようと、予算を回していたのじゃ。

あとでそのことを聞いたみたいでの…

また友達として会うことになったのじゃ。そいつは3年前に老衰で死んじゃったが…

最後にリゾート惑星でクルーザーを借りて釣りを楽しんだことはいい思い出じゃ…」


「そっか… ところで新しい上司の情報はないの?」ミミアは聞いた。


「ふむ。あるがの…お前には教えられん。ではな…

もうすぐで面会の時間が終わるぞ…」


「そっか。じゃあ。帰るわね…」ミミアはベッドから立ち上がった。


☆☆☆


 ミミアは計画をたてる。

 まずはにぼし…

 秘密裡にクロのところへと自動ドアを開けるミミア。


 廊下のはしから手招きするミミア。


「はーい。クロちゃん元気? ララお姉さんを呼んできてほしいんだけど…

ほら煮干し…」


 クロは本物のネコ。脳改造をされて人語もわかるようになっている。

 クロは床をタッチして言う。

「なんだ。賄賂か?」


「いいや違うの。地球のことでね…情報がほしくて… 昔のあたしの上司のところへ会いに行きたいんだけど…辺境にいるのよ…ララお姉さんのTMRを使って移動したいと思って…」


 クロは床をタッチして「わかった。もっとにぼしくれ…」

 と言う。


「はいはい」ミミアは追加で煮干しをあげた。


「場所はあたしの住んでいる部屋の前。明日の朝お願いね…」


 ミミアはクロに言った。


☆☆☆


 夜。ミミアは妹に連絡をとった。

「ねえ。お願いがあるんだけど…前のボスにパンツあげたことあったわよね…

そのネタでね…」

 ミミアは言う。


☆☆☆


「はぁ。やっと終わった。くそっ。ばかどもめ…」

 前にミミアの上司だったボス。辺境で仕事をしている。以前ミミアとミア。ララお姉さんに、こてんぱんにされた後。怖くなって、辺境へと異動届けを出して遠くへと移ったのだった。

 部下の始末書を整理し、書類仕事が済んだころ。

 連絡が入った。


「なんだ…。お。お前か…どうしたのだ?」ミミアの妹だった。


「観光で辺境めぐりをしていたら、近くまで来たので明日会いませんか? だって?

まあ。かまわんが… ふむ。そうか…」ボスはミミアの妹から会いたいと聞いた。


ミミアの妹は…「お土産もあるのですよ。世界一固いおせんべとか…」


「おお。そうか。わかった。明日…」ボスは電話を終えた。

「しかし変わり者だな…」辺境めぐりとは…


☆☆☆

 

 昼ぐらいの時間。

 ボスのところにミミアの妹が訪ねてきた。


「おお。良くきたな…こんなところへ…ミミアは元気かね」ボスは聞いた。

「元気だと思います。きっとそうでしょう。なにせ辺境巡りをしていたので…

今のボスが有休休暇を全部使えとうるさいので…」

 ミミアの妹もスタイル抜群。長身でボン・キュ・ボンの体形。ミミアよりは背は少し小さい。

 おっぱいの大きさも結構ある。性格のほうはちょっとボケているところがある。天然。


「そうか。そういえば…お土産があるのだったな。見せてくれるか?」


「ああ。忘れてました」ミミアの妹はバックの中をさぐる。

 ミミアの妹は制服のネクタイピンのボタンを押した。


「固いおせんべだったな…」ボスは椅子に座る。


「目を閉じてください」妹は言った。


「なんでだ?」


「手渡したら目をあけてください…」妹は言う。


「わかった。変な物を手に乗せる気ではないのか?」


「いいえ。お土産ですよ…」


 ボスが目を閉じるのをまった。


 そして…

「まだか?」ボスは目を閉じて言う。


 ごそごそ音がする。

「ちょっと待ってください。ひっかかってとれないのです。あ。とれました…」


 ミミアの妹はボスの手に赤いものを握らせた。

 そしてボスの机の上に箱を置いた。

 その上に、白いものを上に乗せた。


「ん。なんだこれは…」


「まだ。目を開けないでください」


「いいか?」


「はい。どうぞ…びっくりしますよ…」


 ミミアの妹は言った。


 ボスは目をあけて、手を見た。

 ボスの手の平をあけると赤いもの。

 以前みたことがあった。


 赤い布をひろげると。パンティーだった。

「なんだこれは…パ。パンティじゃないか…」びよーんと広げてみる。


「これは。前にボスにあげたパンツです。あなたの目の前で脱いで置いったものです。忘れ物ですよ。あのときボスにあげたのです。そういえばそのときの5000クレジットをもらってませんでした。今くれますか?」


