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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
72/138

キララ所有の宇宙図書館と宇宙水族館へ行く(1)

 とある日の金曜日の学校での休み時間。

 キララは「ねえ。ユキ君? 今度の休み。みんなでまた未来に行かない? 案内したいところがあるんだ… ミミアもさそって…」とユキに言ってきた。


「うん。いいよ… どんなところ? あの話にあった星系?」ユキはためしに聞いた。


「いいや。違うよ… 二人きりの旅行のとき… 私の所有する星系で図書館を作っている最中だって話したよね…」


 ユキはキララのその言葉を聞いて思い出した。そうだ。

「ああ。あったね。そんなはなし…」


 キララは「やっと衛星軌道上に作っていた図書館が完成したんだよ。それと併設して宇宙水族館も建設してて、仮オープンの準備が整ったからみんなを誘おうと思うんだけど。どうかな…」


「へー。宇宙水族館? それってどんなの? 宇宙に住んでいる生物を展示するの?」ユキは宇宙という言葉がついているのでどんなものかと思った。


「いいや。各惑星の海に住んでいる生物を展示するの。宇宙水族館のコンセプトのヒントはあのこないだの怖い話からもらったんだよ… 楽しみにしてていいよ…」とキララのきつねしっぽが嬉しそうに左右に動く。


「そうなんだ… でもあの怖い話をコンセプトにした水族館って… お化けが出てくるの?」ユキはキララのしっぽを見ながら聞いた。キララのきつねのようなしっぽを見ていると、嬉しそうにしているのがわかる。


「いや。お化けはいないよ… あ。でもいるか。お化け… 楽しみにしてていいよ。怖くないし… 綺麗だよ…」


「そう… じゃあ期待しているよ…」僕ユキは次の授業の準備をし始めた。


☆☆☆


 休みの日。また未来からララお姉さんが来た。

「また来ちゃった」水色のワンピースを着ている。

 そして、ユキの背後にまわろうとするララお姉さん。

「あー。また僕をもふろうとしていない?」ユキはララお姉さんを見ながら言う。


「えー。だめなの? これが生きがいなのに… って。すきありっと」ララお姉さんが抱きついてくる。

 ララお姉さんは、長身を生かして、いっきに歩幅をつめて、長い腕でユキを抱き寄せた。そしてユキの背中からぎゅうっとする。


 ユキの背中にララお姉さんの体重がかかる。重たくなる。

「重いよ… ララお姉さん…」膝がだんだんつらくなってくる。


「このままおんぶして…」ララお姉さんはさらに体重をかけてくる。


「だめ。だめだから…」ユキはしゃがむ。


「ああ。もう…」ララお姉さんはユキに体重をかけるのをやめた。

 ララお姉さんはしゃがんでいるユキの脇腹に両腕をまわして、ひょいっと持ち上げる。

「うわぁ… 何…」ユキはびっくりした。ユキの足は宙に浮いたままだ。怪力の長身うさ耳娘は軽々とユキを持ち上げている。


「ほら。何やっているの… ユキ君がいやがっているでしょ。ララお姉さんをどこかに置いて行くよ… ってだめか。ララお姉さんもTMRを持っているんだった。

あ。そうだ。今度。異世界のキラに頼んで別の世界へ連れて行ってもらう? ユキ君がいない世界…」

 キララは声の感じから半分本気のようだ。


「えー。それだめ… ユキ君をもふれない世界なんて… 人生の300%は損してる…」ララお姉さんのうさ耳がしょんぼりとなった。そしてララお姉さんはユキから離れた。


「どんだけユキ君をもふるのを生きがいにしているのよ…。まったくもう… でも今日はなんかユキ君をターゲットにしたい気分ね。あたしも、もふってみよっと」ラミちゃんが、ユキの後ろから抱きついてくる。

「なんだよ。ラミちゃんまで…」ラミちゃんがユキの背中から抱きついてくる。

 いつも抱きついてくるのはウサギのハーフの長身娘達だ。ミアやミミア。大人になったララお姉さん。普段はラミちゃんはこんなことをしない。

「じゃあ。あ.た.し.も…」ミミちゃんはユキの前から抱きついてくる。

 背中にうさ耳娘。ユキの前から抱きついているのはネコミミ娘。

「ミミちゃんまで… どうしよう…」ユキは困った顔になって、キララに助けを求めた。


「じゃあ。ラミちゃんはニンジンが存在しない世界。ミミちゃんには煮干しが存在しない世界へと行ってもらう? 次に異世界から来たキラに会ったらだけど…」キララは2人に言う。


