ネコミミの幼稚園児達と、ユキ君の災難(1)
ミミアはユキ君の家へと寄った。
「こんにちは、ユキ君」ひさしぶりっと。ミミアはユキに言った。
ミミアはキラの連絡先をボスから聞き出し、キラに頼んでララお姉さんを呼んでもらった。そしてユキ君の時代へと遊びに来たのだった。
「あ。こんにちは… えーとその子は?」ミミアの後からうさ耳の子が顔をだした。
ミミアより少し背は小さいが雰囲気はミミアに似ている。
「あたしの妹よ。ところでぇ… 何読んでいるの?」
ミミアはユキが手にしている本を見て言った。
「ああ。これ? ライトノベルっていうお手軽に読める本」
ミミアはソファに座っているユキの隣に座り「どんな内容?」と聞きながらユキにくっついてもたれかかってきた。
「それは、主人公が時間の歪みに巻き込まれて、何回も同じ日を繰り返すというもの。まだ途中だけど、どうすれば明日が来るのか。四苦八苦しているみたい…」
「その本のタイトルは?」ミミアは聞いてきた。
ひょっとして地球の本がライブラリにあるかもね。とミミアは言う。
ミミアはユキに抱きついて、すりすりして、十分にもふった。
「あたしも、もふらせて…」ミミアの妹もソファに座った。
ミミアの妹は自分の膝を指さす。
ここに座れということか。
僕は立ち上がって、ミミアの妹の膝の上に座る。
すると、ミミアの妹は後ろからぎゅっと抱きついてくる。
そしてすりすり。
頭もなでてきた。
ぎゅ。
すりすり。
思う存分もふられた。
ミミアの妹は両手でユキのわきの下に手を入れて、ひょいっと軽々持ち上げて、隣のソファへとユキを下す。
やっぱりうさぎのお姉さんは怪力だ。軽々と持ち上げられてしまった。
ミミアの妹は立ち上がり、ユキの頭をなでた。
「思う存分。もふらせてもらったわ。妹も満足したみたい… じゃああたしたちは行くから…」
「じゃあね」とミミアの妹はユキに手をふる。
ララお姉さんが開けたTMRの自動ドアにより、未来のカザー星系へと帰っていった。
☆☆☆
ミミアはボスの部屋のドアを開けた。
「ひぎゃあ。ミ。ミミアか… どうしたのだ…」ミミアを見るたびに顔が青ざめるボス。
前のパンツの件で、ミミアが怖くなったボスであった。
パンツは、妹が自分で脱いで、ボスのところに置いていったことを、妹自らミミアに言ったことで、ボスは悪くなかったことがわかった。でもいろいろごまかしていたので、ミミアはボスにつめよっていたのだ。それと、3Dデータ。展示会のときにデータを取っていたことがわかって、こってりしぼったのだった。
「これ。地球へ行ったときのお土産」ミミアはショットグラスとウィスキーをボスの机の上に置く。
「おお。そうか。ありがとう…」ボスはショットグラスを手にとる。
「ところでライブラリに過去の地球で出版された本のデータはあるかしら…」
ミミアは唐突にボスに聞いた。
「何に使うのだ」ボスはウィスキーの蓋をあけながら言う。
「地球の。ユキって子が、本を読んでいたのよ…
『主人公が時間の歪みに巻き込まれて、何回も同じ日を繰り返す』と言ってたから気になって…」
「そうなのか。あると思うぞ…お。待てよ…」ボスはちょっと考えてから。
用事が出来た。とボスは言った。
「あまり飲みすぎないようにね…」
ミミアはボスの部屋から出た。
……
ボスはコンソールを使って部下を呼び出した。
「は。何でありますか?」靴を『かっ』と鳴らして敬礼する部下。
「実はな、地球のユキという子なんだが、あれを使ってある作戦を実行してほしい、お前が実行しろ。俺はちょっとやることがあるから。お前に託すぞ…
やれるか…」
ボスは作戦を部下に説明した。
「やれるであります。ところでさっき言ってた成功したら昇進をさせてくれるのですか?」
「うむ。そうだ。うまくやるのだぞ…」
「わかりました」
部下は敬礼をした後、部屋を出て行った。
「さてと、いちおう保険でもかけておくか」ボスは人事部を呼び出す…。
☆☆☆
太陽系。第3惑星。地球。
土曜日の朝。ユキは起きた。カーテンを開ける。
「うわぁ。いい天気。雲ひとつない…」
快晴だ。空が青い。
のびをしてから、居間へ向かう。
……
朝ごはんも食べ。テレビも目ぼしい番組がなく。ユキは自分の部屋から本を持ってきて、ソファに腰かけながら本を読むことにした。
ラミちゃんは家庭菜園の手入れ。
ミミちゃんは用事があり、朝出て行った。
ひさしぶりに家の中が静かになった。
これからにぎやかになるから今のうちに本を読んでおこう。あともうちょっとで読み終わるし…
……
ユキはちょっと前まで読んでいた本を手に置いた。
面白かった。最後まで読み終わって、からくりがわかった。
さて、今日から一時的にホームスティの子が増えることになった。
ハーフの子のホームスティ。
一応期間は2年となっているが。希望すれば違うところにホームスティ先を変更することもできる。
