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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
けもの耳の子達とのふれあいとSFちっくな日々
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ミアお姉さんの初任務と初仕事の後のもふもふ

 あたしミアは、クロネコと一緒に自分の家にいる。


 クロネコは、玄関先でにゃーと鳴いていた。特売のソーセージがあったので、クロネコを抱っこして家の中に入れて、ソーセージをあげていたところだった。


 すると、クロネコは床をタッチして、しゃべりだした。


「聞いてほしいことがあるんだ。その前に。君も。夕食を。とったらどうだい」

とクロネコはソーセージを食べるのを中断して床を数回タッチしながら言う。


「う。うんそうするね」ミアはびっくりしながら、冷蔵庫から作り置きのおかず数品と白米、汁物。それとニンジンジュースを用意してから食卓についた。


 ごちそうさま。ミアは夕食を食べ終わる。

「あとは後片付けをするから待っててね…」


「にゃー」普通のネコの返事で返した。


 ミアは洗い物をすませてから、クロの待っている部屋へと戻る。


 クロネコはミアを見ると、床を前足でタッチした。


「再生するよ…」クロネコはまたしゃべった。


「こんにちは。あたしはこのクロネコを管理している施設のお姉さんなんだけど。あなたミアちゃん。このクロネコちゃんと前に会っているわよね。塀の上を歩くクロネコ。牛乳瓶。そしてヒメルとみのるお兄さんをアパートまで案内したクロネコ…」


「あっ。あのクロネコちゃんなの?」

 また、クロネコは床を前足でタッチした「そうだね。やっと気が付いた…」


 ちょっと間をおいてクロの首輪についているスピーカーから音が再生される。


「この子はクロ。エージェント22番。これでもネコのタイムトラベラーよ。一応最後まで聞いてほしいんだけど、西暦2235年から来たの。エージェントのクロネコは脳を改造されて、人語も理解できるようになっているの。でも猫本人がしゃべることはできないから補助をするための機械を使っている。床をタッチすると会話ができるように簡単な言葉を発声できるようにしているのよ」


とクロネコの首輪についている小さい装置からお姉さんの声が聞こえる。


 そしてクロは、床を前足でタッチした「こんにちは」


 そういうことか、ミアは猫がしゃべれる理由について納得した。


 そして記録されたお姉さんの声を聞く。


 将来地球にまずいことが起きるとお姉さんは言ってた。なんだっけ。カザー星系の過激派がある目的のために地球というかこの星系をふっとばすかも。ということらしい。


 で。別のエージェントの猫なんだけど、今の地球の過去に介入し、藤森工業社製のDNA試験機を使っている、とある企業。そこに届けられるはずだった動物のDNAデータを人間のDNAデータに差し替えることに成功した。宅急便の荷物をすり替えたのだ。そのまま猫が宅配便を届けに行ったら面白かったのかもしれないとお姉さんは言ってたが…


 その結果。人間と動物のハーフの子がこの世に誕生するようになったという説明をうけた。


 つまり、今は過去改変後の世界ということになる。


「あなたみたいなうさぎ耳のあるハーフの子がこの世に誕生して、いまではだいぶ世の中にとけこんでいるみたいなんだけど、明後日にとあるハーフの少年が犯罪を起こす予定になっているの。本対策はあたしたちのほうでするんだけど、あなたにはその作戦の補助をしてほしいの。このクロ君はクロネコだし、できることは限られているし…クロ君はほとんどの場合にメッセンジャーとか現地のエージェントの補助の人に指令を届けるために動いてもらっているの…」


「あの。なんであたし?」ミアはお姉さんの音声が途切れたときに言う。


 クロが前足で床を数回タッチする。

「君はやさしい。信頼できる。それと未来の君も見てきたけど、補助をほとんどの場合、うまくやってくれた」

 とクロは言った。

 そうなんだ。未来のあたしにも会った?

 うーんどうなんだろう。いつのあたし?


