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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとの二人きりの宇宙旅行
47/138

救難信号を出している宇宙船と海賊(1)

 砂浜がある惑星の星系から離れて、別の星系に移動し、景色が変化した。

 救難信号を出している宇宙船を見つけたのだった。


「ひょっとして、救難信号を出している宇宙船はあれかな…」僕はコンソールに表示されている小型宇宙船と、表示されている光学ズームにより映し出されている宇宙船を見た。


「うん。ちょっとスキャンしてみるね」キララは宇宙船のコンソールを操作して、生体反応を調べる。

 どうやら1名みたい。映像通信や音声通信があるかも調べるキララ。


「ねえ。ここにある物体はなんだろう…」宇宙船のそばにある程度大きな長細いものが見えたので、僕はキララに聞いた。


「うーん。あやしい。この宇宙船の装備を使ってスキャンしても、生命反応は見られないね…

でも、海賊とかが偽装しているかもしれない…」キララはTMRを共通インターフェースで宇宙船に接続して、宇宙船のスキャン精度を上げようとした。


「うまくいきそう?」


「うん。ちょっと待っててね…」キララはTMRと宇宙船のコンソールを操作する。


 そして数刻… コンソールに表示されていた細長い物体の内部構造が出てきた。


 空間があり、内部にも生体反応が確認できる。人数は13名。


「海賊かな?」僕はコンソールの表示を見てキララに聞く。


「うん。たぶんね…」そして、キララは救難信号を出している宇宙船から出ている映像信号を受信してコンソールへと表示させる。


「こちら、宇宙船YY43522。救援を求む。宇宙船に穴が空き、応急処置をしたがあまり持たない。この付近にだれかいたら救援を願う。もう一度繰り返す…」


 という音声と、男の人の映像がノイズまじりでコンソールに表示される。


 TMRによりスキャン精度が上がったので、再び救難信号を出している宇宙船の生体反応もサーチする。


 すると、救難信号を出している人とは別に、3人の反応が出た。


「ねえ。もし知らずに僕たちがあの宇宙船の中に入ったら、捕まってしまうのかな?」


「うん。そうだね… ってちょっと待って、別の宇宙船が近くに現れたよ…」キララはコンソールの表示を見て言う。


 僕たちは別の宇宙船をスキャンする。生体反応は3人。そして救難信号を出している宇宙船に近づいて行く…


「海賊の仲間かな?」僕はコンソールを見ながらキララに聞く。


「いや違うかも… 警告しよう… あれは海賊だって…」

 キララは近づいてきた宇宙船に向かって無線で声を送信しようとした。


 近づいてきた宇宙船の中に見られた生体反応が0になり、救難信号を出している宇宙船の生体反応が3人増えた。つまり自動ドアを使って移動してしまったようだ。


 そして、救難信号を出している宇宙船が、ゆっくり細長い物体のほうへと移動し始めた。


「ねえ。やばいんじゃない? 捕まっちゃったのかな…」僕は移動していく宇宙船のほうを見ながらキララに聞く。


「あー。しょうがない。私たちで救出しよう。ほっとけなくなっちゃった…」


 キララは図書館の階下で購入した上着を一着僕に着るように言ってきた。


「これは?」僕は上着を着ながらキララに聞く。


「これはね。潜入捜査で使える上着。味方の人以外からは見えにくくするものだよ。保護色になるようにバリアが周りに展開される…

あと… これ…」


 万が一のときのために、電気でしびれさせるための銃をキララが僕に手渡してきた。


「これも必要なのかな…」ちょっと物騒なものを見てキララに聞く。


「これは殺傷能力はないけど、撃たれた人は30分ぐらい気絶しちゃうんだ。エネルギーは1000発撃っても残るぐらいあるから… 強さは変えることができないんだけどね…」


 ということを聞いて安心した。


キララはTMRを使って、海賊のアジトとなっている細長い物体に進入するために準備をしはじめた。


「大丈夫かな…」僕は心配だったので、キララのほうを見た。


「たぶんね。TMRもあるし… 私からあまり離れないようにしてて。さあ行くよ」


 キララは自動ドアを開き、別の宇宙船へと乗り込むために、自動ドアをくぐった。


☆☆☆☆☆


 潜水艦とか宇宙船の通路につながった。TMRによる自動ドアを閉じる。


「ねえ。普通の人も自動ドアでこの船に乗り込むことはできるの?」僕は素朴な疑問があったので、キララに聞いた。


「いや。ダメだね… 自動ドアを防ぐためのものが付いているから、誰だも乗り込めるってわけではないよ… このTMRは未来のものだから、過去の自動ドアを防ぐ装置の動きは解析されているから、効き目はないんだよね…」

