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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
ここは異世界だけど日常に戻ったユキとキララ
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一時的に西暦4073年でショッピングをしたりして暮らす話(1)。

 地球へと戻るキララとユキ。

 西暦4023年の地球へと行く。


☆☆☆


 あまり変わっていないようにも見える未来の地球。


 普通に宇宙船で着陸してからキララが言う。

「ねえ。どうせなら2泊3日くらいで未来で暮らしてみない?」

 と聞いてくる。


「え? どういうこと?」

 ユキは聞く。

 どうやらせっかくなので、西暦4000年代の人の暮らしを体験してみてはということだった。


☆☆☆


 地球の人口は昔と比べ、かなり減っている。

 他の星系へと散らばって行ったからだ。

 途中に地球の温暖化問題でかなりの大陸の都市が水没したこともあるためでもある。

 今は地球温暖化問題も回復し、普通に生活できるようになっている。


「どんな暮らしなんだろう」

 わからなかった。 


「私は暮らしていたから…どうせなら…もうちょっと未来へ行ってみようかな」

 と言い、宇宙船を出てからTMRで自動ドアを開いた。


☆☆☆


「ここはいつなの?」

 ユキは聞いた。


「えーとね。西暦4073年だよ。私もこの時代は良くしらない」

 とキララが言う。


 エリアの案内用の看板が空中に浮かんでいる。

 浮かんでいるんだけど…キララが手をふれると、看板は手で押されて位置がちょっと移動した。

 微妙に背後が透けて見えるんだけど…なんだろうね。


 キララは案内坂の内容を声に出して言う。

「西暦2000年代、2500年代、3000年代…って各時代の都市を再現した町があるね。西暦4050年代は…」

 と探すキララ。


 歩いて行けるわけではないので、TMRに行先をセットすることになる。

 使い方は西暦2000年代でも4000年代でも同じ。

大昔のQRコードをスマホのカメラに読み取らせてスマホに情報を表示するように、TMRに情報を読み取らせてから行先をセットする。

 タイムトラベルができるから、みんな使うものは使い方が統一されている。

 未来で考えられたインターフェースが過去にも応用されている。

 時代を行き来して、使い方が全部違っていたら戸惑うからだ。

 あと、なるべく星系間を移動して、別の文明のものを使う場合でも、体形が似ている宇宙の種族の場合は同じように使えるようにしている。全く別の考えとか、体の構造が違う場合は変えないといけない。


あっさりと西暦4073年の街並みのままの都市。つまり現代の町へと移動する。


☆☆☆


「道路もあるし…お家もあるし…コンビニもあるし…普通だね」

 ユキは西暦4000年代の住宅街を見て言う。


 普通に見えるんだけど…

 でも…


「いろいろ違うよ」

 キララが言う。


 僕達の時代ではよく見られた街灯がない。

 お家の塀もない。

 お家は様々。古いタイプのお家から、未来的なお家とか…土地に宇宙船が停まっていて、そのまま住宅としているところもあった。

 それに、どう見ても地球人が作ったのではないデザインのお家も遠くに見える。


 普通に道路を歩いて行くと、売り家。もしくは短期間契約化。と看板に書いてある一軒家がある。

「どうする?」

 僕はキララに聞く。


「そうだね。どうせならマンションにしない? 高層マンション。今が一軒家だから…」

 とキララが言う。


「そうだね」

 僕はあたりを見回すが、高層マンションはない。


「ねえ。遠くにあるの?」

 と僕は聞くと…


「えーと。向こうにあるみたい」

TMRを見ながらキララが言う。

 しっぽをぱたぱたと動かしながら、指で道路の向こうを示す。

 曲がって行ったらあるのか?


 僕とキララは歩いて行くと、道路を曲がったところにマンションがあった。

 ただし、マンションの1階部分だけだ。

「なにこれ…建物はマンションなんだけど…1階しかないよ」

 変なのと思った。


 短期契約が可能。現在は最上階の空きあり。

 と書いてあった。


「入ってみよう」

 キララが言う。


 エントランスで『見学』を指定すると、モデルルームへの行先の自動ドアが開く。

 普通に通り抜けると、廊下だった。

 ごく普通のマンションの廊下。

 廊下の窓から外を見るとかなりの高さ。

 窓は開かないようになっているが、下を見ると、階下が見えない。


 廊下に矢印が表示されており、モデルルームの部屋が案内されている。

 キララとユキが部屋の前まで行くと、自動的にかちゃと音がして、玄関の錠が解除された。


 キララがドアを開ける。

 この感じはごく普通のマンションのままだった。


 普通に玄関があり、横にトイレ。

 奥まで進むと、居間があり、居間に続いている台所。

 横には寝室とその隣には部屋があった。

 いい感じ。

 大きな窓があり、ベランダへ出ることができる。


「へー。マンションだね」

 ユキは言う。モデルルームなので家具もある。


 部屋をそれぞれ見て回る。トイレとかお風呂とか。


 キララが浴槽の中に入る。

「ユキ君。一緒に入ることができないね」

 浴槽の中から言うキララ。


 うーんたしかに。浴槽の大きさは普通。

 2人で入るにはちょっと狭い。


 それを想像するとちょっと恥ずかしくなる。

 ということは一緒にお風呂?


