ララちゃんのみのるお兄さんとヒメルの観察日記
人間のみのるお兄さん。トリ(インコ)のハーフのヒメル。
ふたりのラブラブな日常をララちゃんが観察します。
ちょっと後の時代。ララちゃん小学2年生の未来のお話。
「ねー。学校の課題の自由研究で、3日間みのるお兄さんの家に泊まるからね」ララちゃんが言った。
「なんで、みのるお兄さんの家なの?」僕はララちゃんに聞いた。
「えーとね。トリのハーフと付き合っている人はみんなラブラブなのか。という議題にして観察するの… あとで、ソラお姉さんの家にも3日間泊まるよ。キララに連れて行ってもらうのー」
「そうなんだ。お兄さんはいいって言ったの?」僕は念のため聞いた。
「うん。いいって。みんなの前で発表するんだけど、恥ずかしいことを書いてなければOKだって…」
「そうなんだ… まあいいけど…」僕はララちゃん。なんでその議題にしたんだろうと思った。
☆☆☆
3連休の初日。家を出たララちゃん。ララちゃんはお泊りセットを持ってすぐ近くのみのるお兄さんの家へと入っていく。
「こんにちは」ララちゃんは居間でテレビを見ていた2人と、シロちゃんに挨拶をする。
シロちゃんはここにホームスティをしている鳥のハーフである。
「こんにちは。よろしくね」ヒメルは、みのるお兄さんに頭をなでられながら言う。
みのるお兄さんは、ヒメルの頭をなでながら言う。
みのるお兄さんは普通の人間。ヒメルはインコと人のハーフ。居間には本物のインコもいるんだけど、本物のインコはつがいなので二羽はいつもくっついる。
「ねー。シロちゃん。2人はいつもこんな感じなの? 朝起きたときは?」ララちゃんはシロちゃんに聞いた。
「そうね。朝はこんなかんじだよ。いつも一緒に寝ているし、朝起きてきたらごはん支度をしているときも、一緒に台所に立っているし… 一緒じゃないのはトイレぐらい?」
シロは2人を見ながらララちゃんに言った。
「ねー。みのるお兄さんとヒメルお姉さん。真夏の暑いときも一緒にねてるのー?」
「そうね。一緒に寝ているわね… お部屋のクーラーでほどよく、お部屋を涼しくしておくの。そうすると、くっついても暑くないでしょ」とヒメル。
「電気代はかかるよー。あ。でもトリのハーフの子がいる家はクーラー代の補助金が出るんだっけ?」ララちゃんは言った。
「うん。そうなのよ。出るの… 使いすぎなければね… クーラーは省エネのモデルに買い替えたのよね… まあちょっとぐらい暑くてもあたしはくっつくけど…」とみのるお兄さんにくっつきながらヒメルは言う。
「そうそう。ヒメルはいつもこんな感じなんだよ… 最初はトイレにまで一緒に入ると言い出して…」
みのるお兄さんは、ヒメルの頭をなでなでしながら言う。
「そーなの」ララちゃんは、2人だとトイレに入ることできないよねと思った。
いつもは、早いうちにヒメルが朝食の支度をしながら、家の掃除を簡単にすませてた。大体朝食ができると、ほこりが舞い上がらないようにフローリング用のウエットシートで廊下や部屋の床を拭いてからふきんでテーブルを拭いていた。
みのるお兄さんが掃除をするとちょっと雑になるから、ヒメルがやることにしていた。さっさと家事をすませて、午前中の早いうちからゆっくりして、一緒にくっついてテレビを見たり、インターネットで何かを見たりしていた。
