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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
けもの耳の子達とのふれあいとSFちっくな日々
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カザー星系の人工衛星とボスの悪だくみ(2)再びキラ登場

「えーそんな。あの親玉。あたしたちを騙した…」ミアはぷんぷんと怒って、床をどんと踏む。

 ここは宇宙。カザー星系が所有する人口衛星。


 廊下は爆破され、この部屋から出ることができない。それにここは惑星に向けて落下中。


 そのとき映像が再び表示された「どうだ。落下していく衛星から見る惑星の眺めは…

お前たちが惑星の生命を滅ぼすのだ…

数千年の間影響が出るだろう。マトラ星系の第4惑星は壊滅するぞ…」


 シロとミアは苦い顔をした。


 そこに…


 壁に四角の光。自動ドアが現れた。


「ソラ?」ソラと一緒にキラが現れた。


 なんでキラちゃんがここに。それになんでソラがこの時代にいるの?


「なんだと」自動ドアの光と2人の羽を持つハーフの子が現れたのをボスは見て言う。


「お前はソラだな。その水色がかった羽。映像資料で見たことがあるぞ。

なんでここにいる。この時代には来ることができないはずだ…」ボスは立ち上がり言う。


「ハロー。シロ。そしてこれあなたに返す…」キラがTMRデバイスを手に持っていて、シロの腕にTMRデバイスをはめる。


「これ。さっき廃棄したはずなんだけど…」シロはTMRデバイスをじろじろ見る。そしてタッチしてみる。


 あ。動く…というシロの声。


「必要になると思って。あたしの住んでいた未来のテクノロジーで、シロのTMRの複製を作っておいたのさ。学校祭のコンサートのとき、こっそりみんなのTMRのデータをとって、複製しておいたのさ」


 学校祭。たしかにみんなキラのそばにいた。スーちゃんの歌声を聞いた日。たしかにそうだった。


 シロはTMRデバイスをタッチする。バージョン番号も記憶のとおり。あたしのだ。


「まあ。いい。衛星はどうするのだ…」ボスは言った。


シロを殺せないのがわかっただけだ。衛星はそのまま落下している。


「ねえ。ボス? 本当にこの衛星がマトラ星系の第4惑星に落下していると思う?」キラは言った。


「は? なにをばかなことを。こちらからもモニターしている…」

 ボスは部下に指示をして、たしかに人工衛星が落下しつつあることが正しいか聞いている。


「じゃあ。この窓から見える惑星はうそっぱちだとしたら?」

 キラが含み笑いをしながら言う。


「は?」ボスが窓のそばへと歩いて行く。


「じゃあ。消すね。超立体映像の表示をオフっと」キラはデバイスを操作した。


「なんだと」親玉はモニターの向こうで言う。


 たしかに惑星は消えた。元から惑星はなかった。


「そんなばかな。あれは立体映像だったのか」


「そう。幅5000kmの立体映像。本物みたいでしょ」キラは、シロ、ソラ、ミアを見た。


「ぐっ。やられたな。でもわしは次の手も打ってあるぞ…」親玉は部下に言った。


「は。わかりました。それでは干渉を開始」部下はコンソールを操作した。


「何をしているの…」モニターしているゆみ子は言う。


 親玉は何をしているのかわからなかった。


「2016年にある小惑星が太陽系を通過したのは覚えているかな?