僕のところにいるラミちゃんとミミちゃんはそのままなんだけど、別の所にホームスティしていた子を一時的に僕の家で預かることになった。
ネコミミの子4人。2人が男の子。残り2人は女の子。
僕のまわりにはうさ耳の子が多いんだけど、ネコミミの子も一時的に増える。
12歳の子と7歳の子。
☆☆☆
ミミちゃんが、ホーススティをする予定の4人のネコミミの子を家に連れてきた。
「こんにちは。僕はレオ。こっちの小さいのがトラ」
「こんにちは」
「初めまして、私はココ。こっちの小さいのがミルク」
「こんにちは」
「はい。こんにちは。僕はユキ。こっちはミミお姉さん」
「はじめまして。ミミお姉さん」
お姉さんと呼ばれて嬉しそうなミミちゃん。
昼間。家の中で走りまわっている。トラとミルク。4つ足だ。本物のネコみたい。
どたどた。どたどた。
「もう。子供なんだから。4つ足で走っちゃだめだよ…」レオが注意する。
「そうよ… ネコじゃないんだから…」ココはレオの隣で言う。
とんとん。僕の肩を尻尾で叩く子。ミミちゃん。
「ねえ。レオとココ。仲良しね。できているんじゃないの?」小声で僕に言う。
レオとココは二人ならんで、4つ足で走り回っている子達を見ている。
「どうだろう。そうかもね…」僕はレオとココを見て言う。
「僕はウサギを狩るよ…」
「私はトリを狩るよ…」
どたどた。走っていって。ララちゃんを捕まえるトラちゃん。
後ろから走って行ってシロちゃんを捕まえるミルクちゃん。
「わぁ。捕まっちゃった」
「つかまったー」
小さい子達で遊んでいる。ずいぶんにぎやかだ。
「ねえ。ミミお姉さん。お菓子作れる?」ココは聞いてきた。
「いや。手作りはまだ作ったことないんだけど… もしかしてココちゃんは作れるの?」
「うん。本を見ながらいくつかね。ミミお姉さんも一緒に作る?」
「うん。いいわね。作りましょ…」
台所に立つネコミミっ子。尻尾は左右にふって、楽しそう。るんるん。という感じ。
「ねえ。公園に遊びに行かない?」レオが言った。
「うん。いいよ。ちびっこ達も連れて行こうかな」
「うん。おーい。トラ。ミルク。シロ。ララちゃん。外の公園に行くよ…」
「はーい」
「いく」
平和な日々。
今日は快晴だし、天気がいいし。秋も近いから心地がいい。
ちびっ子達が増え、いろいろあり、あっというまに日中が過ぎていった。
夕食もいつもよりにぎやかになった。
今日はミミちゃんとラミちゃんは喧嘩していない。
きっとお姉さん達は、子供たちに喧嘩しているところを見せたくないんだろう。
我慢している様子がわかる。
「ぴんぽーん」家の呼び鈴が鳴った。
僕は手が空いていたので、玄関へと向かった。
「はーい。来ちゃった」ララお姉さん。
「ララお姉さん。こんな夜になんか用事?」
「いや。一人でさみしかったから泊まりに来たの…」
「いやぁ。今日からネコミミの子4人がホームスティしているんだ…」
「大丈夫よ。あたしはユキ君と一緒に寝るから、ララちゃんも一緒にね…
これは決定事項だから…」
そういえば、ララちゃんが日記を書いているのを思い出した。x月y日 何々があった。とか。
きっと未来のララお姉さんは過去の自分の日記を読んだんだろう。
「うーん。わかった。じゃあ入っていいよ… にぎやかだけど…」
ラミちゃんは、ミアお姉さんの家に泊まりに行っている。
ちょうど今は、ミミちゃんとトラちゃんとココちゃんとミルクちゃんはお風呂に入っている。
家のお風呂場は一般家庭のよりちょっとだけ大きい。
僕はちょっと前にレオと一緒にお風呂に入った。
ちなみに、レオに尻尾を洗ってと頼まれたからお風呂のときに洗ってあげた。
やっぱり濡れると尻尾はみすぼらしくなり細くなる。
尻尾をしごくように手で洗ってあげた。
頭の洗いっこもしたし… 普段僕の家は女子ばっかり。男の子と一緒だとお風呂も一緒に入ることができる。久しぶりに誰かと一緒に入った。
ネコミミ娘達がお風呂からあがり、にぎやかになった。
「こら。体を拭かないと…」ちびっこを追いかけるミミちゃん。ミミちゃんはすっかりお姉さんだ。ココちゃんは年のわりに大人なんだけど、ミミちゃんと比べると子供だ。
「じゃあ。一緒にお風呂はいろっか」ララちゃんとララお姉さん。同一人物なんだけど、かなり年齢が離れているから実の姉妹のように感じているんだろうか。お風呂場へと二人で行った。
「おばあちゃん? お風呂は後で入るの?」僕は念のためおばあちゃんに聞いた。
「先にすませちゃったのよ。お風呂掃除をした後に…
寝床の用意をするわね。お布団を使っていない部屋の押し入れから出さないと…
それにララお姉さんも止まりに来るのは予想していなかったからね…」
「あ。それなんだけど。ララお姉さんは僕の部屋で寝るって言ってた。ララちゃんも一緒」
「あら。そうかい。じゃあララちゃん達の布団はお願いするわね…」
おばあちゃんは、ネコ柄の枕カバーを探しに行った。