ララちゃんは、2人のくっついている時間をストップウォッチで計測していた。
えーと。朝9時におじゃましてから、今何時だっけ? 10時30分。ほとんど一緒にくっついていると…
ノートにメモをつけながら観察する。でも、ずっと見ているわけにもいかない。
ララちゃんは、携帯ゲームを持ってきてた。スマホなどの電話はまだ買ってもらっていない。
TMRは猫ちゃんからもらったのがあるんだけど、あたしにはまだ使えない。いつもラミちゃんや、ミアお姉さんがいるから、連絡が必要なときはしてくれるし。田舎だから家も近い…
ララちゃんは、ニンジンを畑で育てるゲームをしていた。うまく育って一定のポイントを超えると、本物のニンジンを家に届けてくれるゲームだった。だから一生懸命ゲームで遊んでいた。
あ。みのるお兄さんは席を立った。ヒメルはみのるお兄さんの姿を目で追っている。トイレの方向に歩き出すのを見て、ヒメルはインターネットで調べものをしているのか、画面に目をもどした。
みのるお兄さんがトイレへ入る音がする。
しばらくしてから、トイレから出る音。洗面台で手を洗う音。その後、すぐに居間へと戻ってきた。
「おまたせ…」みのるお兄さんは、鳥のハーフのヒメルの頭に手をぽんとのせてから、隣に座る。
「あたしもおトイレ」ヒメルは立ち上がる。ヒメルが動くと、頭からトリの羽の産毛のようなものが1つ床に落ちる。
みのるお兄さんはそれをつまんで、網目のネットに入れる。
「ねー。なんでヒメルお姉ちゃんの抜けた羽毛をネットに入れているの?」
「あー。これ? いつか、枕の中身にしようと思ってずっと貯めているんだ」
「そーなの?」ララちゃんはネットの中身を見た。
「本当はもっと貯まっているんだ。小さい枕ぐらいにならできるよ…」
「ヒメルお姉ちゃんの頭ふかふかだもんね」ララちゃんは言ったけど、みんなしているのかな?
「ねえ。シロちゃんの羽毛は貯めているの?」
「うん。一緒に…」シロちゃんは言った。そうなんだ。あたしはウサギのハーフだから抜けた毛をとっておいてもうれしいことはないんだけどね… と考えた。
ヒメルもおトイレを終わらせて洗面台で手を洗った後に、ヒメルは台所に寄った。
冷蔵庫の中身を確認した。
「もうちょっとでお昼だから。何がいい?」ヒメルはシロと私ララに聞いてきた。
「おむらいす?」ララは言った。トリの話題が出てきたので卵を連想したからだ。
「じゃあ。ラーメンオムライス」シロは言った。
「あはは。そんなのはないわよ。どっちかね… じゃあオムライス。ひょっとして、中身をごはんでなくて、ラーメンの麺をオムライスの中に入れるの?」ヒメルはシロに聞いた。
「ラーメンの上に、オムライスが乗っているの」シロは言った。
「えーなにそれ。ひょっとしてオムレツ?」ヒメルは言ったんだけど、オムレツはラーメンの上に乗せない。
ヒメルは、数日前にレストランに言ったとき、みのるお兄さんが食べてた、あんかけラーメンを見て、シロはそれを想像して、オムレツが乗っているのかと思ったみたい。シロはオムレツとオムライスの区別ができていないようだった。たまにまざってしまう。
「じゃあシロちゃんとララちゃんはラーメンにするわね。そしてラーメンの上にオムレツを乗せてみる」ヒメルは言った。
