ミミちゃんと海底都市クロユリ
ミケア・ミレイちゃんがこの世界に滞在している間。3連休なのでお泊りでシマ君とミケアちゃんは、ちょっと遠出して、観光とこの世界のテーマパークへ泊まりで行くため2人で朝から出かけてしまった。
あたしミミは用事がない。うさ耳っ子達は、各産地のニンジンを集めたデパートの催しがあるから、出かける予定だ。
「ねえ。ミミちゃん暇? 手伝ってほしいことがあるんだけど…」異世界から来た男の子のキラは、ミミちゃんに声をかけた。この世界のキラは女の子で、ちょっと前にカザー星系のボスに暗殺されてしまった(ことになっている。今はキララという名前でみんなには秘密で生きている)
「うん。いいわよ…」ミミちゃんはイケメンのキラに返答した。
「僕の世界のユキ君を探すのを手伝ってほしいんだ、この世界にはいないから、隣接する異世界へ行ってだけど、シマ君の代わりだね…」
「うん。あたしにも宝石の原石をくれるの?」
「うん。そのつもり… じゃあ支度したら行こう。終わったら、おいしいものを食べてさ… 魚介とか…」
「うん。待ってて…」ミミちゃんは、自分の部屋へと戻る。
いつも着ている服とは別に、黒っぽい服と白の上着を着る。小さいバックも持つ。
☆☆☆
キラがTMRを使って自動ドアを開ける。
キラはミミちゃんの肩を押して先にくぐらせる。
その後にキラは自分も自動ドアを通り抜ける。
そこは海底だった。
海底と言っても、水の中ではなくて建物の中。
「ここはどこ? 海底? テーマパーク? 水族館?」ミミちゃんは、以前未来での仮想現実の世界での海底で遊んだことを思い出した。
「ここは海底都市。この世界は海底に都市をつくることにした世界。ミミちゃんの時代よりも200年後だね。情報によるとユキ君に似た人が目撃されたってあるから…」
「海底都市… こんな感じなんだ… でもあまり暗くはないし、圧迫感もないわね…」ミミちゃんは上を見上げる。
上には海が見えるが、天井の照明により十分に明るい。
「まずは探そう… この海底都市はサンフラワーと言われているよ… 中央に大きいひまわり畑があるんだよ…」
「へー」ミミちゃんは初めてのキラとの移動にうきうきだ。
キラは歩き出す。街並みは普通。ちょっとだけ未来を感じる。
「まずはタクシーで移動するよ… たまにはTMRを使わないで移動してみるよ…」キラはタクシーを止めて、ミミちゃんを先に乗せる。その隣にキラが乗り込む。
「お客さんどちらまで…」運転手が聞いてきた。運転手はロボットだ。樹脂フレームだけの簡素なもの。金属を使わないのは海底だからなのか…
「隣のクロユリへ…」キラは運転手につげる。
タクシーは自動車だが、ガソリンは使っていない。電気でもない。海水と元にエネルギーを作り出すものを使っている。
「ねえ。町の名前に植物の名前が多いの?」ミミちゃんはキラに聞いた。
「うん。そうみたい… 海底だからなのかな。緑にちなんだ名前が多いよ…
変な町の名前トップ10もあるんだけど…1番はスズメノカタビラだね。つまり雑草。町の中央に雑草が生えているだけの町。逆に人気がある町。シロツメクサ。いわゆるクローバーだね。6つのクローバーとかたまにあるけど、カップルで見つけるとずっと一緒に仲良く家族として暮らせるとあるよ…」
「へーそうなんだ… じゃあ。海にちなんだ名前の海底都市はないの?」
「うん。あるよ… サンゴが有名な海底都市。アクセサリーとかね… 今日終わったら寄っていく?」
「うん。寄ってみたい…」キラに言い、キラがデバイスで何かを調べ始める。
ミミちゃんはタクシーの外を流れる景色を見る。
☆☆☆
運転手が「この先でサンフラワーから出る。隣町へ着くまで浮遊モードで高速移動してスピードを上げるから注意してくれ…」と言った。
「えっ? なんなの?」ミミちゃんはキラに聞いた。
キラは「えーとね… ちょっと待って…」キラはデバイスを操作する。「ああ。この先サンフラワーを出るから、チューブ状になっている管の中を移動するんだよ… その間は高速移動するからスピードが上がるよ…時速700kmだって…」
「へー。どんなのかな?」とミミちゃんが言った後、あたりの景色はサンフラワーの町から出て海底になった。一気に暗くなる。そしてぽーんとタクシーの表示がついた。都市間移動中。
急にスピードが上がっていく。どんどんあがる。さらに加速し続ける。
「加速してから10分で隣の都市に着くよ。クロユリでは、町の中央にクロユリが咲いている広場があるんだ… まずはそこでユキ君の情報を調べるかな…」キラはミミちゃんに言う。
「ねえ。キラさんの探しているユキ君は、あたしたちの世界のユキ君と同じなの? 年齢はキラさんと同じ年齢?」ミミちゃんはキラに聞いた。キラさんと同じく年上のユキ君?
