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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
74/138

キララ所有の宇宙図書館と宇宙水族館へ行く(3)ー併設しているホテルの見学

「あー あのクラゲの発光生物のところ… 素敵だった… 宇宙にいるのか、水の中にいるのか、水族館にいるのかわからなくなっちゃった…」ミアお姉さんは言う。


「うん。良かった… あたしの住んでいる未来にもあんな水族館はないわね…と言ってもあなた達の時代から20年ぐらい後なんだけどね…」ララお姉さん…


「あたしも。食料としてお魚のことを見てたけど… 発光クラゲのところだけ忘れて見てたわよ…」とラミちゃんが、ミミちゃんの声をまねて言う。


「なっ。違うわよ… 横幅うさ耳娘…」ミミちゃんはラミちゃんに言う。


 どん。

 ラミちゃんは、ミミちゃんの足を踏もうとする。


「ちっ」足を踏み損なったラミちゃんが舌打ちをする。


「あんたが踏むと床がぬけるわよ…」ミミちゃんが喧嘩腰になる。


「はーい。はい。喧嘩はだめ… なんで仲良くしないの?」ミアお姉さん。


「だって。ネコ科とウサギ。仲良くなんてできないじゃない…」ラミちゃん。


「そうね。元々、ネコ科の動物にうさぎは食われるだけだもんね…」ミミちゃん。


 キララは、ミミちゃんの頭にちょっぷをする。

「あ。いたっ」ミミちゃんは、普段あまり叩いてこないキララを見る。


「こらっ。喧嘩しないの… ここは私所有の建物なんだからね… いいものをあげようと思ったんだけど…どうしようかなぁ…」とキララ。


「えっ? 何なの? おいしいもの? まさか魚介?」ミミちゃんは、しっぽとミミをピンと立てて、キララのほうを見る。


「もう喧嘩しない?」キララはニヤニヤしてミミちゃんを見る。


「うん」ミミちゃんの尻尾が左右に大きくゆらす。


「じゃあ。待ってて…」キララが立ち上がる。そして厨房のほうへと行く…


☆☆☆


 数分待つと、ワゴンに人数分の料理を並べたものを押してキララが出てきた。


 ユキはワゴンの中を見た。魚介のパスタらしい。貝かな?


ミミちゃんは鼻をひくひくさせる。ラミちゃんも。ミアお姉さんも。ミケアちゃんも…


「これは?」ユキはキララに聞く。


「えーとね。これは下の惑星の海でとれたとってもおいしい貝。そしてミミちゃんには、白身のスープ… ふっふっふ。これ… 図書館の本に魚介のランキングとして載ってたものだよ…何位かは教えないけど…

今日は特別にミミちゃんにあげる…」


 キララはなぜか、白手袋をしていた。執事とかが手にしているようなもの。


 僕たちには貝のスープパスタ。ミミちゃんには白身のスープと甲殻類のスープパスタ。


 キララの横にはネコミミの調理担当と思われる人が横についている。

 調理担当と思ったのはその服装からだ。


「この料理はサンプルなんだけど… 感想とかもっとこうしたほうがいいとかあったら教えてほしいの…そしてネコミミの子には特別になんだけど… 高級品のサンプルがちょうど今日届いたから、料理してみたの。ホントは予約が必要な料理… 値段は聞かないほうがいいかも…」

 とネコミミの調理担当の人は言った。


「値段は聞かないほうがって… うーん。さっきの本もっと良く読んでおけばよかった…」ミミちゃんは、白身の形からページをめくって驚いていたものとは違う魚ということを見抜いていた。


