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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとユキの二人だけの旅…再び
123/138

アンモニアの雪が積もる惑星の山登りと日本のお宿のようなところでの宿泊をするユキとキララ

 ユキとキララは山を登っていた。

 地球の山とは違う。

 太陽から遠い惑星の山。


 結構険しい、宇宙服(気密服)を着て急な山道を登っている。

 足もとには雪に見えるが雪ではないアンモニアが凍ったものが積もっていた。


 ざしざしと足場を作って進む。

「すごい景色…」

 ユキは言う。


「うん。到着までホバー型の撮影装置で記録しておくね。あとで見ることができるように…」

 キララは登りながら言う。


 重力は地球より少ない。

 急な斜面でも重力が少ないのでユキとキララでも登ることができる。

 見た目は過酷だ。


☆☆☆


 かなり上を見るがまだ山頂は見えない。

 雲に隠れている。


「大丈夫?ユキ君」

 キララが心配して聞いてくる。


「うん。大丈夫。重力が弱いからなんとかなっているよ…」

 と…


 キララとユキが一列になって登っていく。


 他の人は見かけない。


 しばらく登ってから下を見た。

「うわぁ。雲が下に見える」

 ユキは言った。


「うん。高所恐怖症の人はだめだね」

 とキララが言い手を出してきた。


 僕はキララの手をにぎり、体を上に移動させる。


 何も考えずに登る。


 上を見るとドーム状のものが見えてきた。

「あそこだよ」


 キララが言う。


 あとどのぐらいだろう。30分?


☆☆☆


「やっと到着…」

 最後の道をクリアする。


 山頂近く。

 平らになっているところに透明状のドームみたいなものがくっついている。

 中を見ると緑も見える。


 ドームは一軒家を6つぐらいくっつけたぐらいの大きさしかない。


 透明だが、一部だけドアの形になっているところがある。

「さあ。入ろう」


 透明などう見ても閉じているかのようなところをくぐる。

 キララの後にユキが続いた。


☆☆☆


 ロッカーのようなものがあり、気密服を脱げるようになっている箇所だった。


 キララはロックを外して頭のカバーをとる。

 キララが先に外してユキが脱ぐのを手伝ってくれる。


「はあ。やっと脱げた」

 空気。


 結構おいしい気がする。

 ずっと気密服だったからそう感じるんだろう。

 キララは腕を伸ばしてから耳を動かして、しっぽも動かす。

 左右に動かしている。


 ユキも腕を伸ばしてのびをした。


 奥に入り口がある。

 キララは入り口を指さしてから入った。


☆☆☆


「お客様ですね。一泊でよろしかったでしょうか」

 と地球人のおばあさんのような人が聞いてくる。


「えーとそうですね。2名一泊。同じ部屋で…」

 キララが言う。


「じゃあ新しいインスタンスを1つ用意します。あちらのドアからお入りください」

 受付のおばあさんが言う。


「はい」

 キララは言い、ドアに向かう。

 ユキはおばあさんのほうをもう一度見てからキララの後についていく。


 ドアをくぐると、またさっきのおばあさんが立っていた。

「どうぞこちらへ…」

 和服を着ているおばあさん。


 どう見てもさっきの人と同一人物だった。

「ねえ。さっきの人かな」

 ユキはキララに聞く。


「うーん。きっとロボットだよ」


「ロボット?」


 どうやらロボットらしい。

 キララが説明してくれた。


 ここはこの宿の新しいインスタンスの中。


 お客さんが来ると新しいインスタンスを作り、空間をガラスドームの中に作るようだ。

 その中は一緒に宿泊している人だけが存在して、別のお客さんは別のインスタンスの空間にいることになる。なので貸し切りと同じ。そのインスタンスの中にはお世話係のロボットがいて、みんなリンクしている。さっきの受付の人とは別のロボットだが、外見はみんな同一だった。


「こちらが『もうすぐで春の間です』」とおばあさんが言った。

 ごゆっくりという感じで下がる。


☆☆☆


 よくある和風の旅館の中と同じだった。


 違うのは窓から見える景色。


 外は白一色だ。

 庭があり花のつぼみついている。


 外は温かそうに見える。

 露天風呂もある。


「へー」

 地球から離れた星系なんだけどなんか懐かしい。


「ここは和風旅館なの?」

 ユキは聞いた。


「うーんとね。僕たちにはそう見えるかな。出発前に白い家電とか壁とか内装の話をしたの覚えている?」


 どうだったかな。

 部屋の中はシンプルで白一色。目に直接色や模様を映し出したりして内装を変化させているだっけ?

