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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとユキの二人だけの旅…再び
124/138

ユキとキララのブラックホール中心への旅(1)

ブラックホールの中の描画は想像です。

ものを伝える方法も想像ですので適当かもしれません。でも本当にできるかもしれません。

 キララはふっふっふと笑った。

「ユキ君。ちょっとTMRで出かけるけどすぐに戻ってくるからね」

 と言い、今の宿の出発前にキララがTMRの自動ドアを開けて別のところへと行った。


 キララが出て行ったあと、10秒ぐらいしてからすぐに戻って来た。

「おまたせ」


 ユキは「どこに行ってたの?」

 と聞くと…


「T3422星系の近くにある浮遊衛星なんだけどね。行く前に未来に行って、いい時間を調べてきたの。

 ちょうど今から822年後にいい感じのがあったからその46年前に行って予約してきた」

 とキララが言った。


「未来ね。あ。でもなんで46年前なの?」

 と聞くと…


「ふっふっふ。それはだね、その時代のT3422星系の浮遊衛星のツアーは人気でね、予約が殺到しているんだよ。だいたい46年待ちになっているからTMRで時間を移動して予約してきたの」


「そうなんだ。予約待ちでも過去に行って予約できるんだもんね」

 とユキは言う。TMRは便利。


 キララが戻ってきたので、ここをチェックアウトする。

 例のロボットのおばあさんにお礼を言い、ここを後にする。

 入り口の気密服をキララの宅配ボックスの中にしまい、そのまま入り口から宇宙船の中へと移動することにした。


☆☆☆


 なんとなくなつかしい旅館を後にして、T3422星系へと行くことにする。


 次の目的地。ブラックホールの光でも脱出できない境界の中に入っちゃうことになる。

46年待ちだけど待たずに参加できる。


☆☆☆


 宇宙船でその星系まで移動を開始してから2時間がたった。

 今回はゆっくり移動している。


「もうすぐでT3422星系だよ」

 とキララが言う。


「そっか」

 ユキはキララの言葉を聞いて外を見る。

 見た目は星系の中に入りそうかはわからないが、目立つ恒星がある。

 きっとこの星系の主星だろう。


 ここから移動するらしい。


 第4惑星めがけて進む。


 第4惑星のそばまで来ると、宇宙船の反応がコンソールに現れる。

 他の観光客かな。


 第4惑星そのものではなくて、衛星のそばに船をつける。

 そのままTMRを使って衛星へと降りるようだ。


 衛星といってもかなり小さい。よく見てみると小惑星を改造したものだとわかる。

 見たことがあるガラスのようなドームがいくつか見える。


「じゃあ着いたから」

 とキララが言うので立ち上がる。


 キララはTMRで自動ドアを開ける。

「時間を移動するの?」

 と聞いたら…

「そうだね。忘れていたよ。822年後に移動しないとね」

 と言いTMRを操作した。


☆☆☆


 TMRによる自動ドアを通り抜けるとそこはカウンターだった。


目の前にホログラムの案内ロボットが表示される。

「ようこそ。T3422星系のブラックホール観光宿泊のお客様ですね。46年待ちとなりましたが、いよいよ参加です。ところでお客様。親御さんがご予約されたのですか?」

 僕たちが地球人だということがわかり、見た目若いカップルだからなのか聞いてくる。

「えーと。そうだね。親が予約したんだけど、年とったからお前たちで行ってきなさいって」

 とキララが言う。うそだけど。


「そうでございますか。とても人気の宿泊ツアーとなっております。きっと良い思い出になるでしょう。さあこちらへどうぞ」

 とラウンジに案内される。


 ラウンジの天井付近には、ブラックホールを近くから撮影した立体映像のホログラムが映し出されている。


お土産屋さんもある。

天体関連のグッツも売っていそうだ。

 『これ買って』と言っている子供もいるし…若いカップルに見える人や年をとった夫婦もちらほらいる。