「げっ。それはいや…」ラミちゃんとミミちゃんはそろってユキから離れる。


「あ。ユキ君が空いた… それっと」今度はミアがユキに抱きつく。


「なんだよ… 今度はミアお姉さん?」


「今日はなんか抱きつきたい気分なの…」ミアお姉さんは自分のうさ耳をユキの頭になすりつける。


「さて。ユキ君をもふっている子は置いて行くかな… みのるお兄さんとヒメルを呼んで来たら出発だよ…」キララは、ミミちゃんにみのるお兄さん、あんど、ヒメルを呼んでくるように言った。


「うん。ちょっと待ってて…」ミミちゃんはみのるお兄さんの家のほうへと歩いて行く。


「そういえば。今度は図書館と水族館なのよね… あたし好き。そういうところ…」ララお姉さんが言う。うさ耳はしぼんでいない。さっきのことは忘れているようだ。


☆☆☆


「じゃあ。みんなそろったね…」今度は前回より人数が増えて大人になったシロとソラも加わった。

 シマ君とミケア・ミレイちゃんも一緒。


 キララのTMRを使っていったん未来へと移動する。ミミアを迎えに行くためにキララは自動ドアを開けた「待ってて… 連れてくるから…」とキララは自動ドアの中に消えた。


 ほんの2分ぐらいした後に自動ドアが開いた。キララがミミアを連れて戻ってきたのだ。

 キララの後からドアを通ってきたミミアは「やあ。みんなそろっているな… やあユキ君…」と言いながらユキの背後にまわりこみ、後ろからぎゅっと抱きしめる。


 ミミアのうさ耳がユキの頭になすりつけられる。

「うわぁ…」ユキはふりほどこうとする…

 長身で完璧なバニーガール姿のミミア。容姿はミアとそっくり。

 ミミアにもふられているユキを見たキララは「行くよ… そんなにユキ君をもふっていると、ミミアだけ別のところに置いて行くよ…」とキララはちょっとほっぺたを膨らませて言う。


「おお。怖い。怖い。悪かったな…」ミミアがやっとユキから離れる。

 キララ所有の宇宙船の中へと直接移動することにした。


☆☆☆


 キララの宇宙船のなか。

 部屋の中央に制御用のコンソールがあり、部屋の外側は展望用の窓になっている。

 宇宙船の形は有名な海外ドラマに出てくる「宇宙は最後のフロンティア」から始まる宇宙船を小型にしたような外観をしている。


「さあ出発。ところで…宇宙船の操縦はシマ君にまかせるよ… スペースシャトルも操縦できるし…」とキララが言った。


「へっ? 僕? これどうやって操縦するの?」シマがキララに聞く。

 衛星軌道上に停泊させていた宇宙船を離脱させるキララ。そのあと十分に宇宙ステーション離れたところでキララは言った。

「さて、この宇宙船をマニュアル操作に切り替えたから、ポイントベータまで移動させてね。その後にワープするからね…」くすっと笑うキララ。ちょっと意地悪モードになっている。

 きっとうさ耳長身娘達にユキがもふられたからなんだろうか。それとすぐに抵抗せずされるがままになっていたからなのか? 今日のキララはブラックだ。


「えーそんな急に言われても… うーん。わかったやってみるよ…」シマはコンソールの席について、宇宙船を操縦し始める…

 左右に大きくゆれる船体。


「操作が乱暴だよ… もっと注意して…」キララが言う。

 ユキは「ねえ。これって。フルマニュアルだよね。キララもこのフルマニュアルの宇宙船を操縦できるの?」とユキはキララに小声で聞いた。


「いや。さすがにね。フルマニュアルは難しいかな…」キララはニヤニヤしながらシマを見ている。

「ねえ。僕にだったら? フルマニュアルにしてから操縦してって頼む?」ユキはキララに聞いた。

「しないかなぁ…くふっ」キララは意地悪そうに笑う。


 宇宙船はしばらくフラフラしていたが、シマは宇宙船の操縦になれてきたようだ。だいぶ安定してきている。そして訓練生の宇宙船の操縦並に宇宙船をあやつれるようになったシマ。


