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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
73/138

キララ所有の宇宙図書館と宇宙水族館へ行く(2)ー宇宙にうかぶ発光クラゲ…

 ピーピー。アラームが鳴った。


 その音にユキは目を覚ました。

 小部屋のベッドの上。隣にはキララ。キララもすーすと寝息をたてているから寝ているんだろう。 

「なんか鳴っているよ…」ユキはキララの肩をゆさゆさした。


「ん? あ。たぶん到着だね…」キララはごろんと転がってうつ伏せから仰向けに姿勢を変える。

 ごろんとしたときに、ベッドで寝転がっているユキの背中の上にキララが乗ってしまう。


「んぐっ」キララに乗っかられるユキ。

 キララは上体を起こし、ユキの太ももの上に両手を置いてから、キララはベッドから降りる。

「ねえ。まだ意地悪キララ?」ユキは仰向けに姿勢を変えてキララを見る。


「ごめん。重かった? そんなに重くないでしょ。きつねっ子だから… ほら行くよ…」

 キララはドアから小部屋を出ていく。


 ユキもキララの後から部屋を出て、上階の展望室あんどコンソールのある部屋へ向かう。


☆☆☆


「うわぁ。まだくっついているよ…」ユキはくっついているカップルを見て言った。

 みのるお兄さんとヒメル。シロとソラはまだくっついていた。

 シロとソラはふかふかの毛並みを相手に見せながら、シロがソラをもふもふしている。


 僕たちの後から、シマ君とミケア・ミレイちゃんが出てきた。

 キララは後ろを見て「あっシマ君ごめん…ちょっとだけ意地悪しちゃった…」深々とお辞儀をしてごめんなさいをした。


「ねえ。あの小惑星。ぶつかっていたらどうなっていたの? 危なかったんだからね… 後でおごりだよ…」シマは言った。

 シマはみのるお兄さんとヒメルのところまで歩いて行く。


「ねえ。ユキ君。あの小惑星は氷だって言うことは内緒だよ…」キララはユキに言った後、図書館へTMRで移動するために、そばの停泊場に宇宙船を停める準備をし始めた。


 ユキはシロとソラのところに向かう。

「ねえ。もうついたよ…」ソラがシロになでなでされているところだった。

 ソラとシロがなでなで、すりすりしている頭。その頭の間にユキは手を入れてみた。


 うわぁ。ふっかふか。鳥の羽毛の産毛。なでなでされて、さらにふっかふかになっている。

 ちょっとの間だけ、シロとソラの頭の間に手を入れていた。

 シロとソラは気が付いていない。


 数秒だけ、もふもふを感じてから、ユキは2人の肩に手をおいてゆさゆさした。

「えっ何?」

「ん?」

 シロとソラは目を開けた「もう到着だからね…」ユキは2人に言った。


 ミアとミミア、ラミちゃんとミミちゃん、そしてララお姉さんは窓の外が見えるテーブルに座って、何かを飲んでいた。


 みんなに声をかけて、飲み物のコップを洗って片づけたら出発だよとユキはみんなに言う。


 ☆☆☆


「じゃああたしがTMRで図書館の中に自動ドアを開くね… 時間移動はナシなのよね…」ララお姉さんはTMRをいじって、宇宙図書館の中のエントランスへの座標をゲットしてから宇宙船の壁に自動ドアを開ける。


「さあ。行くよ… みんな」キララは自動ドアのそばに立って、みんなを誘導する。


 みんなの肩を押して、自動ドアの中へと押し込む。ララお姉さん以外が移動したら、キララが移動。その後最後にララお姉さんが自動ドアを通り抜けた。


「うん。みんな来たね… こっちだよ…」キララが先頭に立って歩く。


「へー 結構綺麗ね… まあ出来たばかりからなのかもね…」ミミちゃんは図書館のエントランスの天井を見る。


「うん。新築のかおりがする」ミアお姉さん。

 白を基調とする内装の図書館。部屋のはじには手すりがあり、階下に吹き抜けとなっている図書館が上から見える。

 木の色をしている本棚。本棚の高さは10メートルを超えているだろう。本棚と本棚の間には十分な空間が用意されている。

 真ん中の通路にはベンチが区切って設置され、ベンチの前には小さいテーブルがある。

 ベンチの横には小さい鉢植えの観葉植物が置いてある。

 隣の通路には小川が流れている。通路の床の色は緑だったり、茶色だったりしている。

「床は緑の色や茶色か土色を取り入れているよ。観葉植物も置いてみたりして、緑を感じられるようにしているんだよ… 宇宙にいるとね。緑や土が恋しくなるから…」キララが手すりから下を見て、それからみんなの顔を見て言う。


