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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
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消えたユキとキララ(2)

 ララお姉さんは立方体の色を白にそろえようと動かす。

 横にいたミアお姉さんは、ララお姉さんから立方体を奪い取る。

「使ったら戻ってこられなくなるのよ…」


「だって…あたしのせいで…」ララお姉さんが涙目で言う。


「じゃあ、あたしが探してきてあげる…」

 ミミアは立方体を手に持っている。色は全部白い面になっていて、ミミアの体が光り始めている。


「だめよ…」ミアは手を伸ばす。


「あっ」ミミちゃんが声を出したときミミアは消えた。


 キララとユキが消え、ミミアも後を追った。

「僕たちどうしよう…」シマ君が言う。


☆☆☆


 みんな立ち上がっていたが、途方にくれてソファに座ってしまう。


 そんなとき、壁が長方形の形に光りだし、自動ドアが開いて2人がでてきた。

「やあ。お困りのようだね子猫ちゃんたち…」

 羽をもつイケメン男子、キラと青年がでてきた。

「なんでここに…それに…」シマ君は言った。それと見覚えのある顔。


「この世界のシマ君。お久しぶり」

「はじめましてだね。行方不明になっていたんだけど、キラが一生懸命探してくれたんだよ… 君もキラが探すの手伝ってくれたんだって」大人になったユキがシマ君に言った。


「あー」シマは立ち上がった。

「元気だった? ミケア・ミレイちゃんとも仲がいいようで何よりだね…」キラはミケア・ミレイちゃんを見る。


「うん。キラのおかげ。シマ君と出合えたから…」ミケア・ミレイちゃんはシマとくっつく。


 さてと。と言う感じでキラはミミちゃんに声をかける。

「やあ、子猫ちゃん」キラはミミの頭をぽんとする。

「キラ…」ミミは泣きそうな顔になっていた。


「やっぱりお困りのようだね。海底都市であげた紫サンゴのイヤリングに細工をしていてね。キララちゃんのTMRの反応が無くなったら、僕に通知が来るようにしておいたのさ。異世界の君たちも同じことになっていたから、もしかしてと思って…ユキと2人で来たんだよ…」

