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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとユキの二人だけの旅…再び
119/138

高濃度な放射能に汚染されてしまった惑星でのオーロラの鑑賞をするユキとキララ

 ちちち。

 何かの声が聞こえる。


 ユキは目が覚めた。

 隣を見ると…じっとこっちを見ているキララ。

「おはよ」

 キララがニコニコしてこっちを見ている。

「お。おはよう…」

 ふあーあとあくびをする。


 ユキは、のそりと寝袋から出た。

 トリっぽい生物の声が聞こえる。


 すがすがしい、良い朝。

「朝食の準備はできているよ」

 キララが言う。


「もう? キララいつ起きたの?」

 ユキは聞いてみる。


「1時間ぐらい前。朝食の準備をしてからユキ君の寝顔を見てたの」


「そ。そうなんだ…」

 しっぽをぱしっと寝袋にうちつけるキララ。


☆☆☆

 朝食を一緒に食べてから次に行く行先を決める。


「次なんだけど『放射能に高濃度汚染された惑星と生物がいなくなった惑星上のオーロラ』にしようと思うんだけど…どうかな」

 キララが言う。


「うん。いいよ。でも危険はない?」

 ユキは心配になった。


「ないよ。防護服を着ていればいいし…」

 キララは言うが…


 朝食後にゆっくりしてからテントを片づける。


「じゃあTMRを開けるよ」


「うん」

 TMRにより宇宙船の中へ移動する。


☆☆☆


「もう宇宙船だね」


「そうだね…」キララはお菓子と飲み物を冷蔵庫から持ってくると言い階下へ降りていく。


 ユキはソファに座り今までいた惑星を見る。

 そして…ガス型惑星の近くのミニブラックホールの方向も見る。

ブラックホールにいつか飲み込まれてしまう惑星。

 ブラックホールは天然のものでなくて兵器だった。

 さて、次の惑星か。


外の惑星を衛星軌道上から見ているとキララが戻ってきた。


「次は。いちおう説明しておくけど…防護服を着たまま外を歩くの。テントは使用せずにシェルターカプセルを地面に設置するから…その中だと服を脱いでいいよ」


「服?」


「防護服ね。まさか全裸と思った?」

 キララがユキを見ている。


「いや。違うよ…あわててテーブルの上のお飲み物を手にとり、喉をうるおす」


「全裸でもいいよ。わたしは…」

 といきなりキララが言った。


 ぶほ。飲み物を吹きそうになるユキ。

「いきなり何言うの。吹いちゃうところだった」

 コップをテーブルの上に置く。


「まあ。そんなことはおいておいて…」

 とキララはさらに説明を続ける。


「湖があるんだよね。浅い湖。そこの上からオーロラを見よう。夜の地域に行くからね。しばらく見てから…他の地域に行くよ」


「うん」


 宇宙船から見える星空を見ながら過ごす。


☆☆☆


 ぼーと宇宙船の外の星空を眺めていると…キララが「もうちょっとで到着するよ」と言った。


「そう」

 いつの間にか他の星系の姿になっている。

 ちょっと前にガス惑星も見えた気がする。


いつのまにか見たことがない惑星が大きく見えていた。

「さあ。降りるよ。というか。防護服を着ないとね」

 TMRから防護服を取り出す。


 ごわごわのものを想像していたが…

 体にぴったりと張り付くタイプのものだった。頭には完全にかぶるタイプのものをつける。

 酸素も供給され、通信機能やカメラ機能付き。


 キララは自分の服の上から防護服を着てしっぽを中に入れる。

 頭にもかぶらないといけない。

 耳も防護服の中にしまう。


 キララは先に着てから僕が着るのを手伝ってくれる。

「なんか宇宙服みたい」

 僕が言う。


「うん。そうだね。でもね。しっぽと耳が窮屈だね」

 とキララが言う。


 僕はキララの後ろ姿を見る。

 お尻のところにしっぽのもりあがりがある。

 僕はしっぽがあるあたりをさわってみた。


 もこもこしている。

「ゆき君どこ触っているのかな? 私は女の子だよ」


「いや…ちょっと。しっぽが気になって」

 と言いながら手をひっこめる。


「じゃあ比較的放射能汚染が低い地域に出るようにするから…そこからまた移動するよ」


「うん」


 惑星の上に降り立つ。


 あ。なんかちょっと体が重い。

 重力が違うのかも。


「じゃあまた移動するよ」とキララが言う。


「うん」

 TMRにより開かれた自動ドアをくぐる。

そこは夜だった。


 すこし遠くに水面が見える。


 空を見上げると満天の星空と緑っぽい何かがうっすらと見えるところだった。


 キララがライトをつける。


 かなり遠くまで見える強力なライト。


 ライトを水面に向けるキララ。

「ほら。ずっと遠くまで見えるよ」


「うん」

