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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
けもの耳の子達とのふれあいとSFちっくな日々
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ネコミミの幼稚園児達と、ユキ君の災難(4)。解決編

 僕ユキはカザー星系の異世界へと移動できる自動ドアがある部屋で、ララお姉さんの話を聞いている。

 神系のララお姉さんが言うには、DWASDというデバイスにより僕の体ごと、あるきまった時間帯に異世界へと飛ばされるらしい。

 僕の世界のユキだけではなくて関連する異世界の僕も同時に同じように飛ばされる。

 だから異世界に行ってもその世界の僕自身とは会わない。で。からくりがわかった。


 土曜日から日曜日になり、そして月曜日が来る。

 月曜日の朝5時30分になると、ユキは自動的に別の異世界へと飛ばされる。


 その異世界は、ユキが居る世界と比べて、日にちだけが違っている世界。

 つまりユキがいる世界と比べて2日だけ遅れている世界。つまりその世界は土曜日だ。


 時間移動はしていないし意識だけ移動しているわけでもないのでタイムリープでもないし、仮想現実でもないことがわかった。


 そして日曜日になり朝の5時30分に自動的に移動してしまう場合は、その世界から見て1日だけ遅れている世界。つまり土曜日の世界へと移動する。


 世界を少しずつシフトして移動されていく。日付が違うだけの世界なので、時間がループしているように思えるだけ。

 ということだ。それをやっているのがDWASD。

 いやがらせか。あるいは特定の日だけを過ごしたいという人のためにあるらしい。


 DWASDは異世界操作機器に属するものなので、すべての世界にあるものであり、一つの世界で操作すれば他の世界へも反映されるとのことだった。


「じゃあ。ありがと。異世界のララお姉さん」


「うん。この体を戻さないとね。私は行くから…」

 異世界へと通じる自動ドアをくぐって、ララお姉さんは帰っていった。


☆☆☆


 僕とキラは元の地球の時間軸へと戻った。このキラは異世界のキラだろう。

 でも覚えているキラとおんなじだ。協力的。


「あ。そういえば、戻る必要はなかった。いや。勘違いをした。さっきのカザー星系に戻るよ。ただし時間軸はいつがいいかな。金曜日。いや。ええと計算しないと…

君が土曜日を繰り返すのは何回目だっけ?」


 僕はわからなくなりかけていたが、回数をキラに教える。

「じゃあ。僕は13日前に戻るよ、おそらく君のいた世界の土曜日から数えて3日前の水曜日があやしいと思うんだ。そこで見ているよ。ちょっと待っててね」


 キラだけ自動ドアで過去へと行ってしまった。


☆☆☆


 キラは戻ってきた。


「この世界のユキ君なんだけど。夜中に窓を開けて寝ていたね。そこからネコが入ってきて、何かを操作して、すぐに出て行ったんだ。きっとDWASDの登録がそのとき行われたんだよ… この世界に元からいた君は、別の世界で別の曜日を繰り返しているんだ。


