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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
57/138

催し物とキララ。

 今日は土曜日。幼稚園で催しものがあるので、ミミちゃんとラミちゃん、ミアお姉さんとで見に行くことにした。キララは用事があるからと言って、先に出て行ってしまった。


 幼稚園についた。看板をみると、催しものは劇のようだった。


 少し広い部屋。小さめの体育館のステージに舞台がある。


「劇って何?」ミミちゃんが聞いた。


「なんでも探偵ものだって…」僕はもらったパンフレットを見て言った。


 時間になって、人が出てきた。


「あれ? キララ」僕はステージの上にいるキララを見た。トレンチコートを着ている。

 キララは僕をみつけて、手をふった。


☆☆☆


「大変だ。死体が見つかったと連絡がありました」部下のきつね耳の見たことがない子が、キララに言う。


「何。それは本当か。案内してもらおう…」キララは部下の後をついて歩く。


 舞台のセットが、裏方によって移動させられる。別の建物を再現したセットが出てくる。


 キララと部下は、部屋の外のドアに立って話している。


 舞台に、もう一人。首に『あたしはころされました』と書いてある札を首からさげたネコミミの人が入ってきて、床に寝た。


 その後、キララと部下は部屋に入ってきた。


 キララは、床に寝ている人の首元に手をあててから「うむ。これはしんでから、10分もたっていない。まだあたたかい… まずは通報だ」


部下は警察に通報する「部屋の外で待ってましょう」と言い、キララと一緒に部屋を出る。ステージの外から見ている僕たちは、死体がある部屋の中は良くみえる。キララと部下が出たあと、死体はむっくりと起き上がる。入り口のドアを見た後は、くるりと反転し、反対側のドアへと歩いて行く。


「あー。死体があるいたよ…」

「ねー。きつねさーん。死体が歩いたよ。ねー」

「うしろ。うしろー」

 とみんな言う。けれどもキララと部下は聞こえていないかのようにしている。


 そして、警察がやってきた。わかりやすくわんこのハーフの子が警官の服を着ていた。

「犬のおまわりさん」

「犬のおまわりさん。死体が歩いて行ったよ」と幼稚園児たちは言う。


「ここです」きつねの部下は、ドアを開ける。


犬のおまわりさんは「えーと死体はどこで見つかったのですかな…」おまわりさんは部下に聞いた。


「えーと。ここですって。え?。いないじゃないですか… どこに行ったのだ…」部下はキララのほうを見る。


「うむ。たしかに私も見たのだよ… 死体が歩いてひとりでに動くことはないし…」キララが言いかける。


「さっき歩いて行ったよー」

「そうそう。歩いたよー」

見ている観客の園児達は言う。


「本当に死体はここにあったんだね。じゃあ鑑識を呼ぼう。血液反応をみる…」おまわりさんは電話をかけた。


☆☆☆


 鑑識が死体があった付近を調べる「じゃあ。持ち帰って調べますので…」と鑑識の人(ネコミミの子)は出て行ってしまった。


 キララと部下は、ドアの外で話をしている。すると、死体が入っていったドアから、死体を引きずったキララが出てきた。キララが2人いる。


 キララは同一人物で、TMRを使って時間をさかのぼっているんだろう。だから2人いる。

 

 で、なんでキララが2人いて、1人は探偵。もう一人は死体をひきずっている。


 探偵のキララと部下は、いったん事務所に戻ろうと言って、ステージ横から奥へと入っていった。


 そのときに、部屋の中から、死体が歩いて入っていったドアからキララが出てきた。


「ばれなかったようだ。今のうちにこの部屋から死体とともに、出るとするか。私は探偵に変装しているのだよ。はっはっは」と独り言をいい、入り口のドアの内側に取り付けていたプレートをはがした。

 プレートをみんなに見せる。プレートには「このドアは物置です。出入り口は反対のドアです」と書いてあった。

 探偵がこのプレートに気が付かなかったのは、ドアを開けたままだったので、プレートは隠れて見えなくなっていたからだ。犯人のキララは、プレートを外して、本当の物置のドアに取り付けた。そして、犯人のキララは死体をかかえて部屋から出て行った。


☆☆☆


 キララと部下がまた部屋へ入ってきた「ふむ。なぜ死体が消えたのか。わからん」


 探偵のキララは、奥の物置のドアを見た。


「ふむ。こんなプレートはあったかな? まあいいや。この物置も見てみよう…。調べてきてくれ…」キララは部下に言う。部下は物置に入っていった。そしてすぐに出てきた。


「これが落ちていたんだが…」部下はキララに言う。狐の尻尾の毛だ。銀色の長い毛。


「おまえのではないのか?」キララは言った。


「私はキタキツネです。色は黄色っぽいので違います。あなたの毛に似てますね…」部下は、キララの尻尾を見る。


「私を疑っているのか?」キララは部下に言った。


「うむ。似てる。でもあなたは私と一緒にいましたし…」と話していると、がちゃ。ドアが開いた。


☆☆☆


「あっ」


「えっ」


 キララ2人が鉢合わせした。


「ちっ」ドアから入ってきたほうが言った。


「お前は誰だ」探偵のキララが言った。


「なあに探偵さ… お前こそ誰なんだ」とキララ(犯人)。


「ウソをつくな。私が探偵だ。犯人はおまえだろう」探偵のキララは言った。


「お前こそ犯人だろう。私に変装しているんだろう」声もそっくりだ。


「どうなっているんだ。探偵が2人… 本物はどっちなんだ…」部下はぐるぐる2人のまわりを歩き回る。後ろ姿。前。顔を覗き込むがわからないみたい。


 で、キララ2人がドアを背に、部下と言い争いをしているときに、ドアからまたトレンチコートの人が入ってきた。


 キララだった。そっと忍び足で歩き、手に持っている太くてわかりやすい棍棒を振り上げて

 ごつん。ごつん。2人のキララの頭を叩いて、キララを倒してしまった。


 2人のキララは床に倒れる。


「えー。なにこれ、探偵が3人?」

「犯人はだれー 探偵はだれー」

「えー三つ子?」


 という幼稚園児の声が聞こえる。


「危なかったね。私が本物の探偵だよ。トイレに行ったときに、捕まって個室に縛られていたんだよ。ほら見て」キララは、倒れている1人目のキララのポケットからナイフをとりだした。もう一人のキララのポケットからは拳銃を取り出した。


