ララお姉さんのTMR
あたしララは家で遊んでいたときだった。
床に丸い円が現れてネコが実現した。
見たことがない猫。灰色と黒のしましまもよう。
「あなたもみらいからきたの?」ララは猫に言った。
しましまのネコは。床をタッチして言った「そうじゃ。未来から来た。ちょっと仕事でな」
その後、きゃん。きゃんと咳をするしましま猫。
「大丈夫?」ララちゃんが心配をして、しましま猫に聞く。
「大丈夫じゃ。少し体が悪くての… 年よりじゃから」床をタッチして言う。
「たしかにねー。クロと毛並みが違う。硬くてごわごわ。少し白いところも混じっているし…」
ララちゃんはしましま猫の背中をなでながら言う。
「それは白髪じゃ… 猫も年をとると、白髪が出てくるのじゃ」
「そうなんだー。じゃあ。あたしは? もともと白いよ」とララちゃんは自分の腕を見ながら言う。
「おまえさんは。白うさぎじゃからな。どうなるんだろう。わしにはわからんな…」
床をタッチしてララちゃんと会話した後に、きゃん。きゃんとまた咳をする。
「3日ほど。ここをねぐらにしていいじゃろうか…」と猫が言い、ララは「うん。いいよ…」と返した。
☆☆☆
その次の日。きゃんきゃんとまた猫が咳をして… どてっと倒れた。
「おじいちゃん」ララはおじいちゃん猫をおじいちゃんと呼んでいた。
床をタッチして言った…「すまぬが。緊急じゃ。わしの手を床にタッチしてくれんかの…ちょっと右のほうじゃ…」
「大丈夫? 苦しい?」
「ちょっと苦しいが大丈夫じゃ…転送するぞ… お前さんも来てくれんかの…」と床をタッチして言った。
床に丸い円の光。
「これから緊急シーケンスを開始します。転送者は準備をしてください…」
という声が流れる。
ララとおじいちゃん猫は消えた。
☆☆☆
場所が変わってた。
「ここは…」
また、猫はきゃんきゃんと咳をする。
「すまぬが… あそこの棚から薬を取って、皿にあけてくれんかの…」おじいちゃん猫が床にタッチして言う。
「うん。これー?」
「そうじゃ…」
「はい。おくすり…」ララは容器に薬をあけてあげた。
猫はぺろっと。薬をなめてから、水を飲んだ。
ララは猫を見ながら待ってた。
「だいぶ。楽になったのじゃ…」床に座ったままおじいちゃん猫は床にタッチして言う。
「ここは未来じゃ。未来のカザー星系のミミアの部屋じゃ…
ある任務でお前さんたちの時代に来ていたが…もう年じゃ。
引退することにする。そこでじゃ。わしのTMRをもらってくれんかの…
さっきバージョン表示が変わっての…
末尾が0になったのじゃ。これは特別なバージョンのTMRになったのじゃ。
将来きっとおまえさんの役に立つだろう…
狐耳のお姉さんに会ったらアップグレードしてもらえるのじゃ…」
とさっきよりは楽な感じで、猫はララに言った。
「そーなの?」
「そうじゃ。これをつけてタッチすると元の世界の時間に帰れるぞ。で。時が来るまでTMRを持っているのじゃ…」とおじいちゃん猫。
「で。おじいちゃんは大丈夫?」
「そうじゃな。薬のおかげでおちついたのじゃ…」床をタッチして言う。
「じゃあ。かえるー。元気でね。おじいちゃん」ララはTMRをタッチする。床に円の光が出てララは消えた。
☆☆☆
「ねー。クロ。あのね。さっきね。おじいちゃんとあったのー」ララは無邪気な感じで、ミアお姉さんのところに来ていたクロに言った。
「なんだ。おじいちゃん? お前のおじいさんか?」クロは床をタッチして言った。
「ちがうよー。ねこー。猫のおじいちゃん。未来から来たって…ミミアの猫っぽい…」
「そうなのか…大丈夫だったか?」ミミアの猫。敵だよな。とクロはララちゃんを見た。
「大丈夫ー。そのおじいちゃん。『きゃんきゃん』て苦しそうに咳をしてたの。
その後、どてっと床に倒れて、きんきゅうシーケンスをかいしとかって音が聞こえて…」
「うん。だいたい。わかった」クロは床をタッチして言い始めた。
どうやら猫のタイムトラベラーの身に何かあった時に5歳ぐらいの子供なら一緒に転送ができるということを説明した。座標がずれる可能性があるので危険なんだけど、緊急時だからしょうがない。
「ララは。そのおじいちゃんから、TMRをゆずりうけたんだね?」とクロ。
「そうー。もらったのー」ララちゃんは猫用のTMRを手首につけていた。
「将来使うときまで持っているんだ」とクロが言う。
「おじいちゃんにも言われたー」とララはクロをなでながら言う。
☆☆☆
ララ12歳の時代。
公園で遊んでいたララのところに、狐耳の女性の人が近づいてきた。
「ねえ。あなたララちゃん?」
女の人が聞いてきた。「うん。あたしララ。おばさんは?」
「おばさんではないのよ… お姉さんよ…」とララちゃんの頭をなでながらお姉さんは言う。
「うん。お姉さん」ララちゃんは訂正した。
「ララちゃんは、猫さんから譲り受けたTMRデバイスを持っているわよね… あたしに見せてくれる?」
「えーとね。持ってる。何で知っているの? お姉さんは誰?」ララちゃんは無邪気に聞く。
「あたしはねぇ。TMRデバイスを管理している人よ… やっぱり。
バージョンの末尾が0ね…ちょうどいいわ…」
ララちゃんのTMRを受け取って、女の人が持っている本の最初のページに挟む。
「アップグレードをするわね… ちょっと待っててね…」