「あそこの夫婦だけどね。地球人より長生きなんだよね。230歳まで生きるらしいよ」

 とキララが言う。


「へー」


「あそこの若いカップルに見える人は、実は80代だよ」

 とTMRを見て言う。


 スキャンして人の情報を表示させているみたい。

「いろいろな人達がいるね」

 あたりを見回して言う。


 どう見ても小さい子供のように見えるカップルや、家族連れもいる。

「あそこの家族連れなんだけど、小さいほうが親だよ。大きいほうが子供だよ」

 とキララが言う。


「へー。なんでなんだろ」

 と見て言うと。


「きっと種族が違っていて、養子みたいな感じで子供を引き取ったのかな」

 とキララが言う。


「いろいろあるんだね…」


 出発までまだ時間があるようだ。

ものめずらしいのであたりを見ているだけで飽きない。

 横のほうを見ていると、キララの声がした。

 キララはユキを手招きしてまどのそばまでおいでと誘う。


 キララはTMRを床のほうに向けてインターフェースのボタンを押すと、床からテーブルと椅子が上がってきた。


 キララは床から生えてきた椅子に座る。

 僕も同じように座る。

 キララはテーブルをタッチして何か注文をすることにした。

 前の宿泊地にあったテーブルと同じインターフェースだった。

「ここは未来だけど、このインターフェースを使っているんだね」

 ユキはキララに言う。


「そうだね。良いインターフェースは長く使われるんだよ。これとかね」

 TMRを指で示して見せる。


 たしかにね。

 注文をすると、最初に案内してくれたホログラムのロボットがすぐに物を運んできた。

 温かい紅茶とクッキー。それとパンのような軽食であった。


 温かい飲み物を飲んでおちつく。


 軽食を食べながら待っていると…放送が流れた。

「T3422星系のブラックホール観光宿泊にようこそ。ご予約のお客様が全員そろいましたので、まもなく本衛星は出発します。目的のブラックホール通過は明日の11時の予定になっております。その間は星間航行をお楽しみください」


 明日なのか。

 ユキはキララを見る。

 キララはTMRを操作してTMRで表示している映像をテーブルに映し出した。


 画面を2つ。1つはこの衛星と背後にある惑星。

 惑星は大きく表示されている。

 もう1つの画面には宇宙空間が映っている。


 見ていると、画面に表示されている惑星がだんだん小さくなり、遠ざかっていく。

「動き出したね」ユキは映像を見て言った。


「うん。わくわくするね」キララも映像を見て言う。


 でっかい人口的に作られた衛星が動き出す。


 またアナウンスが入る。

「これから空間転移を併用する超高速航行へ移行します。通常空間と超空間を交互に通り抜けることで、見た目の速さが光速より早く移動できます。目的地の星系まで2時間の予定です。星系内では速度を落として進みます。ブラックホールが視認できる距離まで3時間の予定です。それではお楽しみください」

 いつのまにか、背後にあった惑星は見えないほど小さくなり、別のガス惑星も通り過ぎたところだった。

外の星空を見ていると、いきなり、見えている星が変わった。

 その後。見えている星が線をひきはじめた。

 この見え方は僕たちの乗っている宇宙船から見る移動風景とはちょっと違っている。


「この宿泊施設の移動方法なんだけど、フレームレートが高いね。細かく通常空間と超空間を交互に移動しているから…本当に光速を超えて移動しているみたい」

 とキララが言う。

 だから見えている星が線になっているのか。


 このあたりはとくに見るような景色はない。だからこういう形での移動となっている。


☆☆☆


2時間が経過した。

 その間は各星系のブラックホールの紹介映像が大きなスクリーンに流れていた。

 中性子星とブラックホールの組み合わせや、3つのブラックホールがお互いを引きつけながら公転軌道を回っている星系もあった。


 赤色巨星がブラックホールのまわりを回っていて、吸い込まれているのは良くある話だが、今回は木星型のガス惑星がちょうど吸い込まれるのを見ることができるツアーとなっている。