 もちろんこの時代の人なら、この宇宙船から出るのに自動ドアは使えない… 捕まった人だけだったら脱出も不可能だろう…


 僕とキララは、この先はあまり会話をしないようにした。身振りと手ぶり、そして尻尾を使って意思の疎通をすることにした。


 キララはTMRのセンサーをたよりに、ある部屋に向かって進んでいる。人数が小グループで固まっているところだ。まずは4人。上着を着ているので進入していることはばれてないと思う。


 僕とキララは、4人の背後から周りこんで2人ずつ片づけることにした。


 僕とキララは至近距離から銃を放つ。2人同時に倒れ、残りの人もその直後にしびれさせた。


 倒れて動かなくなった4人。安全のために、手足を縛っておくことにした。


 海賊は全員で17人。残り13人。


 僕とキララはその後に3人のグループになっている人を見つけて、全員しびれさせた。

 手足を縛ってから、クローゼットの中に押し込んで見つからないようにする。


 残り10人。

 その後、2人グループの人に背後からしのびより、しびれさせる。


 残り8人。


 船内を移動する。そして1人で寝ている人をしびれさせた。


 残り7人。


 宇宙船の操縦室に居た2人も、同時にしびれさせた。


 あと5人。


 5人は同じ部屋にいた。その5人と同じ部屋に、捕まったと思われる人3人がいた。


 がらの悪い感じの人5人。それと中年の男性3人が部屋に立っていた。


 キララが3人。僕が2人をやっつけることにして、敵の背後に回る。


 至近距離からキララが3人。僕が2人を銃でうってしびれさせた。


 やった。これで敵は全員動けなくなったはず…


 僕とキララは、上着を脱いで捕まった3人に姿を見せる。


「やあ。こんにちは。救出に来たよ。倒れた5人の手足はしばっておこう…」


 キララは手足を縛るためにしゃがんだ。


「いやあ。助かったありがとう… ところでその銃を見せてほしいんだが、どこで買ったものなんだ? 私たちの船にも装備しておこうと思うんだよ…」


 見た目。優しそうな人が僕に話しかけてくる。2人は黙ったままだ…


「うん。いいよ。どうぞ…」僕は銃をその人に手渡した。


「ふーん。なかなかいいものだな… ところで私は海賊には見えなかったのかな…」


 男の人は銃をこっちに向ける。


「あっ」キララは警戒してゆっくりと立ち上がる。


 しびれ銃を向けている人はキララに向かって銃を向けて『武器を出しな』と言ってきた。


「ちっ。助かったと思ったのに… そこの狐っ子は、俺たちの船長を真っ先にしびれさせちゃったし…」


「くっそ。俺たちの船長はガラが悪いから悪人に見えないこともないけどさ…」


 という言葉を聞いて、キララは銃を床に投げ捨てる。


「ということは、この人は捕まった人だったの?」キララは、ガラの悪そうに見えたおじちゃんを見下ろして言う。


 しびれ銃を向けている海賊がキララのほうを向いたとき、捕まったうちの2人はいっせいに、海賊のほうにとびかかった。


 1人がつかみかかって両腕の動きを封じる。

 もう一人は銃を取り上げようとする。


 海賊が動いた。


「ぐはっ」ううう。と後ろからつかみかかっていた人がくずおれる。


「ちっ。殺すつもりはなかったんだが… 動くなよ…」


 海賊は手に隠し持っていた鋭利な刃物によって、捕まった人のうち1人の腹を刺してしまった。


 これが致命傷になったみたいで、かなりの血液が大量に床にながれていく。


☆☆☆☆☆


「あー。ひどいめにあったぜ… ボス大丈夫ですか?」

 数名の人達が入ってきた。


 くそっ。しびれさせて手足をしばっておいたのに…


 そのうちの一人は一人で寝ていた人だった。


海賊のうち、寝ていた人の頭に手を乗せてこう言った「こいつは、アンドロイドなのさ、電気銃は3分だけ効果があるんだけどよ、おそらく手足を縛って目立たないところに隠したつもりだったんだろうけど…

