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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
けもの耳の子達とのふれあいとSFちっくな日々
8/138

過去でのミミアの治療。それとユキ君がミアお姉さんをもふろうとする話

 今は2047年。あたしシロは、クロに呼び出されて2237年の世界に来ていた。


 あたしの体の実態は2047年にある。


 あたしシロは今年で15歳。背も10年前と比べて高くなりすらっとした容姿、半透明な白っぽい羽。


 マトラ星系第6惑星の衛星軌道上。


 稼働型デバイスを借りて2237年に来ているが、衛星のリゾート地でシロは休みを満喫していた。


 かなり大変な仕事をクロから言われ、見事こなしたので未来の高級リゾート地に招待されたのであった。


 シロは水色っぽい水着を着て、衛星軌道上のプールのほとりでジュースを飲んでいた。

 上空はガラスみたいなもので覆われ、第6惑星の表面が見える。

 第6惑星は太陽系の木星のようなガス惑星で、さまざまな色が混じった模様が惑星の表面上を覆っている。


 衛星軌道上に位置しているため、惑星の模様や輪も見える。ダイナミックな景色が人気のリゾート地。


 ここを訪れている人達はそんなに多くない。


 プールの外には、公園や小川、ショッピングモールがある。


 ここが衛星軌道上にあるのが信じられない(外の景色を見るまでは…)。


 シロは体をふいて、白と薄い紫色を基調とする服を着た。


 シロはプールがある建物の外にでて、公園に向かう小道を歩いて行く…


 前から人が歩いてきた、その人は後ろを振り返り何かを気にする感じだった。

 後ろを向いているのでぶつからないようにと、シロは左によけた。

 その人もシロの避けた方向に、よけたので結局二人はぶつかってしまった。


「あ。ごめんなさい…」その人は、シロを見る。


 少し年配の狐耳の女性。倒れているシロに向けて、狐耳の女性は手をさしだしてきた。


「ありがと」シロは女性の手を支えにして立ち上がった。


「ねえ。あなた。この腕にしているのは時間移動用のTMRね。でもあなたは使えないはずね…」

 シロは女の人から聞かれた。

「うん。これはちょっと前にタイムエージェントの灰色ネコの形見なんだよ。任務中に死んじゃって…」ちょっとだけ部分的に黒色の首輪の部分が剥げている。シロはクロに呼び出されたとき、クロにTMRも預けた。だから稼働型デバイスの手首にはめてあるのだ。


「あなたのお名前は?」狐耳の年配の人は聞いてきた。


「シロっていうの…」


「シロ… ねえちょっとTMRを貸してくれない?」


「いいけど。はい」シロはTMRを外す。


「まだ使えるわね。バージョンは160ね。あー」女の人は考えている。


「ねえ。あたしからプレゼントがあるのサプライズ。あたしはちょっと前に三毛猫のエージェントから預かった荷物があるの。ある人に適用してくれって言われたの…

それで人を探していたの。あなただったのね…」


「なんなの???」シロはおばさんが何を言っているのかわからなかった。


 女の人は本ようなものを取り出した。

「アップグレードしていい?」

「アップグレード?」

 TMRのソフトウェアのバージョンアップができるの、あなたの持っているTMRのバージョンは特殊なの。160は現存しているのは1つだけ。160からあるバージョンにアップグレードできるんだけど。する?