ミミちゃんはキラの顔を見た。
タクシーの外を見ても真っ暗だ。
「いや、僕の世界のユキ君は、ユキ君が14歳のときに行方不明になったんだけど、世界間移動と同時に時間移動もしていてね… この世界で目撃されたユキ君は16歳ぐらいの子みたい…」
「へー。そうなんだ。見つかるといいね… あ。でも異世界に移動してしまったユキ君だったら、自分の世界のユキ君だって、どうやって判断するの? 何かわかるものがあるの?」ミミちゃんはするどい。シマ君はそんなことまで聞いていない。
「うーんとね。いくつか質問をするんだよ。まったく同じ答えを返すユキ君は限られているし、記憶があるなら僕との会話とか… それと誕生日プレゼントに渡したものを2つ確認するんだ…」
「そうなんだ…」
その後、隣の都市へ到着するまで無言となった。
異世界からいろいろな世界を移動して、ユキ君をさがしているキラ。
きっと大親友なのか、この世界のキラと同じく事故でユキ君が行方不明になってしまい、その責任をとっているのか…
この世界でもユキ君は行方不明になりかけたことがあった。本人はごまかしたけど、あたしはキラから聞いた。キラ… あたしは隣にいるキラに聞いてみることにした。
「ねえ。この世界のキラは、本当に死んじゃったのかな?」ミミちゃんはキラに聞いた。
「ん? ああーそれ? 僕の知っているかぎりの情報なんだけどね…」キラは話し出した。「僕が訪問したどの世界のキラも実は生きているんだよ。姿形を変えてね。みんなの前にはそのままの姿では出てくることはないと思うんだけど、きっとどこかで生きているよ…」
「そうなんだ… あたしずっと気になっていて… あなたは異世界から来た男のキラさん。あたし達の世界にいたキラもイケメンでね。イケメン女子っていうのかな? いろいろなところに連れて行ってもらったの。未来での仮想現実とか、超新星爆発がある宇宙のコンサートとか…」ミミちゃんは過去を思い出す。
「ああ。やっぱり。宇宙のコンサート行ったんだ。僕の世界でもね行ったんだよ。みんなを連れてさ… たまに行くよ… 翌年のコンサートとか。開催されるたびに違う星系の超新星爆発になっててね。演出もそれぞれ違うし、コンサートの指揮者も違うんだよ… クラシックのコンサートって、演奏者や指揮者が違うと味付けが違うんだろうね。それがあって行っても飽きないんだけど…
ユキ君が目撃された世界に行ったついでに、未来へ移動してコンサートを見学して…
そしてユキ君の情報を教えてもらったりね… 言っていなかったけど、もう一人。異世界移動の機能を持つTMRを使っているキラがいるんだよ。その子は女の子だけどね… たまにそのコンサート会場で会うんだ。その子もユキ君をさがしているのさ… そこで情報交換をしたり一緒に話したり…
たぶん。ミミちゃんの世界のユキ君とキララも会っているんじゃないのかな? ユキ君とキララとの宇宙旅行のときに…」
「えっ? ユキ君とキララとの宇宙旅行?」ミミちゃんは考える。ああとミミは顔をあげた。
「きっとあのときかな? 妙にユキ君とキララさんが仲良くなった時期があって… ひょっとして時間移動もしていたの? 週末の連休を利用した旅行と聞いていたんだけど… ひょっとしてもっと長い期間2人一緒にいたのかな? それなら納得いくわね…」
「うん。きっとそうだよ… 僕が女の子の世界は、誰か身近な人とユキ君はつきあっているんだけど… キララちゃんと付き合っている世界も多いよ… ちなみにミミちゃんとユキ君がつきあっている世界もあったよ…」
「へっ。そ。そうなの…」ミミちゃんはそれを聞いて想像する。
ミミちゃんは恥ずかしくなって、自分の尻尾を手でつかんでもてあそぶ。
