カザー星系の悪だくみと魔法少女(1)
カザー星系の人口衛星。ここでボスが地球にたいしての計画を実行しようとしていた。
「よし準備ができた。お前。アルバイトの人に連絡して、ターゲットをあの場所へ連れていけ…」
「は! おおせのままに…」
部下が敬礼をして。かっと靴をならして出て行った。
「よし。やるか…」ボスはひげを手でさわった。
☆☆☆
「ララちゃん。ギンちゃん。シロちゃんいる?」キラはちびっこ3人組をさがしに、公園へと足を運んだ。
「おーい。ちびっこ達…」キラは、3人に声をかけた。
「あ。キラお姉さん」
「キラか」
「キラちゃん」
ジャングルジムの中から、それぞれキラを見て、挨拶する。
「ねえ。今から面白いことしない?
君たち。土曜日の朝やっているテレビ番組見てるかな?」
「うん。みてるー。まほー少女がでてくるやつでしょ」
「見てるのじゃ。わしは巫女が好きだな」
「私は。てんしー。羽の子」
「そうか。そうか。じゃあ。ぴったりのがあるんだけど…」キラは3人娘たちにイベントに参加しないかと言い、自動ドアを壁にあけて連れていくことにした。
「ふう。ちびっこ3人は終わり。次は。ララちゃん。ミミちゃん。ユキ君かな。
その後は、ヒメルとみのる。ミアお姉さんだね」キラはユキ君の家に向かった。
☆☆☆
『宇宙。それは最後のフロンティア』や『宇宙。それは人類に残された最後の開拓地である』で始まる映画や海外ドラマもある中。西暦2230年代の宇宙は身近なものとなっていた。
とある星系の衛星軌道上でイベントが開かれていた。展示会だ。
「やあ。おまたせ… みんなそろったね…」キラはみんなを見回す。
ちびっこ3人組であるララちゃん。シロちゃん。ギンちゃん。
それぞれけもの耳っ子の幼稚園児。
そして、ミミちゃん。ラミちゃん。ユキ君の中学生コンビ。
ユキ君の他はネコミミとうさ耳少女だ。
そして最後にヒメル。みのる。ミアお姉さん。こっちは高校生以上コンビ。
トリのハーフとうさ耳ガール、それと人間の男子高校生。
「僕がアルバイトをしているこの展示会なんだけど、ゲストを呼んでいいというチケットをもらったんだ。今日は一般開放の日の2日前なんだけど、自由に見てまわっていいよ。
それと、もし気が付いたところがあれば言ってくれるといい。運営の人に報告をするから…」
キラはいくつかアルバイトをしているらしい。僕たちの時代での他に、未来でもアルバイトをしている。なんでも暇つぶしなんだとか。
未来世界でのちょっと未来の製品を紹介。まだ開発中だったり、研究中だったりするものを一般におひろめする。
一般公開の前なので、人はまばら…
僕たちが知っている知的生命は地球人とハーフの子。それとカザー星系の人とマトラ星系の人ぐらい。あとは昔からかなり未来まで続く一企業の関係者。狐耳の人のような容姿のTMRデバイスやTSIデバイスを管理している人達ぐらいか。こちらは未来でララちゃんが見ている。ララお姉さんから聞いた人達だ。
廊下を小型犬ぐらいの大きさの人が歩いている。二足歩行しているが、たまに尻尾を地面につけて3本足で休んでいる。異星人だ。
ほかには、腕がなく。尻尾のように長いものをお尻から生やしている人達。ただし尻尾は5本ある。それを手のように使っている人達。体の大きさは人間ぐらい。
「ほら。あぶないよ…」
尻尾がユキの胴体にまきつく。そしてミミちゃんの体のほうに引き寄せられる。後ろから丸い大きなボールみたいなものが、かなりの速さで2つ転がってきた。直径70cmぐらいはありそう。あっというまにずいぶん先のほうまで転がって行ってしまった。
