ネコミミの幼稚園児達と、ユキ君の災難(3)
ユキは記憶の土曜日にあるように、前回みのるお兄さんの家に行ったときの時間に家を出て、みのるお兄さんの家に向かった。
みのるお兄さんは相変わらず、ひめるを抱っこしてもふもふしていた。
うっとりと目をつぶってなでられているヒメル。
僕は事情を説明した。
「そうねえ。キラに相談してみたら… 連絡してみる…」ヒメルはみのるお兄さんになでてもらいながら、言った。そのまま抱っこされたままの恰好でヒメルはキラに連絡した。
ちょっとしてからキラがみのるお兄さんの家に訪ねてきた。
「やあ。来たよ… ユキ君詳しく状況を聞かせて…」
僕はキラに今までの体験を説明をした。
「うーん。そうだね。まずは検証だね。君の体ごと土曜日に戻っているのか、君の記憶だけが戻っているのか…
それには夜寝る前に、カッターかなにかで手に小さい傷をつけるといいよ。ちょっと痛いけど…
朝起きて傷があれば体ごと。なければ中身だけ移動していることになるよ…」
「それはやったんだ。僕は前回キラから聞いてね… で、傷はなかった」
「あー。そうなんだ。それは厄介だね。実は未来でも人の中身だけをタイムリープさせる方法は開発されていないんだ。ひょっとしてこの世界自体が仮想現実ってことはないかな…」
「あー。それはあるかも。こんなにリアルな仮想現実はあるの?」
「まあ。未来にはあることはあるんだけど。仮想現実の中にいるのか、現実かわからなくなるから、区別ができるようにしているんだ。例えば僕が知っている仮想現実は、月が2つあるんだよ…」
「どうすればこの状況から脱出できるのかな… 死ぬとか?」
「それはだめだね。現実かもしれないし… 危険だよ…」
「そっか。じゃあどうすればいいのかな…」
「じゃあ。僕は金曜日に移動して、そのまま金、土、日、月を過ごしてみるよ…」
キラは言った。頼りになる。小説のタイムリープ物と違い、自由に時間が移動できるタイムマシンがあるのが違うね…
「じゃあお願いね…」僕は自動ドアを開けて金曜日へと移動していったキラを見送った。
☆☆☆
土曜日も終わり、日曜日のはずの朝。
確認するとまた土曜日が来てしまった。
ユキは記憶の土曜日にあるように、みのるお兄さんの家に行ったときの時間に家を出て、みのるお兄さんの家に向かった。
みのるお兄さんは相変わらず、ひめるを抱っこしてもふもふしていた。
うっとりと目をつぶってなでられているヒメル。
僕は事情を説明した。
「そうねえ。キラに相談してみたら… 連絡してみる…」ヒメルはみのるお兄さんになでてもらいながら、言った。そのまま抱っこされたままの恰好でヒメルはキラに連絡した。
ちょっとしてからキラがみのるお兄さんの家に訪ねてきた。
「やあ。来たよ… ユキ君詳しく状況を聞かせて…」
この感じ。キラは金曜日に移動していないみたい。
説明を終えて僕は感じた。キラは金曜日に移動していない。移動したのかもしれないけどキラには前回の土曜日の記憶はなかった。
「じゃあ。未来からララお姉さんを呼んで来たらいいんだね…」
僕は頼みのつなである。ララお姉さんに救援を頼むことにした。
☆☆☆
「はーい。ララお姉さんだよ。ちなみに25歳だよぉ」と能天気なララお姉さん。
土曜日の夜にはララお姉さんが訪ねてくる。だから25歳のララお姉さんを呼んできてもらった。
ララお姉さんには、月曜日までミアお姉さんの家に泊まってもらうことにした。そして僕はウィスキーボンボンのお菓子を町に買いに行くことにした。
僕は町で買ってきたウィスキーボンボンのお菓子をララお姉さんに渡した。夜に食べてもらうことにした。
「えー。夜に食べるの。まあいいけど。太っちゃったら責任とってね。ユキ君」
と言い残して、ミアお姉さんの家に入って行った。
土曜日の夜。レオと一緒にお風呂に入った。
その後、24歳のララお姉さんが訪ねてきた。
ララちゃんとララお姉さんと一緒に寝た。
☆☆☆
そして朝。
僕はララお姉さんにぎゅっと抱きつかれたまま朝を迎えた。
これは…
ララちゃんは僕の隣ですーすと寝息をたてていた。
土曜日ではない。日曜日?