「えーと。これは録音なんだけど、たぶんミアちゃんはクロにいろいろ質問をしていたみたいね。でも聞いてほしいんだけど…」

 お姉さんからの補助をする人みんなに説明される事項があるみたいで説明をお姉さんから聞いた。


1.未来からの過去への干渉方法

 干渉方法には2つあるらしい。ループ型と、本来干渉できないものに干渉する方法。

 ループ型はある少年が子供のころある消防士に危機一髪というところで助け出され、その消防士は勇敢で男らしい人であった。助け出したときに男の人は足首を天井から落ちてきたがれきに挟まれた。

 男の人は足を怪我しながら少年を抱きかかえて救った。

「足怪我しているのに。痛くない?」

と少年は男の人に聞くが「こんなものはかすり傷さ…『この足が痛かったから君を助けなかった』のが理由で君が助からなかったらと思うとこの痛みは無いものと同じさ…」と男の人は言った。

 その少年は消防士になる。そしてタイムマシンが発明された今、その消防士を一度見てみたいと思った。少年が消防士に助け出されるはずの夜に向かうが、記憶にある消防士はどこにもいなかった。

 消防車に残されていた防火服を着こんで、火事の現場へと向かう。


 しょうがないので、自分で子供を助け出した。助け出すときに足首を天井から落ちてきたがれきに挟まれた。男の人はいたかったが、消防士の言葉を思い出して少年(自分)を救った。

 そして「足怪我しているのに。痛くない?」と少年に聞かれ、こう答えた。

「こんなものはかすり傷さ…『この足が痛かったから君を助けなかった』のが理由で君が助からなかったらと思うとこの痛みは無いものと同じさ…」と言う。


 その後、防火服を返却してから、タイムマシンを使って元の時代に戻った。

 そして、戻った後、冷静に考えたら、あの消防士は自分自身だったというたとえ話をお姉さんは話した。


 西暦2235年でもタイムトラベルができるのは小さいものを運ぶか、この猫のような生き物を運ぶぐらいしか実用になっていない。もっと未来なら人もタイムトラベルができるようになっていると思う。


2.本来干渉できないものに干渉する方法

 たぶん古典的なものなんだけど、父と母が出会うきっかけをその息子がタイムマシンで過去に行って防いだりするというものだ。息子が生まれなければ出会うきっかけを防がれることもないので、破たんしてしまう。

 例えばこの世界から隣の世界の過去に干渉ができる場合、父と母が出会うのをその息子が過去で妨害してもそれは別の世界なので、破たんはしない。別の世界では、将来その息子は存在しないだけだ。

同じように別の世界からこの世界に干渉することができたとして、干渉をした別の世界には影響はないため破たんしない。

 元は異星のテクノロジーみたいなんだけどTSI(Try State Interference)デバイスを未来では使っているという。


 この世界からB世界に干渉し、B世界からC世界へ。C世界からこの世界に干渉をさせるらしい。

 TSIデバイスはどの世界にもあり、世界間をデバイスどおしが接続されている。

 そのデバイスを使ってけもの耳のハーフの子がいる世界にしてしまったとのことだった。


 それがなければあたしも生まれてなかった。ということになる。


 TSIを使えば失敗することもほとんどなく、過去を改変できるみたいだけど補助が必要とのことだ。

 TSIを使わずに、この世界の過去に直接干渉した場合は、干渉が失敗するようになっている。


 誰かを殺そうとしたら、実際に殺したと思ったら別の人だったり、実際は助かってたりということが起こりかならず失敗してしまう。


 TSIを使い、過去改変をするにせよきっかけが必要だ。そこで人の介入が必要となる。

「必要なものは君のスマホにアプリとして入れておいた」


 とクロネコが言った。

「いつのまに…」クロネコちゃんは、あたしのスマホを前足でたっちしていた。


 そして最後に録音された声が首輪から流れた。


「指示はそのときが来たら表示される。なお、時間がすぎたら表示された指示は自動的に消える。もし、あなたに危害を加えるものがいたとしてもそれが決まっている未来であれば救うことはできないので、そのつもりで」