ネコの後をつけて、ある人の家に入っていったのを見たんだ。


そこの窓から話している声を聞いたんだけど、カザー星系のジニーという人からの命令と言ってた」


 キラは時間がないよ。と言いながら僕を未来のカザー星系に連れていくと言った。


☆☆☆


「一応僕のそばから離れないでくれるかな。半径1メートル以内。TMRの本人保護機能が働くから」

 僕とキラはカザー星系の衛星に潜入してミミアに会ってから、ジニーという人のデータを見せてもらった。カザー星系の第4衛星にいるとのことだった。


 自動ドアで第4衛星に移動し、廊下を歩く僕とキラ。


「たぶん。この部屋」キラはドアの中に人がいないかをうかがってからドアを開ける。

 誰もいない。

 僕は部屋に入った。


 テーブルの上を見た。

 あ。あった。DWASD。ライトのようなものが付いていて、人をスキャンできるようになっている。

 ディスプレイ表示には最後の使用者の名前が書いてある。


「どうするの?」僕はキラに聞いた。


「えーとね。もう一度スキャンしてからキャンセルをするんだ…」


 キラはデバイスを手に取って、僕に腕を出してとお願いする。


 僕はキラに腕を出す。キラはデバイスを手にとってスキャンする。


「ぶー」と音が鳴った。


「本人の確認ができませんでした。生体パターンが違います」という音声が聞こえた。

 キラは一瞬考えてから。


「あー。そうか。この世界のユキ君でないと解除できないんだ…

ふっふっふ。でもね。こんなのすぐに解除できるんだよ…」


 キラはポケットから見たことのないデバイスを取り出した。

 仮想コンソールを操作して、そのデバイスを機械に当てる。

「大丈夫?」僕はキラを見て行った。


「よし。書き換えOK。もう一度腕をだして…」


ぴー。と音がした。

「異世界間自動シフトデバイスの動作は解除されました。明日の朝5時30分に元の世界へと戻されます」

と音声が聞こえた。


「やった。これで君も。異世界の君も明日の朝5時30分に元に戻るよ…」


「はー。良かった」


「じゃあ。見つからないうちに戻るよ。これこっそり破壊しておくかな」

 キラはソフトウェアの不都合が出るように改造しておいた。


☆☆☆


 キラと元の時間軸に戻った後、夜を迎えて朝。

 元の世界の時間軸では1週間まるまる飛ばして、火曜日の朝になっていた。


 戻った後、キラとどうするかを打ち合わせしておいた。

 元の世界のキラも、異世界の僕と協力してDWASDを解除したのだった。


 1週間ほどの記憶がないことの説明ができない。この元の世界にも別の異世界から僕は来ていたようだ。

 火曜日の昼。キラは放課後の学校に遊びに来ていた。


 屋上でご飯を食べた後、階段から落ちるように言われていた。

 僕は一番最後を歩く。階段から落ちるふりをする。

 キラは最初に気が付いて僕を助ける。キラは僕を気絶させる。

 救急車を呼び、気が付いたら1週間ほどの記憶を覚えていないと言えばいいと…


☆☆☆


 ラミちゃん。ミミちゃん。ミアお姉さん。シロちゃん。ギンちゃん。ララちゃん。

 おばあちゃん。

 レオ。トラちゃん。ココ。ミルクちゃん。勢ぞろいしていた。

 ここは病院のベッド。


「心配かけたね…」僕はみんなの顔を見て言う。


「ところで1週間ほど記憶がないんだって?」


「うん。そうなんだ。レオ君が来た土曜日と日曜日は覚えているんだけど、月曜から全く記憶がないんだ…」


「そう… じゃああたしが教えてあげる」ラミちゃんはベッドに腰かけながら話し始めた。


 繰り返し事件は終わった。


☆☆☆


 さて。場所が変わってカザー星系。

 ミアとミミア。そしてララお姉さんが自動ドアを使ってカザー星系のボスの部屋の前に来ていた。


 ばん。

 ララお姉さんがドアを蹴ると、ドアは壊れた。


「なに。なにをするんだ。貴様ら…

君はミミアだね。ん? ミミアが二人いる?」


 見たことがない人だった。


「ねえ。ボスはどこに行ったの?」ミミアはかんかんに怒りながら言う。


「あー。ボスは私だ。昨日ここに配属された。前のボスは異動願いを出していたから遠いところに移動していったと聞いたが…

なんでも怖い部下がいない部署に行きたいと…」


「くっ。逃げたわね… ところでどこに行ったかしらないかしら…」


「そ。それはだな。端末がまだ梱包から出してなくてな、調べることができないんだよ…

明日まで待ってもらえれば…」


 ばん。机をたたく音。


「だめよ。今。梱包をといて頂戴。新しいボスさん。一応言っておくけど、こっちにいるララお姉さんも怒っているから、前のボスのことでね… 今すぐ端末を出して使えるようにしないと大変なことになるわよ…」