「でも…バージョンアップしてもいいけど、あたしには使えないんじゃない???」


「サプライズだから…」と女の人は言う。にこっとしている女性。


 シロは考えた。悪い人じゃない。それに本来TMRは灰色ネコ本人にしか使えない。


「いいよ」シロは言った。


 女の人は本の最初のページを開き、それを置いて本を閉じた。

「10秒ね」

「10秒…」

 10秒後。首輪は本の最終ページにはさまっていた。


 不思議。


「はい。これ」もとのように腕にはめてみて。と女の人が言う。


「うん」シロは二の腕のところにはめなおした。


「たっちしてみて」女の人は言う。


 シロがTMRをタッチすると、TMRから音声が流れた。

『本人の認証が終了しました。このTMRはあなたにしか使えないようになりました。

この本体のバージョンは4760です』


「は?」TMRのバージョンが上がっていた。


「どうやら、無事に終了したみたいね…あとこれね…」


 単三電池に似た記憶デバイス。


「これは…」シロは女の人から単三電池に似たデバイスを受け取った。


「TMRの使用方法が入っているから…あなたは稼働型デバイスだけど認証は本人にも通じるから…

 あなたの本人に渡してね…

 じゃああたしは用事がすんだし、リゾート地を満喫するわね…」

 と言い残し、女の人は、歩いて行ってしまった。


「ありがと…」女の人は振り返り、ほほえんだ。


 シロは考えた。あたしにも使えるTMR。そしてすごいバージョン番号。元は160だったのに…


☆☆☆


 シロは2047年に戻ってきた。と言っても単三電池型記憶デバイスに記憶されたものを、あたし自身に書き戻しただけ。


 そして、女の人からもらった記憶デバイスからも記憶を書き戻す。

「ねえ。クロちゃん。クロちゃんが未来に帰ったら。ちょっと待ってて。きっとびっくりするから…」


「待つの? よくわからないが待ってみるよ。どれぐらい待ってたらいい?」と床をタッチして言うクロ。


「そうね。5分ぐらい。5分たったら好きにして…」


「うん。わかった。5分だね」とクロは床をタッチして返答した。


「じゃあ。これ報酬の煮干し…」シロはクロに報酬のにぼしを渡した。


 クロは未来に帰っていった。


 あたしシロはTMRのボタンを押した。壁にあたししか見えない光が映し出される。


 そのボタンをタッチする。


 ネコ用のインターフェースなので、ボタンは大きく機能も使いやすい。


 行先をセット。クロのいる時代。クロが戻ったと思われる時間の4分後にセットする。

 これでいいかな。シロは実行ボタンを押した。


☆☆☆


 クロは部屋の隅にあるクロ専用のクッションの上に座っていた。

 そこでお皿にあけてもらった煮干しを食べていた…

 待っててと言われ4分が経過した。


 丸い円が床に表れて、シロがそこに現れた。

「あ」


「シロちゃん?」ゆみ子が、手にしているマグカップを落とした。


☆☆☆


「これ。すごいわね。見たことがない。しかもバージョンは4760って。この時代のTMRのバージョンは161よ。1年に1つバージョンが上がるのよ…だとすると何千年もあとのTMR???」


「このTMR。あたししか使えないんだけど、あたしもクロ君と同じように移動できるわね。

他にも機能があるみたい…」シロはゆみ子に説明をする。


 ことっ。

 ボックスから音がした。ゆみ子は机の横に置いてあるボックスから手紙をだした。


「あー」ゆみ子は手紙を読んでから、シロに言った。

 あなたに仕事よ。


「今から4年前のカザー星系の衛星に行ってくれる?

