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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとユキの二人だけの旅…再び
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ユキとキララのブラックホール中心への旅(3)

「じゃあ宿泊施設へ戻ってごはんかな」

 キララが言い、続けて言った。

「ユキ君が自動ドアを開けてみて」

 キララが言う。


「うん。やってみる」

 ユキはTMRのインターフェースを呼び出して、履歴から宿泊施設のロビーへ戻るようにセットする。


 キララのTMRに承認を求めるインターフェースが出るので承認する。


 すると、ユキのTMRにOKの表示が出て自動ドアが開いた。

「開いた。じゃあ」

 とキララはユキの手をひいて自動ドアをくぐる。


☆☆☆


 宿泊施設へ戻り、ごはんにすることになった。


 ロビーの隣にある喫茶店のようなところ。


 窓からは惑星が見える。


 テーブルには紙がはさんである金属の紙立てが置いてあった。


 ユキはメニューかなと思ってそれを手にとる。


 でも違った。


 小さい球の形の宇宙船の広告だった。

 『先着30組まで限定。危険な場所でも安全な二人乗りの宇宙船からの観測』

 というのが書いてあった。

「ねえ。キララ。これ」

 ユキはキララに紙を見せる。


 キララは紙に書いてあることを読んでから「へえ」といい、ユキをじっと見てくる。

 そのまま続けて言う「申し込む?」

 きっとこういうの好きだよねと…


「うん。まだ30組までいってなければ…」

 紙をキララは指でくりっくのような感じで叩くと、紙に見えるのに書いてある内容が変化した。

 残り4組。

 キララは紙をTMRにかざすと、紙の内容が変化して『申し込みが完了しました。出発後にロビーの係の物にお申し出ください』という表示になった。


 紙かと思ったが内容が変化する紙だった。

 だよね。各星系で使っている言葉や内容が翻訳されて表示されているんだもん。本当の紙じゃないよね。とユキは思った。


☆☆☆


 出発の時間。


 ゆっくりと宿泊施設が動き出した。


『これからめずらしい宙域へ移動します。小さいブラックホールと中性子星が3重になっている箇所です。先着30組まで限定の小型宇宙船に申し込んでいる方はアナウンスがありましたら指定の場所に集合してください』

 とアナウンスが流れた。


「どんなのだろうね」

 キララは外を見ながら言う。


 注文をしてから少し時間がたつ。

 ホログラムのロボットが注文した品物を運んできた。

 アイスティー2つとパスタ。

 さっきまでいた星でとれた魚介のパスタだった。


 アイスティーの下には惑星と衛星の絵が描かれたコースターが敷かれている。

 いいデザインだ。


 ユキとキララはパスタを食べる。

 なかなかおいしかった。

 「魚介。いいよね。各星系でとれた食材や海水の塩を使った味付けが好きなんだよ。各星系の海水からとれた塩を使った。塩ラーメンとかね」

 キララが言う。


「キララ。塩ラーメン好きだよね」

 ユキが言う。


「うん。星系ごとに違うんだよね。すごくおいしいところがあって…」

 とキララは話し出した。


☆☆☆


 ごはんを食べ終わり、ちょっとするとアナウンスが流れる。

「ねえ。キララ。例の先着30組限定の宇宙船なんだけどどんな感じだなんだろうね。怖いのかな」


 小型の球型の宇宙船みたいだし…宇宙を感じることができるみたいだけど…中性子星とかブラックホールの近くへ行くみたいだし…


「まあ。そうだね。大きい飛行機での移動と小さいセスナの移動で考えたら、嵐の中を移動するとしたら、まあどっちも怖いけどセスナのほうが怖いよね」

 とキララが言う。


「ま。まあ」

 そうかもとユキは思った。



『まもなく目的の星系へと到着します。先着30組まで限定の宇宙船を申し込んだ方はロビーにお集まりください』


 と流れた。


「じゃあ行く?」

 キララは立ち上がった。


 しばらくごはんを食べたところのテーブルに座っていたんだけど…

 やっと目的の場所に到着したようだった。


 ユキとキララはロビーまで歩いて行くと、他にもカップルや家族が集まっていた。


 番号を告げられる。


 係のホログラムロボットが案内してくれる。


 僕たちがいたロビーから下へ降りるエレベータ。

 番号を伝えられたが、番号のボタンを押すことになっている。

 番号を押すとドアが閉じた。


☆☆☆

 