まあ、だいぶ昔だから知らないか…

これの軌道をちょっと修正して地球への衝突コースに移動させたらどうだ…」

 とボスはみんなに問いかける。


「な。なにをするの? 過去に干渉しようというの?そんな大規模な改変。

TSIデバイスを使っても失敗するんじゃないの…」


「ふん。TSI? そんなものは使わない。今わしはお前たちとは別。隣の世界にいるのじゃよ…」


「は?」今度はゆみ子が言った。


「わしらは、ある惑星を買い取り、調査していたときだった。過去の遺跡からロストテクノロジーを得た。それは異世界へ移動するための機器と異世界との通信をするための機械を見つけたのじゃ。ちょうど自動ドアのようなものじゃな。

そしてそれを改良して、隣の世界からお前たちの世界の過去に干渉ができるようになったのだよ…

もしも、2016年に小惑星が地球に衝突していたら…

きっとお前たちは存在しなくなるだろう。

頭に耳がついたハーフの子も地球には存在しなくなるぞ… お前たちは消える…」


「やめなさい。それがどんな意味になるかわかってるの? 多くの人の命が無くなるのよ…」


 太陽系第3惑星の座標軸が画面に映っている。

「T:221534。W:14432,44376,55478,22245,44188」とディスプレイに写っている。


「くっ」シロとソラ。そしてミア。絶望的な顔をしていた。

キラはくずおれた。


「ねえ。大丈夫?」ソラはキラをささえる。


 くずおれたキラは「ぷっ」と笑いをこらえていた。


「あなた。なんで…」ソラはキラを見て行った。

 キラは小声で『大丈夫。見てて…』と言った。


「やれ…」ボスは言った。


 小惑星は衝突コースに入った「ねえ。やめて。お願いだから」ミアは目を真っ赤にして言う。

 シロは泣いていた「もう。やめて。後悔するわよ…」

 キラは言った(笑いをこらえながら…)。


 ソラは映像を見ているばかりで何もできなかった。


 小惑星がつぎつぎと衝突していく…


 雲が円の状態に広がり、小惑星が落ちた場所ではかなりの影響があったことがわかる。


 人が住んでいれば壊滅だろう。どんどん小惑星は落ちていく。


 そのうちの1つが結構大きく、衝突のはずみで、付近の雲がなくなり、衝撃波が広がっていくのがわかる。


「ふっ。ははは。どうだ。小惑星が落ちたぞ…壊滅だな…」ボスはわっはっはと言う。


「あーあ。やっちゃった。どうするの? ボス。後悔するわよ…」キラはやっと立ち上がって言う。


「そうだな。後悔するぞ。お前たちは間もなく消えるだろう…」


「そうね。ボスの笑みが消えるわね」とキラ。

 ぷっ。あはははは。とうとう笑いをこらえることができなくなったキラが笑い出す。


 「あなたいったい…なんで笑っているの?」ゆみ子がモニターごしから言う。


 みんなキラを見る「あー。だって。時間軸の座標と星系の座標間違っているじゃない。

まだ気が付かないの?

あれ、あなたが4年前に買ったエリス星系の第3惑星だよ」とキラは種明かしをした。


「なんだと」親玉は言う。


 おい。確認しろ…とボスに言う声が聞こえた。部下は手を忙しく手を動かす。


「あっ」部下は言った。


「あ。とはなんだ。あ。とは」ボスはかなり不機嫌そうな顔で言う。


「いやあ。それがですね。1と7を入れ間違えました。ちょうどそれがエリス星系の第3惑星だったみたいで。いや。間違えた。間違えた。地球に似ていたもので気が付かなかったぁー」

