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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
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キララ所有の宇宙図書館と宇宙水族館へ行く(5)ー ホテルの見学の続きとトラブル…そして新たな災難

 ユキとキララはホテルのロビーまで戻り、借りていたキーを返却してから図書館まで移動する。


 壁に併設されているTMRでの移動だ。

 自動ドアを開ける。


「ねえ。トラブルって… TMR関連の?」ユキはキララに聞いた。


「違うよ。照明が勝手に切れてしまうんだってさ…」


「そうなんだ。工事の人に連絡すれば?」ユキは図書館の左側へと進んでいくキララの後をついていく。


 キララは歩きながら答える「担当の人は忙しいみたいで、別の星系で仕事しているみたいなんだよ。

だから何でもわかる人に聞いたみたい…私は電気関係の設備でアルバイトしたことあるし…」


「そうなんだ…いろいろ経験あるんだね…」ユキはキララの後をついて歩く…


「ああ…あれだね…」キララは上を指さす。


 ユキはキララが見ている方向を見てみるがわからなかった。


「どれ?」ユキは目をこらして見てみる。


「星にまぎれてるんだけど…天井に丸くて白い照明があるでしょ。その中の数個の照明が切れているんだよ… 黒いからわかるかな?」

 キララはユキの顔の隣にきつね耳をくっつけてきた。

 キララのきつね耳の毛の感触がほほに伝わる。


 ユキはキララがくっついてきたことを気にしながら天井を見た。

 よく見てみると、星かなと思ったら白い照明がいくつかあるのが確認できた。


「うん。白い照明がたしかにあるね。そして…ちょっと暗くなっている照明もあるね…」

 やっとわかった。じっと見ないと見分けができない。

 キララは僕の顔とくっつくのをやめた。


 その直後に声が聞こえた。

「もう見に来てくれたのですか。お疲れさまです。どうですか?」

 と声がかかる。小柄な人。地球人ではない。


「お疲れさま。あれかな?」キララは天井を指さす。


「そうです。勝手に消えてしまうのですよ。照明をいったんオフにしましょう。

このボタンから操作できますので… 明かりを消してからつけてみますよ」と従業員の人がデバイスのスイッチを操作した。

 図書館の今いる近辺の照明がオフになった。そして、またスイッチを押すと照明がついた。

 さっきよりちょっと明るい。

 そして、30秒ぐらいたったあと、数個の明かりが自動的に暗くなっていって消えた。


「ああ。わかったかも…」キララはつぶやき、キララは浮遊装置を従業員から借りることにした。

 キララは装置を腰のところに巻き付けてから、空中へと浮かび天井のところまで上がっていく。


 キララは照明を取り外す。


 そして外した照明の裏を見てみる。


 キララは照明を少しいじったあとに、照明を天井にとりつけた。


 キララは片手をあげた。

「わかったんですかね。じゃあ照明をオン・オフしてみますので…」従業員の人がデバイスのスイッチを操作した。

 付近の照明が消えてから、またオンになった。

 30秒たつと、キララがいじっていない明かりのうち、さっき消えていたものがまた暗くなって消えていった。

 でもキララが操作した明かりは暗くならずに明かりはついたままだ。


 キララはユキのいるところまで降りてきた。

「わかったよ。自動消灯のタイマー値が間違っていたみたい…」

 キララは従業員の人にまた照明をオン・オフするように頼んだ。


 消えてしまう照明。


 消えた照明は9個。

 キララは消えてしまう照明の位置を把握し、浮遊装置を使いながら、順に照明を取り外して設定を変更していった。


 数10分ですっかり照明の具合を調整してしまったキララ。


 キララは作業を終えてユキの隣に下りてきた。

「へー。すごいね… なんでもできるねキララは…」ユキはキララの頭をぽんとする。

 キララの左耳と右耳の間をなでなでする。キララの耳もついでに、押さえつけてなでなでする。

 きつね耳がふかふかで、なでている側も気持ちいい。

「えへへ…」キララの顔がほにゃあとなる。


「ところで天井以外にもおかしいところがあるのですが…ちょっとこっちに来てくれますか?」

 従業員の人が歩き出す。


「うん。いいよ…」キララはユキのほうを見て、ありがとと言った。

 そっか、従業員の人もそばにいたんだった。


 いっしゅん、ヒメルとみのるお兄さんのことを思い出す。同じように従業員の人がそばにいることを忘れてた。


 それから歩き出す。

 ユキも一緒についていく。


 図書館の入り口の近くにドアがあった。

 ドアノブもないが、従業員の人がカードをかざすと、入り口が中へとすべりドアが開いた。


 従業員の人が部屋へと入っていく。


 キララとユキは部屋の中へと入る。


 なにやら音が鳴っている。

 赤いLEDのようなものがついている制御盤があった。


「これなんですが、違うところの制御盤は緑色のランプがついているのですが、ここのはずっと前から赤ランプがついているんですよ…原因がわからなくて… 何かわかりますか?」