 これはループ型ね。TSIはいらないみたい…


 そこに19歳のミアちゃんと、敵のミミアがいるわ。

 ミアちゃんは稼働型デバイスを使ってその時代に移動している。

 ミミアは今より4歳若い15歳ね。カザー星系の衛星はその時期に敵の襲撃を受けるの。

 ミアちゃんもあなたの助けを必要とするはず。稼働型デバイスだから死ぬことはないんだけど、

 ミアちゃんの記憶が敵にわたるとまずいの…

 それとミミアは瀕死の怪我を負うはず。

 シロはミミアを助けるのよ。方法はこのとおりにね…


☆☆☆


 あたしミアは昔のカザー星系の敵のアジトに潜入していた。

 もうちょっとで敵の襲撃を受けるらしい。

 それに合わせて行動を起こす。


 コンソールからデーターをコピーする。


 そのデータには、敵が近い将来に、ある相手と商売するという情報が入っている。


 その商売の成功をきっかけとして敵の勢力が増すということだった。


 その商売を成功させないために必要な情報を入手するのが目的。


 このタイミングになっているのは、敵の攻撃を受けるため、データが盗まれたことを敵に気が付かせないためだ。


 目立たない倉庫の壁に、クロのいるアジトから自動ドアで、このカザー星系のアジトに空間をつなげた。


 ここについてからまわりを見まわす。あれ。あそこの床が光っている。あの光り方。

 そこにシロが現れた。


「あなたいったい…」ミアはシロに向かって言う。


「こんにちは、ミアさん。やっぱり若いね…」


「あたしのことを知っているの?」首をかしげるミアに向かってシロは言った。


「あたしはシロ。あなたの知っているシロの未来の姿。これはあたし専用のTMRね。

このバージョンは4760だよ」


「はい?」ミアはシロのTMRを見て目をむいた。


☆☆☆


 シロとミアは廊下を移動していた。敵の襲撃を受けた後だ。


 データはすでにコピー済み。


 廊下を曲がったところ女の人が倒れていた。うさ耳の若い子。血が流れ、片腕はぶらんと下がっている。


 その人はこっちを見た「見たことがないな。敵か…」


 シロはミアの隣を歩いているが立ち止まった。


 ミミアはレーザー銃を手にして撃ってきた。


 緑色の光線が一瞬見える。


「ふっふっふ。あたしには効かないんだな」シロが言う。

 ミアは、シロのTMRの本人保護機能のことを聞いていた。TMRが敵にわたるのを防止するため、使用者本人を守る機能と、本人のそばの人を守る機能があるとシロから聞いた。


