ユキとキララのブラックホール中心への旅(2)
観測体の修理をするためにある星系に立ち寄ることになった。
「ねえ。6時間かかるらしいから、たまに地上へ降りてみない?」
キララがユキに聞いてくる。
「うん。そうだね。宇宙ばかりというのも…自然が恋しくなるよね」
ユキは言うと外を見た。
ユキとキララはこの施設が到着したら惑星へ降りることになった。
☆☆☆
TMRにより、この星系の人が住んでいる星の第4惑星へと移動する。
「なんか。思っていたのと違うね。自然がいっぱい…それとうまく人のいる施設が調和しているね」
緑がいっぱいの街。公園もある。
建物は緑を取り入れている感じの固い感じの建物がある。コンクリートとは違うが似ているもの。
木もいっぱい生えている。
道路は木か何かのタイルで作られているかのような感じで建物はまばらだ。
「いいところだね」
キララも言う。
「そうだね。どこに行く?」
見た感じ。普通の住居しかないように見える。
「そうだね。ちょっと待ってて」
キララがTMRを操作する。
何かを調べているようだ。
そして…「この町の地下に商業施設があるよ」
調べてくれたようだ。
「どんな施設?」
僕は聞いてみる。
「えーとね。ハイテク系の工業製品とか…宇宙ステーションの部品とか…乗り物とか。なんでもあるよ」
とキララが調べた結果を見ながら言う。
「うん」
とりあえず、入り口を探して下へと降りることにする。
☆☆☆
すこし歩くとエレベータだけの建物があった。
「ここからだね」
2人で入り、ボタンを押す。
ゆっくりと下へと移動していく。
地下へ到着して、エレベーターから出る。
エレベーターから出たが外だった。
上を見ると青空が見える。
「なんかいい感じだね」
上を見上げながらキララはTMRを操作する。
ほら見て、とキララが言うので見てみると…
あ。作り物の空か。
かなり上に空を表示するための表示装置が取り付けてあった。
それをTMRのカメラで拡大表示したのだった。
地下だが、地上と同じような感じになっていて、植物があったり、建物や地面は緑や黄土色を基調とする色になっている。地下にいても窮屈ではない。
しばらく歩くことにする。
案内表示板に工場の場所が記されていた。
「あっちへ行ってみよう」
キララがユキの手をひいて歩き出す。
「うん」
何かの工場へと到着する。
入り口にいた人に言うと工場の中を見学させてくれることになった。
☆☆☆
廊下を進むと、植物が栽培されていた。
なんだろう。キャベツかな。それとも赤いのがついているからミニトマトかなとユキが考えていると「あそこにあるのは、ミニメロンです」
と工場の人が解説してくれる。
「ミニメロン? どうみても赤いよ…」
キララが言うと…
「ここのは赤いのですよ。ほんのり甘くておいしいですよ」
と言い、工場の人が続けて言った。
「見学が終わったら試食ができますよ」
「本当? 食べてみたい」
ユキが言うと、工場の人はにっこりとした。
☆☆☆
他にも葉っぱ系のお野菜とか、きゅうりに似た感じの緑色のものとか、布団ぐらいの大きさの葉っぱのお野菜があった。
工場の見学を終えて、エントランスのようなところへと行くと、試食用のお野菜が用意してあった。
さっき見たミニメロンがあるし、それに布団ぐらいの大きさの葉っぱのお野菜があった。
それは生の物でなくて、調理をしているものだった。
「ミニメロンからどうですか」
と担当の人が言い、お皿をこっちに向けてくる。
「いただきます」
「いただきます」
手でつまんで食べてみる。
うん。ほんのり甘くておいしい。
メロンとは違う。果物よりはおかずに近い。
でも果物っぽい感じもする。
何個かミニメロンを食べていると、係の人がでっかい葉っぱを持ってきた。
「こちらですが、好きなサイズにこのはさみでじょきじょきと切ってから、こちらのソースをつけて食べてください」
葉っぱ1枚渡される。布団ぐらいの大きさのものを4つにたたんであるみたいだ。
その間には何か塗ってある。
「なんだろ。これ」
葉っぱの間に塗ってあるものは、白いもの。少しふわふわしている。
「これ? 主食?」
キララが聞いてみた。
「そうですね」
葉っぱとはさみをユキに手渡してくる。
どうすればいいかわからなくて、キララを見るとキララが葉っぱを持つのを手伝ってくれた。
じょきじょきと葉っぱを切る。
そしてさらに切る。
食べることができる大きさに切ってから、おいしそうなソースのうち、オレンジ色のものにつけて食べてみた。
「あ。おいしい」
葉っぱの歯ごたえと、中にはさんである白いもの。ふわふわであるが、食べ応えがある。
ユキが食べ終わった段階で、キララが持っている葉っぱを持つ。
僕が切り分けた葉っぱをキララが手に持ってオレンジのソースをつけて食べる。
「ほんと。おいしい」
桜餅を平べったくして、薄くしてから魚介のカニベースのソースをつけたかのようだった。
おかわりをして2人で食べたがじょきじょきと切った一列しか食べることができなかった。
「けっこうお腹いっぱいになるね」
ユキが言う。
「そうでしょうね。ここの住人ですが、家族が多いほうでして、平均して10名ぐらいでしょうか。家族みんなで切り分けて食べます。調理も簡単で美味しいのと、ソースは缶詰で売ってますので手間がかからないのです。おまけに野菜も食べることができますし、栄養バランスがいいものなのですよ」
と解説する係の人。
「そうなんだ」
いろいろあるなぁとユキは思った。
☆☆☆
工場の人にお礼を言いその建物から出た。
次の工場も見に行くことにする。