キラは「結構幸せそうだったよ。たまにみのるお兄さんのところに行って、一緒に過ごしたりして… ミミちゃんは、おとなしいユキ君にイラッときていたみたい… しまいにはミミちゃんが…」と言いかけたキラ。
「え? なんなの?」ミミちゃんはキラに言う。
「なんだもない。うん。なんでもないよ… さあ。もうすぐでクロユリへ着くよ…」キラは話題を変えた。
☆☆☆
海底都市クロユリ。クロユリの花の看板が町の入り口にある。
海底都市への入り口からタクシーで中央まで移動する。中央まで15分ぐらい。結構大きい海底都市。
中央のクロユリがいっぱい咲いている場所までタクシーが走り、そこで停車する。
「ありがと…」キラは共通マネーで支払いを済ませて、タクシーから降りる。降りた後、ミミちゃんの手をとって降りるのをエスコートする。キラは気が利いている。
「えへへ。ありがと…」ミミちゃんはキラに手を握ってもらい、立ち上がった。
「結構いいところでしょ。海底とは思えないね…」キラは天井を見る。
ディスプレイに空と雲が映し出されている。
☆☆☆
「ねえ。こんな子見なかった?」キラはクロユリの広場の横のベンチのわきを歩いている公園の管理者みたいな人に声をかけた。
「人探し? うーん見たことがないねぇ。あたしはこの20年。この公園を管理して、美化活動もしているんだけど、たぶん見たことがないと思う…」人の好さそうな人はキラに言った。
「うん。ありがと。ところで短期間借りることができる広告ディスプレイみたいなものを管理している会社はないかな? 人探しをするのに、人物情報を出したいんだよね」キラはその人に聞いてみた。
「それなら、ADFriti社へ行ってみるといいわね… ほらあれ…」その人はクロユリの広場から見えるビルを指さした。そのビルの壁面には広告が表示されている。
「うん。ありがと。行ってみるよ」キラはその人に挨拶をしてその場をあとにする。
☆☆☆
ミミとキラは一緒にそのADFriti社へと歩いて行くことにした。
そばのクロユリを眺めながら歩く。
ミミはクロネコのしっぽを左右にふりふりしながら歩く。
なんかこういうのも楽しい。
クロユリをゆびでつっついている小さい子供がいる。
ペットを散歩させている人もいる。
ペットのカニなのかリードでつながれて、お散歩させている人がいる。
ミミちゃんは、前を歩いているキラの肩に、クロネコのしっぽでとんとんと叩く。
「ねえ。あそこに、ペットなのかなぁ。カニを散歩させている人がいるよ…」ミミちゃんは、カニを散歩させている人は初めて見たのと、ちょっとおかしかったので、キラに見てもらいたかった。
「ああ。ほんとだね。僕の世界でもたまに見かけるよ… 未来での話だけどね。映画か何かの主人公がカニのペットを飼っていて散歩させていたシーンがあったからだったかな… のんびり散歩するにはいいよ。ほら。あっちには大きい陸ガメを散歩させている人もいるよ…」
キラは、背中の羽を使って、陸ガメのほうへ指さす(羽を使ってなので羽をさすだけど…)
「ああ。ほんとだ。すっごくでっかいカメ。恐ろしく歩くのが遅いわね… 自分の家へ帰るのに何時間かかるんだろう…」
「いざとなったら、飼い主が抱っこして持っていくと思うけど… でもあのカメはかなり大きいから無理かな… やっぱりカメが歩く速度を考えて今から散歩させているんだろうね…」キラはちょっとの間立ち止まってカメと散歩させている人をみている。2分ぐらいたってもあまり進んでいない。
気の長い人じゃないとダメね。木の短い人に散歩させたら、玄関先で引き帰すわね…
キラは再び歩き出したので、ミミはついて歩く。
☆☆☆
いろいろものめずらしいので、観察しながら移動していると楽しい。