「なんかいいわね… 宇宙空間にある宇宙図書館って聞いていたからもっと無機質なものかと思っていたんだけど… これなら落ち着くわね」ミミが言う。


「ねえ。宇宙の各惑星に、にんじんってあるのかな? 調べることができる検索システムってあるの?」とララお姉さん。


「くふっ」キララが笑ってから言った「うん。あるよ… 階段を下りたところに貸し出しデバイスがあるから、本の検索ができるよ…」


 と言いながらキララは階下へと通じる階段を下りようとする。


「下に行くみたいだよ…」ユキはみんなに言う。


 ユキはキララの後をついて階段を下りていく。


 階段は3種類の段差と歩幅がある階段になっていた。左が段差と歩幅が小さめ。真ん中が普通。右が段差と歩幅が広めになっていた。宇宙の複数の種族の体には大きさが違うため、階段の大きさも異なっているのだった。

 ユキはこの建物の構造には見覚えがあった。友達のスケッチ。最初に訪問した宇宙図書館のことを友達に話したらスケッチにその想像図を書いてくれた。その後に僕だったらオリジナルでこういうのを作るかな… と書いてくれた図に非常によく似ている…


 階段の位置も同じ。図書館の本棚のレイアウトも同じ。ベンチや観葉植物もあるし…


 ユキ達一行は、階段から階下へと降りてから、カウンターにある貸出デバイスを手首のところにはめる。


「図書館は広いから、自動歩行用の歩道があるよ…」とキララは言いながら腕を伸ばして部屋の中央を指さす。


「あ。あれね…」オープン前だから人はあまりいないが職員の人が自動歩行用の通路を使っている。そのほかには従業員だろうか。ちらほらと人がいる。


 キララはこっちだよ…と歩いて行く。


「あ。待って…」ララお姉さんは別のところを見ていたが、みんながキララの後について歩いて行ってしまうところを見て、あわてて追いかけてきた。


「ララお姉さん。一番年上なんだから… 迷子にならないようにね…」ユキはララお姉さんに言う。


「ごめんね」ララお姉さんはあたしと手をつなぐ? と聞いてきた。


「うーん。どうしようかな… キララ怒るかも…」


 ユキはララお姉さんとは手をつながず、キララと離れてしまったので追いかける。その後からララお姉さんがついてくる。


「あ。やっと来た。そういえば貸出デバイス間でグループ登録をしようね。グループ登録をすると、みんなはぐれてもそれぞれの居場所がわかるようになるから…」キララはみんなに貸し出しデバイスの操作方法を教える。


 これだけ広い図書館なんだもの迷子になるのもわかる。というミミちゃんの声。

 図書館は宇宙空間の衛星軌道上に浮かんでいるので土地はふんだんに使える。


 それぞれ、みんなグループ登録をした後、ユキは横のほうを見た。

『水生生物の特集』という看板が目にとまる。


「ねえ。キララ? あの『水生生物の特集』って何?」とユキはキララに聞いてみる。


「うん。あれは宇宙水族館を併設しているから、その集客のためだよ… 各惑星の水生生物に書かれている書籍を集めたブースだよ… 地球のクラゲとか、発光生物の書籍もあるよ…

じゃあ行ってみようね…」キララはみんなについてきて…と言う。


 水生生物の特集をしているブースについてから、ミミは本を手にとってページをめくってみる。

「へー。地球にある本と同じね… 紙製?」ミミはページをめくりながらキララに聞いた。


「いいや。紙に見えるけれども違うよ… 他星系対応の翻訳デバイス入りの本。ペラペラの紙に似たデバイスに自動翻訳された文字や写真が映し出されるよ… えーとね。前に塩ラーメンを食べに行ったときのメニューみたいなものだよ…」キララはそばに会った本を手にとってページをめくりながら言う。