 僕たちは、温かいうちにということでスープパスタをいただくことにした。


「うん。おいしい…このスープ。そして貝。噛むとうまみが出てくる…」

「ほんと。おいしい… あたしの世界にもこんな貝はないわね…」ミケア・ミレイちゃん。

「うん。僕の世界にもなかったよ… うん。うまい…」シマ君


「これはなかなかのもんよ…」ミミア。

「うん。おいしー」ララお姉さん。


 それぞれおいしいと言って食べている。


 ミミちゃんは、まだ手を付けていなかった。


「どうしたの?」ユキはミミちゃんに聞いてみる。


「うーん。どっちを先に食べようかと考えていて… うん。パスタから… その次に白身のスープにするわ…」


 と言ってミミちゃんは、パスタを食べる。


 パスタを食べて、ミミちゃんは満足な顔をする。


 そして… 白身のスープ。


 スプーンで白身をちょっとすくって、一緒にスープを飲む。


 ごくんと飲み込んでから「んにゃー」と言った。


 そしてまたちょっとすくってからごくん。


「にゃ。にゃ。にゃ…」ミミちゃんが言葉にならない声を出す。


「あー。猫に退化した子がいるわね…」ラミちゃんは、自分のスプーンをミミちゃんの白身のスープに近づけて、ちょっとスープをすくう。


 そしてスープを一口…


「ん-」ラミちゃんのウサギ耳がピンと立つ。

「おいしい?」ユキはラミちゃんに聞いた。


 こくこく。と首をふるラミちゃん。言葉になってない。それぐらい驚いている。

 そしてミミちゃんは、白身と魚介のたまごを一緒にスプーンですくって、ちょっとずつスープを飲む…

「にゃばいわ。これ… おいしすぎ…」

 このスープのとりこになった。

 ちょっとずつ。スープをすくって食べて… また白身をちょっとすくって食べてを繰り返して…

 とうとうスープは空になってしまった。

 空になったスープの容器をじっと見ているミミちゃん。


 ラミちゃんは、こっそりキララからこのスープのお値段を聞く。

 ラミちゃんは、ミミちゃんの耳元で、小声でスープの値段を言う。 


 ミミちゃんは、ラミちゃんの顔を見る。

 それホント?という顔で…


 ラミちゃんはうんと返事をする。

 ミミちゃんは、白目をむいて一瞬気絶しそうになった。


 1秒で復帰して…またラミちゃんに値段を聞く…

 ミミちゃんはテーブルにつっぷした。

「高いニャン…」


☆☆☆

 

 食事の後… みんな立ち上がる。

 ミミちゃんはなかなか立ち上がらなかった…

「値段を聞いた後、腰がぬけちゃった… ユキ君。あたしを抱っこして連れて行って…」とミミちゃんはユキに腕を伸ばす。

「そんなにショックだったの? すごくおいしそうに食べていたし、ちょっとずつ食べてたから… おいしいんだなと思ってたんだけど…」ユキはミミちゃんの両脇に腕をまわして、ミミちゃんを立たせる。

「うん。一生むりだと思ったら… ショックで…」ミミちゃん。

 あのおいしさ… 忘れないわ…

 とぼそっと言った。


「そう… こんなに衝撃をうけると思わなかったよ… ああ。良かった。

明日は、ランキングの本にのっていた一番高級なお魚のサンプルが届く日だったんだよ…

もしそれを食べてたらショックで死んでたかも…」とキララ。


 ぴくっとミミの尻尾が動く。

 ミミちゃんをかかえて抱っこしながらキララと一緒にあるいているユキ。

 まだ腰が抜けているミミちゃん。


「そんな子ここに捨てていけばいいのに… 段ボールに入れて、ひろってくださいと書いて…

そうしたら…もしかしたらお金持ちの家に拾われるかも…

だめだったら捨て猫ね…」ラミちゃん。


 そんなラミちゃんを見てキララは…

「またそんなことを言って… もう知らないから… せっかくおいしい根菜を集めているお店に案内しようとしていたのに… ラミちゃんだけ来たらだめ… さあミアお姉さん達行こう…」


 キララはラミちゃんに冷たく言って、自動ドアをあけて先にうさ耳っ子達を通り抜けさせる。

 最後にユキを通した後、自動ドアを閉じた。


 ラミちゃんを残して、本当に自動ドアは閉じてしまった。

ラミちゃんはおいてけぼり…


 キララはちょっと離れたところに自動ドアを開けて、後ろからこっそりラミちゃんの様子を見る。

「あー。本当に置いて行ったの? ねえ。キララ。ごめん。ほんと…ごめん…」

 ラミちゃんは、本物のウサギのように目が真っ赤になった。

 しょんぼりとうさ耳が垂れて、その場に座り込んでしまう。


 背後の自動ドアからそっと出て、ラミちゃんに近づくユキ。

「ほらっ。行くよ…」ユキはラミちゃんの腕をとる。


「へっ?」ラミちゃんは、涙目を手でぬぐってから…自動ドアを指さした。

 そこにはキララが顔だけだしてこっちを見ている。

 

