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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
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ララちゃんのしんたろうとシロの観察日記

 小学2年生のララちゃんは、いったん自分の家に戻ってから、キララお姉さんにシロとしんたろうが住む未来へと移動することにした。


 今は、ララちゃんとシロちゃん(小学生)は同じ年齢なんだけど、シロちゃんが結婚してできた子供が今のララちゃんと同じ年齢の時代へと移動する。


☆☆☆


「あ。こんにちは。ララちゃん」シロはしんたろうと共に住んでいる家の玄関から顔を出して挨拶してきた。

 後ろから、ちっちゃい子も顔を出した。ソラちゃん。小学2年生。

「こんにちは。よろしく…」ララちゃんは、挨拶をして家の中に入った。


 いつもララちゃんの時代にソラが来るときは、10代真ん中なので、この時代のソラちゃんは幼く見える。


「じゃあ。私はいったんユキ君の時代へ帰るから、また迎えに来るね…」キララはそう言い残して、TMRを使って過去へと帰っていった。


 シロちゃんは、この時代では立派なお母さんだ。

「ララちゃんがあたしと同じ年齢のときは、ララちゃんのほうが背も大きいし体もちょっと大きかったから、小さいと感じることはなかったんだけど、今見るとちっちゃくて可愛いうさ耳少女ね」とシロお母さんは言ってララちゃんの頭をなでた。

「えへへ。そうかな… ねえ。今の時代のあたしは元気?」ララちゃんは、シロお母さんに聞いた。


「うん。元気よ。まだ独身なのが心配なのよね。あとチョコレートの食べ過ぎと、ウィスキーボンボンの食べ過ぎとウィスキーをロックでのんでたりするのよね。お酒が入ると、ララお姉さん抱きついてくるのよ…」


「そうなんだ。お酒っておいしいの?」


「どうでしょうね。苦いものがあったり、辛いものがあったりするんだけど。体が暑くなって、ぽわっとなるみたい。あたしは少ししかのまないけど…」


「ねえ。子供もウィスキーボンボンを食べていいの? ちょっと気になっちゃって…」ララちゃんは、食べちゃだめと言われたので聞いてみた。


「そうね。1個とか2個ぐらいならいいんじゃないかしら。箱ごと全部食べたらだめだと思うけど…」


「そっか。じゃあいつか食べてみようかな…」


「お。ララちゃんはお酒のみになっちゃうかも… ってなっているか。ララお姉さん。酔っぱらうと、俺にも抱きついてくるからなぁ」としんたろう。


「しんたろうはね… まあ。普通だったら、女の子に抱きつかれたらでれっとした顔になるけど、困った顔をしているの。私が抱きついてもそんなことはなくて、頭をなでてくれるの…」とシロお母さん。


「また、始まった… 2人… ねえ。ララちゃんみんなこうなの?」ソラちゃんはララちゃんに聞いてきた。


「うーん。どうだろ。あたしはトリのハーフの子は他にみのるお兄さんのところのヒメルしか見たことがないんだけど。すごかった。ほぼ一緒にくっついているんだもの…」


「そうなんだ。みのるお兄さんは昔からなでなでがうまいの?」ソラちゃんはララちゃんに聞いてきた。


「うん。うまいみたい。前に未来で仮想現実の世界に行ったことがあるんだけど、そこでみのるお兄さんはトリのハーフになって、ヒメルに頭をなでてもらったみたいなの。そこで、トリのハーフのなでなでのコツをつかんだみたい… その後はよりいっそうラブラブになっちゃった。

あたし達と一緒にいても、みのるお兄さんとヒメルはなでなでしていて、私たちがいることを忘れちゃっているみたいになることがあるの…」


「うわぁ。そのころからすごいんだね… 今現在もあまり変わらない気がする…」ソラから聞いたんだけど、みのるお兄さんとヒメルが遊びに来たことがあって、なでなでをしているときに「あ。いけね。ここ自分の家じゃなかった…」とヒメルを30分ぐらいなでなでし続けてから、みのるお兄さんが言ったことがあった。