「これなら、スペースシャトルを操縦できたのもわかるわね…」ミミが言う。

「そうだな。結構上達が早いな… 私の部下にもいたな… 上達が早いやつが…」ミミアも言う。

 ミミは「その上達が早い部下はどうなったの? 今も一緒にいるの?」ミミはミミアに聞いた。


「いや。そいつは別の星系へと行ってしまった。たしか噂話だが、出世したらしい…」


「そう…」ミミアとの会話終えたミミはシマを見た。


 ミケア・ミレイちゃんは、宇宙船を操縦するシマを見ている。

 ミケア・ミレイちゃんは、シマが座っている操縦席の後ろからシマの肩に手をおく。


 そして、その手がだんだん下のほうへとずれていく。ミケア・ミレイちゃんはシマの胸のあたりに手をおく。

 さらに見ていると、ミケアちゃんはシマにもたれかかりそうなぐらい密着してシマに体重をかけているように見える。

「なんか。あれだね…」ユキはキララに言った。


「うん。そうだね…」キララはシマ君を見るのをやめて、今度はみのるお兄さんとヒメルのほうを見る。

 ヒメルは窓から外を見ているが、ヒメルの背中にはみのるお兄さんが密着していて、ヒメルを後ろからぎゅっと抱きしめている。

 ヒメルとみのるお兄さんは何か会話しているようなんだけど、きっと僕たちがいることを忘れている。ヒメルと相変わらずラブラブだ。一緒にいないことを見つけるのが難しい。


 ユキはそんなカップルたちを見て隣に立っているキララに後ろから抱きついてみた。

「うわぁ。なんだい? こんどは僕…私をもふろうとするの?」キララは背後から抱きついてきたユキの腰に、キララのきつね尻尾をまきつける。


 ユキはキララの頭の上に自分のあごを乗せる。ちょっとだけ、キララのきつね耳をユキの頭にすりすりするように動かす。

「僕もキララをもふりたくなった… でもいいよね。あったかいし… 耳とかふっかふかだし…」ユキはキララをもふる。


「なんかあれだね…」ミミちゃんの声がする。


「そうね…」ラミちゃんの声。


 今度はシロがソラに抱きついた。

「うわぁ。何なの?」シロとソラは同じ年齢。でもシロの子供がソラ。それぞれ別の時間から来ている。

「あたしも、ソラをもふる。甘えさせて…」シロよりちょっとだけソラのほうが身長が高い。


「普通逆じゃない? 子供が親に甘えるのが普通なのに… 親が子供をもふるなんて…」とソラはシロに言う。


「えー。あたしまだ子供だもん。親と言われてもまだ実感がないし… ほら… すりすりするよ…」シロはソラに自分の頭をなすりつける。鳥の羽毛の産毛みたいなものが頭に生えている鳥のハーフ娘達。なでなでや、すりすりをすると産毛の生え際などがむずがゆいこともあって、非常に気持ちがいいらしい。