 ブラックホールの周りでは時間経過も違い、時間がゆっくり流れるのだが、この衛星の中は時空間が分離されていて外側の影響を受けない。


線のように見えている星が、少しずつ線の長さが短くなってきているように見える。

 ということは減速しているのではとユキは思った。


 もうすぐで3時間ぐらいたつ。

「ブラックホールは見えるのかな」

 ユキが言うと…


「うーんどうだろ。小さくて見えないと思うよ。もう少しかな」

 と言うキララ。


 キララは何かのページを見ていた。

 何を見ているのかなと思ってキララが見ているページをみていると…

 商品のページだった。

 ホログラムディスプレイ。業務用。

「何みているの?」

 ユキは聞いてみた。


「うん。私所有の図書館と水族館なんだけど…ブラックホールを水槽の中に表示して、発光するヒトデを吸い込ませたら面白いかなと思って…」

 と言っている。


「へー。これ。自分でいろいろな物が表示できるの?」

 キララが見ているディスプレイを見てみた。


「うん。そうみたい。ここは未来だから私達の時代のものよりはるかに進んでいるんだよね」

 とキララが言いページをめくる。


 解像度も高そうだし、見た目も綺麗なものを表示できそうだ。


 あたりが少し暗くなってきた。

 照明の操作によるものかな。


 まわりを見ると、ちらほら移動してどこかへ行く人がいる。

「ねえ。みんなどこかに行くみたい」

 キララに言うと、キララもあたりを見回す。

「ああ。きっと自分たちの宿泊施設に割り当てられたところに移動するみたい」

 とキララが言う。


 キララとユキは、自分たちの宿泊施設の割り当て部分へと移動することにした。

 案内ロボットを呼び出して案内してもらう。


 歩いて行くと、ドアがあった。

 ドアをくぐると、別のドームの中へと出た。

 前の宿泊施設と違い、結構広い。

 小さいプラネタリウムぐらいの広さがあるガラスドームの中。

 自分たちのインスタンスが割り当てられているので全部貸し切り。

 天井には星空と小さいが惑星が何個か見える。

 もっとも肉眼では見えにくいが、ガラスドームに分かりやすくレーザーかなにかで星空に重なる形で表示されている。

 ブラックホールの位置も表示されている。

 このガラスドームの下はふかふかの絨毯が敷かれた床になっていてどこの位置でも寝っ転がって天井を見ることができる。


指を空中で操作するとジェスチャーでメニューが表示されるし、メニューから各種天体関連の映像が表示されるように指示することもできる。


他にホログラムでこのドーム内にミニチュアの天体が表示できる機能があるのに気が付いた。

 ユキはガス惑星と輪がある惑星、それとブラックホールと中性子星を適当にドーム内に表示させた。


「なんかすごい。リアルだね」

 と言いながら床に寝そべって天井を見る。

 キララも天井を見ている。

「ほんと。綺麗だね。本物があるみたい…」


 夕食はなんでも頼めるようだった。

 地球のメニューから見たことがない星系のメニューまで。


 卵の中に各種のおかずが入ったものが気になったのでキララと一緒に注文する。


 卵は大き目でメロンぐらいの大きさ。

 深めのスープ皿にはおいしそうなスープが少な目に入っていて、ホログラムで食べ方が示されていた。

 卵をスープ皿に入れて割って中身を出すと、中身の具がスープに広がるという。


「いただきまーす」

「いただきます」


 スプーンとフォークを使って卵をスープ皿に置き、卵を割ると中からおいしそうな具と黄身が出てきた。

 お肉みたいなものやお魚みたいなお肉が入っている。

 あと、煮たお野菜とかフルーツに似た感じの丸いものも入っている。


「あ。これ。甘酸っぱくておいしい」

 フルーツに似た感じの丸い小ぶりのものにかぶりついたキララが言う。


「ほんと」

 ユキも同じものを食べる。


 たしかに甘酸っぱくておいしい。


 こっちのはどうかな。


 黒い実みたいなもの。


 ちょっとぴりっとしている感じでおいしい。


 こっちのお肉みたいなのは? うん。これも肉汁が中に閉じ込められていて、口の中で肉汁が広がる感じになっている。

「おいしい。いろいろな味が楽しめるね」

 ユキは食べながら言う。


「うん。おもしろいね」