「シロとしんたろうはどうなの?」ララちゃんは聞いた。


「うん。家は大丈夫。なでなではしんたろうお父さん。あまりうまくはないし…」


「そっか。じゃあよろしくね」これから数日過ごすシロとしんたろうの家での生活。


☆☆☆


「ねえ。ソラちゃん。この時代で面白いゲームはある? ウサギのハーフが気に入りそうなものとか…」ララちゃんはソラちゃんに聞いた。


 居間で、シロとしんたろうを観察しながら家の中で遊べるものとしてゲームがないかをソラに聞いたのだった。


「これはどう? 農業体験ゲームバージョン18。ニンジンもあるわよ」


「あ。これやったことがある。バージョン7なんだけど。どうやるの?」ララちゃんはソラちゃんに聞いた。


「えーとね。これ使って…」ソラちゃんから、眼鏡のようにつける幅1cmぐらいのカチューシャ状になっているものを手渡された。


「これなに?」ララちゃんは見たことがなかった。


「これはね。目のところにかけるの… するとディスプレイになって、目の前に映像がうかぶの…

家の絨毯が畑になるの。仮想の種を植えて、荒しに来る動物を撃退しながら育てると、絨毯から作物が生えてくるの…」


「へー。やってみる」ララちゃんは幅1cmぐらいのカチューシャ状になっているものをつけた。


「指で見えているボタンをタッチするの」『Game Start』のボタンを押すと、育てたい作物の種を得る画面になった。ララちゃんは『ニンジン』を選択した。それとカボチャ。