たしかめると日曜日だった。
日曜日のイベントである。朝の散歩。
例のくぼみに足をとられ、転ぶはずだったララお姉さん。
僕はちょっと早く家を出たので、僕の目の前で転ぶところだった。
僕は転ばないようにララお姉さんをささえたが、大きい子なので支えきれずに一緒に道に倒れてしまった。僕はララお姉さんの下敷きになった。
「大丈夫? 怪我はない?」ララお姉さんは僕を助け起こす。
「あっ、つー大丈夫。ちょっと手にかすり傷を負っただけ…」見ると手のひらに傷。
そのあと、みんなで町のデパートのめずらしいニンジン展に行くことになった。
僕は今回はネコミミ娘のほうについていくことにした。
別のデパートで開催されている魚介類の物産展。
いろいろな鰹節もあるらしい。
「ねえ。ユキ君これみて、おっきいかつおぶし…」
それは正確にはかつおぶしではなく、まぐろぶし。マグロの肉を加熱してから乾燥させたもの。
ミミちゃんは自分の身の丈ぐらいあるかつおぶしを持ち上げた。
「ミミおねえちゃん。お持ち帰り禁止だって」
ネコのハーフの子ぐらいだろう。巨大まぐろぶしを持って帰りたいと言うのは。
そういえばニンジン展でもあったな。
「ねえ。こっち。ちょうこーきゅーかつおぶし」
「30000円ってどのぐらい?」
ちびっこ達が聞いてくる。
「そうだね。普通の鰹節10本分ぐらいかな」
「ねえ。どっちがいい? これ1つと10本と」
「うーん。どっちだろう。きっとこっちのほうが10倍うまいのかな」
「10倍」
よだれが出てるネコミミ娘達…。
「ねえ。この30000円のかつおぶしあたしのために、買ってくれない?
なんでもするから…」ミミちゃんはしっぽをくねらせてお願いしてくる。
「高いよ。残念ながら持ち合わせがないよ…」
「そうか。残念」ミミちゃんの耳がしぼむ。
物産展を大体見てから、おばあちゃんはシャケを買った。夕食の材料にすると言ってた。
☆☆☆
夜。22時前。
「ちょっとミアお姉さんの家に行ってくる。すぐに戻ってくるから…」
僕はララお姉さんに言って家を出た。
「こんばんは。ミアお姉さんとララお姉さんいる?」
僕はミアお姉さんの家におじゃました。
すーすーと寝息をたてて寝ているララお姉さん。
見ると、ウィスキーボンボンの箱は空になっていた。それとウィスキーのグラス。
お酒を呑んで寝ているララお姉さん。
いつもなら、神系のララが降臨するはず…。
「夜20時ごろから食べ始めて21時ぐらいには寝ちゃったけど、そのまま寝ているだけよ…」
「うーん。だめなのかな」
「たぶん。朝までこのままよ…
そうだ。ララお姉さんをお姫様だっこして、寝床まで運んであげたら?」
「えー無理だよ…大きいし…」
「じゃあ。ユキ君がお姫様抱っこする感じで、ララお姉さんの背中と足を支えて。私がお尻を持ち上げるから…」
僕はララお姉さんの背中と足の下に両腕を入れて持ち上げようとする。びくともしない。
「ほら。男の子でしょ。力入れて。一瞬だけお尻が浮けばいいから…」
おもいっきり力を入れて、お尻だけ一瞬浮かせる。そのときにミアお姉さんはララお姉さんのお尻の下に手を入れて持ち上げた。
「おっ。持ち上がったよ」結構重たい。大部分をミアお姉さんが支えてくれているから大丈夫なんだけど。
「ちょっと力を抜いてみるわね…」ミアお姉さんはそっと力を抜き始める。
がくっと膝が曲がる「だ。ダメ…重すぎるよ」支えきれない。
「やっぱりだめね… じゃあ寝室へ運ぶから。歩調を合わせてあるいて…」
寝室まで歩いて行ってララお姉さんを布団まで運んでから下した。
「もし起きたら連絡するから…」
「うん」
☆☆☆
「… んーん。あれっ」お布団に下したときに目をさましたんだろう。ララお姉さんが目を開ける。
ぽーとしている。
「神系のララ?」僕は聞いた。
「えー何それわかんないよー。ねるねー」ララお姉さんは目を閉じてしまった。
だめだった。
☆☆☆
僕は家に帰った。
居間に入ると、ソファでララちゃんが寝ていた。
僕はよいっしょっと、いう感じでララちゃんをお姫様抱っこした。
幼稚園児としては重いんだけど、軽々持ち上がった。
「あら。いいわね。お姫様抱っこ。寝床にララちゃんを運んでくれるの?