「ふーん。良く出来ているね…」ミミアが本を手にとる。

 ちなみに、ユキはミミアが見ている本を横から見ると、日本語や地球にある言語ではない文字で書かれているのがわかった。


「ねえ。各惑星で水揚げされるおいしいお魚という本があるわよ…」とミアが言った。


「本当?」ミミちゃんは、ミアのそばへと歩いて行く。


 ミアが本のページをめくる。


「あ。これ。ランキングね。えーと。高級なお魚。ベスト20の20番目。食べるとお魚の赤身の油がとろけるって」ミアがミミに本を見せる。


「へー。おいしそう。この赤身の感じとか、油のってそう…」


「うん。たしかに… ん? え?。こ。これ…

このお魚一匹の値段は平均的な人の1年分の夕食代に換算しますとあるわね…」


「一年分って。どんだけ高級なの?」ミミはそのお魚の写真をじっとみる。


 背後からラミちゃんが近づいてきて、ミミの肩の上に両手を乗せて背後から本を覗き込む。

「なーによ、だれを垂らしながら本を見ているのよ… 汚れるわよ…」とラミちゃん。


「にゃによ。よだれって。そんなもの出てないわよ…」ミミは自分の口の付近に手をあててから、肩に乗っているラミちゃんの手をはらいのける。


 さらにページをめくるミア。

 さっきのベスト3位のページ「このお魚は非常に美味で、一生のうち一度は食べてみたいお魚となっています。食感はとろけるよう。お口の中に白身の魚を入れて、舌の上に乗せると、その舌の温度によりとろけてしまいます。たんぱく質。アミノ酸。その惑星の海水に含まれるミネラルにより一度食べたら忘れられない体験となるでしょう。漁獲量は非常に少なく、一部の富裕層が買い占めることもあります。一匹のお値段は平均的な人の7年分の夕食代に換算されます」


「これはやばいわ。写真を見るだけでわかるわよ…」ミミはじっと写真を見ている。


 さらにページをめくるミア。「は?」ミミアが言った。文面を読んでいるミア。


「これは何? すっごいんだけど…」お魚と共に魚の卵の写真。黄金色に輝いている。つやもある。


「お。お値段。見て… 日本円で換算して… 全地球のお金を集めても足りないって…」


「へ?」ミミはその文面を見る。お魚の卵1つぶのお値段でも相当なものと書いてあった。


「どんだけ高級なのよ…」ミミは言いながらため息をついた。


 さらに文面を読むミア。「えーとね。このお魚の身はオレンジ色に輝き、このお魚の身をしぼってとれた脂をごくごく飲んでもいいというぐらい、脂はおいしくて… また身を食べた後30分ほどは、そのうまみが口の中に残るとあるわね。有名な富豪一家のミケア一族は家族で15匹のさなかを購入し、晩餐会で食したとのことです。購入金額は星系1つ分のお値段と同等の金額を払ったとのこと…」


「はあ。どんだけお金もちなのよ… ミケア一族ってあんたの知り合い? 知っている?」ミミはそばにいたミケアちゃんに聞いた。


「うーんと違うと思う。元々私はこことは違う異世界の出身だし… それに狐しっぽがないみたい…」


 一族の写真を見てみると狐しっぽはない。尻尾があるが猫のような細い尻尾だ。


「いいわね。あたしもこの一族の家族に生まれれば良かった…」ミミちゃんは言う。


 別のページには、別のお魚なんだけど『いくら』のようなお魚の卵1つぶで、日本円に換算して100万円というのも記載があった。


「すごいわね… イクラ丼にしたらいったいいくらかかるのかしら…」ミアお姉さんが言う。


「ぷっ。何それ、ダジャレ?」ミミが笑う。


☆☆☆


「ねえ。そこの食いしん坊さん達… お魚は食べもの以外にもあるんだよ… ほら…これ。各種惑星の海洋生物…」

 キララはいつの間にかそばに来ていて、ミアに別の本を見せる。

 ミアは本を受け取り、ぱらりとめくる。

「へー。こんな場所にもお魚はいるんだね…」太陽から離れている第7番目の惑星。太陽系ではないんだけど、海は水ではない。メタンが液体になったような海。その海の一番深層に若干水が溜まっており、その水の中に住んでいる生物のことが書いてあった。


 ぱらりとめくると、各惑星の深海に住んでいる発光生物のことも書いてあった。


 キララはあたりをぐるりと見回してみんなが本を読んでいるところを見た。

「さて。もうそろそろ図書館から、宇宙水族館に移動しない? 宇宙水族館を見学した後にお昼にしよう… 食べ物屋さんは水族館に併設してあるから… そこで食事して… またこの図書館に戻って自由見学。その後地下にあるショッピングモールに移動して… 買い物の予定だよ…」とキララが言うと、みんなは手にしていた本を本棚に戻した。