 ボタンを押すと、ばらばらと種が絨毯の上に落ちた。


「あ。なんかリアル。種は手でつまめるの?」ララちゃんは手でふれようとした。


「うん。実体はないんだけど、手でつまめるの。絨毯を手でかきわけて、種を植えるの…」


「ソラちゃんのようにやってみる…」


 ララちゃんとソラちゃんはしばらくゲームで遊ぶ。


 しんたろうと、シロお母さんは別のことをしている。


 しんたろうはPCを使ってなにか調べている。シロお母さんは、ソラちゃんの服を針と糸を使ってつくろいものをしている。みのるお兄さんみたいにはくっつていない。


 しばらくララちゃんはゲームをしていたが、しんたろうとソラお母さんは、ならんでソファに座ってテレビを見始めた。サスペンスドラマだった。


 しんたろうの方にソラお母さんはよりかかっている。


「ねえ。ちょっとなでて…」とシロお母さん。


「うん。どこだ。ここか?」しんたろうはシロの耳のあたりをなでる。


「んーちょっと違う。もうちょっと後ろ側の下」


「じゃあ。ここか?」しんたろうは位置を少しずらしてなでるというか、シロの頭をかいてあげる。


「うーん。ちがう。ちょっと上…」


「難しいな。ちょっとずつずらしていくから…」頭をかきかきしながら位置をちょっとずつずらしていくしんたろう。


「あ。そこ。そこよ」シロは言う。


「え。ここか?」しんたろうはかきかきしている位置をちょっとずらした。


「えー。もう。なんでずらしちゃうの。さっきのところ…」


「えー。どこ。難しいよ…」またちょっとずらして、シロの頭をなでて、かきかきする。


「しんたろう下手。いい。自分でなすりつけるから…」シロはしんたろうの手による、なでなでをやめさせて、自分の頭をしんたろうの肩になすりつける。


 かいてもらいたいところを、肩になすりつける。


「最初っからそうすれば良かったんじゃないか?」


「あたしはしんたろうになでてほしかったの、みのるお兄さんに教えてもらったら?」シロはしんたろうに言う。


「難しいよ。それにシロはわがままなんだよ…」


「なによ。ばか。ほら。テレビのCMが終わるよ…」


 テレビの場面が切り替わり、誰かの家に知り合いが入っていく。

 そして、床に倒れている住人を発見し、『キャー』と女の人が言う。


「や。怖い。死んでる…」ソラが言った。


「大丈夫よ。死んでないわよ…演技。演技…」


「えー。だって目を開けたままだよ… 動いていないよ…」


「まあ。たしかに、あれは目が痛くなるわね…」


 警察の人を呼び、担架によって運ばれて、鑑識による調査が始まる。


「ねえ。テレビを見てるときはシロお母さんはあんな感じ?」ララちゃんはソラちゃんに聞いた。


「うん。なでなではシロお母さんから要求するんだけど、大体途中でやめちゃうの…」


「そっか」ララちゃんは中断していたゲームを再開した。


☆☆☆


テレビの場面は終わりにさしかかり、どこかの海。断崖近くの場面となった。


「おい。お前が犯人なんだな…」刑事が犯人に聞く。


「そう… 私はいけないことをしてしまった…」犯人の女性は崖から飛び降りる。


「あ。おい…」刑事が止めようとしたが、落ちて行った。


 刑事は走って断崖にかけよる。


 すると、断崖の下は海になっていると思ったが、2メートルぐらい下に地面があった。


「あー。すっきりした。捕まえてごらんなさい。ほら…」犯人の女は両腕を前に出した。


「なんだよ。びっくりした。では犯人確保…」刑事は女のもとに降りて行って手錠をかける。


 そしてエンディング。


「あの女が犯人だったのね… あたしはあの顔がちょっと怖い男の人かと思っちゃった」


「あれは、刑事だって…」しんたろう。


……


 シロお母さんは1人で買い物に行くみたい。しんたろうはお留守番。

 ララちゃんは、シロお母さんについて行くか、家に残るかを考えた。


「ねえ。あたしの小さいときのお写真があるの。見る?」とソラが言った。


「うん。見たい…」絵本ぐらいの大きさのものをソラは取ってきた。

 上のカバーを開けて、端のボタンを押すと写真がいくつか表示された。


 電子式のアルバムだった。


「これが幼稚園時代のあたし…」ソラちゃん。シロちゃんが5歳の時の姿によく似ている。ただ羽の色は少し青みがかっているのが違う。でもそれ以外はほぼ一緒。


「へー。シロちゃんそっくり…」あたしは幼稚園時代のころを思い出す。


「お。アルバムか… ソラがおねしょして泣いているときの写真もあるぞ…」しんたろう。


「そんなのは見せなくてもいいの」ソラはしんたろうの足を踏む。


「あはは。怒ったか… 次のページは小学校入学の写真だぞ…」としんたろうはボタンを押す。


「あ。ほんとだ」ララは写真を見た。あたしが通っている小学校。でも古くなっているかと思ったけど、なんか新しいような…


「あ。小学校な。古くなったから建て替えがあったんだ。綺麗だぞ…」


「へー」門とかは見覚えがある。でもその後ろの建物は違っている。校庭の鉄棒は同じ位置にある。


☆☆☆


 シロお母さんが買い物から帰ってきた。夕食の準備をする。

 夕食は、しんたろうが台所には立っていなかった。


「えーと。夕食の準備は一緒ではなくて、別々と…」ララちゃんはメモをした。


「ねえ。お刺身切ってくれる?」ソラお母さんがしんたろうを呼ぶ。