 ユキとラミちゃんが自動ドアのところまで歩いて行くと…キララは「いつも喧嘩しているからお仕置き… もう怒ってないし、一緒に行くよ…根菜のお店… ミアお姉さんも待っているよ…」


 その言葉を聞いて「うん」とラミちゃんは言った。


☆☆☆


「ごめんなさい… ちょっと言い過ぎた…」ラミちゃんはミミちゃんに謝る。


「そう。心から謝るのなら許してあげるわよ… ほらっ…これ… あんた好きじゃない?」

 ミミちゃんは、根菜が売っているお店の商品を手に取ってラミちゃんに差し出す。


「あー。これ… なんとなくわかる… いいこれ… すごくおいしそう…」

 ラミちゃんは、その根菜をじっと見ている。裏にひっくりかえしてみる。


 ララお姉さんやミア、ミミアもいろいろな根菜を見ている。


「ねえ。ユキ君。共通マネーまだ残高あると思うからみんなになにか買ってあげたら?

そのかわりに自分の時代でみんなから何かおごってもらうとか…」


 キララはユキに言った。

「うん。そうするかな… それとおばあちゃんにも… おかずのお鍋とかに入れておいしいのとかあるかな?」


 お店の主人は「お鍋ね… 地球のかい? それならこの根菜がいいかもしれないな… 数種類のおいしい根菜が入っているし、一本だけとびっきりおいしい根菜が混ざっているセットのパックなんてどうだい?」とユキに言った。


「へー。値段も手ごろだし… まずはこれ… じゃあ後はこの子のようなうさ耳っ子に人気の根菜はある?」ユキは店主に聞いた。


「うーん。そうだな… このちびっこ根菜セットはどうだい? 味もいろいろあるし…どれもおいしいし… どんな料理にも合うし…」と透明の袋に小さい根菜が入ったものをさしだした。


「じゃあ。これを人数分と…あとは… さっきのとで…」ユキは買うことにした。


☆☆☆


「じゃあ。次は魚介のお店と、野菜と果物がおいしいお店。最後に図書館隣接の本屋に行ってなにか、面白い本があるかを見て今日は終わり…」とキララが言った。


 キララにより、お店に案内される一行。それぞれお土産を買い、最後に図書館隣接の本屋に行く。


 ミミちゃんは『各惑星で水揚げされるおいしいお魚』の本を見つけてユキに本代を立て替えてと頼むミミちゃん。


「ミミちゃん。この本はデータだけだよ… 本を読むためのデバイスも買わなきゃ… それは私が買ってあげる。みんなの共有物にしよう… とりあえず5つ買うかな…」とキララ。


 ユキはまだ共通マネーの残高があるのでそれぞれみんなが欲しい本の代金を立て替えることにした。


「ねえ。キララ? これって使えるのかな?」シマ君はカードをとりだした。


「ん? どうだろう… 聞いてみるよ…」キララはシマ君のカードを取り出して店主に見せる。

 ミケア・ミレイちゃんの世界でもらったカードをシマは持っていた。


 使えるみたい… ということをキララはシマに伝えた。

 そしてミケア・ミレイちゃんが気になって、手にとっていた本をシマ君が買ってあげることにした。

 それから… 他の人の本代は僕が出すよとシマは言った。


「本当? ありがと…」ユキはシマ君に本を買ってもらうことにした。

 宇宙関連の本を数冊。


 みのるお兄さんもお言葉に甘えて、各星系のデートスポットの惑星の本を数冊。

 ララお姉さんは世界のお酒の本。

 ミアお姉さんは各星系のおもしろ生き物の特集をしている本。

 それぞれ興味がある本をシマ君に買ってもらった。

 ミミアも各星系の携帯可能な武器や武勇伝。上司との交渉術の本を買う。


☆☆☆


 その本屋には別の星系から来たと思われる人もいた。

 まだオープン前だから従業員かなと思った。


 そばをすれ違い、キララとユキの肩にふれた。

「失敬… ごめんよ…」と言い、速足で通り過ぎていった。


☆☆☆


「あ。そうだ忘れていたよ… この施設には宿泊施設も併設していてね。各レベルの部屋をみてもらいたいんだよ… そして率直な感想を聞かせてくれるとうれしいな… スイートルームもあるよ…」とキララ。