 そこそこお腹いっぱいになり、満足する。


 ユキとキララは眠くなるまでゆっくり過ごすことにした。


 ユキは電子書籍を読む。


 キララは何かのカタログやキララ所有の水族館での催しに使えるものを捜すのに通販サイトを見る。


☆☆☆


 ユキはいつのまにか寝てしまっていたようだ。


 毛布のようなものが体にかけられている。


 キララも近くで同じ毛布のようなものにくるまって寝ている。


 そのままユキは寝ることにした。


☆☆☆


 朝。


 朝日のような温かさの色がついている照明がまぶしくなってきたのでユキは起きる。

 ごく自然に目が覚めるようになっているようだった。


 キララもほぼ同じタイミングで起きた。


「おはよ」

 ユキはキララに言う。


「うん。おはよ」

 キララは腕を伸ばして、尻尾も動かしてほぐした。


 ユキも同じように腕をのばす。


 10時になるまでそれぞれゆっくり過ごすことにした。


 朝食も頼む。今はちょうど9時ごろ。


 ドームの中に浮かぶミニチュアの惑星や中性子星。ブラックホールを見ながら朝食を食べる。


 今回はものすごく細長いパンのようなものだった。

 中身にはところどころおかずが入っている。

 しまもようのパンであった。


「あ。そうだ、これ。この施設の前にいるガス惑星なんだけど、縞模様があるね。ブラックホールに吸い込まれるときに普通は惑星は粉々になっちゃうんだけど。今日のは粉々にならずに奇跡的に、むにょーんと引き伸ばされることになっているんだよね。きっと見ものだよ」

 とキララが言う。


 だからなのか。このパン。すごく長い。


 太さはあまりないが、パンが長いので全部食べ終わるころにはお腹いっぱいになっていそうだ。


 付け合わせのスープもついているのでゆっくり食べることにする。


☆☆☆


 10時になり、外の景色を見て過ごす。


 だんだん黒いものが大きくなってきている。黒いものの周りには非常に明るくなったものが渦を巻いている。


 そして…放送が流れた。


「あと10分で前方のガス惑星が変形し始めます。本施設も前を行くガス惑星と同じように引き伸ばされることでしょう。でもご安心ください。本施設は時空間で分離されておりますので影響はございません。

 メニューから視覚効果をオンにすると、自身の体や施設全体が引き伸ばされた形となってみえます。解除するためには再びメニューからオフにしてください。本当にひきのばされているわけではないのでご安心を。

 ガス惑星がブラックホールに完全に吸い込まれてから4分後に本施設もブラックホールに吸い込まれます。その後は『事象の地平面』の中となります。光ではとらえることができない世界になっております。

 重力の強弱とブラックホールの中心をわかりやすくCGで重ねて表示します。ブラックホールの中心まで落ちていくには時間がかかりますが、本施設は時間も超えて観測が可能ですのでわかりやすい時間尺で映像を表示させます。本施設の外側での観測体が破損されるまでお楽しみください」


 と流れる放送を聞く。


 前にあるガス惑星を見ると、ちょっと斜めに見えているが、なんとなく完全な球ではなく、もうすでにブラックホールに近い側が引き伸ばされているように見えた。


「ねえ。キララ。『事象の地平面』の内側は光でさえも脱出できないんだよね。どうやって観測しているんだろう」

 とユキは疑問をキララにぶつける。

「うん。光は脱出できないぐらいのところで、なにがなんでも中のものは外側には脱出できないと思っている?」


「うん」


「でもね。中のものが外におよぼすものがあるんだよね。それは重力だよ」


 とキララが言う。

「あ。そっか。ブラックホールの重力。それは中から外に影響をおよぼしているね」


「うん。だから観測したものを重力の強弱としてデータに変換して観測体からこの施設の中に送り込んでいるの。もっとも外と内では時空間が分かれているからその間を伝えるものが必要なんだけどね。詳しく知らないけど」

 とキララが言う。


 確かにね。光でさえも脱出できないから、外に何かを伝えるのは無理だと思っていた。

 TMRは時間や空間を超えることができるから、いろいろな技術の応用でできるんだろう。

 地球人だけだと絶対できないよなとユキは思った。

 