少し待っていると、TMRデバイスが本の最終ページに移動していた。
「はい。終わった。ララちゃんはまだ小さいから、10年後に使えるようにロックしておくわね…」
「えー。小さくないよ…身長は158cmだよ」
お姉さんは、くふっと笑ってから、ララちゃんの頭をぽんとなでる。
「身長じゃないわよ…年齢よ…」
ララは成長していて、クラスで一番身長が高くなっていた。それに胸もふくらんできた。
☆☆☆
時が流れ、ララが22歳になったある日。
公園のベンチで、ファーストフード店で買ってきたパンを食べていたララお姉さん。
「こんにちは。元気?」10年前に会ったおねえさんが声をかけてきた。
「えーと確か…TMRのお姉さん?」記憶をたよりに、ララは言う。
「そうよ。あなたすっごく大きくなったわね…」
「身長は175cmあるの…」ララはお姉さんに言う。すっかりお姉さんと身長は逆転してしまった。
「そう。あなた22歳?TMRは持っている?」
「うん。22歳になったの。それとTMRを持ってる。二の腕にはめているわよ…」
「じゃあ。機能アップグレード作業と。アクティベート作業をするわね…」
とお姉さんに言われ、ララはTMRを外す。
お姉さんは。本を使って機能アップグレード作業をする。
お姉さんの通信デバイスから音が鳴った。
「ちょっと待っててね」
お姉さんは席をはずし、通話をする。
☆☆☆
「ねえ。ララちゃん? アルバイトをする気はない?」
「アルバイト?」
「そう… あたしね。退職することにさっき決めたの…
子供ができたの。さっきのはその電話だった」
お腹が大きくなっているとかではない。きっとDNAパターン交配かな。
「おめでと。良かったわね…」
その後お姉さんのオフィスまで移動し契約書を書いた。
「あなたの未来や過去のことを調べてみたけど問題ないみたいね…
TMRの機能を管理者用のものにしておいたしバージョンは0210。
黄色表示だから20000台よ。あなたの友達のTMRを管理するのよ…」
「管理って何」
「タッチしてTMRをサーチしてみて。表示がでてくるわよ…」
「あ。本当だ。矢印が数本。矢印の先に持ち主の名前が出てる。
これはクロの?
ちょうど今日はクロが未来から来ていた。
そしてこれはシロの?」
あと、地面を向いている矢印の先にキラの名前がある。
「このTMRから個々のTMRの機能を止めたり、テストデバイスに割り当てもできるのよ…
1年に一回。1時間TMRを含めるデバイスのメンテナンスが行われるの。そのときに使う機能も説明しておくわね…」
お姉さんからほぼ全部の説明を聞いたララちゃん。
「これであたしも自由に移動できるの?」
「そうね。過去8000年から未来8000年ぐらいまでね」
TMRは実体がない仮想インターフェースとなった。
☆☆☆
「んーん」ララちゃんは背伸びをして、腕を伸ばした。
「さて。過去にでも行ってこようかな…そうね。初めてミミアお姉さんが地球に遊びに来たのはいつだっけ? たしか日記に書いてあったような…」
その時期に合わせて、キラも来るはず…
ララは家で待っていると、キラが現れた。
「やっほ。ララ」
「あのね。あたしもTMR使えるようになったのよ…」
「そうなの。おめでと。ちょうどよかった、ユキ君が14歳のときの時代にミミアを連れて遊びに行くんだけど、あなたも来る?」
「うん。行く」
このあと、ユキ君はララと、ミミア、ミアお姉さんと交えて、もふられることになる。
これはララがTMRデバイスを得たときのお話し…
☆☆☆
ミミアは上司に呼ばれた。
「おお。よく来たな」
「あなたが。私の新しい上司ね…」
「うむ。そうだ…」
前の上司は仕事で失敗した責任をとるために、辺境の地域へ移動させられた。
新しい上司が決まるまで、ミミアは有給休暇をとって、旅行に行ってたのだった。
まえの『くそじじい』よりましみたい。気が難しそうな年配のおじさま。
上司は上着をはおった。軍服みたいなもの。いかにもすごく偉そうな人が来ている上着。
勲章みたいなものがずらりと胸のところに並んでいる。
「何それ…」
「やっぱりこれでないと。雰囲気がでないな。どうだ。とても偉そうだろう…」
「はいはい。そうですね。
そういえば。この会社に勲章がもらえるものってあったっけ?」
「いや。ないな。この勲章は安物だ…」
はあ。ミミアはため息をついた。
「なんだ。ばかにしているのか?」
「いえいえ。そんなことはないわ」
「まあ。いい。近いうちに計画を実行に移すことを考えている。まずは、そうだな…
地球のあの3人をターゲットに偵察してほしい」
「わかりました。報告は端末のほうを見ればわかるようにしておきますので…」
「うむ。では下がってよい」
「じゃあ。失礼します」
ミミアは部屋を出た。素敵な上司ではなさそうだ。変なことにならないといいけど…
☆☆☆
マトラ星系のある建物の一室。
「えーと報告があります。カザー星系の部署に新しいボスが着任したとのことです」
「そうか。そやつはどうなんだ…」
「えーとですね。前のボスよりは、できる人なんじゃないでしょうか…」
「そう… まあ。大丈夫でしょ。監視を続けるのよ…」
「わかりました」
何か行動があるとみえて、警戒することにした。