 レーザー光線はシロとミアの後ろの壁を焼いた。


 そのとき、ミミアとシロたちのいる廊下の真ん中あたりに大きい何かがぶつかった。


 ばきっ。と音がして壁に大穴が開く。


 廊下に付けられている非常用の扉が自動的に閉じた。


☆☆☆


「ふっはっは。ばかめ。壁に穴が空いたか… あれは助からないな…」ミミアは言った。

 でもあたしも助からないな。くそっ怪我を負ってしまったし、あたしの生体復元用のサンプルも、割れてしまった。


 万が一のことを考えて部下に持ってくるように頼んだが、向こう側で崩れてきた廊下の下敷きになって部下は死んでしまっていた。


 そのときにあたしの生体復元用のサンプルも床に落ちてしまった。だから、あたしもきっと助からないでろう…


 廊下を歩く音が聞こえた。部下のいた方の廊下だ。でもあの廊下は通れないはず…


「なっ」ミミアは見た。


 シロとミアだった。

「なんでお前たちが後ろにいる。さっき扉の向こうで宇宙空間に吸い出されて死んだはず…」


「あー。これあたし専用のTMR。これの本人保護機能が働いたのよね」


「ふっ。ばかな。TMRがお前に使えるはずないだろう…」


「このTMRのバージョン番号は現存のTMRのバージョン番号よりずっと後なの…

あたしみたいな子でも移動できるのよね」

 ミミアは目をむいた。


「何千年ってなんだ… ぐっ」ミミアが言っているときに顔をしかめた。


「あたしがミミアを助けてあげる。この子ミアは、あなたとDNAパターンがほぼ一緒だから、生体復元用のサンプルにミアのデータを入れればあなたも助かる…」


「そう。この子は過去の地球から稼働型デバイスを使ってここに来ているの。運が良かったわね」とシロが言う。


「なんでお前が私を助けるのだ…敵だろう…」痛みに顔をしかめながら言うミミア。


「まあそうなんだけど、ミアが聞いたのよ、未来のあなた自身から…

過去に、ミアの生体復元用のサンプルを使って瀕死の状態だったんだけど、助かったのだと言ってたよ」とシロが解説をする。


 ミミアはだまった「そうか。うぐっがっ…」

 ミミアは血を吐いた。


 それっきりミミアは動かなくなった。

「ミミアを抱っこしてあそこの部屋に運ぶの。あたしには重すぎて持ち上がらないからミアお願いね」

 シロは言う。


「よいしょっと」ミアはミミアを抱っこして運ぶ。

 なんか不思議。あたしそっくりなミミアを抱きかかえて運ぶなんて…

 しかも敵。敵の高官。なにか変わるのかな。これで…


 治療用のカプセルの中にミミアを入れる。

 そして、ミアは生体復元用のサンプルの容器に自分のサンプルを取るようにボタンを押してセットした。

 サンプルを採取後に、治療用のカプセルに生体復元用のサンプルの瓶をセットする。

 そしてスイッチを入れた。


 がん。廊下の向こうで音がした。

 部屋の扉が自動的に閉まる。

 そして、部屋自体が衛星から離れて宇宙空間に放り出された。


「ねえ。これやばいの???」ミアはシロに聞いた。


「いや。この部屋自体が脱出用の救命ポッドになるの。惑星の地表に落ちても大丈夫なのよ…

さあ、あたしたちは仕事を終えたから移動するわよ…」

 シロはミアの稼働型デバイスをシャットダウンし、単三電池型記憶デバイスを抜き取る。

 そしてシロは空間を移動した。


 シロはクロのいる場所に戻ってきた。

 コンソールからコピーしたデータを渡す。

 シロはそのまま、ミアの記憶が入っている記憶装置を持って、ミアのいる時代に移動する。


☆☆☆


 床に現れた光を見たミアはクロが来ると思っていた。


「クロじゃない」ミアはびっくりしていた。


「あたしはシロ。あなたが知っているシロの未来の姿。これ記憶装置。猫耳カチューシャを使って記憶を同期してね。だいたいわかるから…」とシロが言う。


 白い羽の子。結構美人。


 同期が終わったミア。

「じゃあ。あたしは未来に戻るから…」と言い残して未来へと帰ろうとするシロ。


「ほかにも聞きたいことがあるんだけど…」ミアはシロを呼び止めようとした。


「また。今度ね。で。あたしの報酬はこれね。ミアさん。あたしをぎゅっとして頭なでて」

 その言葉に、ミアはシロをハグする。そして頭をなでる。

「んーん」シロは気持ちがよさそう。


「さて行くね」

「うん」


 シロは未来へと帰っていった。


☆☆☆


 なんか疲れた…

 記憶を書き戻してから、一気につかれた。


 また、ユキ君をもふろうかな…


☆☆☆

 

 ここは、僕の家。居間のソファに座ってテレビを見ているところ。


 また、玄関が開く音がして、ミアお姉さんが入ってきた。


 いやな予感。この雰囲気。

「ユキ君。今日もあなたを抱っこするのよ…」とミアお姉さんが言ってきた。


「いや。だめ。最近は、もふられてばっかりだよ。今度は僕が好きにする番だよ」

 僕は、自分の膝の上をぽんぽんする。


「あら。そうなの… あたしかなり重たいわよ…」


「いいの。膝の上に座って。ミアお姉さんを後ろからぎゅっとする」


 ミアお姉さんは僕のそばまで来て僕の目の前に立つ。そしてそのまま腰を下ろす。

 ミアお姉さんは僕の膝の上に座る感じとなる。


「ぐっ」結構重い。ミアお姉さんは加減をせずに、普通に体重をかけて座ってきた。


「じゃあ。あたしをもふって… ぎゅっとして、頭をなでてね」とミアお姉さん。


 なでなで。僕はやっとのことで、ミアお姉さんの頭をなでる。

 身長173cmの長身で完璧バニーガールのお姉さんが、僕の膝の上座っている。

 後ろから抱きついてみてわかったんだけど、やっぱり体のボリュームは結構ある。

 それに予想以上に重たかった。

 それと、うさぎお姉さんのあったかい体温。


 これどのぐらい抱っこしていればいいんだろう。

 自分から抱っこすると言っておいて、ものすごく重いからもう降りてというのも…

 なんかかっこ悪い。

 僕はミアお姉さんの頭をゆっくりなでる。


「すーすー」なんか聞こえてきた。


「ミアお姉さん?」やばい。寝ているよミアお姉さん。

 膝の上で抱っこされたまま寝ている長身のうさぎお姉さん。


 頭をなでるのをやめてぎゅっとしてみる。そしてそのまま持ち上げてみようとする。

 うーん。重い。ものすごく重たくて持ち上がらない。

 で、この長身うさぎお姉さんの体はすごくやわらかい。

 やわらかいから、なんとかなっている。


 そこにララちゃんとラミちゃんが入ってきた。

「あー。ユキお兄ちゃんがミアお姉さんを抱っこしている。いつもと逆」と幼稚園児のララちゃん。


「ミアお姉さん。疲れて寝ちゃっているよ。きっと簡単には起きないわよ…」


「えー。これどうしよう…」


「ふっふっふ。ミアお姉さん重いでしょ。頑張ってね…」

 ララちゃんとラミちゃんは自分の部屋に戻ってしまった。


 僕の膝の上に抱っこされている巨大お姉さんうさ娘。

 起きるまでこのままか。

 僕は、またお姉さんをぎゅっとした。うさぎお姉さん娘の感触。

 うん。びくともしない。


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