ADFriti社へとやっとついた。
キラが受付の人にキラが話すと、応接間まで案内してくれるらしい。
ミミとキラは係の人の後をついて歩く。
廊下を進み、応接間のドアが開き、この中で待っているようにと言われる。
応接間には、ディスプレイが数枚飾られており、それぞれにいろいろなものが映し出されていた。
山の中の映像。スカイダイビングの映像。海岸の映像などなど。食べ物のCMもあった。
キラは「ここで待っていて、ちょっと手続きをしてくるから…」と言い、ドアを開けて入ってきた係の人と一緒に出て行ってしまった。
☆☆☆
ミミは1人になって暇になったので、1つのディスプレイの前へと歩いて移動した。
ディスプレイの表面をさわってみることにした。自分のしっぽの先で軽く表面をタッチする。
「あ。面白い」ミミは、しっぽでタッチした場所が波打って色が少し変化することに気が付いた。
ディスプレイの上のほうを横にすすーとしっぽでさわってみる。
すーと色が少し変化する。
しっぽの先が画面のはしに降れると、映像が切り替わった。
『かつおぶしが名産のフレイ市では、今年最高の出来になったかつおぶしを限定で販売することになりました。人気が出ているため入手できる人は限られていますが、ぜひ入手してください…』
かつおぶしが映った。ミミは一目で普通のかつおぶしを違うのに気が付いた。
「ああ。なんかすごいわね。なんか違う… ディスプレイごしでもわかるけど… 削った鰹節をひとかじりしてみたいわね…」と独り言を言った。
また映像が切り替わり…
『リオン市で、海中を泳いでいた21歳の若い男性が、巨大なタコの触手に巻き付けられる事件が発生しました。一命をとりとめましたが、意識はまだ戻っていません。この海域は遊泳禁止となっており、なんらかの目的があり遊泳していたものと思われます』
巨大なタコの触手に巻き付けられるってどんな巨大なタコなの?
ミミはさっきのかつおぶしの映像を思い出した。ああ。見ていただけでよだれがでてきた。
だめだめ。頭を切り替えないと…
ミミは次のニュースを見た。
『ネコヤナギ市では、新しいショッピングモールが開店しました。今日は平日ですが、にぎわっています…』というナレーターと、ショッピングモールの映像… 若いひともちらほら見える。
その中の一人、見覚えのある姿…
ユキ君に良く似ている…
ミミは、じっと見ていたが、カメラの映像範囲外へと歩いて行くその子。
「あー。行っちゃう… これ、今の映像かな? 写メとっておこう…」ミミはぽけっとからスマホを出して画面に表示されているユキ君みたいな人の写真を撮影した。
ちらっとこっちのほうを振り返った。
その映像も撮影する。
キラ、遅い。あたしは早くキラが戻って来ないかなと思った。
☆☆☆
あたしはソファに座って休むことにした。キラ。いつ戻ってくるかわからない。
自分のしっぽの毛並みをそろえることにした。小さいブラシをバックから出して毛並みをそろえる。
2、3回、自分のしっぽの手入れをしていたとき… ドアが開いてキラが入ってきた。
「お待たせ…」キラはミミを見た。
「遅いわよ… 待ちくたびれちゃった。ねえ。さっきあそこのディスプレイのニュース映像に、ユキ君みたいな人が映っていたのよね…」ミミちゃんはキラに言った。
「えっ。それ本当? どこかわかる?」キラはミミのそばへ寄ってきた。
「たしかネコヤナギ市って言ってたわね…」
「そっか。じゃあ。また行ってくる。5分ぐらい待ってて…」キラはまた部屋を出て行ってしまった。
「なによもう…」ミミはしっぽをソファにびたんびたんとたたきつける。
☆☆☆
キラは言ったとおり、5分後に戻ってきた。