「は。ひゃい」ボスはミミアの表情を見て、すぐに端末を出して机の上に並べた。


「ええと。ゆっくりでもいいけど、なるべく待たせないでね…」


「ひぎぃ」ララお姉さんの表情を見て、あわてて準備をして端末を起動起動させる。


「あった?」今度はミアお姉さん。こっちも怒っている。


「あ。あ。あったとも。最速の船を使っても1週間はかかる場所にいる。新しい部署はここだ。

情報によると、今日から2週間後に着任となっている」


「あら。ありがと。わかったわ。これから行ってくるからちょっと待っててね。ボスさん」

 ララお姉さんはTMRの自動ドアを開き、前のボスが移動したと思われる部署に移動する。


☆☆☆


「ボス。お疲れさまです。今日からよろしくお願いしますね」

 眼鏡をかけた優しそうな。おとなしい感じの部下が迎えてくれて、お茶を出してきた。


「いやぁ。君のような子がいてくれて助かってるよ。荷物の梱包もほどくのを手伝ってもらって。

今度ディナーにでも私と一緒に行かないかな?」


「ごめんなさい。彼氏いるんで…」


「そうかそうか。じゃあランチでもどうかな…」


「いえ。手作りの弁当を持ってきてますので…」


「そうかそうか。じゃ…」あ。ボスの顔が固まった。

 壁に開いた四角い光からララお姉さん。ミアお姉さん。ミミアが出てきたのに気が付いたからだ。


「いたわね…ボス。ちょっと話があるんだけど、ここに会議室はあるかしら…」とミミア。


「はぎゃあ。ミ、ミ、ミミアなんでここに… ここは高速の船で1週間はかかる辺境だぞ…」


「あたしはララというんだけど、あたしもキラと同じようにTMRデバイスを持っているの。

えーと先日のユキ君のことなんだけど。顔をかしていただけるかしら…」

 実は一番こわいララお姉さん。


「ぎひぃ」ボスはがくがく震えている。


 その後、ボスは会議室で正座。あんど。ララお姉さんによる腹パンチ一発を受けた。

 そして正座しているボスの膝の上にララお姉さんが座り込み、たっぷり3時間はララお姉さんの重石いりの正座をさせられた。

「あと、これを見てて」ララお姉さんは手をぐーに握って、会議室の机にこぶしを当ててからおもいっきり机を殴った。

 ばきっという音をたてて、厚さ4センチはある木のようなものでできた机は割れてしまった。


「ひぎぃ」ボスはそれを見てさらに青ざめる。


「あーすっきりした。手はちょっと痛かったけど…

さてと帰りましょ。

これあなたが直しておいてね」

 という言葉を残してララお姉さんは去った。


☆☆☆


 カザー星系に戻ってきた3人。

「いちおう前のボスはダメなことをしたからこらしめてきた。これを見て…」こんどはミアお姉さんがボスの部屋にあるちょっとした会議用の打ち合わせスペースにあるテーブルにぐーを当てて、机を殴った。ばきっ。厚さ3センチはある机は割れた。


「はぎゃあ」青ざめる新しいボス。


「私は地球出身なんだけど。地球のユキって子になにかしたら。こうなるわよ…

じゃあね。あなたがこれ直しておいてね…」


「私のほうからはのちほど… 仕事のときにね…

じゃ」とミミア。


……


「は。はがぁ。な。なんなのだ…

ひょっとしてあんなのを相手していたのか、前のボスは…」

 ボスはため息をついた。

 よし、秘書を頼もう。ボスは端末から人事部を呼び出した。


☆☆☆


 太陽系第3惑星。地球。ユキ君の時代。

 ユキ君が退院して初めての土曜日。


「やあ。元気かい」またキラが訪ねてきた。


「すっかり良くなったよ。このとおり。ホントは階段から落ちて怪我はしていないんだけど…」

 ユキは小声で言う。


「君が元気なら。なによりだよ。ところでクロのいる時代での仮想現実を体験できるチケットが手に入ったんだ。行かないかい? みんな誘って行けるといいなあ。リゾート地の場所や、美しい景色の大自然の場所もあるからきっと気に入ると思うんだけど… ユキ君は最近いろいろあって休養が必要かなと思ってさ。

どうだろう…」


「ユキ君がいいなら行くけど。病み上がりだし…」ミミちゃんが心配そうに言う。

「そうね。無理はしなくていいんだよ…」ラミちゃんも言う。


「僕は別にかまわないよ。それにリゾート地とか、美しい景色の大自然があるみたいだし、そこで休養できればいいなあ」とユキはキラに言う。


「そうでしょ。そうでしょ。『しかも』仮想現実だよ。仮想と言っても触れるし、食べ物も食べることができるし、なにより… 人間の子はハーフになれるし、ネコミミの子はウサ耳の子になったり、トリのS3ランクの子になったりできるんだよ。それと料金を払えば二人だけの世界を体験できるし…

どうだろう…」


「それって…」ミミちゃんはユキ君が猫のハーフの男の子になっているのを想像した。

「それって…」ラミちゃんはユキ君がウサギのハーフの男の子になっているのを想像した。


「みのるお兄さんや、ヒメルも誘うといいよ。きっと二人だけの世界を希望すると思うから…」


「まあ。そうだよね。あの二人。普段から2人だけの世界にいるみたいだし…」

 僕はみのるお兄さんがヒメルを膝の上に座らせて、もふもふしているところを想像した。


「ユキ君。僕からの個人的なお願いも聞いてもらえるとありがたいなぁ。いろいろ協力してあげたでしょ」

 そうだなあ。キラにはいろいろとお世話になっているし…

「うん。わかった。じゃあみんなに連絡して、用事がなかったら行こう。荷造りとかいらない?」


「ああ。いらないよ。家の戸締りだけしてくれれば…」


 おばあちゃんは幼馴染のおばあちゃんと温泉に行くと言っていたから家は留守になる。


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