 と言ったキラ。そのあとキラはミミの頭をなでて、よしよしとした。


 そのすきに、大人になったユキの背後からララお姉さんが抱きつこうとする。

 大人になったユキは殺気を感じてよける。

「なんで避けるの…」うさ耳がたれ、目が赤くなっているララお姉さん。


「どこの世界のララお姉さんでも、やっぱり抱きつこうとするんだね」

 身長は大人になったユキよりララお姉さんのほうが高いが、ユキはララおねえさんの頭をなでる。

 その間、キラはテーブルの上に置いたままになっている2つの立方体を手に取り、小型デバイスで立方体をスキャンする。

 その立方体はみのるお兄さんとヒメルの分のだ。

 立方体の1面を残してすべて白に変更し、その立方体をテーブルの上に戻す。


「ねえ。みんなの分の立方体も僕に貸してくれる? 行く準備をするから…」

 キラはそれぞれの立方体を受け取り、スキャンしてから1面を残してすべて白にする。

 そして元の持ち主に立方体を返す。


「キラが合図をしたら残りの1面を白にするんだよ」とユキは言う。


「うん」全員が言う。ただしみのるお兄さんとヒメルを除いてだけど…


「おーい。おーい」ユキがみのるお兄さんとヒメルに声をかける。

 肩をゆさゆさする。


「んあ。どうした?」みのるお兄さんは、ヒメルの髪に頭をうめていた。

 ヒメルの髪はトリのハーフなので、トリの産毛が生えている。ふっかふかだ。

 みのるお兄さんは、ヒメルの髪に顔をうめて、もふもふしていた。

 ヒメルも目を閉じて半分寝ていたようだ。

「また。2人だけの空間になっていたね。ほら行くよ…」

 ユキが言う。


「おまえ。いつの間にか大きくなったんだ?」みのるお兄さんは全く聞いてなかったらしい。

「どうしたの?」

 ヒメルも同じだ。


「あのね。僕は異世界から来たの。こっちはキラ。この世界のキララとユキが、立方体を操作して、この世から消えてしまったの」

その後キラが続ける「だから僕たちも行くよと言ったところだったのさ…」


「なあ。俺たちも行かないとダメなのか? ヒメルとココで待っていたらだめ?」

 みのるお兄さんはキラに聞く。


「あー。どうしよう。ま。まあ。いいか。じゃあ待っていてくれる? どのぐらい待つかわからないけど…」


「うん。そっか。俺はヒメルがいたらいくらでも待てるから。トイレとか食事とかどうすればいい?」


「えーと。たしか。近くにレストランがあるから…レストランの従業員には、キララに連れて来てもらったと言えばいいかな?」


「わかった」


「ねえ。みのる。膝大丈夫? ずっとあたしが膝の上に乗っていたから重くない?」

 ヒメルが言う。


「大丈夫。大丈夫。いつものことだし… じゃあ座りなおすか。今度は左から座って」

 みのるが言う。

「うん」ヒメルはいったん立ち上がって逆側からみのるお兄さんの膝の上に座る。


「じゃあ。待っててね。じゃあ行くよ。みんな立方体の面を白にそろえてね。そうしたら転送されるから…」


ヒメルはみのるお兄さんの膝の上に座ったまま、みんなのほうを見る。


「じゃあ…」異世界から来たユキとキラも立方体を持っている。ユキとキラが先に転送された。

 その後みのるとヒメル以外の体が時間差で光りだし、みんな消えた。


☆☆☆


 キラの横に異世界から来たユキが出現した。

 その後にミケア・ミレイちゃんとミミちゃんが出てきた。


 その後は、しばらく待ってもほかの人達が出てこなかった。

 キラは「あーやっちゃった。困ったな。これは時間がかかるかも…」


「ねえ。シマ君は?」ミケア・ミレイちゃんが言う。


「ねえ。ララお姉さんや他のみんなは?」ミミちゃんもあたりを見回しながら言う。


「みんな出現場所がずれたみたい…」キラがユキの隣で言う。

「前はどうだったっけ? あっちの方に歩いて行ったらいたんだっけ?」ユキはキラに聞く。

 ここは転送先のどこかにある場所。

 キラは自分のTMRを見る。

 やっぱり。TMRは使えなくなっている。

 目立つ建物とかはなく、地面には白い色のタイルが敷き詰められている。


 ユキは「今回は前回と違うかも。前回は道路と建物があったんだけど。今回は地面しかないし…

何か違いはないのかな?」ユキは上を見たり地面のタイルをみたりしている。

 キラも同じようにあたりを観察する。


 遠くのほう、床のタイルの色が違う気がする。

 行ってみないとわからない。けれども移動すると、今いる場所に戻れないかもしれない。

 キラが見た遠くのほう。床がオレンジ色に見える。


「向こうの床がオレンジ色に見えない? そこを目指そう」キラが言う。

「そうだね。もしかしたらミミアお姉さんもいるかも… オレンジだから…」ユキは言う。

 オレンジ。ニンジンの色。うさ耳の子ならあっちの方に行くかな?


「ねえ。みんなくれぐれも僕からあまり離れないように。ここは特殊な場所でね。空間の構成が自由に変化するんだよ。僕から離れすぎると迷子になるよ… ここは広いから一生会えなくなる可能性もあるからね… 特にユキ君」異世界から来たキラが大人のユキに言う。

「うん」ユキはキラの隣へくっつくように移動する。

 ユキはもう行方不明はこりごりという顔をしている。


「シマ君見つかるといいな」ミケア・ミレイちゃんはちょっとしょんぼりした感じで言う。

「うん」ミケアちゃんの隣でミミちゃんが言う。

 みんなそれぞれ移動する。


☆☆☆


 ミケア・ミレイは、キラとユキの後をついて歩く。

 ミミちゃんと手をつないでいる。


 オレンジの床を目指して歩く。

 ミケア・ミレイはミミとつないでいた手を離す。

 みんなオレンジ色の床がある場所へと移動した。


 キラとユキが振り返りミケア・ミレイとミミを見た。


 その直後あたしミケア・ミレイはめまいがして、一瞬目を閉じた。


 あれ?

 ここどこ?