という部下の声がする。

「2016年の地球は『T:227534。W:14432,44376,55478,22245,44788』でした」


「ぐぬぬぬぬ。ではあれが、エリス星系の第3惑星なんだな。壊滅だぞ…

じゃあ。わしが購入したときの価格も下がっているはずだな… 確認しろ…」

 部下に命じて、エリス星系の値段を調べさせる。


 結果を見てボスは口をあんぐりあける。

「これはどういうことなのだ。わしが買ったときの値段のままではないか。それに今現在の価値は9000万クレジットだとぉ」


「まあ。壊滅しましたからね。リゾート地にするにしても復興にお金がかかりますからね…」

と部下は冷静に言う。


「くぉぉぉぉぉぉ。おのののれぇ。お前たち… これで終わったと思うなよ。くそがっ」

という捨てセリフを残してボスの映像は一方的に切られた。


「はあ」

「はあ」

「はあ」

 シロとソラ。ミアちゃんはくずおれた。


「みんな疲れたみたいだね。僕がみんなを送るわね。まずは、ミアの稼働型デバイスをゆみ子のところへ返すよ」キラはTMRをタッチして、TMRを壁のほうに向けた。


 すると、自動ドアのようなものが現れた。


「こっち」キラは指をさした。


「ねえ。そのTMRなんだけど…あたしのより多機能なんじゃ…」とシロとソラは言う。


 自動ドアをくぐると、クロのいるいつもの部屋へと通じた。

 キラは稼働型デバイスをシャットダウンし、単三型の電池を手にとった。


「じゃあ。ミアのところにみんなで行こう。ついてきて…」

 キラはさっきと同じようにTMRをタッチして、TMRを壁のほうに向けた。


 自動ドアのようなものが現れて、シロとソラとキラは入り口に入った。


 そこはミアお姉さんの時代。ミア本人に単三型の記憶装置を渡す。


「じゃあ。この後はシロとソラを送るから…」キラはさっきと同じようにTMRを操作する。


「ねえ。キラ。このTMR。バージョンが2000番台でなかった?あたしのより高機能なんだけど…」

 シロは、自動ドアをあけて時間を移動できる機能を見て、キラに問いかける。

 シロはソラのTMRの機能も知っている。ソラのTMRはシロから譲渡されたものだけど、ソラのTMRにもその機能はなかった。


「ああ。言ってなかったっけ。バージョンの文字が青だったの覚えている?

 このTMR。4桁しか数字が表示できないの。5桁目が1だと青になるの。だからバージョンは正しく言うと12000番台…」


「へっ」それを聞いてシロは言った。


つまりかなり未来のバージョンのTMRをキラは持っている。

「いちおう聞いておきたいんだけど。あなたはあたしたちの敵? 味方?」ソラは念のため聞いた。


「まあ。どっちでもないかな。人が悲しむのとか死ぬのとかいやだし…

ミアお姉さんがいる時代に住んでいるのは、その時代が好きだから…

では。また…」キラはTMRデバイスを操作して、元の時代に帰っていった。


☆☆☆


「あーつかれた」ソラは言った。

 いったん自分の時代に帰ってからソラは言った。

 そういえば、たしかミアお姉さんはユキ君をもふってたっけ。


 そうだ。あたしも…ソラはTMRをタッチした。


☆☆☆


「あーつかれた」同じころ。シロは自分の時代に戻ってから言った。


 たしかミアお姉さんはユキ君をもふってたっけ。


 そうだ。あたしも…シロはTMRをタッチした。


☆☆☆


「こんにちは。ユキ君」ミアお姉さんは歩いて、ユキ君の家の玄関に入る。


☆☆☆


 場面がかわり、ユキは居間のソファに座っているところだ。

 今日は、午後からミミちゃんに僕の手から煮干しを食べさせ。

 ラミちゃんは畑しごとで足つかれたから足マッサージしてとお願いしてくるし…


 家に入ってきたミアお姉さん。そしてその後から、学校祭のときに紹介されたシロとソラ。

 長身バニーガールと、羽の生えた美人2人が部屋に入ってきた。


 そしてみんな同じ目をしている。獲物を狙う目。


「これ。もしかして…」

 また。もふられると感じた。


「覚悟しなさい」

「覚悟しなさい」

「覚悟しなさい」

 鳥のハーフの子2人とウサギのハーフのお姉さんに言われた。


 その後、ぎゅっと抱きつくお姉さん達。

 もふもふ。ふかふか。長身バニーガールのウサギ身体に埋まるユキ。そして両側からトリのハーフの羽毛にうまる。


 そして、ユキはソファの上に押し倒された。


「なんとかしてー」ユキは言うが、もふもふなものに埋まり、お姉さん達によって逆にもふられる。


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