「始まったよ」

 キララが指をしめす。


 なんとなくだった、引き伸ばされた形だったガス惑星が、だんだんと楕円形になってきている。


 そして…どんどん引き伸ばされて、お餅を両手で引っ張ったみたいになるまで伸びている。


「すごいね」


 むにょーんとガス惑星がそのままの形で引き伸ばされてどんどん長くなっている。


 本施設も引き伸ばされているみたいだが、見た目、この中は安全で外の変化には影響がない感じだった。


 ユキはメニューを表示させて、視覚効果をオンにした。


 すると…

「うわぁ。なにこれ…長いよ」

 腕を伸ばしたまま体の向きを東西南北のように向けると、ブラックホールから近いほうと遠いほうに向けると、腕がものすごくながくなっている。


 メニューをもう一回押すと、施設自体の景色もみにょーんと伸びた。

「うわぁ。なんか変だよ」


 ユキの言葉にキララも同じようにメニューから視覚効果をオンにする。

「うわぁ。なにこれ…」

 キララの腕がかなり引き伸ばされて、施設の向こうまで伸びている。


「外だったら死んでるね…こんなに伸びちゃって。私の腕。何キロ向こうまであるんだろう。というか…惑星間の距離ぐらいあるんじゃない」


 と言う。

 ユキはメニューをもう一度押して普通にしてから、自分の体だけ再び視覚効果をオンにしてみる。

 やっぱり、腕というか、指先はかなりかなたにある。

 腕が引き伸ばされている。

 面白い。


 あ。ブラックホール。

 ユキは資格効果をオフにして、キララに言う。

「ブラックホールとガス惑星も見なきゃ」


「あ。たしかにそうだね」

 キララも視覚効果をオフにする。


 すでにガス惑星はものすごく引き伸ばされて、一番先はブラックホールへと吸い込まれはじめていた。


 どんどん真っ暗なものが大きく見えてきている。


 ついに、ガス惑星が見えなくなった。


 まっくらな穴が見える。

 穴と言っても球体だが…


 ついに、外は真っ暗になった。


 次第にCGによる映像が重ねられて表示されはじめた。


 何かの線。線が中心に向かって落ちていく。


 さっきのガス惑星はもうちりじりになってしまったんだろう。


 中心と思われる方にブラックホールがあるという表示がある。


 円を回って落ちていく。


 ぐるぐるとまわり、ブラックホールの中心までの距離を示す数字が小さくなっていく。


 どんどん小さくなる数字。


 もう落ちて、ゴールかと思うが、数字はどんどん小さくなり0になったが、また桁が多くなる。


「結構時間がかかるよね」

 キララが言う。


「これ。時間の縮尺を調整しているんだよね」

 ユキが言う。


「うん。実際はブラックホールのまわりは時間がゆっくり流れて止まってしまうかのようになるんだけどね、中の時間に合わせていたら永遠ぐらいの時間がかかるからね。早回しだよ」

 と…


 そしてついに…


 CGの表示がとまり、中心までの距離が更新されなくなった。


「外側の観測体が破損しましたので、まもなく中心まで到達します。その後本施設は通常のブラックホールから離れたところに移動します」


 というアナウンスがあったあと、外側に星空が戻ってきた。


「すごかった。生身で見ることはできないけどこんなふうなんだ」

 とユキはキララに言う。


「うん。ものすごく丈夫な宇宙船とか宇宙服とかでブラックホールに吸い込まれたら途中の高重力で潰れちゃうね」

 と言いながらキララはユキにくっついてきてユキを押し倒してきた。


「うわぁ」

 ユキとキララは床の上に重なる。


「ぎゅー」

 キララが言い上に乗っかってくる。


 ユキは下になりながら、キララのきつね耳をもふる。

「重いって。耳ふーふーするよ」

 ユキは言う。


「面白かったね」

 キララは言いながらまだ乗っている。


「うん」ユキは体を横に向けてキララを床の上におろす。


「平和だね」キララは普通に見える星空を見て言う。


「そうだね。さっきまでの景色を見たあとだと平和だと感じるね」


 と言っているうちに放送が流れる。


「お楽しみいただけましたでしょうか。本日の観光ですが、46年待ちのお客様もいらっしゃいますので、おまけとして中性子星の中心までの旅もお楽しみいただけるようにしました。この後中継地点の惑星に立ち寄り、観測体の交換を実施した後に中性子星へ向かいます」


「ほんと? やった」


 ユキはキララを見た。


「さてと。飲み物とってこよう」

 キララは立ち上がった。







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