ヒメルはみのるお兄さんの隣に座り、インターネットで調べものを始めた。オムレツとラーメンを調べているようだった。
なんか、鳥のハーフの子は変わっている子が多いと思った。ヒメルはパセリをそのまま食べていることもあれば、マヨネーズをつけて食べていることもある。それだけならまだいいんだけど、ジャムをパセリにつけて食べていることもある。私はおいしくないから絶対につけないんだけど…
☆☆☆
お昼。ヒメルはオムレツを作る用意をして、みのるお兄さんはヒメルの隣で、ラーメンの準備をしていた。
ラーメンの上に小ぶりのオムレツが乗っているオムレツラーメンをヒメルは持ってきた。
うーん。どんな味? そのまま? ララちゃんとシロちゃんはオムレツラーメンを食べた。
「うーん。別にラーメンの上に乗せなくてもいいのかも…」ララちゃんは言った。
「あたしはこれでもいいんだけど」シロは言う。
「えー。まあ。でもいいっか。お皿がひとつ減るし…」ララちゃんはオムレツラーメンを食べた。
☆☆☆
昼の食器を洗うのにヒメルとみのるお兄さんは台所へと移動する。
2人で洗い物をしたのですぐ終わる。
昼に使ったお鍋は、中身を食器に映したあと、鍋が熱いうちにすぐに洗ってしまっていた。
昼食後も、みのるお兄さんの隣にヒメルが座っている。今まで離れたのはトイレだけ。
ヒメルはソファから立ち上がる。
みのるお兄さんは、ちょっと座る位置をずらしてから、クッションを手にとる。
みのるお兄さんの膝の上にヒメルは座った。
みのるお兄さんは、ヒメルを後ろからぎゅっとして抱っこした。それからヒメルはテレビをつけた。
サスペンスドラマの再放送が始まった。ヒメルとみのるお兄さんは抱っこの状態でテレビを見始めた。
「ねー。いつもこんなかんじ?」ララちゃんはシロに聞いた。
「うん」シロは斜め向かいのソファに1人で座って本を読んでいたが、「ねえララちゃん、遊びに行こうよ。駄菓子屋に行きたいの… その後本屋にも行きたくて…」
「うん。どうしよう。ずっと見ていなくてもいいのかな」あたしララはシロに聞いた。
「えーとね。大丈夫。テレビを見ているときはずっとこんな感じ。あとで聞けばいいし…」
「そっか」ララちゃんは出かける用意をした。
☆☆☆
午後の16時よりちょっと前。あたしララとシロは家に帰ってきた。今日は買い物に行く日。
「ただいま」シロは言いながら家へとあがる。
ララちゃんも同じように言ってから家の中に入る。
ララは、居間を見ると、みのるお兄さんとヒメルはテレビもつけずに、2人だけの『なでなで』タイムとなっていた。居間にいるインコのほうは、お互いすこし離れて片足を上げていねむりをこいていた。
本物のインコよりも、みのるお兄さんとヒメルは一緒にくっついているみたいだ。
ヒメルは目をつぶっている。みのるお兄さんは、ヒメルの耳のあたりや少し下のあたりをゆっくりなでなでしている。たまに逆の手で逆方向のほっぺたあたりをなでなでする。
ヒメルはちょっとだけ、顔を動かすんだけど、満足しているのがわかる。
「ねえ。いつもあんな感じなの?」ララちゃんはシロちゃんに聞いた。
「うん。いつもそんな感じ… なでなでがうまいみたい…」とシロ。
シロは別のソファに座る。
あたしもシロの隣に行って。そして抱っこしてシロをなでてみる?
