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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
ここは異世界だけど日常に戻ったユキとキララ
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異世界のある星系へとっても変わった塩ラーメンを食べに行く話

「ねえ。今日は他の星系の他の世界へ塩ラーメン食べにいかない?」

 キララが言った。


「他の世界?」

 他の世界の意味。

 地球外ってことじゃないよね。他の星系の他の世界。


「えとね。異世界のララお姉さんから連絡があってね。未来にいるの。宇宙船を停泊させているところの近くで待ち合わせするの」


「そっか」

 わかった。


メンバーはだれかな。


☆☆☆


 いつものメンバーより少ない。

 ララちゃん。

シマ君。ミケア・ミレイちゃん。

だけである。

 ララお姉さんは来ていない。


 未来へ移動し、カフェに入るとララお姉さんが待っていた。

 うさ耳の色がちょっと違うから、前に会った異世界のララお姉さんである。


「あ。お久しぶり。元気してた?」

 ララお姉さんが立ち上がる。


「あ。なんか。ちょっとだけ細い」

 ララちゃんが言う。


「え? 何かな。あたしの体形?」

 言われて上機嫌になるララお姉さん。そのままララちゃんの頭をなでる。

「えとね。みらいのあたし。おかしたべてふとったみたい。5kg」


「そうなんだ。5kg ぐらい…ちょっと運動したら戻せるわよ」

 とララお姉さんが言う。


「みらいのあたしはそれ3回ぐらいいってる。たぶん15kgぐらいふえたのかも。でぶはいやといってるのにうんどーしないの」

 とララちゃんが言う。


「そっか。自分なんだから将来、自分が注意すればいいのよ」

 と言う。


「うん。そうなんだけど…じぶんなのかわかんない。いうこときかないし」

 幼稚園児のララちゃんが未来の自分に対して怒ってる。


「まあ。行きましょ」

 軽く飲み物を飲んでまっていたララお姉さん。


 TMRでキララの宇宙船へと行く。


☆☆☆


 ララお姉さんはキララの宇宙船のコンソール見せてと言ってきた。

「いいよ」

 キララはコンソールへ案内する。


 するとララお姉さんは自分のTMRをコンソールにかざしてTMRの中継器としてセットした。

「なにしてるの?」

 僕は背の高いうさ耳お姉さんの後ろからのぞきこんでみているので聞いてみた。


「えーとね。この宇宙船で異世界へ行くための準備してるの」


「へー」


 この宇宙船では異世界へ行けないから、設定してるらしい。


☆☆☆


 ごく普通に出発する。


 すこし地球から離れてから超高速航行へ。

 もっともTMRを利用して空間を飛ばしているだけ。

 それで光より早く動いてる。


 そのあと、異世界へと移動する。

ララお姉さんのTMRと連携することにより可能となる。


 見た目は何もかわらない。


 でも移動した。


 で、目的地。


 そとがすごく綺麗。

「なにあれー」

 まどのそばへかけていくララちゃん。


 背伸びする。


 ララお姉さんがララちゃんを抱っこしてあげる。

「ほんと綺麗」

「うん」


 2人は同一人物だが、異世界のララお姉さん。

 お耳の色が違うだけ、あとはそっくり。

 お母さんと子供。歳の離れた姉妹にも見える。


 僕もそとを見る。

 ほんとうに綺麗。


「ここはね。銀河で爆発があったところなの。あなた達の世界だと起きてないの。だからこの異世界でしか見られない風景」


「へー」


 そんなことあるんだ。


「人為的だけどね。すごく広範囲にわたって爆発があって…銀河もちりじりね」


「う。そうなんだ」 

 人為的ってすごく大規模だね。


「じゃあ星系の中へ移動しましょ」

 ララお姉さんが言う。


「うん」

 キララが宇宙船を動かす。


☆☆☆


 とある星系のとある惑星。

 この星系の名前は海の星系。

 惑星にも海が多い。大陸は少ない。


 上からみるとほとんどが海。

 その中で大きな大陸が1つ。

 オーストラリアより小さい。


 そこの大陸の真ん中ぐらいのところへ宇宙船で降りていく。


☆☆☆


 ごく普通のレストラン。


 宇宙船が高台に停まっている。


 キララは宇宙船を着陸させてみんなに行くよと言う。


 宇宙船から降りてみる。


 なんだろ。


 水のかおりというか水っぽい風がどこからか来る。


「あっちだよ」

 ララお姉さんが言う。


「うん」


 僕はララお姉さんのあとをついていく。

 キララは僕のあと。


 ミケア・ミレイちゃんとシマ君は僕のとなりぐらいを歩いている。


「わくわくするね。異世界のお食事って…地球にいるときは普段もそうなんだけどね」

「うん。たしかに」


「あ」