 ララお姉さんのTMRは使わず。この図書館に設置している転移装置を使って宇宙図書館まで移動する。

 宇宙図書館へ入館するためのパスカードを受付から受け取る。

 キララはこの図書館の所有者だと受付の人につげると、人数分のパスカードを用意してくれた。


☆☆☆


 宇宙水族館へと場所が移る。


「わぁ。なんかいい感じ…」ミアが言う。

 天井はない。透明のなにかに覆われている。地面は灰色になっている、壁は黒。

 エントランスには円筒形の小さい水槽に各星系の小ぶりのお魚が展示されている。


 いいところだ。


「えーとね。これからみんなで別々に順路を回ってもらうよ… うさ耳っ子達は1番。ネコミミのミミちゃんとシマ君、ミケアちゃんは2番。シロとソラ、みのるお兄さんとヒメルは3番。そして4番は私とユキ君。順路にそって歩くと途中でみんな合流するから…その後は一緒だよ…」


「へー。なんかお魚マークがついているわね。2番の順路はこっちか…」ミミちゃんとシマ君達は2番へと進む。


「オレンジ色を基調とする通路は1番ね…」ミミアを含むうさ耳っ子達は1番を進む。


「なんか。特別みたい… 3番の通路はトリのハーフ系の人限定みたい… でもみのるお兄さんはどうなるの?」ヒメルはキララに聞いた。


「うん。ヒメルと手を握っているといいよ。いちおう3番は無重力空間になっていて空中を泳いで移動するからね。鳥のハーフの子なら空中を浮かんで進むのにも抵抗がないと思って… みのるお兄さんはヒメルから進み方を教えてもらってくれるかな…」


「お。おう… ヒメル頼むよ…」みのるお兄さんはヒメルに言う。


「うん」ヒメルとみのるお兄さん、それとシロとソラは3番の順路へ進む。 


☆☆☆


 4番の順路は上りになっていた。順路を上っていくと、水槽の展示がある場所につく。

 階下を見ると、1番と2番、そして3番の順路が見えた。

 それぞれのメンバーが順路を進んでいくのが見える。


「4番は最後に通るのがおすすめ。1番。2番。3番と順路を進んでから4番を進むと下に他の順路が見えるからね… 水槽を観察している人達が見えるよ…」


「へー。だから僕たちは4番なんだ」ユキは順路の両脇に並んでいる水槽を見ながら言う。


「これは。ブラックホールが近くにある星系の惑星系に住んでいる深海生物… ブラックホールの重力により潮の満ち引きがかなりダイナミックでね。深海生物なんだけど、浅瀬でも生活できるんだよ…」


 ユキは他星系にいるものめずらしい海洋生物を見て言った。

「へー。これってなんかウツボみたい… ちょっと違うけど… ずんぐりしてて固そうな皮膚」


「うん。これも現地から運んできたんだよ… こっち来て…」キララは次の水槽に案内する。


「うわぁ。でっかい…」2枚貝。でっかくて4畳半の部屋に入りきらないぐらいの大きさだ。


「人だったら数人入れるよ…」キララはでっかい2枚貝を指さす。


 また次の水槽に移動する。


「なんかカニみたい…」数本の足を持っていて水槽の底を歩いている海洋生物がいた。

 色は赤い。


「カニとそっくりなんだけど… 食べたら味はおいしくないよ… これはわざとなんだろうね。捕食されないように体の組織に苦味成分を取り入れているんだよ… 一回食べたら二度と食べないよきっと」

 キララは苦そうな顔をした。


「へー」ユキはキララの解説を聞きながら、いろいろ水槽をみてまわる。


「さて。まだまだあるよ… これは恒星が2重星系になっている海の生き物なんだけど…

 目が4つあるんだよ…」


「へー」ユキは水槽を覗き込む。

 しばらく、ずっと見ていた。


 すると、キララはユキの腕をとった、そして腕を組む。

「ほらっ。デートスポットでもあるんだから… もうすぐで順路が合流するよ… その後だよ見ものは…」とキララ。しっぽを左右にふっている。


☆☆☆


 順路が合流する場所。ベンチがあり。飲み物の自動販売機がある。


 そこでみんなが来るのを待つことにした。


「水族館っていいね。しかも宇宙だし… キララ所有だし… すごいね…」ユキはキララに言う。


「えへへ。ありがと。いい感じでしょ? 結構調べたんだよ… でもね。この先だよ… 楽しみにしてて…」キララはユキの肩にもたれかかってきた。キララのきつね耳をユキの肩にすりすりとなすりつける。