「こんなもの持ってきたのか。やっぱり返す… なんか嫌な予感がするからな… おお怖い。あのころのことを思い出したぞ…」


「いらないのですか? せっかくはるばると持ってきましたのに…」


「お前は辺境巡りをしていたのではなかったのか?」


「そうです。ところで机の上も見てください」妹が言った。


「なんだ。これは…ブ。ブ。ブラではないか?」

 ボスはお土産の固いおせんべの箱の上に乗っている大きなブラを手にとる。


「そうですが…ぬぎたてですよ。生温かいのです」


「な。生…たしかに…あたたかいが… いいや。まあ。その。なんだ。このブラとパンツはもらえん」

 返すと言い。ミミアの妹にパンツをにぎらせ、その後からブラも握らせる。


「これ。実は間違えてミミアのブラを持ってきてしまったので、私じゃ大きすぎていらないのです。

せっかくなのでボスにあげようと思いまして…ミミアお姉さまのお乳の大きさがわかりますよ。ブラの大きさで…」

 とミミアの妹は言い、パンティとブラをボスに返す。


「何? ミミアのブラなのか? どうりで…でっかいと思ったのだが… ふむ…そうか…」

 ミミアのブラを手でさわり、カップのところを手にあてる。

 大きさを測っているようだ。


「お姉さまにはだまっておきますので…辺境巡りのときに宿泊施設で洗濯したときに忘れてきたと言いますので…」


「ふむ。そうか。ミミアにはだまっておくのだな? 本当だな?」


「そうです。じゃあ。固いおせんべ食べません?

あと、そういえば…このタイピン支給品なのです。

録画機能がついているので、ボスが固いおせんべを食べているところを録画しようと思います」

 妹はタイピンを押す。


「ふむ。そうか。この辺境まではまだ届いてないな…」ボスはタイピンを見る。


「あっ」

 ミミアはタイピンを押してから言った。


「ん? あっとは何だ? あ。とは…」


「えーとですね。怒らないで聞いてくれます?」


「な。なんだ。まさか…録画されていたというのではあるまいな…」

 顔を引きつらせていうボス。


「実は…さっきタイピンを押したとき…さっきのやりとりが…

えーとですね。その。ミミアに録画データが送られてしまったのです」


「な。なんだと…」

 ボスは椅子から立ち上がった。

 そしてミミアの妹につめよる。


「えーとですね。きっと今頃…ブラとパンティのところを見てカンカンに怒ってるかもしれません。

きっと電話が来ると思います…」


「な。な。なにやっとるんだ。ばかもんが…くっ。本当に送信されたのか?」


「はい。前回。お昼にお店で海鮮パスタを食べたのです。そのときにテストでミミアお姉さまへタイピンで録画したものを送ったのです。その設定はそのままなので…きっと…」


 ボスは「や。やばいぞ…まあ。怒られるだけか。ここまではすぐには来られないか…」


 そのとき、ミミアの妹のデバイスから電話の音が鳴った。

「あ。お姉さまからです。出ますね」


「ち。ちょっと待て。ミミアに言うんだ。『今はここにいないって言え。さっき急な呼び出しがあってどこかへ行ったと言え…』」


「あ。はい… えーともしもし。あ。お姉さま。どうしました? え。何? さっきのパンティとブラ? あ。あれですか? 辺境巡りの途中でして、近くに前のボスのいる基地があるので、今。寄ってボスの部屋にいるのです。あ。えーとボスですか?