 ユキはトイレを見ることにした。


☆☆☆


「別のマンションもあるし…もうちょっと高級なのがいい?」

 キララが聞いてくる。


「そうだね。お風呂とか…もうちょっと広いほうがいいかも」

 と言う。


「じゃあ出てから移動しよう」

 キララが言う。


☆☆☆


 TMRで別のマンションへと移動する。

 このマンションも1階だけだった。

 空きあり。と表示されていて、モデルルームも有りなので、見学を申し込む。


 最初見学したところより、ちょっと広い。

 どうかな?


 他にもあるから4軒ぐらい見ることになった。


「ねえ。なんか新婚さんみたいだね」

 とキララが言う。


「え?」

 いきなり言われたので顔が赤くなってしまう。

 しんこん。


 想像してみた。

 エプロン姿のキララ。

 お帰りと言ってくれる。温かいお料理。

 そして…子供が寄って来る。

 こ。こ。子供…

 できるんだろうか? まあ遺伝子提供ならできるか。

 さらに顔が赤くなるユキ。


 しっぽをぱしぱし僕の腰のところに当ててくるキララ。

「何を考えているのかな? 顔が赤くなってきているし…エッチなこと?」

 とキララが僕を見て言う。


「え? い。いや。あの…家庭を想像していたら、子供の姿が浮かんだの」

 と言った。


「こ。子供ね」

 今度はキララの顔が赤くなる。


 さて。次。次。と話題を変えたキララ。


 結局3番目に見たマンションにすることになった。

 短期の3日間の契約をすませて、目的のものを見に行くことになった。


 マンションの仕組みは面白かった。中古物件にしたんだけど、新築もあるみたい。

 新築といっても契約をしてから3時間でできあがる。

 お味噌汁で乾燥させてある具入りのパックがあり、お湯をそそいで戻すタイプのとか、大昔に流行った3Dプリンタみたいな感じだった。

 原材料が立方体に固められて置いてあるが、それを3Dプリンタみたいなものを使って原材料と設計データと重力制御用プレートで空中にマンションの部屋が浮くようにして、あとTMR用の空間移動システムを付けて完成。6部屋一緒に作られる。空きがあればそのまま空いている部屋に。空いてなければ新しい階が作られる。だから1階しかなかった。昔ながらの作り方で作る必要がないし…重力プレートで空中に作るし…階は増やせるし…階の移動はTMRの技術で…となってる。


 マンションの外を出て移動する。

 普通にTMRで移動してもいいのだけど、この時代の移動システムを使う。

 鉄道のようなものを使っていた。

 自動車タイプのものはもう無い。

 宇宙船やTMRがあるし、TMRや宇宙船を持っていない人は、共用のTMRによる移動システムがある。

 鉄道が好きな人のために鉄道が残されているようだった。


 普通に鉄道へ乗り込み、椅子に座る。

 そのまんまだった。微妙な固さの椅子。

 つり革。

 がたんがたんという定期的な音。


 普通に移動して駅に到着する。

 改札はTMRにより自動決済される。


 案内表示板を見て、店舗を探す。

 駅の向かいにある。


 3階建ての店舗。

 チラシが電子で配られている。

 電子だが、空中にプレートが浮かんでおり、手で持っていくことができる。

 手でタッチすると、特売品とかおすすめ品が表示される。


 でも…

 品物は実物の物が置いていない。

 どんなものかはわかる。

 ホログラムディスプレイのようなもので売りものが立体で見えるからだ。


 キララはごく普通に、別の小さいプレートを手にとった。

「こっちだよ」

 キララはもう、お店のシステムとか、物の使い方がわかったかのようだった。

 キララの後をついて歩くと、ある部屋にたどり着く。

 小さいプレートをドアにくっつけると、ドアが開く。


 椅子とテーブル。それと広い空間。

 高さもある。


 で、キララは「じゃあ。悪意のある転送装置だっけ。最初に探そうね。あ。飲み物いる?」

 キララが聞いてくる。


「うん」とだけ答える。

 テーブルの上に表示されているメニューから注文して決済方法を選択するキララ。

 飲み物はここで購入したら一杯目はタダ。買いに来たものを購入しなかったり、2杯目以降は有料。

 お客さんがくつろげるようになっている。

 でも…実物がないんじゃ…ネットでの購入と同じ? ユキは思った。


 で、キララが検索していて、ボタンを押すと、目の前のテーブルの上に物が具現化してきた。


「うわぁ」ユキは言ってしまう。

 あの悪意のある転送装置と同じものが出て来たからだった。


「ああ。大丈夫。悪意のある転送装置のタイプを調べるために動かないレプリカを取り寄せただけ」

 とキララが言う。


 それぞれタイプが違う悪意のある転送装置がテーブルの上に出てくる。

 えーとどれだっけ?