ありがと。あたしからお礼を言っておくわね」
僕は幼稚園児のララちゃんを抱っこして寝床まで運んだ。
「ねえ。ユキ君。あたしも抱っこしてくれない? お試しでいいから…」とララお姉さんが体育座りになって言う。
「えー。無理だよ… さっきも試したし…」
「さっきって。幼稚園児のころのララじゃない。ほら。早く」
お姫様抱っこをせがむ。ララお姉さん。僕はさっきと同じように背中と足のところに両腕を入れて持ち上げる。ものすごく力を入れる。
あ。お尻がちょっと浮く。そして力尽きて下してしまう。でもさっきよりちょっとだけ、お尻は高く持ち上がった。ひょっとしてこっちのほうが軽いのかな。
「やっぱり。大きすぎてだめだよ…」僕は床にしゃがみ込む。
「もう…だめね… あたしなんて…」ユキの両脇に両手を入れて、高い高いの要領でユキを持ち上げるララお姉さん。そしてそのままお姫様抱っこの形になる。
ほーらほら。と軽々お姫様だっこをされてしまう僕。
「ねえ。下して。恥ずかしいから。逆お姫様抱っこ」
「ちなみに、このぐらいだったら、ミミちゃんにもユキ君を逆お姫様だっこ、できると思うわね…
けもの子はみんな力あるし…
ねえ。ミミちゃんならユキ君がお姫様抱っこすることはできる?」
「ああ。どうかな。わかんないや… でもできるかも…」
「いいなあ。あたしもネコミミっ子に生まれればよかったかも…」
寝る前のお姫様抱っこイベントは終わった。
☆☆☆
朝がきた。隣には誰もいなかった。いい天気。
これは土曜日パターンか。
僕はふと、手をみた。擦り傷があった。
「えっ。擦り傷…これって、体ごと土曜日に移動している?」
僕は朝7時に起きて、居間へと行った。
「あれっ。今日は早いね。何かあったっけ」7時過ぎに居間でご飯を食べているラミちゃんとミミちゃん。
「ねえ。ネコミミのちびっこ達は?」僕は念のためミミちゃんに聞いた。
「ああ。この後に駅まで迎えにいくのよ… 一緒に来る?」
☆☆☆
僕はみのるお兄さんの家に行くことにした。
キラをヒメルに頼んで呼んできてもらって、事情を説明した。
僕は、また神系のララに頼ることにした。知っているのは僕が行方不明になったとき、カザー星系の異世界を移動する機械のところにララお姉さんがいたということ。
☆☆☆
ミミアが休憩室のソファに腰かける。僕とキラはその休憩室の壁に自動ドアを開けた。
「!あれ。帰ったんじゃないの?」ミミアがこっちを見てびっくりしている。
「やあやあ。こんにちは。僕たちはちょっと未来から来たんだ。あー。えーと。この時間軸の未来でなくて、ユキ君の時代から見ての未来だけど…」
「あー。なんだ。びっくりした。ところで何か用? お礼? ユキ君を連れてきたから、あたしにもふらせてくれるの?」
「あー。どうしようかな。あとでいい? ねえ神系のララって覚えている?」
「神系のララ。覚えているわよ… ちょっと記憶があいまいなところもあるけど。なんで?」
「今なら、神系のララ。呼べるかなと思って…」
「あー。大丈夫よ。とりあえず異世界へと行ける自動ドアのある部屋へ行きましょ。
ボスは会議室で正座をするように言ってあるし… ほらっこっちよ」
ミミアお姉さんは歩いて行く。
……
異世界へと行ける自動ドアのある部屋へ到着する。
到着してから、ちょっとしたとき。異世界からこの世界へと来る人がいることの表示が出た。