 すりすり。自分の頭をソラになすりつけるシロ。


「もう… しょうがないわね… もっとすりすりしなさい。終わったらあたしもやらせてね…」ソラはシロの体を抱きしめる。


 鳥のハーフ娘達で、もふもふ。なでなでタイムとなる。


「ふっかふかね」シロの頭が、トリの産毛のようなので、すりすりしていると、毛が逆立って、さらにふっかふかになる。ソラはそんなシロの頭をなでなでする。


 ユキはふっかふかの鳥娘達を見て、そばにいるキララのきつね尻尾をさわってふかふかする。


 ユキがキララのふかふかの尻尾をさわって、もふもふしていると…


「ねえ。ポイントベータってここ?」シマの声が聞こえた。


 みんな、それぞれカップルでもふっていたが、シマの声を聞いてコンソールのほうへと集まってきた。


「うん。そうだね。良く頑張ったね… うまいよ… さて。今から言うポイントに移動するよ… このとおりにセットしてね…」キララはシマに言う。


☆☆☆


「なんだよ… これ…」キララの言うポイントに移動したら、そこは小惑星が漂っている場所だった。


「あー。ごめん。間違えちゃった… これ… ぶつからないようにね… ここを抜けたら移動するから…」キララはシマに謝った。


「なんだよ… もう… おわっ」シマは操縦して、ぶつかりそうになった物体をかわす…


 ユキはキララの頭をチョップした。

「こらっ。これはやりすぎ…」ユキはキララを見た。


 尻尾が垂れている。キララは「あー。大丈夫。岩に見えるけど、ネズミ色になった氷の塊だからね… この氷は結構もろくてね。ぶつかっても傷もつかないよ… 見た目だけ…」

 やっぱり今日のキララはブラックだ。


「おわっ。あ。ああー危なかった。お。あっ」シマは一つ一つの小惑星に見える小さい物体を避ける。

 シマには岩の塊に見えている小惑星。それとぶつかったら大変なことになると思っているから、必死に漂っている物体を避けて飛ぶ。


 宇宙船が急に回避行動をとって斜めに傾いても、加速しても、または急にスピードを落としても、船内には影響がない。間性の法則はキャンセルされている。


 ユキはみのるお兄さんのほうを見た。

「あ…」あいかわらず、ヒメルとくっついて何か話している。でもいつのまにか窓のそばにあるベンチに座っていた。


 ユキはシロとソラを見た。まだ、シロとソラはくっついてもふもふしている。


 ミケア・ミレイちゃんは、シマの隣に移動してシマの手を握っている。


 ミケアちゃんはシマ君に「頑張ってね」(ハートマーク付き)で言う。


「うん。ありがと… 頑張ってみる…」頑張るシマ。


 がん。よけきれなかった氷の物体が船体に当たる。

 がん。がん。


 さらにぶつかる。


 小声でキララは「ねえ。偽物の警報でも出してみようっか」ブラックなキララはユキに言う。


 ユキはキララの耳と耳の間に手を置いてぐりぐりする。

「だめ。これを抜けたら図書館へまっすぐに行くこと…。でないと耳ふーふーするよ…」

 ユキは小声でキララに言う。


「うわぁ。耳ふーふー。わかったよ。うん…」キツネっ子のキララにとって、耳ふーふーはダメのようだ。


 ユキはシマの操縦する宇宙船の行先を見ていた。

 うん。もうそろそろこの小惑星があるところを抜けそうだ。


☆☆☆


 小惑星がある場所をやっと抜けた。

 シマはコンソールから立ち上がって、キララのところまで歩いてくる。そして…

 ふー。キララの耳にふーふー。した。


「うぎゃん」キララは50センチぐらい飛び上がった。


「小惑星がある地帯を抜けたから後、よろしく… 僕はいったん下の部屋で休むよ… ミケア・ちゃん。行こう…」シマはミケアちゃんをさそって、階下の小部屋があるところに向かう。


「シマ君。怒っているよ…」ユキはキララの頭をなでる。


「うん。ちょっとやりすぎちゃった。あとでシマ君の好物を買っておくかな…」キララは耳ふーふーでびっくりしたときに、涙目になっていたがユキに頭をなでられてちょっと回復した。


 キララは図書館があるポイントのちょっと手前に転送先の座標をセットして、宇宙船を移動させた。


☆☆☆


「あと30分ぐらいで到着するから…それぞれ自由にすごしていて…」キララはユキの手をとった。


 展望室の階下にある小部屋へと連れていくキララ。


 小部屋のドアを開ける。小部屋にはベッドがあり、窓から外の宇宙が見える。黒い空間と白く比較星しか見えない。


 ユキとキララがベッドにダイブする。ぽよんとベッドがはずむ。


 ベッドにうつ伏せに寝て、頭をあげると窓。窓の外には黒い景色。星の点が見える。移動しているようには見えない。


「ねえ。図書館のほうなんだけど… 建築デザインとか…参考にしたものはあるの?」ユキは隣に寝っ転がっているキララに聞いた。


「ん? えーとね。前訪問した宇宙の図書館のデザインを描いた人。その人の別の建物のスケッチを参考にしたんだよね… まあ。楽しみにしてて…」キララはその後に独り言で『どうしようかな… まずは最初に図書館を案内して… 各惑星の海洋生物の図巻を見てもらって… その後に併設している宇宙水族館かな…』と言った。キララの顔を見てみると、目を閉じている。


 ユキはその独り言には応じず。窓の外を見ていた… そして隣のキララの背中を見て、キララのしっぽをごわごわする。


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