 キララが言った。


「なに」


「えーとね。シマ君。君は入れないや」


「え?」


「この世界のシマ君は全星系に指名手配されているよ。食い逃げでね」

 とキララが言う。


「えー」

「まじなの? ウソだったらひどいよ」

 ミケア・ミレイちゃんが言う。


「あ。えとね。もう時効だった」

 キララが言う。


「ねえ。ほんとなの?」

 僕は小声で聞く。


「えとね。いくつかの星系で指名手配はされていたけど…もう解除されたの」


「なんだ。すこしからかっただけね」


「キララちゃん。ひどいよ。同じきつねっ子なのに…ぐっすん。いじけてやる」

 シマ君が言う。


「ほーらほら。よーしよし。シマ君はいい子だからね。何か言われたらあたしがなんとかするよ」

 ミケア・ミレイちゃんが言う。


「うん」


 と話していると…「ほら。行くわよ」というララお姉さんの声。

 ちょっと遠くにエレベータが見える。


「あ。まって」


 急いでいく。


☆☆☆


 エレベーターは地下のほうへと降りている。


 ちん。


 音が鳴る。


 地球のエレベータと同じ。


 ドアが開く。


 廊下である。


 左側は壁。


 右側は大きなガラスばり。


 ガラスの向こうには崖と数々の大きな滝がある。


「うわ。すごい」

 ユキは窓のそばへ歩み寄る。


「ほんと」

「すごいね」

 ララお姉さんとララちゃんもユキの隣に来る。


 ものすごく大きな滝。


 滝が名所のレストランっぽいね。


「ねえ。この惑星でいちばん大きな滝なのかな」

「そうなのかもね」

 ミケア・ミレイちゃんとシマ君も隣に来る。


 僕は写真をとることにした。


 何枚かとってると、声がする。


「早く…こっち」

「はやく…こっち」

 いつのまにかララお姉さんとララちゃんがお店の入り口にいる。


「あ。うん行く」

 いつのまに移動したんだろう。


☆☆☆


 お店の中。

 みんなどんどん奥へと進んでいく。


 そのままテラスへと出る。


 どどど。


 遠くから滝の音がする。


 崖の真ん中に作られたレストラン。


 景色がすごかった。


 雄大。


 大きな滝が何本も見える。


 水量もすごい。


 テーブルに座る。

 僕と、キララ。ララお姉さんとララちゃん。


 違うテーブルにはシマ君とミケア・ミレイちゃん。


 キララはテーブルをタッチする。


 ここでも同じだね。共通インターフェース。


「あー。なにこれ。あたしこれにする」

 ミケア・ミレイちゃんが言う。


 横を見ると3Dで浮かんでるラーメンがある。

 2段になったラーメン。

「なにあれ。すごい」

 僕もテーブルをタッチして次のページをめくる。

 あ。ある。

 えーと。2段になった塩ラーメン。2種類の塩をブレンドせず下と上に分けました。

 上と下はつながっており食べているうちに下と上の塩がブレンドされます。

 当店おすすめの一品です。

 と書いてある。


「ねえ。キララ。僕もこの2段になってる塩ラーメンにしようと思うんだけど」

 どうやって食べるのかわからないところもある。


 下の段は普通。上の段から管がのびている。

 形はすごくかわっている。


「うん。私もそれにする」


「わたしはおこさまばーじょんのラーメン3段」

 小さめのラーメンどんぶりが3段になっている。


「3段。すごいね」

 大人用のものは3段はない。


 テーブルをタッチして選ぶ。


「あたしもこれにする。ねえ。あたしがお支払いするからね」

 ララお姉さんが言う。


「ららおねえさんいい子。あたしのお姉さんはおごってくれない」

 文句を言う。


「あはは。自分だからね」

 ユキは言う。


 テーブルをタッチして注文する。

 ついでに食後の飲み物とデザートも注文する。


☆☆☆


 ちょっと待ってると店員が運んできた。めずらしい。この星系の人?

 というか…

「お待たせしました。あの失礼ですが地球から来た日本のかたですか?」

「え?」

「うん」


「失礼いたしました。わたしのじいが日本出身ですので」

 と言ってくる。


「ああ。そうなんですね」

「へー。こんなところで会うとは」


 2段になった塩ラーメン。

 ララちゃん用の3段になった塩ラーメンが運ばれてくる。


 上下にラーメンどんぶりがあるけど上の段はドームのようなガラスで覆われている。

 下は普通。横のほうにくだがあり上とつながっている。

 コーヒーのサイフォンのような形に似てると言われれば似てる。


 レンゲもある。

 これ。ドンブリを持ち上げてスープを飲むようにはできていないように見える。


 みんなの分が来た。


「上のラーメンの塩はこの星系の隣の惑星でとれたものです。下のスープの塩はこの惑星のものです。風味が違いますので、食べすすめていくと、下のスープが無くなるにしたがって上のスープが流れ込んできます。下の麺を食べると上から流れてきますので」