「いやあ。ごめん。広告の出す場所なんだけど、ネコヤナギ市中心にしてもらったよ。今日はこの町に泊まらない? いやだったらいいんだけど…」キラはこっちを見て言った。
「ホテルとか? 2人別々の部屋なら… それとも一緒?」ミミはキラに聞いてみた。
「2人別々。海底がライトアップされているホテルの部屋があるんだけど… そこにしよう。魚介がおいしいレストランも近くにあるし…」
「うん。いいわよ…」ミミはさっきのかつおぶしを思い出した。
☆☆☆
広告の情報が集まるまで時間がかかるので、このクロユリに宿をとって泊まることにした。
先にホテルへと足を運び、その後少し休んでからレストランへ行くことになった。
地下があるレストラン。海底都市だと珍しくない。下の階は海底が見え、階下層の部屋はライトアップされた海底がきれいに見える。
キラの隣にミミの部屋が用意された。
ミミは部屋に入る。結構広い。普通あたし達が泊まる部屋の4倍ぐらいの広さ。内装も良い。大きな窓。窓からはライトアップされた海底が見えて、お魚が窓の外を泳いでいる。
「あ。あれってウニじゃない? ああ。あんなにいっぱい…」ミミは外を泳いでいるお魚と、海底に生息しているウニを見てウニの食べ放題を考えた…
こんこん。扉をノックする音。
「ミミちゃん行くよ…」キラがドアごしに言う。
「うん。ごめん。外の海底を見ていたの…」あたしは部屋を後にする。
☆☆☆
魚介がおいしいレストラン。
海の幸をふんだんに使ったスープが運ばれてきた。
だしにはかつおぶしを使っているのがにおいでわかった。
「ねえ。このスープのかつおぶし、今年の限定品を入手したから使ってもらったんだよ… ミミちゃんのためにね… たしかフレイ市だったかな? TMRで移動して購入してきたんだよ… 形が崩れているものだけど、ネコミミの女の子に食べさせたくて… と言ったら売ってもらえたの… さあ。一口食べてみて…」キラはイケメン男子。望みを叶えてくれる。
ミミはスープをスプーンですくって、白身のお魚と一緒に食べた。
「ん???」ミミのしっぽが太くなった。びっくりした。
「あはは。しっぽが太くなったね。どう? おいしい?」
「にゃによこれ。すごくおいしい。美味しいってものじゃないわね。なにこれ。ホントなにこれ…」
ミミは再びスープを飲む。
ものすごい勢いでスープを飲み、一緒に魚介も食べる。
気が付くと、スープは空になっていた。
ミミはキラを見る。
「残念ながらお一人さま1つだけ。僕のもあげるかい? 手はつけてないよ…」
「いいの?」ミミはキラが天使に見えた。羽もあるし…
「きっと気に入ると思ったからね… ほら…」キラはスープの入ったお皿をミミの前に出す。
そのほか。巨大タコの足のお刺身や、白身魚と山岳地方に生えている緑カボチャのソースを添えて。とか、ウニのソースを中に閉じ込めたフライなど。食べたことがない料理がでてきて、信じられないほどおいしかった。
☆☆☆
レストランでの食事の後、ホテルへ移動し朝8時30に出ることを言われ、ミミとキラは一緒のタイミングでそれぞれ別の部屋に入った。
「はあ。おいしかった」ミミは今日のレストランでの食事。忘れることができないであろう。ここは異世界。キラに連れて行ってもらう以外には来ることができない世界。
ミミは部屋の電気を暗くして、外の海底を見る。
海底にいるウニを見ていることにした。
さいしょに部屋に入って、海底を見たときにウニも見てたが、ウニの位置が違う。きっと移動したのだろう。ウニも生きている。ウニ自身は自分がこんなにおいしいものとは思っていないはず。
ウニをペットにしている人はいるのかな。とミミは考えた。