 と締めくくられて録音は終わってた。


☆☆☆


 クロから補助を頼まれてから明後日。

 あたしミアは、列車を使ってちょっと都会の町に来ていた。そしてスマホを見ながら歩き目標の人がいる場所まで歩いて行く。そのハーフの子の人相書きと着ている服が表示された。


 指示がスマホに表示された。

「道の真ん中でそのハーフの子が立ち止まるので、足を踏んでいくこと。そしてごめんなさいと声をかける。踏むときはかかとで踏まないこと」

 えー。足を踏むの?

 でもやらないと…


 ミアはハーフの子の後ろを歩いて行って、指示された時刻にハーフの子の足を踏んだ。

「いってえ。ものすごくいってえ」

「あ。ご。ごめんなさい。足踏んじゃったわね…もしかして怪我した?」

「いってえ。いってえ。ものすごく痛い。君はウサギのハーフの子だな。どおりでものすごく重かったんだからな。足が砕けるかと思った」


「本当にごめんなさい。歩ける?病院に行く?」


「ちっ」男の人は言いながら、ミアの体を支えにする。そして病院のほうに行く…


☆☆☆


「ご苦労さん」クロが言った。


 ミアの家。家の前にはクロが待っていた。


「これでよかったのかな。あたしの行動は意味があった?」


 クロは床をタッチした「再生するよ」


「今日会ったハーフの男の人は、本来あの後にバスに乗って隣町のデパートに行って買い物をするはずだったのよ、買い物の後にバス停に並ぼうとしたときに、横入りをした男性と口論になって、男性を道路側に突き飛ばしたことで、その男性が走ってきた別のバスに轢かれて死んでしまう未来になるはずだったの…」とそのお姉さんは言った。


「ハーフの子が男性を突き飛ばして、男の人を死なせてしまったという事件が起こったせいで、ハーフの子にとって住みにくい環境になってしまうはずだった。


 その後だんだんハーフの子が少なくなって西暦2235年にはハーフの子はあまり残っていないという事態になるはずだった。


 元々はこの事件は過去に起こることはなかったはずなんだけど、別の誰かがTSIを使って過去に干渉したみたい。その干渉をあたしたちが回避して元に戻したのよ。


 でもちょっと失敗したみたい。予想よりミアちゃんの体重が重かったみたいで1週間の怪我になっちゃった。本当の計画では3日ほどの怪我だったんだけど…」


「えー」重かったと聞いてミアはちょっとショックだった。


 たしかに最近ハーゲンダッツのアイスクリームを毎日食べてたし…でも体重は測ってなかった。


「まあ。大丈夫よ…あとはクロに報酬の煮干しをお願いね…」


「ありがと。クロ君。これは報酬の煮干し…」ミアは首輪の物入れに煮干しの入っている小さい袋を入れた。


「今日も充電しにいくのかい?」とクロは床をタッチして言った。


「充電?」ミアはわからなかった。


「任務の後は、ユキ君を抱っこしてもふもふするんじゃないのかぃ?」と再び床をタッチしてクロが言う。


「なんのこと?」


「あ。そういえば、もうちょっと後の時代の君だった」クロは言って後ろに下がった。

 クロは前足をタッチして、別の場所をタッチした。

 するとクロの姿がかすんでいきクロは未来に帰っていった。


☆☆☆


 クロが未来へと帰った後…


「ユキ君を抱っこしてもふもふ…」うーん。いいかも。


 慣れないことをして疲れたし…


 今は家にいるはず。ユキ君は、けもの耳の子に囲まれて、もふもふする側なんだけど、あたしから見たら、かわいい弟みたいなものなんだし…


 あたしがユキ君を抱っこしてもふってあげる。


 あたしはユキ君の家に行くことにした。


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