 と言い失礼します。と言いながら戻っていく。


「おもしろそう」

「いただきまーす」

「いただくわね」

「うん。いただきます」

 みんな言う。


 ララちゃんはふーふしてる。

 お箸ではなくてフォークである。

 金属のではなくて木のスプーン。


 はむ。


 スープものむ。

「あ。おいしい」

「ほんと」


「ねえ。食べすすめるにしたがって味がかわっていくのかな。あたしのは醤油ベースの塩ラーメンが上にあるの」


「へー。それにしたんだ。僕のは2種類の塩ブレンド」

「あたしも」


 ラーメンは1人前のが二つではなくて小ぶりのが2つ。

 2つで一人前のようである。


 だからあまり時間をかけずに下の段を食べすすめることができる。

 あ。だんだん塩の風味がかわってきた。

 上の段のラーメンのおつゆから下に向かって流れて来てるようである。

「なんかかわってきた。面白いね」

 塩ラーメンが好きなキララ。

 これは食べたことがないと言う。


「うん」


「あたしは3だん。1段目は終わった。いま2だんめだと思う」

 2段目の麺がながれてきて下に入ったところだ。


 へーと見てる。

 するっとララちゃんが食べる。

「あ。ちがう。メンもちがう。ちょっとほそい」


 へー。違うのか。


 僕はちょっとずつ味変していくラーメンを食べてる。

 量は半分よりちょっとだけ多い。


 スープも飲む。麺も食べ終わるころ。

 上の段のラーメンがながれこんできた。

 そしてそこそこいっぱいになる。

下の段は6割。上の段は4割ぐらい。


 食べてみる。

「あ。麺が少しほそいね。おつゆのからみ方が違うね」


 キララも同じようなタイミングで上のラーメンが流れて来たところだ。


「どれどれ」

 キララも食べてみる。


 たしかにーちがう。と言った。


「うん。おいしいね」

 味変したラーメン。

 ミケア・ミレイちゃんのは醤油がちょっとベースになっている塩ラーメンになった。


 みんな食べてしまった。


 おつゆも飲んでしまった。


 デザートもたのんだっけ。


 器を引き上げて行った後、飲み物が先にとどく。


 そのあとデザート。軽めのものである。冷たいアイス。


 テーブルではなく、立って食べることにした。


「あ。ちべた」ミケア・ミレイちゃんが言う。


「うん」


 雄大な滝。崖の中腹。


 すごいところにあるレストランと2段。3段になっている塩ラーメン。


 食後。ゆっくりして、飲み物を飲みながら景色をお茶菓子にして…みてる。

 ちょっと小ぶりのアイスも良い。

 ラーメンで暑くなった体にいい。


 飲み物でほっとひといきをつきながら滝を見る。


 ふう。


☆☆☆


 エレベータであがり帰路につく。


「ラーメンおいしかった」

 ララちゃんが言う。


「あそこお気に入りの世界のお気に入りの星系なの」

 ララお姉さんが言う。


 宇宙船は元の僕達の世界へもどってきた。

 ついでに同じ場所へ行ってみる。


 宇宙の背景も違う。


 そしてあの星系はあるが、同じ場所にラーメン屋さんはなかった。

 ごく普通の観光名所と軽食のレストランだけ。

 アイスは同じものみたい。


「へー。違うんだね」

「ほんとだね」


「ラーメン屋さんになっているのはあの世界だけね。あの店員があそこに来たかの違いみたい。

元はこの世界と同じ軽食レストランだけだったの。何年前かしら。ラーメンも始めたの。

そのときねコーヒーのサイフォンを見て2段ラーメンを作ったんだっけ」


「へー」


 あの惑星。それと隣の惑星。両方とも海の星だが、海でとれるお塩は惑星それぞれ違いがある。

 お隣の惑星でもお塩の風味が違い、ラーメンにすると違うという。


 結構地球の日本出身の人いるんだね。

 きっと世界というかいろんな星系にラーメンがあるのも日本人が広めたんだろうね。


☆☆☆


 家へかえってきた。


 ララお姉さんとは未来で別れた。

 またねと言っていた。


「ねえ。なんでこの世界のララお姉さん来てないんだろう」

 いつもララちゃんの日記をみてくるのに…


 きっと異世界のララお姉さんがいたからなのかなと思った。

 体形がちょっと細いらしい。こっちの世界のララお姉さんはそれに比べるとちょっとだけ増えたみたいだし…


 さてとどうしようかな。

 ゆっくりする?


 僕は前に買ってきた粒子状の電子書籍を読むことにした。


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