「ねえ。シロちゃん。あたしが抱っこしてあげる」ララはシロに言った。
「うん」シロは立ち上がる。ララはシロちゃんを膝の上にすわらせた。
ララはシロちゃんの頭に手をのせて、少しなでてみた。
「んー。ちょっと下」シロちゃんはなでてほしい箇所を指示してきた。
「えーと。下ってここ?」ララちゃんはあまりトリのハーフをなでたことがない。
「ちがう。ちょっと上」シロはララちゃんに言う。
「じゃあ。ここ?」手の位置を上に移動させる。
「あー。違う。もうちょっと下だよー」シロは言う。
「じゃあ。ここは?」ララちゃんは手を下に移動させる。
「やー。違う。ララちゃん下手」
「えー難しいよ。なでるのはやめ…」ララちゃんは、シロちゃんを抱っこしてぎゅっとした。
ララちゃんは、シロちゃんを抱っこしながら、ヒメルを観察する。
ヒメルは、みのるお兄さんの手でなでられながら、目をつぶったままだ。
みのるお兄さんは、ヒメルの頭のてっぺんもなでる。そしてすぐに、耳のあたりをなでなでする。
横方向になでて、その後頭の後ろ部分をなでて、頭の横を逆なでして、その後、ほっぺたの付近をなでる。その後頭の逆のところをなでて、たまにゆっくりと逆なでする。そして、耳のあたりを左右にゆっくりなでる。
ヒメルは目を閉じたままうごかないけど、気持ちよさそうにしている。寝ているわけではない。
たっぷりなでなでタイムは30分続いた。
☆☆
「おーい。買い物行くぞ…」みのるお兄さんから声をかけられた。
「あれ。寝てた…」ララちゃんはシロちゃんを膝の上に抱っこしたまま寝てたようだ。
「… ん。あ。私も寝てた… ララちゃんに抱っこされてたら、体がぽかぽかしてきて眠くなっちゃった」とシロちゃん。
シロちゃんは立ち上がる。
ララも立ち上がる。
その後買い物に行く。
☆☆☆
買い物で外を歩いているときも、ヒメルとみのるお兄さんは隣。手をつないでいるか、ヒメルがみのるお兄さんに抱きついているかだ。
「ねー。みのる見て。これ安い… アスパラ」
「うん。買っていこう…」
いかにもラブラブカップルという感じの2人。
「ねえ。シロちゃんいつもあんな感じ?」聞いた。
「うん。いつもあんな感じ… あたしも好きな人ができたらああなるのかな?」シロちゃんは言った。
「どうなんだろうね… あ。そういえばソラお姉さん、シロちゃんの子供だって言ってたよ。ララお姉さんが…」ララは未来から来たあたし自身から聞いた。
「そっか。ラブラブのかな…」シロは想像しながらララちゃんに聞いた。
「みのるお兄さんとヒメルの観察が終わったら、キララお姉さんに、ソラの家に連れて行ってもらうの…」
「そっか。子供がいるあたし。どんなんだろうね… 想像できない…」小学生のシロはまだどんなものかわからなかった。
☆☆☆
その後、夕食やお風呂タイムもみのるお兄さんの家で一緒に過ごす。
お風呂もみのるお兄さんとヒメルは一緒に入っているようだった。でも、それは発表しないでね。とヒメルに言われた。
夜お休みのときも、みのるお兄さんとヒメルは一緒に部屋へと入っていく。
9時には自分の部屋へとひっこんで行った。
「ねえ。いつもあんな感じ?」ララは聞いた。
「うん。特別なにかなければね。一緒に見たいテレビ番組を見ているときもあるけど、そのときもくっついているよ…」
「どうなんだろう。居間にいるインコよりもくっついているのは、わかるわね… けんかもしないし… インコのほうが喧嘩しているよ…」
「そっか」ララちゃんは、シロと一緒に寝ることにした。
「おやすみ…」
「うん」
ララちゃんは、シロちゃんと一緒のお布団で寝る。ぎゅっと抱きつく。
生きた羽毛。
ふっかふか。
「ぐっすりと眠れそう」ララちゃんは目を閉じた。
☆☆☆
結局数日一緒にすごしたが、どうしても離れないといけないとき以外は、みのるお兄さんとヒメルは、一緒にいるということがわかった。一緒にいるときは、なでなでしているか。ただくっついているかの違いしかなかった。
ララちゃんは2人がくっついている時間を計算した。ヒメルにインターネットを使わさせてもらい、検索窓に数字の割合を入れて計算させた。
99%。くっついている。という結果になった。寝てるときも一緒だとそうなるのか。
「みのるお兄さんとヒメルラブラブだね。これはにほんいち?」ララちゃんは言った。
「どうだろう。あたし達がどうだったか教えてね」シロちゃんは、これから未来へと行って、ソラの家に泊まる予定になっているララちゃんに言った。




