ミミアの妹とパンツ
ボスは、椅子に座ったままうめいていた。
ミミアはものすごく怒っていて、ボスは腹を殴られ、頭をハリセンで100発叩かれ、プロレス技をかけられた。
プロレス技は、過去の地球の映像を見たらしく、かなり痛かった。
そのとき、円の光が床に表れて猫が現れた。
「おお。戻ったか…」ボスは言った。
☆☆☆
2037年。ユキ君達の時代。
一匹の猫が円の光とともに現れた。そしてぼろアパートに向かう。
「おお。来たか… 物は持ってきたか?」一人の男性。猫を家の中に入れる。
猫の首のところの物入れから2つ。丸いプラスティックのわっかとUSBメモリを手にした。
丸いプラスティックのわっかには、磁気テープが巻いてある。
男の人は非常に古いテープレコーダを取り出した。プラスティックのわっかは直径6センチぐらい。
テープレコーダーのPlayボタンを押した。
「おはよう。フェルプス君。今日は…」とテープレコーダーから音が再生された。
名前は違うが、ミッションを伝えるときのマスターからの命令はいつもこれから始まる。
「今日のミッションは、USBメモリに入っている動画を大手動画サイトにアップロードして全世界に公開することにある。USBメモリのパスワードはこの音声の最後に入っている。
さて、USBメモリの動画をアップロードした後に、君にはいくつかの情報操作を行ってもらいたい…
その操作とは…」
テープの再生音が続く。
「さて。以上だ。例によって君。もしくは君の関係者が、我々と敵対する組織によって命を狙われても我々は責任をとらない…なお。このテープは自動的に消去される…USBメモリのパスワードは…」
ぼん。
パスワードを言う前に、テープは燃えだした。
「なんだよ…」
猫は床をタッチして言った。
「ちょっとタイミングが早かったかな…パスワードは1234だよ…」
「なんだよ。それ… そんなパスワード使うなよ…
じゃあアップロードして仕事を終わらせてしまうか…」
☆☆☆
「報酬のにぼしとかつおぶしくれ」タイムトラベラーの猫は言った。そして受け取ると未来へ戻っていった。
☆☆☆
「くっくっく。はっはっは。いまごろきっとあわててるぞ…」ボスは高笑いした。
さて、睡眠カプセル。ミアお姉さんのデータを取るはずだったが、ミミアのが手に入った。
睡眠カプセルを利用して身体データはいただいた。ミミアのデータはあれに利用するか…
ではさっそく手配しよう…
でもその前に…
ミミアの3Dデータ。部屋の巨大スクリーンに映し出す。ボスは手を操作して、後ろから、前から、横からというふうに、ミミアの3Dデータをいろいろな角度から表示させていた。
そして手をくるっと回して、ミミアの下からパンツが見えるように3Dデータを移動させる。
そして、ボタンを押した。服の第一層を消去。
「おお。ランジェリー姿になった。そして服の第二層を消去。はやめておくか。これ以上はさすがに…」
「さすがに…とは何でしょう…」後ろから女性の声が聞こえた。
「はぎゃあー」ボスは飛び上がった。
後ろを振り向くと、いつのまにかウサ耳のお姉さんがいた。
「ミ。なんだミミアの妹か…」はー。びっくりして心臓が飛び出すかと思った。
「この3Dデータはなんでしょう。お姉さまですね…しかもパンツを表示させている…」
ボスは慌てて映像を消した。「これはだな。3Dデータのテストをしていたのだ。きちんとデータとしてとれているか…」
「そうですか。さすがにミミアお姉さまからは、3Dデータを取るなと言われているので、消去しますね」
「ぐぁー。だめだ。せっかく3Dデータ化したのに…」
「お姉さまに言いますよ…」
「わかった。言うときっと殺される… じゃ消去していい」
「ぽちっと。はい消去できました。念のためバックアップも消去。
念のため元データも消去。
念のため検索中… あ。7つ見つかりました。これも消去ですね…」
「くそっ。見つからないように分散させておいたのに…」
「全部消えました。お姉さまには黙っておきます」
「そうか。ありがたい…」
「じゃあ。1000憶クレジットいただきます。すぐにご用意できますか?」
「1000憶クレジットおおぉぉぉ」ボスは叫んだ。
「冗談です。1000クレジットで…」
「なんだ。そんなもんか… ほれ…」ボスは1000クレジットの譲渡手続きをデバイスからやった。
「そういえば… パンツ見てましたね…」
「そ。そんなものは見ていないぞ…」
「追加で4000クレジットで…」
「ぐ。そのぐらいなら…」
ミミアの妹は、さらに「パンツはお好きなのですか?」と聞いてきた。
「な。何を言っているのだ…」
「もしよかったら。あたしのをあげましょうか。ここで脱いでいきますので…
お代は5000万クレジットで…」
「高い。5000クレジットでどうだ」
「いいでしょう。では」
ミミアの妹は、本当にパンツをぬいだ。
「おい…」部屋を後にするミミアの妹。
本当に脱いでいくとは思ってなかった。
「お代は後でいただきに来ますので…」と言い残し、ミミアの妹は出て行ってしまった。
ボスは、パンツを手にとった。ちょっと生あったかかった。
☆☆☆
ぱんつのちょっと後、ドアが開いてミミアが入ってきた。
「ひぎゃぁ。ミミアか。ど。どうしたのだ…」ボスはとびあがった。
「いや。妹がこっちに来なかったかと思って… えーとその手に持っているのは何?」
ミミアはボスが手にしている布を見る。