 電気回路のようだった。配電盤というか分電盤みたい…


「そうだね…マニュアルはある? 型番とか?」キララは聞く。


「えーとちょっと待っててくださいね…探しますので…」

 従業員の人が棚を開けて、紙製みたいなバインダーをとりだす。

 パラパラとめくる。


「どれどれ?」キララはぱらぱらめくっているものを見る。


 ちょっと見せてとキララは言い、ぱらぱらと紙をめくる。


「へー。マニュアルは紙なんだ…」ユキはマニュアルを見て言った。


「うん。電気系の設備は紙とか、印刷物をマニュアルとして置くのが決まりなんだよ…

電気がなくなったときにでもマニュアルが参照ができるように、電子デバイスは使わない決まり」


「ああ。そっか。タブレットみたいなものやパソコンにデータが入っていても電気が無くなったら参照できないもんね…」ユキは納得した。


 キララはマニュアルの後ろのページを見てから、真ん中ぐらいの位置を開いて、ぱらぱらとめくっている。


「ああ。これかな…」キララは設備の扉を開けてから、カバーがかかっている小さい箱を開ける。

 小さい箱には赤いラベルが貼ってある。キララはそのラベルをはがして、小さい機械を奥のほうへときちんと差し込む。

 ちょっとたつと、赤いランプは消えて緑色のランプになった。


「あ。直りましたね。さすがです」従業員の人はマニュアルを見て、キララに原因を教えてもらっている。

 どうやら、最初にキララがやった操作が必要だったらしく、安全装置がオフになっていたらしい。機器の設置後に安全装置をオンにするのが定番だが、設置者は安全装置をオンにするのを忘れて帰ってしまったみたいだ。


 安全装置がオフでも機器は動き電気は流れるようになっているが、しばらくの間安全装置がオフだと、赤ランプで知らせる仕様になっているとのことだった。


 従業員の人はお礼を言って、控室からお饅頭のようなものを2つ持ってきた。


「ありがと…」

「僕ももらっていいの? 何もしていないけど…」

 キララとユキはお饅頭を受け取ってから図書館を後にする。


 図書館の入り口。エントランスのところに休憩用のベンチがある。


 そこで、2人で座っておまんじゅうを食べた。


 結構おいしかった。


☆☆☆


「ねえ。TMRの調子はどう? 良くなった?」ユキはキララに聞いてみた。


 キララは手首につけてあるTMRをさわった。


「うん。どうだろうね…ちょっとやってみるよ…」


 キララはTMRを操作した。


 TMRは無事に機能しているみたい…


「大丈夫?」ユキはキララのTMRを覗き込んだ。


「うん。大丈夫みたい…」


 キララとユキはおまんじゅうを食べ終わり、いったん宇宙船へと移動することにした。


キララはTMRを使って自動ドアを開く…


「良かったね… そういえば惑星へと降りたララお姉さん達はまだ、根菜祭りに参加しているのかな?」


 ユキはキララに話しかけながら自動ドアをくぐる。


 キララは話しかけてきたユキを見るのに後ろを見ながら自動ドアへと入っていく…


 ユキもキララの後をついて自動ドアへと入る…


☆☆☆


「あれ?」

 ユキは自動ドアを通り抜けた後の空間を見て言った。


 キララも「あれ? なにここ…」


 見たことがない場所だった。


 白色の壁。白色の床。天井はあるのかわからない。


 廊下があるだけ…


「ねえ。行先間違えた?」ユキはキララに聞いた。


「いや。間違うはずないんだけど…ちょっと待ってて、戻るからね…」

 キララはTMRを操作する。


 けれどもキララはあせりだした。


「ねえ。うまくいかない?」ユキはキララのTMRを覗き込む。


『使用できません』という文字が見えた。


 キララは泣きそうな顔になっていた。

「ねえ。ユキ君。戻ることができないよ…どうしよう…」


「えっ?」


 ユキはキララを見た。


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