 ユキはキララの肩を抱くことにした。


 しばらく待っていると、ほかの順路に進んでいた人達がやってきた。


「結構面白かった。特に外側に胃袋があるお魚とか… 敵に追いかけられたら左右に自分の体が分裂するのとか…」とシマ君。


「うん。あたしは尻尾みたいなふさふさがあるお魚が可愛かった…」ミケアちゃん。


「泳ぐスピードが速くて、急加速する魚とか… 超重力・超高温の水の中に住むとっても固いお魚とか…」とラミちゃん。


「とってもおいしそうなお魚もいたんだけどなぁ… でも解説を読むと苦いお魚とかもいたし…」

ミミちゃんが言うと…


「あんたみたいな子に食べられないための自衛よ… お魚を見るとみんな食べ物としか見てないんじゃない?」ラミちゃんがミミちゃんに言う。


「全部じゃないわよ… ヒトデみたいなものは食べないし…」


☆☆☆


 みんなそろってから先の順路を進む。


 それぞれカップルがいる人はカップルで… 家族ずれも想定している…

 もちろん一人の人も楽しめるらしい。


 順路を進むが水槽はない…


 でもあたりは暗くなってきている。だんだん外の宇宙が見えるようになってきた。

 今気が付いたけど、銀河や銀河団がちらほら見える。太陽系の空と見比べると結構にぎやかになってきた。


 そして順路を曲がったときだった。


 両側に水槽…


 その水槽にはクラゲのようなゆらゆらと水を浮かぶ生物。

 しかもそのクラゲみたいな生物は、ほのかに発光している。

 ほんわかと光っている。


 そして… ここは宇宙水族館。地面には遠く、惑星の表面が見える。

 天井や地平線かなた(地上はないので宇宙なんだけど)には銀河団が密集している箇所が見える。

 だから、宇宙を泳ぐ発光クラゲのような感じのものに包まれたように感じた。


 水の境界と宇宙の境界を感じさせないレイアウト…


 そこに立ち止まって立っていると、海底にいるのか… 宇宙にいるのか… がわからなくなる。


 そして… 発光する生物の光の色はさまざまで… 白いものから、ほのかに緑や桃色がかっているものもある。


「き。綺麗…」みんなぽかんとして、水の中をおよぐクラゲのような発光生物を見ている。


「いいでしょ… ここが一番の場所だよ… 先に進むと違うタイプの発光生物がいるよ…」キララが解説する。


 非常にゆっくりと歩いて進む。


 なんか夢の国のようだ。


「なんかすごいわね… 見たことがないわよ…」ミミア。

 ミミアは仕事で各星系の施設に行ったことがある。水族館にも行ったことがあったが、この演出方法は見たことがなかった。


「ねえ。キララ… ここの空間… 無重力空間だったらもっといいんじゃない?」トリのハーフのシロが言う。


「うん。それもいいわね…」ソラも言う。


「あたしはどっちでもいい。普通に歩くのでも… みのると一緒に空中を浮かんで進むのも…

 みのると一緒だったらなんだけど…」とヒメル。


「うん。それもいいね。水槽の向かい側は何もないから…そっちを無重力空間の順路にしてもいいかも…」キララはデバイスにメモをとる。


 自分が歩いていることもわからなくなるような、発光生物が宇宙を漂うような場所。


 そんなところをゆらゆらと進む一行。


 順路をゆっくり進んで15分。発光生物がいる場所は終わる。


「あー。終わっちゃった…」ミミちゃん。

 ぽーとしている。


「ほんと。素敵…」ララお姉さん。ほわわんとしている。


「うん。いいな…」ミミア。


 それぞれ感想を言う。


 シマ君とミケアちゃんはぎゅっと手をつないだまま。

 お互い、見つめあっている。


☆☆☆


「さてと。併設している喫茶店で食事にする? 水槽があるよ…」とキララが言った。












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