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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
ここは異世界だけど日常に戻ったユキとキララ
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とある星系のとある惑星にハンバーグを食べに行く話

「ねえ。今日はお昼にハンバーグ食べにいかない?」

 キララが聞いてきた。


「ん? いいよ」

 僕はキララを見る。


「他の子にも声をかけてくるね」

 と言って出て行ってしまうキララ。


 スマホでもいいのにと思うけど…遠くから帰ってきたし、みんなに会いたいんだろう。


☆☆☆


 今日は土曜日。

 ミミちゃんとラミちゃん。ララお姉さんとララちゃん。

 それとみのるお兄さんとヒメルがメンバーである。


 今日は宇宙船を使わずTMRで直接移動する。


 僕がキララに行先を聞いてTMRの自動ドアを開ける。


 どこかの星系のショッピングモールである。


「ここはどこだ?」

 ヒメルが腕にくっついているがみのるお兄さんが言う。


「えーとね。とある星系のとある惑星のとある都市」


「なんだそれ」

 みのるお兄さんが言う。


 ユキはTMRを見る。

 場所が表示されているがキララの言ったとおりであった。

「ねえ。これって『とある』という名前の星系の『とある』という惑星の名前で、『とある』というメインの都市のこと?」

 と聞く。


「うん。そうだよ。日本語に翻訳されたらそうなるの」


「なんだまぎらわしい」


「いちど聞いたら忘れないわね。こんな星系あるのね」

 ヒメルが言う。


「そんなことよりごはん。腹減った」

 みのるお兄さんが言う。


「じゃあ行こうか」

 キララが先頭になって歩く。


 今日はハンバーグね。

 他の星系だから牛肉とは違うと思うんだけど…


☆☆☆


 ごく普通のお店に入る。


 タッチスクリーンが空中に浮いているのでキララがタッチして人数を入れると記号と色がベースの席を示す場所が表示された。

 タッチスクリーンはそのまま空中をうかんで移動していく。

 キララはその後をついていく。


 すると、テーブルにはもう料理が並んでいた。


「はい?」


「ねえ。本当にこの席? 間違ったんじゃないの?」

 ラミちゃんが言う。


「えーとね。席順はこれ」

 キララがタッチスクリーンを見せる。

 名前が書いてある。


 ララちゃん用のものはわかる。お子様用のものであった。

 でもね。注文していないんだし。


 僕はキララの隣に座る。

 みのるお兄さんもヒメルの横に座る。

 ミミちゃん、ラミちゃん。ララお姉さんも座る。


「あれ? あたしが食べたいと思っていたものなんだけど」

 ララお姉さんのにはハンバーグとスープ。ごはん。それと根菜が別皿に盛られている。


「ほんと」

 ラミちゃんもララお姉さんと同じようである。


「あら。あたしのも」

 ハンバーグとスープの代わりに魚介系のミニラーメンがついている。


 ユキとキララは同じもの。

 みのるお兄さんはユキと同じもの。

 ヒメルはお野菜が別皿で盛られている。


「ねえ。なんで?」

 ミミちゃんがキララに聞く。


「えーとね。種明かし。時間を使うの。未来から注文をとって到着時間に間に合うようにするの。食べ終わったらアンケートを書いて、過去に注文した品を伝えるの。別のが食べたいと思ったら別のね。