「良くお世話になっているものだよ」
キララが言う。
「なんだろ」
工場にいる人に見学を申し込む。
受付でキララのTMRを確認する。
「どうぞ」と案内をする人が中に入れてくれた。
なんだろ。
廊下からはオートメーションで製造されているものが見える。
時計とかそういうのかな。
腕につけるもの。
なんか見たことがある。
「これだよ」
キララがTMRを見せる。
「ああ。これ?」
量産されているTMR。
案内をしてくれている人が「あちらで完成品のテストをしています。ここでは空間移動のみができるTMRを生産しています。時間移動ができるTMRはもうちょっとセキュリティが高い衛星で製造されています。製造場所は秘匿されています」
と言う。
「へー」
案内をしてくれている人が次の部屋へと通してくれる。
テーブルにはTMRが置いてあった。
「使ってみますか? テスト用なので行先は5つ固定で登録されています。また転送先に行ってから強制的に1分で戻ります」
「そうなんだ。使ってみたい」
ユキは言う。
「では手で持って自身を登録してください」
係の人に言われる。
キララが持っているTMRとは違う感じのものだった。
デザインが違うのとバージョンが違う。
腕にはめると、腕の中にとけこんでいくように消えていった。
「ララお姉さんと同じタイプだね」
キララが言う。
「使うにはどうすればいいの?」
ユキが聞くと。
「指で自分の腕をタッチしてインターフェースを呼び出すのですよ」
と言われるので、自分の腕をタッチする。
するとインターフェースが出てくる。
キララがやっているように行先を呼び出してセットしてボタンを押す。
すると空中に自動ドアが閉じた状態で表示されてドアが開く。
「開いたよ」
ユキはキララのほうを見ると「行ってみれば。何もしなくても1分で戻るけど」
と言う。
「じゃあ」
とユキは言い、自動ドアをくぐる。
すると、別の建物の中のようだった。
ユキはそのままもう一回別の場所を指定して自動ドアを開ける。
開いた自動ドアをくぐると、外だった。
また、行先を選んでまたくぐる。
すると夜の公園みたいなところだった。誰もいない。
すると、1分が経過したのか自動で戻されてしまう。
「おかえり」
キララが声をかけてきた。
「ただいま」
ユキはどうすれば外せるかを聞く。
「どうせなら、そちらのキララ様のTMRとリンクすると使えるようになりますよ。どうされますか?
今日は記念に持ち帰ってもいいですよ」
と言う。
「え? いいの? キララのTMRとリンクするってどうなるの?」
なんだろ。
「キララ様のTMRを使って移動するのです。もちろんキララ様のほうで承認が必要ですが…」
と言う。
へー。
じゃあどうしようかな。
使ってみるのもいいかもしれない。
あ。宅配ボックスってあるのかな。
「宅配ボックスなんだけど、これ専用で使えるの?」
ユキは聞いてみる。
「そうですね。アドレスが別々に割り当てられるので使えますよ。もちろんキララ様のTMRから中身は見える形になりますが…」
ということだった。
「じゃあお言葉に甘えて…」
とユキが言う。
「はい。それでは登録をお願いします。ユキ様がお持ちの共通マネーはございますか?」
と聞かれるので「えーとあるよ。たしかこれに…」
ユキが手持ちのものを渡すと…
「では登録します。かなり昔から来ているのですね。金額はキララ様のTMRを通じて自動的に現代の物価に合わせられますので…」
と言う。
「へー」
便利だ。たしかにそうか。過去や未来を行き来して物価が違っているから、持っている金額が減ったり増えたりする。過去に行ったら大金持ちとかにならないようになのかな。
あ。でも共通マネーが無い時代に行ったらどうなるんだっけ。
と考えていると…
「はい。使えるようになりましたよ」
案内をしてくれた人が言う。
「ありがと」
「キララ様のは時間移動ができるタイプなので、別の場所でインターフェースの更新ができますが」
と言ってくる。
「そうなの? じゃあ…やってもらおうかな」
キララはタッチしてTMRを外す。
「では少々お待ちください。TMRを転送して、インターフェースを変更してもらいますので」
と案内してくれた人が部屋の奥まで行ってしまう。
キララは近くの座り心地の良い椅子に座る。
ユキもキララの隣に座ると、キララは「ねえ。抱っこして。ぎゅっと」
と言ってきてユキの太ももをぽんぽんする。
「うん」
と言うとキララはユキの膝の上に座ってきた。
きつねしっぽを横に垂らす。
座った後にキララを後ろから抱きしめる。
「どうしたの」とユキが聞くと…キララは「えーとね。TMRを外したからなんか落ち着かなくてね…」
と言う。
「そっか」
ユキは後ろからキララを抱きしめながら言う。
抱っこすると安心するのかな。
僕は男だし、キララは女の子だし。
待っていると、案内してくれた人が戻ってきた。
それを見てキララは僕の膝の上から立ち上がった。
「はいどうぞ」
ニコニコしてこっちを見ている。
キララはTMRを腕にはめて、インターフェースを呼び出した。
仮想インターフェースになったキララのTMR。
「使いやすくなったよ。ありがと」
時間を確認する。
もうすぐで5時間30分ぐらい。
「いろいろありがとう。もうすぐで時間だから宿泊施設に戻ってみるよ」
「そうだね。僕もありがとう」
案内をしてくれた人に言う。
「どういたしまして」
部屋から出て廊下を進み、工場から出る。
案内してくれた人は見送ってくれている。
まだ、にこにこしてこっちを見ている。