 階下へと移動し、ドアが開くと廊下がある。


 そのまま進むと宇宙船の乗り込み口になっていた。


 荷物を預けることができるロッカー。


 特に荷物はないのでそのまま。


 飲み物が売っている自動販売機や、軽食やお菓子が売っている自動販売機がある。


 とりあえずユキはTMRで飲み物とお菓子を購入してみることにした。

 普通に買うことができた。


「便利だね。時代を問わず共通マネーが使えるから」

 キララはキララの分も買ってあげることにした。


 キララに手渡すと「ありがと」と言った。


☆☆☆


 普通に乗り込み出発となった。


自動で操縦されるので何もすることはない。


 すこしずつ宿泊施設から離れていく。


 まわりを見てみると同じ球型の宇宙船が見える。


 進行方向を見てみるとパルスが出ている天体があり、2つあるようだった。

 その他には穴がぽっかりと開いているかのようなものがあるのであれが小さいブラックホールなんだろう。重力レンズの効果で遠くの星がゆがんで見える。


 上と下にパルスが出ているが、太いパルスだと思ったら高速で回転しているのがわかってきた。


 もう一つの中性子星はゆっくりと回転しているらしくパルスがぶれているのがわかる。


 だんだん近づいてきた。


ゆっくり回転しているほうの中性子星に近づく。


 1秒に1回転していないぐらいのスピードで回転しているのが見える。


「直径は12kmぐらいだって」

 キララがコンソールの表示を見て言う。


 表示をスクロールさせてみると…

「『中性子星の大気は厚さが約1メートル。あなたが中性子星に降り立ったら頭が大気の外に出てしまうでしょう。もっとも大気は薄いプラズマ層なので呼吸はできません』だって」


「重力がすごいから立ってられないけどね。というか中性子星に降りたつことができたらどうする?」

 とキララが聞いてくる。


「そうだね…まわりの星空がどういうふうに見えるかが気になるよ」

 とユキは答える。


「そっか。高重力だからまわりの星がゆがんで見えるのかなって思うんだけど。どうなんだろう。ところで微生物だったら地球の1万倍程度の重力でも大丈夫なんだけどね。大腸菌とパラコッカス・デニトリフィカンスは40万倍の重力の元でも死なないっていうし…」


「へーそうなんだ。40万倍ってどんなのだろうね。中性子星の重力は何倍強いの?」

 とユキは聞いてみた。どのぐらいだっけ。


「2000憶倍ぐらいかな?」


 それを聞いてもわかんないやと思った。

1万倍でもすごいんだけど…2000Gでもすごいのに…2000憶G?わからない。


「ところでね。犯罪者だけど…いま乗っているようなタイプの仕組みの宇宙船で逃げた人がいて、中性子星の表面で2年間暮らした人がいるみたいだよ」


「え?」


「指名手配されてしまってね。ほとぼりが冷めるまで近隣の中性子星に隠れていたみたい。軽犯罪で2年が時効の期限だったみたい」


「なんでそんなところに…」

 ユキが聞くと…


「えーとたしか、軽犯罪者が星系に入ると賞金首で捕まって、その星系で一生ムショ暮らしになるみたいだったんだよね。だから待っていようとしたみたい。食料は匿名で配送を頼める宅配ボックスを使って得ていたみたいだよ」