でも僕達はすべに食べたから過去の別世界の僕達なんだけど」


「へー」


 注文は未来でとられているのか。

 でもね。あ。でも…食べたいと思っていたものがすでに並んでいる。

 それでいて、あつあつ。ミミちゃんのは少し冷ましてある。


「いただきまーす」

「いただくわね」


 ナイフをハンバーグにいれると…じゅーと肉汁が出てくる。

 あつあつの鉄板に落ちてじゅーとなる。


「おおすげえ」

 みのるお兄さんが言い、はむっと食べる。


 僕も食べる。


 ミミちゃんはまずミニラーメンから食べる。

 ハンバーグは冷ましてあるとはいえ、まだあつあつだからだ。


「おいしー」

 ララちゃんが言う。


「ほんと。おいしい」

 ハンバーグと。別皿の根菜を交互に食べているララちゃんとララお姉さん。

 食べかたが同じ。

 もともと同じ人物だし…

 ららちゃんが外食したことを日記に書くと、ララお姉さんも日記を見て未来から過去に来る。

 どこに行くかはわかっているはずなんだけどね。


 ハンバーグはジューシーで肉汁が中に閉じ込められている。


「ねえ。この肉って何の肉? 変な肉とかじゃないよね」

 念のためにキララへ聞く。


「うん。いろいろあるよ。このお肉は地球の牛に近い生物のものだね」


「そっか」


「どおりで、地球のレストランで出てくるのと同じような肉の感触ね」

 ミミちゃんが言う。


「うん。体は大きくて2トン近くあるみたい」


「そうなんだ。でも。宇宙だと生物のお肉は食べなくて、合成のお肉とかじゃない?」

 ラミちゃんが根菜を食べながら言う。


「まあね。そういうところとか。自然のお肉を使うところとかあるよ」


「そうなんだ」


 僕はスープを飲む。

「あ。おいしい」

 なんのスープかわからないけど。


 キララも僕がスープを飲んだのを見てから飲む。

「ほんとおいしい。このスープの出汁とお塩がいいね。きっとこのお塩はこの惑星のだね。

この惑星のお塩は有名だから買っていくといいよ」

 キララがTMRを見ながら言う。


「そっか」

 ほんとおいしい。

 このスープ。

 それとハンバーグ。

 ジューシーだし。


「おいしい。はいみのる。お野菜も食べないとね」

 と言いながらお野菜をみのるお兄さんに食べさせようとしてるヒメル。


「お。ありがとな」

 と言い、はむっと食べる。


「いっぱいあるから」

 結構お野菜は大盛であった。

 でもみのるお兄さんにも分けてあげるのも見込んでだったのかな。


 ユキは思った。

 ちょっとだけハンバーグが少な目だったのだ。

 なんでだろ。 

 キララも同じである。

 他の子のハンバーグはちょっとだけ大きい。


 ユキとキララのハンバーグを食べ終わったころに、追加のハンバーグを運んできたロボットがいる。


「これ。追加の品です。シチュー入りのハンバーグです」

 2品をユキとキララの前に置く。


「え? そうなの?」

 確かに少な目だから小ぶりのハンバーグは食べることができる。

 シチュー入りのハンバーグ。聞いたことがない。

 入れ物も、かわっている。スープが入っているような感じの深いカップに小ぶりのハンバーグが入っている。


「食べてみよう。私も初めてみるよ。とりあえず切ってみるよ」

 キララがハンバーグを切る。

 結構まるみがあるハンバーグであったが…


 ユキもキララを見た後にハンバーグをナイフで切ってみる。

 中からシチューが出てくるよ。


 カップの中が半分ぐらいシチューで満たされた。

 結構入っているね。


 しかも湯気がたっているので熱そうだ。


「えーとね。ハンバーグをちょっと食べてからシチューを飲むんだって」

 キララがTMRを見ながら言う。


「そうなんだ」


 スプーンもついている。


 ハンバーグを小さく切ってから一口。そのままハンバーグの中に閉じ込められていたシチューも口に含む。

「うん。おいしい」


「ほんと」


 肉のうまみがとけこんだシチュー。


「ねえ。あたしにもちょうだい」

 ララちゃんが言う。


「いいよ。あーん」

 といい、小さく切ったハンバーグをスプーンに乗せて、シチューをすくってララちゃんのお口へ運ぶ。


「うん。おいしー」


「ねえ。あたしにも」

 おおきいララお姉さんも口をあけている。


「はい。じゃあわたしが」

 キララがララお姉さんに食べさせる。


「ん。おいしい。お肉のうまみがシチューにとけこんで最高ね。あたしはユキ君に食べさせてもらいたかったんだけど」

 と言うが…


「お姉さんは子供のときにユキ君に食べさせてもらったでしょ。だからいいの」

 とキララが言う。


 そうだね。同一人物だし。


☆☆☆


 食べた後、いつもと違うことがある。

 アンケートの記載と注文。


「僕はそのまま」

「わたしも」


「私も」ララお姉さんとララちゃんが言う。