 キララは手にとってみる。


 ユキも別のものを手にとる。

 実際に持てるし、重さもある。金属っぽい感じもあるし。


「これだね。たぶん」キララが言い、こっちに見せてきた。

 結構前だけど、記憶にある形と模様からキララが持っているものであった。


 キララの説明によると、このタイプの悪意のある転送装置は、かなり流行ったみたい。

「ねえ。悪意のある転送装置を動かなくするようなものはある?」

 僕が聞くと…

「うん。お値段がそれぞれ違うけど…少人数用のもので宇宙船に積むタイプがいいかな?

それと、個人が携帯できるものと…2人が離れ離れになっても位置がわかるものとあるけど…

今言ったもので探してみるね。その間。ユキ君は別のものを見ていていいよ。食材とか…興味のあるコンテンツとか買っていいから…あと飲み物とか。届けてくれるよ」

 とキララが言う。

 そうなんだ。まあ、TMRの宅配ボックスがあるから持って帰ることができるんだけど…

みんなTMRを持っているわけではないし。


 僕はいろいろ見てみることにした。


 壁にちょうど良い大きさのタブレットがはまっており、それを手にとる。

 ディスプレイにいろいろなものが表示される。

 まずは食品にしよう。忘れないように。

「ねえ。魚介のグラタンとかは?」とキララに聞くと、「うん。いいよ。好きなもの買って。料理するから」とキララが言う。

「わかった」

 とりあえず適当に選ぶ。メインは魚介のグラタンで。あさりのお味噌汁が飲みたくなったので材料のセットを注文。人数も選べる。完成品でもいいが、キララが作ってくれるというので材料のパックにする。ミニハンバーグとお野菜を選ぶ。飲み物はおすすめの物にした。

 必要なものは、あとタオルとか身の回りのものも買う。

 実にTMRは便利。共通マネーとか。どの時代に行っても使える。

 僕は必要なものを買ったのでキララのほうを手伝うことにした。


「あった?」

 僕が聞くと…


「使う時代を選択しないといけないんだけど…どうしようかなと思ってね」

 行く可能性がある全部の時代のものに対応しているものは無いらしい。

 あって数年。改良されて対策されてしまうからだった。

 未来での情報がそのまま使えない場合もある。異世界へ転送されてしまうものなので、異世界産のものがほとんど。対策した機械を過去に持って行っても効かないということもある。

 でも無いよりましで、悪意のある転送装置が近くにある場合に警報が鳴るシステムと、離ればなれになっても位置がわかり、どの世界に行っているかがわかるシステムを注文することにした。

 ちなみに異世界産のものだった。


 とりあえず買ったものは今住んでいるマンションへ届けてくれる。

 他に買いたいものがあると思うから、それぞれで探して、ある程度見つけたら一緒にいろいろ見ようということになった。

 うーんどうしよう。みんなへのお土産にするか。

 ラミちゃん達には鉢とか、畑用の便利グッツとか。

 ミミちゃんにはお魚関連のものとか。

 他に宇宙の海図のようなもので、わかりやすくホログラムで表示できる装置があったので、購入。


 見たことがあるものや、見たことがないものまでいろいろ売っているので面白い。

 あと、実物で確認というのを操作すると、テーブルの上に選択したものが具現化する。

 確認したあと、一定時間すると空中に融けていくように消えていった。

「ねえ。このシステムってどうなっているの?」

 手にとった小物。それを不要のマークをつけると、手のひらの上で消えていった。


 キララは「それはね。細かい粒子を使って形を再現しているものなの。簡易的に動くようになっているけどダミーだよ。不要になったら元の細かい粒子に戻るの。だから消える」

 とキララが言う。


 通販とかネット販売だと実物にさわることができないが、ここだったらこのシステムがあるから手にとって、大きさとか形がなじむとか、色の感じをいろいろな方向から見て確認できる。

 あと、この部屋に自分の部屋の大きさとか家具情報を入力すると自分の部屋が見た目だけ、再現される。

 どこに家具を置くとかをここで確認できる。


 いいなあ。ユキは思った。


 だいたい見たのでキララの様子をみると、目があった。

 キララも同じことを考えていたようだ。

「一緒に見る? いちおう実物が置いてある店舗もあるみたい。行く?」

 キララが言った。

 ここで必要なものは買ったし、未来の世界でのウインドウショッピングもいいだろう。


「じゃあ行こう」

 ユキはキララに言った。


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