「あれ。なに?」
「ああ。あれは。エレーナ星系の人達だよ… 移動するときは転がるんだ…」キラが解説してくれる。
「ふーん」僕は見た。たしかに転がったほうがはやいかも。
「ぎゃ。何あれ…」ぎゅっとユキの手を握るだれか。
ラミちゃんだ。
ラミちゃんは耳を動かして、右のほうに耳を向けて、そっちを見てみてを言う。
「う" こわっ」
かなり、鬼の形相というか、悪魔というか、かなり怖い顔の異星人が歩いていた。
「あー。ライア星系の人ね。はるばると、ここまで来ているんだね。
ちなみに… カザー星系の前の親玉はライア星系のある事業所に移動させられたみたい…
あんな人達を相手に、商談とか交渉をするの…」
キラはユキ君とラミちゃんに説明をする。
「怖っ。あたしなら耐えられない。2秒と見ることはできないわね…」
見ているだけで、怖くて体ががたがたと震えてくる形相。
「内面は、意外にやさしいのよ… 怒ったらあの10倍は怖いけど…」
「そーにゃんだ…」ミミちゃんはライア星系の人を見ないように前を向いた。
☆☆☆
とある展示物の前。
「こ。これすごくいい。ほしい」
ラミちゃんは、鉢植えのようなものを前につぶやいた。
となりにミアお姉さん。
種を土の中にうめてから、スイッチを押す。
ぴょこ。と芽を出し。あっというまに収穫可能となる。
「その容姿からすると地球の方ですか?
お客様。ニンジンの生育にいかがですか?」
係員の人の言葉を聞いて、ラミちゃんは、鼻息を荒くして聞いた。
「これ。何回でも使える? 肥料とか水とか、数回しか使えないとか…」
係員の人は言った「そんなことはありません。この小さい袋に入っている肥料だけですよ。
鉢の色が赤くなったら、肥料をひとさじ加えればいいのです。これ一つで一生分は使えるでしょう」
「一生分…」
ラミちゃんは、うるうるした目でキラを見る。
「あー。これ長距離の個人用航行船用だね。未来でなんだけどね。きみ達のようなうさ耳の子に対して爆発的なヒットを出した製品になるんだよ…
そうだ。ラミちゃんかミアお姉さん?。改良点はない?」
「うーん。そうね。小さい袋の肥料。肥料の配合成分をいろいろ変えて、ニンジンの味にバリエーションをだせるようにしたら?
土を入れ替えて、肥料も入れ替えたら味が変わるの…」
「おー。それいいですね。ちょっとの改良で。作れるでしょう。ありがとうございます。
完成したら、サンプルを送りたいのですが…
住所はどこになりますか?」
「あー。えーと。それはね。ここに送ってくれるかな」
キラはTMRデバイスを係員の人に見せた。
「おー。これはずいぶん高価なTMRデバイスをお持ちですね。しかもバージョンは未来のもの…
わかりました。キラ様がお使いのボックスに配達するように手配しましょう。ここに配達されたらあなたに通知がいきますので、未来や過去どの時間帯にでも荷物を受け取れます」
「ありがとう」
「うわぁ。すごいたのしみー。鉢植えが配達されたらすぐにあたしのところに届けてね。すぐね」
「うん。わかったよ…」
「あー。そうだ。2つでなくて。えーと複数ほしい…」
「わかりました。ヒット商品の売れ行きの数によって、後日追加で発送しましょう…」
「うん。絶対ヒットするから…」
☆☆☆
しばらくいろいろな展示物を見てまわる。
地球人には全く使い道のわからないものがいくつかあった。
バスケットボールぐらいの玉が3つ。空中に浮かんでいるだけ。それとスイッチ。
ユキには全く使い方がわからなかった。
「あ。これひょっとして…」ヒメルは3つの玉の中央に頭が来るように移動してスイッチを押す。