「あたしはどうしようかな。ユキ君のが気になるけど…魚介のラーメンも捨てがたいのよね。いいわ。このままにする。次回ね」


「あたしも根菜を食べたらお腹いっぱい。次回」


 ヒメルとみのるお兄さんもそのまま同じである。


 満足した。


 でも面白いね。食べたあとに注文を過去に送るんだもん。


☆☆☆


 お昼ご飯を食べたあとは、ショッピングモールなのでお買い物にする。


「自由行動にしよう」

 みのるお兄さんが言う。

「そうしましょ」


「ねえ。共通マネーは?」

 ユキが聞く。


「あ。そっか」


 キララはTMRの宅配ボックスからカードを出す。

「これ。地球の円。換算で1万円入ってるからこのプリペイドカードでお支払いができるよ」


「お。さんきゅうな」

「ありがと」


 僕以外の子に配るキララ。


「じゃあ。1時間後にここで」

「行きましょ」


 うさ耳チームとネコミミのミミちゃんは一緒の方向へ去って行く。


 ヒメルとみのるお兄さんも同じ。


「じゃあ。まずはお塩だね」

「うん」


☆☆☆


 お店の中。

 ずらりと調味料が並ぶ棚がある。


 調味料はホログラムで中身がかいてあるもの。

 各星系の人が買っても大丈夫なようになっている。

 目の網膜に直接投影されるタイプのようだ。

 でもすごいね。こんな調味料にも機械が入っているとは。

 グローバル化が進んでるね。


 お塩の瓶。

 あのお店で使われているものもある。

 それと別の海のものもある。

 おすすめを調べて2つ買うことにする。

「あ。いいね。塩ラーメンにもおすすめとあるよ」

 キララが見て言う。


 キララ。塩ラーメン。好きだもんね。


「でも。自分で作ったことないよ」

 ユキが言う。


「作り方とかおすすめの食材もあるみたい。電子書籍が本屋で売ってるみたい」

 ホログラムに案内が出てる。


 きっと僕とかキララだから案内が出ているんだろう。


 調味料はお醤油に似たものがあったのでそれも買う。

 それとソースに似たもの。

 飲み物に入れるための氷砂糖もあったので買う。

 結構面白い。他の星系で売っている調味料なんだけど、自動判別されて種族によりおすすめのものや合わないものが表示される。

 塩なのにしょっぱくなくて甘辛いのもあった。それは別の星系のものだ。


☆☆☆


 本屋に行くことにした。


 例の粒子タイプのは無かった。普通のTMRにデータを入れることができるタイプ。


 塩ラーメンの作り方とおすすめのお塩と食材が買える星系のマップもついていた。


「あ。いいね。私がしらない星系の塩ラーメンも記載されているね」

 キララはしっぽを僕の足にぱしぱし当ててくる。


「ほんと。次の週にいってみる?」


「いいね」


☆☆☆


 待ち合わせ場所には誰もいなかった。

 ちょっと待ってると女の子達とヒメルとみのるお兄さんが戻ってきた。


「みんな遅いよ」

 僕が言う。


「服を見てたら遅くなったの」

「この子。合うサイズがなかったの」

 とミミちゃんがラミちゃんを指さして言う。


「ざんねんよ」


「太ったからじゃないの?」

 とミミちゃんが聞く。


「太ってないし…」

 と言いながらミミちゃんの足を踏もうとするラミちゃん。


 どん。

「おっと。危ないわね」


「ねえ。これ買ったの」

 ララちゃんが言う。

 この惑星で売っているクレヨンのようなもので、セットになっているものだった。

 それと落書き帳。


「良かったね」

 僕はララちゃんの頭をなでなでする。


「ねえ。これ買ったの」

 ララお姉さんが言い、頭をこっちに向けてくる。

 何買ったんだろう。

 普通に文房具である。仕事で使うのかな。

 ついでにララお姉さんの頭もなでてあげる。


「帰るわよ」

 ラミちゃんが言う。


「じゃあTMRを開けるよ」

 キララがTMRを開けて、僕の家の前につなぐ。


☆☆☆


 家へ帰るとおばあちゃんに買った調味料を渡した。

「へー。他の星系のお塩ね。めずらしいわね。今夜おいしい料理作るわね。何がいいかしら」


 ユキとキララが自分の部屋へ入る。

 ララちゃんも一緒に入ってきて、僕が座ると僕の脚に頭をつけて目を閉じた。


「ちょっとねる」


「そっか」

 うさ耳に手をあてて優しくなでる。


 うさ耳の子。

 毛並みがいい。


「あたしもー」


 帰ったと思ったんだけど、ララお姉さんも部屋に入ってきた。


 ララちゃんが頭をつけているほうとは逆の脚にララお姉さんは頭を乗せた。

「ララお姉さんもー」

 と言うが…


「優しくなでて」

 ララお姉さんが言った。


 しょうがない。

 ララお姉さんの頭に手を置いた。










今日の夕ご飯をハンバーグにしたのでハンバーグの話を書きました。

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