 ミケア・ミレイは別のところに立っていることに気が付いた。


 ちょっと離れたところにシロとソラがいる。

「あ。やっと見つけた。みんなは?」

「良かった」

 シロとソラが走ってこっちへと来る。


 ミケア・ミレイちゃんはまわりを見る。

 ユキもキラもミミちゃんもいない。


 ミケア・ミレイちゃんはシロとソラに手をつなぐように言う。


 そしてそのままちょっとだけ後ろへと下がる。

 また、めまいがした。 


 気が付くとさっきいた場所。

 ちょっと先にキラとユキ。それとミミちゃん。

 シロとソラもミケア・ミレイの隣に出現した。


「あっ」ユキが気が付く。

「こっち」キラが手招きする。

 ミケア・ミレイちゃんは手をつないだままキララのところへと歩いて行く。


☆☆☆


「良かった。見つけてくれたんだね」キラはミケア・ミレイちゃんの頭をなでる。


「えへへ。でもシマ君がいないの…どうしよう…」


「そうだね…」キラはあたりを見回す。


 ここにいるのは、キラ本人。ユキ。ミミ。ミケア・ミレイちゃん。シロ。ソラ。

 男はキラとユキだけ。2人は異世界から来た。この世界のキララとユキは行方不明。シマ君も同じ。

 そしてララお姉さんとミアお姉さん。ラミちゃん。そしてミミアもどこにいるかわからない。


「ねえ。あっちに何か見えない?」ミケア・ミレイちゃんがキラに言う。


「えーとどうだろ…行ってみる?」キラはミケア・ミレイちゃんに聞く。


「うん。ここにいてもしょうがないし…もしかしたらシマ君がいるかもしれないし…」


☆☆☆


 みんなあまり離れないようにしながら手をつないで歩く。


 しばらく歩いて行くと、誰か人がいた。

「あっ。シマ君…」ミケア・ミレイちゃんが走っていく。


「あまり離れるとはぐれるよ…」キラが追いかける。


 キラはユキと手をつないでいる。キラのもう片方の手はミミちゃんと。

 ミミちゃんはシロとシロはソラと手をつないでいる。


 キラはミケア・ミレイちゃんを追いかけて行く。


「あー。みんな。やっと会えた…」

 シマ君だ。


 ミケア・ミレイちゃんとシマ君は手をつなぐ。


「ねえ。他の人はいないの?」シマ君がキラに聞いた。


「うん。そうなんだ。ユキ君やキララ。そしてミミアやうさ耳っ子達はいない…」


「そうなんだ。あ。そうだ。向こうのほうに建物があったよ…」シマ君はしっぽで横のほうを指す。


 シマ君は両手を使ってミケア・ミレイちゃんと手をつないでいるから手はふさがっている。


「じゃあ。シマ君に案内してもらおう…」キラはシマ君に案内をお願いする。そしてくれぐれも離れ離れにならないようにと念をおす。


☆☆☆


「ほら。あの白い建物…入り口がなかったから入ることができなかったんだけど…」

 シマは言う。


「ほんとだ…」ミミちゃんは、建物の周りを歩く。

 どこにも入り口はない…


「ねえ。たぶんわかったよ」キラが言う。


「きっとそうだね…」大人になったユキが続ける。「えーとね。みんな白い建物の壁の前に立って目を閉じるんだ。そして一歩壁のほうへと踏み出す。すると中に入ることができるよ。ごつんと頭が壁にぶつかったらごめんね…」ユキは言う。


「そうなの? ユキ君の言うことなら信じられるかな… ミミちゃんは言う」

「そうね」

「うん」

 シロとソラも言う。


 みんなそれぞれ白い建物の壁の前に立つ。

 手で触ってみると壁があるのがわかる。


「みんな目を閉じて…」キラが言う。


「うん」シマ君が言う。

「あたしも閉じた」ミケア・ミレイちゃんも言う。

 もちろんシマ君の隣で手をつないでいる。


「オーケー」


「じゃあ。みんなでそろって一歩前へ…」キラの声。


 みんな一歩踏み出す。


 あ。一歩踏み出せた。

 壁にはぶつからなかった。


「目を開けていいよ… あっ」

 キラの声。


 その声により、みんな目を開ける。


 そこにはラミちゃん。ミアお姉さん。ユキ。キララがいた。

 そして…ミミア?


「あなた…なんで…」ミアお姉さんがミミアそっくりな人に言う。

 ウサギのハーフなんだけど、白うさぎなんだけど。

 毛並みから見て、かなりの高齢。


「やっと来たのね… 百年は待ったわね…」

 ミミアだった。

 ミミアが白い建物の中にいた。

 そして先に消えたキララとユキもいたが…

 ミミア以外は同じタイミングで建物の中に入ったようだった。



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