 キララが言う。


「へー。たしかにそんなところにはいるはずがないと思うよね」


「わざわざ。中性子星をスキャンする人もいないし…人が住めるような惑星や衛星、小惑星を探すよね。それか宇宙空間とか… 宇宙船の反応で見つかっちゃうけどね」


 と話をしているとだんだん中性子星が近づいてきた。


パルスがゆっくりなのでずっと見ていられる。


 綺麗だった。


 だんだんと表面へ近づいて行く。

 

「普通の宇宙船だったら高重力と人体に有害な放射線で死んでいるね。まわりの星を吸い込んだときに、中性子星に衝突した天体があると、衝突で核爆発を起こすし…」


「やっぱり怖いところだね。よくそんなところに2年間も…」

 ユキは考える。


 このタイプの宇宙船の外側の層がこの空間とは分離されているとしても…怖いよね。


 どんどんと近づいて行く…


 そして…


 見えなくなった。


『外側の観測体が衝突により破壊されました。自動的に近くの宇宙空間へ戻ります』

 と言うアナウンスが流れる。


☆☆☆


 ぱっと。いきなり星空が戻ってくる。


「すごかった。普通は見ることができないし…」


 普通の宇宙空間へ戻り、平和な星空を見る。


 ちょっと遠くに中性子星が2つとブラックホールが見える。

「ねえ。キララ。中性子星は超新星爆発で起きるんだよね。なんで近くの星がふっとんでないの?」

 ユキは聞く。


「うん。だよね。まったく同時期に超新星爆発が起きたとしたら? ブラックホールはわからないけど…兵器かもね」


「まあ。吹き飛ばないのかも…」

 ちょうど近くで同程度の爆発があったら吹き飛ばないのかもと思った。

「だからこういうのめずらしいんだと思う。近くに中性子星が2つ。それと回転速度が違うし…」


「たしかに…どうなっているんだろうね」


 小さめのブラックホールと中性子星2つを見ながら宿泊施設へ戻っていく宇宙船。


 完全に自動でドッキングされる。


☆☆☆


 ううーんとキララは両腕をあげてのびをした。

「面白かった?」

 キララが聞いてくる。


「うん。宇宙はいろいろあって面白いね。でも…もうそろそろ地球が恋しいかな」

 ユキが言う。


「そう。じゃあ今夜はめずらしいものが見つかる廃墟の惑星へ行って、明日帰る?」

 キララが聞いてくる。


「うん。そうしよっかな」

 ユキも腰に手をあてて体を動かした。


 小さめの宇宙船の中で座っていたから体を動かしたくなる。


☆☆☆


 ロビーで案内してくれたロボットに「楽しかった」とユキはお礼を言う。

「良かったです。では」

 とあいさつをしてくれるロボット。


 キララはユキにTMRでドアを開けてと言う。

 ユキは登録先を呼び出す。


 なつかしいキララとユキの宇宙船へと戻ってきた。


 あ。そういえば一緒に時間移動もしちゃった?

 普通に空間移動をするのと同じぐらい簡単だ。


☆☆☆


「行先をセットするね」

 キララがコンソールで行先を選びセットする。


「うん。いろいろ見てきたから。地球がなつかしいね」

 ユキは言う。


 いつもの宇宙船の窓際のソファに座る。


 宇宙船もお手頃な大きさで乗り心地もいい。


 TMRでいろいろなところへ行ける。


1人旅ではなくてキララと一緒。


 だから楽しいのかも。真っ暗な宇宙でもさびしくはないし。


 と思いながら外を見ているとキララが戻ってきた。

「ゆっくり移動しようね。目的地まで1時間30ぐらいだよ」

 と言いながらユキの隣に座ってきた。


 そのままキララはユキの脚に頭を乗せてきた。


「ひざまくら。ちょっとだけ目を閉じるね」

 キララが言う。


「うん」

 ユキはキララの頭をなでる。

 キララは自分のしっぽを前にたぐりよせて、お布団にする。


 浅い呼吸で寝息をたてはじめるキララ。


 キララのきつね耳の付け根をやさしくなでるユキであった。


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