「へー。ねえ見るだけなの?」ミミちゃんはキララに聞いた。


「うん。とりあえずね… 次に来た時に泊まってもいい日程を考えるから…」

 キララはミミちゃんに言う。


「そっか。前にキラと一緒に行った世界で、海底都市があったんだけど…そこの海底ホテルも素敵だったわね。ここは宇宙だからどんなホテルなんだろう…」ミミちゃんは過去を思い出す。


 キララはそばの壁に自動ドアを開ける。


 自動ドアをくぐると、ホテルのエントランス。


 キララは受付の人を呼びだし、所有者だと伝える。そして各レベルの部屋を見たいと言ったら、全部の部屋の鍵が開けられるマスターキーを渡してくれた。

 今は準備期間だから誰も宿泊している人はいない。


☆☆☆


 みんなそれぞれホテルの廊下を歩く。

 まずは低層の階。エコノミークラスの部屋。


 地球にある普通のホテルと同じ感じに作られていた。


「利用する種族ごとによって建物は別になっているんだよね。ここは地球人と同じぐらいの体形の人だちが利用するところだよ…小さい体の人には廊下の長さや天井の高さはそれに合わせて小さくなっているんだよ…

それとは逆に3メートルぐらいの身長がある種族の場合は、天井がもっと高いんだよ…」

 とキララはみんなに解説をする。


「へー。やっぱり… 多種族のことを考えて作ってあるんだね…」ユキがキララの話を聞いて納得する。


 キララは扉を開ける。

 普通の部屋だ。浴室やトイレなどがあり、その奥には12畳ぐらいの大きさの部屋がある。奥には丸い小さなテーブルとそのそばに椅子と向かいに1人用のソファがある。

 窓からは階下の惑星が見える。


「へー。エコノミーと言ってもいいわね…」ミミアが言いながら窓のそばまで歩いて行く。


「まあね。宇宙だから土地は余っているし…

ちなみにこの部屋は重力の力を調整できるよ… 0Gにはできないけど… 普段の1/3ぐらいの強さにできるよ…」


「へー。さすが宇宙…」みのるお兄さんがヒメルと一緒に、浴室の中から顔を出して言う。


「みのるお兄さんはヒメルとお風呂に入るの?」ユキは聞いた。


「それは内緒だな…」みのるお兄さん。

「うん。内緒…」ヒメルも言う。


 ああ。これ絶対一緒に入っているとユキは思った。


「ねえ。僕と一緒に入る?」シマはミケア・ミレイちゃんに言った。


「うーんとね。どうしようかな… シマ君が良ければいつでも… いいよ。

今度一緒に入る?」とミケア・ミレイちゃんがシマ君に言う。


 そんな2人を見て… ミミちゃんは…

「ユキ君とキララはどうなの?」とじっと2人の顔を見ながら聞くネコミミ娘。


「えーとね。どうかな?」

「うん。どうだろうね…」

 はぐらかす2人。


「なんか怪しい。実はもうすでに一緒にお風呂入っていたりして… ねえ。どうなの?」

 さらに聞くミミちゃん。


「どうだったかな?」

「たぶん。まだだよ…」2人ははぐらかす。


「ふーん」とミミちゃんは言う。


「ねえ。これより上のランクの部屋も見てみたいわね…」ミミアが言う。


 それを聞いてキララは…

「うん。それじゃ移動するよ… ついてきて…」


 みんな移動することにした。


 ミミちゃんは、ユキとキララの後をついて歩いている。じっと2人を見ている…


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