「なんとなく…」ユキはキララに言うとキララは話し出した。


 キララはふすまに触って閉めたり開けたりした。

「これは触れるホログラム。模様とか物は映し出されたもの。実際のものは真っ白なシンプルなものだよ。訪問した人に合わせて内装を変えているんだよね。どんな民族。どんな星系の種族にも対応できる。僕たちが太陽系の地球出身で、日本人だからこうなったんだろうね」

 とキララが言う。


「そうなんだ…」

 あたりを見まわす。


「今は春ぐらいをイメージしているみたい。秋とか冬とか灼熱の夏とかもあるよ」

 とキララが言う。


 とりあえずキララはテーブルの上にのっているお茶セットを手元にたぐりよせて、パックのお茶を湯のみの中に入れてお湯をそそいだ。

 よく見る感じのお茶菓子も添えてある。


「ありがと」

 湯のみのお茶を飲む。


 ああ。おいしい。普通においしい。

 外の景色は真っ白でアンモニアの氷が積もっているような場所だったけど…この中は落ち着く…


 キララは服を脱いで浴衣を着る。

 キララは後ろ向きで着替えていたけどユキは後ろ姿を見ていた。


「はい。ユキ君のぶん」

 キララは浴衣一式を渡してくる。


「ありがと」

 ユキは服を脱いで浴衣に着替える。


「ねえ。ユキ君。マッサージしてあげる。終わったら私にもお願いね」

 と言い、キララは座布団を数個敷き詰めて上にうつ伏せに寝っ転がる。


 どうすればいいのかな。

 ユキがキララのそばに行くと…

「馬乗りになって両手で首すじと肩。背中、腰、お尻、太ももの順にマッサージしていって。どこ触っても気にしないけど…お耳は付け根だけね」

 とキララは言った。


「うん」

 寝っ転がっているキララのお尻の上のほうにまたがってみる。


 首のあたりをこりこりしてみる。


 こりこり。

「あ”ーいいね。そこ。そこだよ」

 キララは言う。


 こりこりしてあげる。


 ついでにキララの耳の付け根もこりこりする。

「あ”ーそこもいい」


 こりこりが気持ちいいらしい。


 今度は肩とか二の腕を揉む。


 こりこりしてぷにぷにと揉んでみる。

 結構柔らかい二の腕。

 手のひらまでマッサージしてあげる。

「上に座っちゃってもいいよ」

 とキララが言う。


「うん。そうする」

 普通にキララに体重をかけないようにしていたがキララがそういうので上に座ってみた。


 もみもみ。


 こりこり。

 逆の二の腕も揉んであげる。

「あ”ーいい。そこ。そこそこ」

 気持ちいいらしい。


 結構登ってきたからね。

 腕を使ったから…


 次に背中を揉み、腰も揉む。


 で。


 お尻。


 どうするか考えたが、手のひらで押すことにした。

 体重をかけて押す。


 ぎゅっと押す。


 しっぽの付け根はこりこりしないであげた。

 敏感だったら困るし、ユキにはしっぽが無いからわからなかったからだ。


 次は下半身。

 ユキは立ち上がり、逆向きになってキララの背中にお尻を落とす。

 そのまま座り、キララの太ももを両手でもみもみしてマッサージしていく。

 片足ずつ。下のほうへ…


 最後に足の裏も手のひらでマッサージしてあげる。


 最後に逆の足。

「あ”ーいい」とキララ。


 足の裏までマッサージしたあと…

 ユキは立ち上がった。


「次はユキ君のぶんね」


 キララが寝っ転がっていたところにうつ伏せになる。

 あ。座布団がキララの体温であたたかくなっている。


 キララはユキの上にまたがって、ユキのお尻の上に座ってきた。

 ぎゅ。

 思ったより重い。


 首。頭をマッサージしていくキララ。

「気持ちいい」


 肩もマッサージしてくれて、二の腕を片腕ずつマッサージしてくれる。


 こりこり。ぷにぷにとマッサージしていく。

「やっぱり細いね。ユキ君の二の腕…」

 キララは言う。


「そう?」


 もみもみ。


 こりこり。


 最後に手のひらもこりこりしてくれる。


 もう片方の腕もやってくれる。


 背中と腰。


 キララはユキの背中に足の裏を乗せて踏み踏みしてきた。

「あふ」


 思ったより苦しいが、かなり効きそうだ。

 足で踏まれた後に、キララは降りて両腕の手のひらでぎゅうぎゅう腰を押してきた。

 いい感じに押すキララ。


 上半身が終わると、キララはいったん体制を変えて逆向きになった。

 背中に座ってくるキララ。

 思ったより柔らかいお尻がユキの背中に乗る。


 お尻を手のひらで押してくれる。

 その後は片足ずつ両手でマッサージ。


「ああ。いい。そこ…足が結構疲れてて」


☆☆☆


 すっかりマッサージでほぐれた。


「じゃあ露天風呂に行く? ここの部屋のでもいいけどいい感じの温泉があるみたい。この部屋の逆だけどね」

 とキララ。


 一緒に入るのはもう決まっているようだ。


☆☆☆


 キララは上と下の大事なところを隠して先にかけ湯をしてから湯船の中に入った。

 キララが湯船の中にはいったことを確認してからユキは浴場の中に入る。


☆☆☆


「あ”ー」

 声が出た。


 いいお湯。


 他の星系で重力が少ない惑星だけどかなりの斜面を登ってきたから疲れた。

 温泉で疲れが溶けだしたかのように出ていく。