そばの壁が光り、四角い形になった。
「やっほー。異世界のキラとユキ君。神系のララだよぉ」
とやっと神系のララに会えた。
僕は神系のララに抱きつく。あ。あれ。ちょっと大きい。胸がグレープフルーツとメロンの間ぐらいなんだけど、今日のララはメロンに近いぐらい大きい。それと体形。ちょっとぽっちゃりしてきている。
「んー。なにかな。ユキ君。ひょっとして失礼なことを考えているのかな…」
ララおねえさんは僕の頭を強めになでる。というか上からなでなでして押さえつける。
「いやあ。なんでもないんだけど。ララお姉さん。今は過去も未来も、異世界も全部見えるんだよね… 困ったことになって…」
僕は事情を説明した。
☆☆☆
「じゃあ。上位層から見てみるね。見てくる間。ララをお願い。意識を失うから…」
と言い残して、ララお姉さんは目を閉じた。
「おわっ」僕は急に力が抜けたララお姉さんを支える。
ララお姉さんのうさ耳はだらっと垂れている。意識がないときはミミの力が抜けている。
ララお姉さんのにおいとチョコレートの匂い。それとお酒のにおいがほのかにする。
「急に行っちゃうのもなんだよね。ララお姉さんらしいけど…」
「そんなことより、支えるの手伝ってよ。壁の椅子のところに運ぶの手伝って…
キラは足を持って」
かなり重たいララお姉さんを支えるのがやっとだ。キラはララお姉さんの足をやっとのことで持って、椅子の所に移動させて寝かせる。
しっかし重たい。この世界のララお姉さんはきっと、ウィスキーボンボンとお酒を呑みすぎなんだろう。だから太っちゃったのかな。でも胸がすごく大きい。僕はララおねえさんのおっぱいを見る。
僕は椅子で横になって寝ているララお姉さんのお腹に自分の顔を乗せて胸のほうを見る。
お腹の位置からだと胸が邪魔で顔は見えない。
ララお姉さんのお腹。ごろごろ。とかきゅー。とか鳴っている音が聞こえる。それにお腹も柔らかい。
ぽん。とユキの頭の上にララお姉さんの手が置かれる。
「私が意識を失っている間にえっちなことをしなかった?」
あ。いつのまに戻った。
「まあ。大丈夫だよ。僕が見ているかぎりでは… お腹の上に頭をのっけて、胸を見ていたみたいだけど…」
「そう。まあいいわ。そのままでいいから聞いてね。ユキ君の言ってた土曜日と日曜日。それと月曜日を見てきたの。すべての世界で、その時間帯はあたしから観測できなかった。干渉もできないし、わからなかった。でもね。月曜日の朝5時30分にはあたしから観測できる世界になっていたし、ユキ君も月曜日の朝にはすごくほっとした顔をしていたわ。だから戻れると思うの。何やったかはわからないけど。きっとキラとユキ君で協力したのね…」
「そうなんだ…」僕はララお姉さんのお腹に耳をのっけて、ララお姉さんの顔のほうを見ていたが、僕は正面を向いて、顔をララお姉さんのおなかにうめるような恰好になった。
「よいしょっと」ララお姉さんは起き上がり、椅子の上に座る恰好となった。
僕はララお姉さんの足に膝枕をしている恰好になった。
ララお姉さんは僕の頭をなでていた。
「じゃあ。僕はどうすればいい。未来か過去にユキ君を連れて行って何かをするの?」
「そうね。この現象。あたしは心当たりがあるの、DWASD。『異世界間自動シフトデバイス』きっと誰かがユキ君を登録したんだと思う。誰かのいやがらせね…」
ララが言った。