「え。あ。あ。えーと。これはだな。そのだな。さっきそこの廊下に落ちていたのだ…」
さりげなく、パンツを丸めてミミアに渡す。
「これは何ですか?」
「さあ。わからん。ああ。そうだ。ミミアの妹はちょっと前にこの部屋の前を歩いていたぞ…
さっき、お前を探していたな… 急いでいるみたいだった。ほれ、妹さんが待っているぞ…」
ボスは、ミミアに部屋を出ていくようにせかす。
「そうですか。わかりました。あと、あたしは有休を3日取りますので…
この間のことでちょっと疲れたので、息抜きに行ってきます」
「おお。そうか。すまなかったな。ミアとミミアが入れ替わっているとは思ってなかったのでな…」
「じゃあこれで…」
「じゃあな。ほら。行った行った」
ボスはミミアの背中を押して、廊下まで見送った。
ミミアが部屋から出ると、急いで部屋の入り口をロックする。
「何これ。パンツじゃない…」という声が廊下から聞こえてきた。
「次にミミアに会ったら殺されるな」ボスはため息をついた。
ミミアに渡さずに隠しておけばよかったのか。
☆☆☆
ユキは暇つぶしに動画大手サイトをスマホで表示させていた。そして今日の急上昇人気動画に、見覚えのあるものがあった。
魔法少女。うさ耳の子が変身して魔法少女になっている。そして白い猫。これって僕?そして、動画を早送りすると、ミアお姉さん。たしか入れ替わっていてミミアお姉さんなんだけど、ランジェリー姿になってるのが写っていた。
☆☆☆
「にゃんなのよ。これ。あのときのじゃない…
だれか動画をとっていて、アップロードしたの?」
ミミちゃんが、僕の部屋のドアを足で蹴って入ってきた。
「あ。僕も今見たところ。誰なんだろう…」
「消しなさいよ…」
「いやぁ。僕じゃないし…」
ラミちゃんや、ミアお姉さんは気が付いてないみたいだった。
ミアお姉さんが見たら、きっとおそろしいことになる。本人は出てないが、そっくりなミミアお姉さんが出ているんだもの。かんかんになる。
床に円の光が現れた。
「やっほーユキ君」ララお姉さんが来た。
すぐにユキ君の背後にまわって、抱きついてきた。
「ララお姉さん…」
「あのね。あたしは今。中身は別なの。神系のララよ…」
小声で言うララお姉さん。あ。えーと覚えている。
抱きついてくるララお姉さん。胸のふくらみが背中に当たる。そしてお酒っぽいにおい。
「どうしたの…」
「うーんとね。困っているようね。あたしの力で動画は消すことができるんだけど。どうする?」
「あー。じゃあ。お願いしようかな」
「じゃあ。わかった。対処するわね…でねこれをあなたに渡しておくわね。必要なときに使ってね…」
ララお姉さんは、僕に何かを手渡して、最後にぎゅっとしてから、床に円の光を残して消えていった。
☆☆☆
その日の夜。動画は消えていた。動画に使われていた曲が著作権のあるものだったみたいで、違反により消されたのであった。
☆☆☆
週末の土曜日。
「やーやーやー。迷惑をかけたね…」キラが僕の家に訪問してきた。
午後になってからだけど、あるところに招待したいという。
「何? また面倒に巻き込むの?」ラミちゃんは言う。
「いやいや、これだよ。コンサート。クラシックのだけど大序曲1812年というのだけど…」
ただのコンサートではない。西暦3812年で実施されるコンサート。
宇宙のある場所で開催される。
超新星爆発があるらしい。
もともとの大序曲1812年という曲は、チャイコフスキー作曲のもので、ナポレオンのロシア遠征とも関係がある曲。
クライマックスに大砲が鳴る。1900年代とか2000年代とか、いくつかコンサートが開かれているが、自衛隊の演奏では本物の空砲の大砲が使われることもある。
建物の中の演奏では大太鼓が大砲のかわりに使われる。15分ほどの曲である。
「クラシックね」ミミちゃんは言う。たまに聞くけど…
「大丈夫だよ。僕が好きな時空間座標なんだ。三回目かな僕が参加するのは…
何回か同じ時間にTMRで移動して、別々の場所で聞いているんだ。
クライマックスの太鼓での大砲を模倣した箇所でちょうど超新星爆発があるんだ。
背景の映像にぴかっと光るんだよ。
その後、超新星爆発の影響範囲内に設置されたリアルタイムカメラからの映像も表示されるんだ。
それが迫力があって、曲とマッチしているんだ。ぜひ見てもらいたい。というか曲も聞いてもらいたいんだよ…
で、かなり人気でチケットは超金持ちぐらいしか手に入らない…僕はアルバイトをしていたこともあって、チケットを持っているのさ…どうだい。有料だと日本円に換算して12憶円だよ…1枚」
「12憶…」
「12憶って」
「まあ。世界には金もちはいるよ。惑星1つから貴重な鉱物資源をいっぱい得て、商売している人とか、惑星上にある今は失われたロストテクノロジーの遺跡が見つかって、そこの科学力を解析して、自分で技術力を得て、品物の開発をしている人もいるみたいだし…
って、そうだ忘れていたよ。ニンジンの鉢植えが届いたんだ…」
キラは鉢植えをいくつか取り出した。
「それって。あの。一瞬でニンジンが育つっていう…」
「そうだよ…」
それを聞いて、ラミちゃんは上機嫌となった。ラミちゃんの耳が左右に踊っているように動く。
ニンジンの鉢植えを3個持っているキラ。
ラミちゃんが手を伸ばすと、キラは鉢植えを持っている手をひっこめた。
「どう? みんなで行くかな?」
「行くわ。行くに決まっているでしょう…」ラミちゃんは言った後に、鉢植えに手を伸ばした。