『今はここにいないって言え。さっき急な呼び出しがあってどこかへ行ったと言え…』

と言われました。

あ。今ですか? 目の前にいますが? えーと。あ。もしもし?…

ボス? ミミアお姉さまからでした… 話している途中で切れてしまいましたが…」

 ミミアの妹はデバイスをポケットにしまう。


 そのとき、部屋の呼び鈴が鳴った。

「ひぎゃあ。ミミアか? ミミアなのか?…は。はい…」デスクの上のモニタを見る。


「あの。始末書の書類ですが…実はもう一つやらかしてまして…」部下だった。


「なんだ。お前か。今は忙しいから後でこい。たっぷり説教してやる…」


「部下ですか? 厳しいですね」妹は… 後ろを指さした「あ。ミミアお姉さま」


「ひぎゃあ。ミミア。あ? あれ? いないぞ…」後ろを振り返ったボス。


「びっくりしました? 冗談ですよ…」

 妹が言う。


「くっ。バカにしおって… こら… お前も辺境勤務にするぞ…」ボスは怒る。


 そのとき、また部屋の呼び鈴が鳴った。

「あ。あの…ボス?」部下だった。


「また。お前か。お前はもういい。二度と来るな…今忙しいんだ…」


「えーとお客様です。部屋から出て来てほしいのですが…」


「今。忙しいんだ。あとにしろ…」


「で。ですが…来ないと大変なことになるかと…」


「なんだ。大変なこととは…今いそがしいんだ…」


「とにかく来てください。部屋のドアのところでいいので… すぐにわかります」


 ボスは部屋のドアのところまで歩いて行く。

 ドアを開ける。


「お前は…もう…なんだ…忙しいんだ…」


 部下が後ろを指さす。


 ボスは後ろを向く…


 ちょうど廊下の影から、長身のうさ耳が見えた。そして…


「ぼす。おひさしぶり。ララよ」

 ララお姉さんが顔を出した。


「な。なんでお前がいるのだ…。ま。まさか…」

 後ろを向くが誰もいない。部下だけだ。


 部屋のドアの前にいると、部屋の中から長身のうさ耳少女が出てきた。

 耳が見えた。


「ねえ…」


「ひぎゃあ。ミミア…? あ。妹か…紛らわしい…」

 部下のほうを向く。


「ところで用事というのは何だ?」怒った感じで言う。


「こっちに来てください。休憩用の自動販売機の前です」


「だから。忙しいのだといっておろうが…」


「カンカンに怒ってる人がいるので… 今すぐに行かないと…」


「誰だ? まさか長耳族の女の人ではないのか? 制服を着た」


「そうですが…」

 ボスは覚悟を決めた。


 部下の後をついて歩く。


 廊下を曲がり、自動販売機の前までくる。


「なんだ。いないではないか?」ボスはあたりを見る。


「あれ? なんでですかね? では、私はここまで案内したので…では私はこれで…」

 部下は去っていく。


「くそっ。なんなのだ…」ボスは後ろをくるりと振り返る。


 すると前にはミミアがいた。

「ごわぁ。ミ。ミミア…」ものすごくびっくりして心臓がばくばくいっている。


「ボス。久しぶりね。さっきの動画についてたっぷりと言い訳を聞かせてもらうから…

あなたの部屋に行きましょ」


「その。なんだ。誤解なのだ。ブラもパンティもミミアの妹が勝手に持ってきたものだし…」


「とりあえず行きましょ。ほら…」

 ミミアはボスの二の腕をつかんで連れて行く。


☆☆☆


「その。なんだ。えーとな。おい。お前がこんなものを持ってくるからこんなことになっているんだ…」とボスはミミアの妹に言う。


「何? なんであたしの妹に怒っているのよ… ねえ。ボス?」

 ミミアはボスにつめよる。


「ひっ」


「ブラはあなたにあげるわ。そしてパンティも。そんなことはどうでもいいのよ…」


「は?」


「だから。ブラはいいから。えーと。お願いがあるの。聞いてくれる?」


「ね。願いとはなんだ。お金か? わしの持っている星系か?」


「いや違うのよ…」ミミアは話し出した。

 地球に対する計画。新しいボスが着任してから地球を破壊する計画が着々と進められる予定になっている。

 ミミアは地球が気に入っていた。

 新しいボスの情報がほしいと。ボスに言った。


「いや。だめだ。教えられん。計画の邪魔になるんだろうし…それをわしがもらしたら。それを上のお方が知ったらどうなるか…わしは殺されるぞ…」


「だから。お願いしているんじゃない。ブラとパンティのこともあるし…

それに。地球のことで…地球人のユキという少年になにかあったらどうなると思う?

そこのララお姉さんがあり得ないほど怒るわよ…」


「ねえ。ボスさん? あたしからもお願いなんだけど…

もし…あとあと、あたしのかわいいユキ君になにかあったら、あなたのせいにするから…」

ララお姉さんがボスにくっついて、ボスののどのあたりを指でなでる。


「ひぐっ…」ボスはララお姉さんが苦手。前に怒ったところを見ているからだ。


「教えてくれたら、世界一かたいおせんべをあげますよ…」妹も言う。


「もうすでにもらっているのだが…」ボスは言う。


「ちょっと。あなたの端末を使わせてくれるだけでいいから…

ボスはちょうどいろいろあったから、15分ぐらい休憩にでも行ってくるといいのよ…

妹と一緒に、ラウンジスペースにでも行って来たら?」

 ミミアが言う。


「くー。じゃあそうするか。おい。いくぞ…わしはミミアが何しようと知らん。見てないことにする… 変なことするなよ…」

ボスは出て行った。


☆☆☆


「よし…じゃあララお姉さん。手伝って」

 ミミアはボスの端末にアクセスして、新しく着任するボスのことについて調べる。


 えーと。今まで実現困難だったミッションをつぎつぎと成功へとつなげていくこと27回。

 星系トラブルも多数。ねらった仕事は確実にこなす。頭も切れて、敵の裏をかくことも得意。


「へぇ。やり手なのね…」ララお姉さんも横から読み、ミミアへ言う。


「えーと失敗したミッションやトラウマ。苦手なものは?

えーとないわね…でてない…あと…好きなものは…各星系のお酒…あとは

ないわね…こりゃ考えないと…」


 ミミアはなやみつつ。端末の画面を閉じた。


「さて。どうする?」ララお姉さんが言う。


「じゃあ。気分を変えて、リゾート地へ行きましょ。何かおもいつくかも…」


「へ?」


「まずは地球へ戻りましょ。そして…」


 ミミアは言って、机の上にメモを置いた。妹あて。


 そしてララお姉さんのTMRを使って自動ドアを開けた。


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