こいつは縄で手足をしばってあっても、力はあるから引きちぎったんだな。

そして、俺たちを助けてくれた…」


 ちょっと小柄に見えたフードをかぶった人。今みて気が付いたんだけど女性だった。髪はショート。

 女性型アンドロイド。ぱっと見男性にも見える。


「こっち来な…」ボスと思われる人が僕たちに言う。


☆☆☆☆☆


 宇宙船の貨物室みたいなところに連れていかれた。


 捕まった3人のうち、1人は死亡。捕虜は4人。


 床の上に少しみんな離れて座らされる。


 そして、床にあるスイッチを押す海賊。


 座っている床から円筒形の光が天井に向かって伸びる。


「これは電撃バリアだ。触ってみなびりっとするから… 物を中から投げても通さない。

外からは通すものだ…

ちょっと待ってな。身代金を要求するからよ。これ食っとけ… 毒は入ってない」


 4人それぞれ別の円筒形のバリアで捕まっている状態となった。


 飲み物が入っている筒と紙に包まれたハンバーガーのような食べ物を外からバリアの中に放り投げる海賊。


 キララと捕まっている人のうちの一人。名前はジンと教えてくれたが、その人も食べ物を手にとった。


「おい。ぼうず。助けてくれてありがとよ。今のうちに食っとけ…」

 と言い、紙のつつみをといて一口食べる。


「うん。そうするよ…」キララも包み紙をほどく。


 ジンは一口食べた後「ぐはあ。あああああ」と苦しみだした。


「えっ。ねえ…」僕とキララはジンを助けようとするが、バリアがあるので動けない。


「あ。はっはは。大丈夫だよ。信じたか… 毒は入ってないぞ…」

 ジンはからかっただけだ。ジンはハンバーガーに似たものを食べる。

 こいつはなかなかいけると言いながら全部食べてしまった。


 僕はキララのほうを見た。


「食べておくのがいいよ… この先どうなるかわからないし…」


「ねえ。キララのTMRはまだある?」


「うん。あるけど… また障害が発生してて使えないんだよ… もしかしたらこの海賊が妨害電波を出しているせいかもしれない…」


☆☆☆☆☆


 30分ぐらいたったころ。


 海賊の一人が入ってきた。


「身代金の要求処理は終わった。お前たちは用済みだ」


 という言葉を聞いて、捕まった2人はほっとした顔をする。

「やったぞ。返してくれるのか…」


 僕はわからなかったので「ねえ。用済みって…」僕はジンに聞いた。


「大体。海賊は身代金目的で捕まえるのさ… ほとんどの人は開放される。元の宇宙船に戻されて、エネルギーパックを4つか5つ奪われて追いかけられないようにする。その後海賊は別の星系にとんずらするのさ… 面も割れているが、めったに捕まらない…」


 海賊は、ジンとは別の捕虜のバリアをまずは開放した。


「あー」と長い間、座っていた体を伸ばした。そして突如として海賊の一人につかみかかった。


 ぱん。と音がした。


「あー。撃っちまった。急に暴れたお前が悪いんだぜ… これは即死だな…」

 海賊のうちの一人が、昔の銃。火薬の力で弾を発射するタイプの銃を下して言った。


動かなくなった捕虜。


「お前たち3人はこの世から消えてもらう」ボスは言った。


「なっ。さっきは開放してくれるって…」ジンは言った。


「だれも暴れなければな。最初に1人殺っているところを見られたし、今も所持が禁止されている火薬の力で弾を発射する銃で殺したところを見られたばかりだしな…」


 ボスは、部下から別の銃に似たものを受け取り、ジンに向かって撃った。

 

 ジンはその場からいなくなった。


 きっと高出力の銃で跡形もなく消えてしまったんだと思った。


「ちょっと待って。話を聞いてよ…」キララは慌ててボスに話かける。


 ボスの銃がキララのほうに向き、キララを撃った。


 キララはその場から消えてしまった。


「あっ」僕は言葉にならなかった。


 そして、僕の手首に何かがはまった感触を感じた。


 ちらっと見ると、キララの使っているTMRが僕の上にはまったんだとわかった。

 キララの身に危険が及んだので、TMRが信頼されている人のところに自動的に移動したのだとわかった。


 僕は海賊のボスを見た。


「あばよ」海賊のことばが聞こえた。


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