「これはいったい…」部下はキララに言った。


「探偵が邪魔だったから、僕になりすましてあなたも殺そうとしていたんだよ…」キララは電話で警察を呼び出した。


☆☆☆


 2人のキララは犬のおまわりさんに縛られて、連れていかれてしまった。


「いやぁ。助かりました。あなたが来てくれなかったら私は死んでたでしょう」と部下。


「で。死体が無くなっていたわけはわかったのかな?」キララは部下に言った。


「うーんそれがわからないんですよ…」部下はキララに聞いた。


「これだよ。これ、物置のドアにかかっていたプレート。これが最初は入り口のドアにくっつけてあったんだ。死体はまだ死んでなかった。部屋から出たあとに、怪我をしていた被害者は起き上がって、ドアから出て行こうとしたんだよ。で、ドアにこれがあったから、物置かと思って、反対側のドアを開けて、出て行こうとした。そこには犯人がいて、これを使って、被害者をなぐって本当に殺してしまったんだよ… そしてころあいを見て出て行ったのさ…」と棍棒をぱしぱし叩きながら、解説するキララ。


「ふーん。そうですかぃ。ところでいつ見つけたんですか? その棍棒…」部下はキララに言った。


キララは「ああ。これ? 元々僕が持っていたものさ。物置の中でなぐったのもこれ。君は探偵の僕がまだ本物だと思っているのかい?」と言い、棍棒を振り上げて部下をなぐった。


「なんで…」部下が言い残してがくっとなった。


「昨日。あなたが僕のきつねうどんの油揚げを横取りしたからさ…

楽しみに最後にとっておいたのに…」とキララは言った。


「ぶっ何それ…」ミミちゃんは吹いた。

「ぷっ」ラミちゃんとミアお姉さんも吹いた。


 で、キララはみんなに礼をした。

 倒れていた部下も起き上がり、殴られて気絶して警察に連れていかれた2人のキララもステージに出てきた。


 最後に、最初の被害者を殺す動機をキララは話した。

「最後に食べようと思ってとっておいた。あぶらあげ。僕が水をとりに行っている間に、ネコの店員さんが下げちゃったからさ… 食べ物のうらみは怖いんだよ… 注意してね…」とキララは言った。


「何それ… ってあんたもやりそうね。あたしがニンジンを奪ったら殺されるかも…

そのときはユキ君守ってね」ミミちゃんはラミちゃんに向かって言う。


「まあ。確かに。全力でミミちゃんのお腹なぐるわね… そしたら死ぬかしら…」


「じゃあ。ユキ君が、ラミちゃんが最後に食べようと思っていたニンジンを横取りして食べたらどうするの? お腹なぐる?」


「もちろん。そんなことはしないわよ。あんただけ… もしユキ君がやったら、重石の刑。

1週間後ぐらいに、夜中ユキ君が寝た後に、ユキ君の胸の上に正座して座るの。

うーん。うーんとうなって目を覚ますと、私と目が合うの。怖いでしょ」


「うわぁ。それ。怖いなぁ。絶対やらないけど…」僕は言った。


「でも面白かったわね。キララが3人出てくるところとか、TMRを持っていないとできないし…」ミアお姉さんは感想を言う。


☆☆☆


「どうだった?」

「どうだった?」

「どうだった?」

 3人のキララがそろって言う。


「面白かったよ… ところでどれが今のキララ?」僕は全く見分けがつかないキララを見る。


「さあ。どれでしょう。ユキ君当ててみて。もし外れたらひどいよ…」キララが言う。


「えー」僕は考えた。でもすぐにわかった。ひどいよ。と言ったキララ。それが、今現在のキララ。残りの2人は、未来から来たキララ。


「当たっちゃったね… さてと、私はこれから過去に行ってくるね。すぐに戻ってくるからね…」と言い残して、キララはTMRを使って自動ドアを開けて出て行ってしまった。


「ふう。ちょっと疲れた。じゃあ私も元の時間に戻るね…」

「うん。これで3回目。じゃあ私も戻る」

 と2人のキララはTMRで自動ドアを開けて帰っていった。


「ねえ。なんでわかったの?」ミミちゃんは僕に聞いてきた。


「うん。キララの尻尾。元気に動いていたキララの尻尾を見てわかったんだよ。他の2人の尻尾は、動きに元気がなかったから、疲れているんだろうなと…」


「そう。尻尾ね…」ミミちゃんは、後ろを見て自分の尻尾を動かした。


「あたしたちは、尻尾白くて丸いからわかりにくいかもね。でもウサ耳を見たらわかるかな」ミアお姉さん。


「耳の動きを見たら元気かわかるよ。ラミちゃんも…」


「まあ、気持ちが尻尾には出ちゃうから」ミミちゃんは言った。


 キララが戻ってきた。


「おつかれ…」僕はキララに言って、キララの頭をなでた。


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