 カップルでの温泉もいいなとユキは思った。


 疲れるぐらい登ってきたけどマッサージをお互いにしたし…

 一緒に温泉に入り、目が合うとにっこりするキララ。


 しっぽを湯の上から出してしっぽでお湯をかきまぜているキララ。


 耳もぴこぴことちょっと動かしている。


☆☆☆


 先にユキがお湯から上がり、体を洗う。


 一緒に洗いっこする? とキララに聞かれたけれど恥ずかしいので先に洗って出るよと言った。


「じゃあゆっくりお湯につかっているから…」

 とキララが言う。


☆☆☆


 先に浴室から出るユキ。


 まだ一緒に洗いっこは恥ずかしい。


 体を拭いて、テーブルと椅子が置いてある部屋でキララが出てくるのを待つ。


 貸し切りだから誰もいない。


 他のインスタンスにはきっとお客さんがいるんだろうと思うけど…


「お待たせ」

 ほかほかになったキララが出てきた。


☆☆☆


「ねえ。自動販売機とかないの? というか地球のお金は使えるのかな?」

 ユキは待っている間飲み物がほしかったが、自動販売機のようなものは無かった。


「ああ。言ってなかったね。テーブルの真ん中をノックするとテーブルがスクリーンになって注文できるよ。お代は最後に払うからね」

 とキララはテーブルの真ん中をノックした。


 すると木のテーブルに見えたものが表示装置になって日本語が表示された。


 ビールとか、ジュースとかサイダーとか書いてある。

「私は果物系の炭酸で」

 とキララが言いプラスのボタンを押した。

「じゃあ同じものを」

 ユキは言った。


 キララはテーブルを使って注文する。


 1分もしないうちにおばあさんが飲み物を持ってやってきた。

 果物系の炭酸が入っている入れ物を持っている。


 こくこくと果物系の炭酸を飲む。

「ああ。うまい」

「ほんとだ。おいしい」

 天然の果物をほどよい炭酸で割ったもの。甘すぎずいい感じ。


 2杯コップにつぐと飲み物は無くなったが…

「ねえ。ユキ君。この入れものの底のボタンを押すとまた飲めるよ」

 とキララが言い、ボタンを押してテーブルの上に置いた。


 すると入れ物の中に入っていた飲み物がだんだんとなみなみとしてきた。

「へー。面白いね」


「空間転移の技術。良くあるよ」

 とキララは言う。


 お代は最後に支払うし便利。


 ユキもおかわりをすることにした。


☆☆☆


 自分たちの部屋に戻る。


 部屋にあるテレビのようなものをつけた。


 すると地球の番組はやってなくて、各星系の名所の紹介や通信販売の番組をやっていた。


 面白いのでつい見てしまう。


 見ていると夕食をおばあさんが運んできた。


「夕食をお持ちしました。この星系の2番惑星でとれた動物のお肉と、水の綺麗な地域のお魚のお刺身です。それとメインはすき焼きです」

 うまそうだ。


 おーそどっくすなんだけど…卵もあるし…どう見てもニワトリの卵に見える。


「ねえ。キララ。これって…」

 と聞くと…

「たぶん2番惑星の鳥に似た生物の卵だね。地球人だと知って合わせてくれたみたい」


 そっか。


 ごはんもあるし…


 なんか懐かしい。


 地球からこの星系はどのぐらい離れているんだろう。

 ユキは思った。


 地元の星系?の惑星でとれたお肉とお魚。お野菜と、すき焼きを食べてユキとキララは満足する。


☆☆☆


「あー。おいしかった。なんか懐かしい味…」

 他の星系にいながら地球のお宿の感じでお泊りする。


 なんか不思議な感じ。


 この星系で流れているテレビをぼーと見る。


 同じ系列でやっているお宿の紹介も流れる。


「あ。これってすごい」

 ユキは紹介を見る。


 浮遊衛星。


 それにガラスドームがついていて、ブラックホールの近くを漂っている。

「出発地点はT3422星系の近くにある浮遊衛星にアクセスしてください。お客様がそろい次第出発します。見どころはブラックホール。近くにありますのでブラックホールの事象の地平面の中まで入ります。あるところまで行ってから空間転移して戻ってきます。ブラックホールに吸い込まれる直前の景色は見どころですよ」


 と言っていた。


「えー。中に入るの? 死んじゃうじゃない」

 とユキは言う。


「ああ。きっとあれだね。このガラスドームも同じ仕組みなんだけど…透明に見えて実は外の映像をガラス状のものに映しているだけなんだよね。外のガラスと中のガラスとの間は別の空間になっていて外気の気温も通さない。重力も通さない。危険な放射能も何も通さないんだよね。だから危険なところの中にも入れるの」


「ブラックホールの近辺って時間の流れも違うじゃない」

 とユキが言うと…


「空間が別だから影響がないの。外側は壊れると思うけど、私にはどうなっているのかわからない技術なんだよね」


「そうなんだ。すごいね。じゃあ次はそこにする?」


「きっと言うと思った」キララは言った。


 夜。

 お布団をひいて寝ることにした。


「おやすみ」

「うん」


 他の星系の日本のお宿のようなところでお布団で寝る。

 ぐっすり眠れそう。


 ユキは目を閉じた。


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