「お。今行く…」しんたろうは台所へと行く、そして…「まあ。しんたろうったら」…という甘い声。


 ララちゃんは台所を見てみる。

 シロお母さんの後ろから抱きついてぎゅっとしているしんたろう。


「料理できないでしょ…」とソラ。


「エプロン姿のシロ。後ろから抱きつきたくなるんだよ… おまえを食べちゃうぞ…」しんたろうは、シロの頭の耳がある付近を、口でふーふする。


「あん。くすぐったい」


 ラブラブだった。


「ねえ。ソラちゃん。いつもあんな感じ?」ララちゃんはソラちゃんに聞いた。


「うん。たまに。じゃなくて2日か3日に1回はあんな感じ。逆にシロお母さんが、しんたろうに抱きついていることもあるけど…」


「ふーん。そっか」えーとメモ。やっぱりラブラブと…


 夕食はお刺身と、魚介を使ったお鍋。ちゃんと自家製のニンジンも入っていた。


☆☆☆


 その後も数日過ごす。夜はやっぱり一緒に寝ているらしい。

 シロはトリのハーフだから、生きた羽毛の心地が良いとしんたろうは言っていた。

 風邪をひいているとき以外は一緒に寝ているらしい。


「えーと。シロお母さんとしんたろうお父さんがくっついているのは、休日の日で大体50%ぐらい…と」

 ララちゃんはメモをした。


 最終日の朝。またしんたろうとシロはなでなでしていた。


「えーとちょっと違う。もうちょっと上」


「はいはい…」しんたろうはなでる位置を上にずらす。


「あ。そこ。そこそこ。そのまま15分ぐらい、かいたりなでたりしてて…」


「そんなにか…」しんたろう。


「うん。今日は、うまいね…」シロは目を閉じてなでなで中。


「ねえ。あたしもソラをなでてみたい…」ララちゃんは言った。


「うん。あたしはララちゃんの膝の上にすわっていい? その状態でなでて…」


 ララちゃんはソファの上に座り、ララちゃんの膝の上にソラちゃんが座る。


 ソラちゃんは、なでてほしい位置をララちゃんがなでやすいように向けて、目を閉じた。


 ララちゃんは、ソラちゃんの頭の耳のあたりをなでなでする。なでなでのあとはかきかき。


「うん。まあまあ。もうちょっと下。あ。違う。もうちょっと下でちょっとだけ、前…」ソラはララちゃんに注文した。


「え。どこ? ここ?」ララちゃんはなでなでの位置をずらす。


「あ。ちょっと行き過ぎ… ちょっと戻って… ああ。ちがう。やっぱりいい」ソラ。


「難しいよ。そしてソラちゃんわがまま」ララちゃんは言った。


「お。あはは。俺と同じだな… ソラちゃんもシロお母さんみたいになるのかな…」


「あたしは違うもん」ソラはしんたろうに行った。


☆☆☆


TMRで過去からキララお姉さんが来た。過去へ帰る時間。


「じゃあね。また来るわね」ララちゃんはソラちゃんにお別れを言う。


「うん。じゃあまた…」キララはTMRで自動ドアを開ける。ここを通れば過去の自分の時代へと戻れる。


「どうだった?」キララお姉さんが聞いてくる。


「うん。みのるお兄さんのところよりはくっついていないけど、結構ラブラブだった」


「そっか。じゃあ帰るよ…」キララは、ララちゃんの肩を押して自動ドアを通らせた。


☆☆☆


「ただいま」ララちゃんは自分の家に入った。


 居間には、ユキ君がいる。


「おかえり」ユキ君はこっちを見て行った。


「ねえ。あたしを抱っこして頭なでて…」ララちゃんは、ユキ君に要求した。


「じゃあ。こっちおいで、その前に手を洗ってきてからね…」とユキ君。


「はーい」ララちゃんは洗面所へと行く。


「こっちおいで」ユキ君は、キララを呼び、ユキ君は膝の上にキララを座らせる。そして抱っこして頭を3回ほどなでる。


「ほら。もう戻ってくるよ… ララちゃん」キララはユキの膝の上から立ち上がる。


 ララちゃんは自分の部屋に戻って、ポシェットを置いてから居間へと戻ってきた。

 そして、ユキ君の膝の上に座る。

「どうだった?」ユキ君は聞いてきた。


「えーとね。ヒメルお姉さんのところはほぼ一緒にくっついていて、本物のインコよりくっついているの。そしてシロとしんたろうさんの所でくっついているのは大体50%ぐらい」


「まあ、トリのハーフのカップルは大体ラブラブみたい。一番重症なのはみのるのところだけどね…」キララは言った。


 ユキ君はララちゃんの頭をなでなでしてくれる。うさ耳の付け根もこりこりしてくれる。そして背中もゆっくりなでてくれる。

 ユキ君。ウサギのハーフの子がまわりにいるから、なでかたはうまい。


 ララちゃんは目を閉じた。

 気持ちいい。おちつく…


☆☆☆


「あれ。寝ちゃったのかな…」ユキはララちゃんの呼吸の音がゆっくりになったのとしゃべらなくなったのに気が付いた。


「そうみたい… あたしもユキ君の隣に座ってよりかかろうかな…」とキララ。


「うん。こっちおいで…」ユキは隣にキララを座らせる。


 抱っこしているうさ耳少女のララちゃん。ララちゃんの耳は垂れて僕の胸に当たっている。耳をちょっと触ってみるとあったかい。血液が流れてるからだ。


「寝ているところって、でっかいウサギのぬいぐるみ、みたいだよね。でも生身であったかいけど…」


「うん。疲れたみたい… このまま寝かせてあげよう…」



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