「あ。あ。あ。あ。あ。あ"。いい。いいこれ…」
ヒメルは、回転する玉に自分の頭をおしつけて、なでなでモードになっていた。
「これは。マトラ星系の人が発案したものですよ。前は玉が1つだったのですが。3つに増やしたのですよ…」
「そんなにいいのか。これ」みのるお兄さんが言う。
「これ。すごいよ…
みのるお兄さんになでなでをしてもらっているのに、匹敵するぐらい。いい。あ"。あ"。あ"。あ"。あ"」
かなりお気に入りのようだ。
☆☆☆
しばらく、展示物がない廊下を歩く。矢印が床に書いてある。たまに右に廊下が伸びている。
そこは立ち入り禁止になっていた。
いちばん後ろをミアお姉さんが歩いている。
ちょっと離れた所をララちゃんが歩いている。
「あのねー。えーとね。たとえばねー。
「あれ? ミアお姉さんは?」
ミミちゃんは後ろを見る。後ろにいたはずのミアお姉さんがいない。
どこ行ったんだろう。
「ぼーっとしていたら、廊下を曲がるはずが、まっすぐ行っちゃったのよ…」
ミアお姉さんが廊下から出てきた。
「迷子になったかと思った。年上のお姉さんなのに…」
「ごめんね…」
☆☆☆
しばらく歩き、とある部屋に到着する。
「ここは。睡眠カプセルの展示だよ…」
この部屋には人が一人ずつ入ることができるカプセルのようなものが床に設置してある。
今の形状はマッサージチェアみたいなもの。左右に観音開き型の屋根のようなものがついている。
「なにこれー。すごいふかふか」
「本当なのじゃ」
「本当だ。ヒメルの頭ぐらいふかふか」みのるお兄さんは言う。
「あたしの生きた羽毛よりいいの?」ヒメルはみのるを見上げて言う。「そうだな。ヒメルが一番だぞ…」
「まあ。そうね。一番ね…」
みのるお兄さんとヒメル。いつも一緒で仲がいい。きっといつもくっついているんだろう。
「2時間の睡眠カプセルの体験ができるよ… 時間はまだたっぷりあるから…
試すといいよ。僕はこれからアルバイトなんだ。2時間したら戻ってくるから…」
「うん。わかったー」
キラはいったんみんなと別れた。
☆☆☆
それぞれ。睡眠カプセルの中に入り、ボタンを押した。
ちょうどそのころ、カザー星系のボスのところへ連絡が入った。
「よし。部屋を切り離せ。航行モードにして、この離れの衛星に連れてくるのだ。ドッキングしたら知らせろ」
「は!」
部下は下がった。
☆☆☆
睡眠カプセルが一斉に開く。
中からユキ君達が出てきた。
「ねえ。もう2時間たったの?」
「え。もう?」
「はやいわね…」
「って。ここどこよ…」
睡眠カプセルから出たら、そこは最初の部屋ではなかった。謁見の間みたいな。少し広くて天井が高い部屋。
「ふ。はっはっは。よく来たな。地球のゴミどもめ…」
部屋のちょっと位置が高くなった祭壇に男の人が姿を現した。
「あんただれよ…」ラミちゃんが言う。
ミアお姉さんは「あなた。見たことがあるわ。カザー星系のボスでしょ」
「いかにも…」
「お。初めて見るな。ミアよ。おまえ本当にミミアではないのか。そっくりだな…」ボスがミアに問う。
「そうよ。あたしがミアよ… あたしたちに何の用なの?あたしたちは、展示会の場所にいたはずでしょ…」ミアはどんを床に足を下す。どすんと音がする。結構怒っている。
「まあ。そうだ。あの睡眠カプセルは我々が開発したものだ。部屋をちょっと細工しておいたのだ。
切り離したのだよ。そしてここに連れてきてカプセルを開けた。
お前たちには、これからある所で戦ってもらう。場所は用意した。
これから転送する…
くっくっく。お前たちは思い知るだろう…
ではな」
ふっ。と男の人は消えた。
部屋の中がだんだん暗くなってくる。
「え。何」
「なにこれー」
「みのる!」ヒメルはみのるの腕に抱きつく。
☆☆☆
「あれ?」
一気に明るくなった。地面は土。明るい昼間。太陽…
みんなあたりを見回した。たしか宇宙にいたはず…
まわりは土の地面。草も生えていない。ちょっと遠くには小高い丘があり、その向こうには古びた高層ビル。高層ビルは崩れかけているのもある。もっと遠くには山。そらには白い雲。地球のどこかのようだ。
ぶん。と映像が現れた。さっきのボス。
「ふん。私だ。私は見てわかるように映像だけだ。
さて、説明しよう…
ここは地球を摸したある場所だ。ここで君たちは『魔法少女』に変身してある動物と戦ってもらう、負けたら。そうだな。地球から立ち退いてもらう…
説明は動画を見るように…」
一方的に言って、動画を見るように促した。
宇宙標準歴23157年。我々カザー星系の一企業であるカザー企業団体は、ある計画を立案した。
それは宇宙一長い直線を持つ航行路。マトラ星系の企業も宇宙一長い直線を持つ長連客船用航行道路の記録を持っていたが、それを超える直線の航行路の建設を始めた。
あるところまで建設が終了。その先には太陽系の第3惑星が航行路の位置にひっかかることが分かった。一方の逆の端にもミリィ星系があり、第2惑星が航行路の位置にひっかかることがわかった。
我々は、ミリィ星系の第2惑星に住んでいる住人に立ち退き要求をだした。
住人は快く第2惑星を明け渡すことを決めた。惑星の各所に自動ドアを設置するための場所を作り、住民達は、長距離移動用の自動ドアをくぐり、カザー星系が用意した近隣の惑星の衛星軌道上に存在する、住居用衛星に次々と移住していく様子が動画で流れた。
またミリィ星系の人達は労働を求めてカザー星系の建設業を担当している部署に20億人が応募をしてきた。我々は彼らのことを雇った。そして労働の場を作った。
*ミリィ星系の人達が建築業をしている様子が映し出される*
「というわけだ。だから。地球人も地球を明け渡すのだ」
「何言っているの。このおっさん」
「ひげー」
「ひげおやじー」
「その制服かっこ悪い…」
ちびっこ3人組もボスの悪口を言う。
「ぐぬぬ。この制服を笑うとは。おのれ…
まあ。良い。そこのテーブルの上に、幼稚園児用。中学生組用。高校生組以上用の君たちにあうものを用意した。それぞれ使って我々が用意した動物を消すのだ。
消すためには、動物の身体についているボタンを3つ同時に押してもらう…
くっくっく。消せるかな」
ボスの映像は消えた。
そのあとに、使用方法とルールを記載した動画が映し出される。
ステッキが9個。それはおもちゃ売り場で見かける。魔法少女が使うステッキと似ているものだった。
~ルール~
1.近い年齢のものたち3人でグループとなり、協力して動物を消すこと
2.別のグループのものを助けてはならない
3.倒せなかったら、グループは交代してもよい
4.それぞれのグループは1回だけ動ける
5.反則やずるは負けとみなす。TMRデバイスは使わないこと
7.負けたら地球を明け渡すこと
8.命乞いをするなら早めに言うこと
9.必ず考えれば動物は消せるようになっている、ゴミのような脳みそで考えよ
とあった。
「ねえ。みのるお兄さんどうしよう…」ユキは年上の頼りになるはずのみのるお兄さんを見た。
「やるしかないんじゃないの」
「何よ。あのあごひげじじい」
「ねえ。ユキ君。ごみだって」
「やるわよ…」
それぞれ言った。