 たしかにあたりは暗いが、水面は恐ろしいほど透きとおっていて、遠くまで見える。

 生命はいないように見える。


「ねえ。この惑星に生命はいないの?」


「うん。ここまで高濃度の放射能汚染が進むと微生物にいたるまで生命は全部死んじゃっているみたいだよ」とキララが言う。


「やっぱりなんか怖いね」


 静かな世界。


 でも…


「ほら。もうちょっとでこの惑星の磁気の影響でオーロラが見えてくると思うよ」


 とっても浅い水面に立ったまま空を見上げる。


 しばらく空を見上げていると…


 だんだん緑色以外にも、黄色いのとかオレンジ色みたいなものがうっすらと見えてきて色が濃くなってくる。

 その色のベールはゆらゆらとゆれていて、地球のオーロラみたいな色になっていく。

 紫色も見えてきた。


「放射能の影響でね。もうちょっとすると、かなりくっきりオーロラが見えてくると思うよ。ねえあっちの方に行こう。小さい島になったところがあるみたい。地面に座って見ようよ」

 キララが腕で向こうを示す。


「そうだね。ここだと座れないし」

 浅い水たまりのようなところをキララと一緒に歩いて行く。


 ちょっとだけもりあがったところがあり、水面から出ていた。

 広さは公園の砂場ぐらいある。


「どっこいしょ」

 キララが言う。


「おばあちゃんみたい」

 ユキが言う。


「そう?」

 座ってから空を見上げる。


 だんだんと空に浮かぶゆらゆらしたものがくっきりと見えてくる。

「なんか地球のオーロラは見たことないんだけど…写真のオーロラよりくっきりと見えている気がする」

 ユキは空を見上げたまま言う。


「そうだね。私はかなり前に地球のオーロラを見たことがあるんだけど…ここのほうがくっきりと見えているよ」


「そうなんだ…」


 綺麗だなあ。としばらく空を見上げている。


「生命がいなくなった惑星。放射能のせいで地球のオーロラの色と少し違っているから見やすいし…神秘的だね」

 キララが言う。


 たしかに色もちょっと違うし…

 生命が住んでいない酸性の湖のほうが水面は綺麗だと言うし…こういうものなのかな。


しばらくぼーと空を見上げて美しい夜の空を鑑賞する。


「さて。昼間の地域に移動する? 誰もいなくなった都市だよ」


「うん。なんか寒くなってきちゃったし」

 水面が近くにあるのと夜なので、少し寒くなってきた。


 キララがTMRで自動ドアを開けて、この惑星の別の地域へと移動する準備をする。


☆☆☆


 急にまぶしくなって、目を閉じた。

「まぶしいね」


 しばらくすると明るさに目が慣れてきた。


 見ると、高層ビルっぽいものがある都市だった。


 道路もあるが地球の道路とは違う。材質が違う。


 透明な感じのもので道路が覆われている。


 植物は全くない。

 無機物ばかり。


 それでいて、建物は全く崩れておらず、廃墟ぽさはない。


「しばらく歩いてみよう。気になった建物があったら入っても問題ないよ」

 キララが言う。


「うん。なんか寂しいところだね」


 建物はあるが、キララと僕の2人だけ。


 普通の住居なのか、お店なのか。わからないが建物が地球の都市と同じように並んでいる。


「ねえ。あそこ。入ってみたい」ユキがキララに言う。


 ユキが指で示す先。ショーウィンドウに飾ってあるものが気になった。


 お店っぽいところに入る。


 中はちょっと暗い。


 ホログラムのようなものが棚に並んでいる。


 それは各種。さまざまな宇宙船のミニチュアのようなものだった。


 手でふれると、持ち上げることができて、いろいろな角度から見ることができる。


 そばに円柱状のホログラム再生装置が置いてあり、そこからミニチュアの宇宙船が映し出されていた。


「あー。これいいな。ほしいな。この宇宙船かっこいい」

 宇宙が好きなユキ。宇宙船も好きだ。


 地球産ではない宇宙船。


 三角形を基調としたデザインの宇宙船が多かった。丸型や曲線を使った宇宙船はあまりない。


「ほんとだね。でも高濃度な放射線で汚染されているから持って帰ることはできないよ」

 とキララ。


「そうなんだ…」

それを聞いてちょっとがっくしする。


 ユキはまわりを見る。


 タッチスクリーンの端末みたいなものがあり、台に設置されている。


 見てみるとまだ動いているようだ。


 ユキはそれに近づいていって、画面にタッチした。

 すると、ユキの体が光につつまれて…


☆☆☆


 あ。


 まったく別のところへ転送された。


 ここ。どこ?


 別の建物だが、まわりにあるものは全く違う。

 円筒形のカプセルが並んでいるお店。


 中身は入っていない。


「き。キララ」

 キララの姿を探す。


 けれどもいない。


「え? ど。どうしよう…」

 かなり困ったことになった。


 まわりをきょろきょろしていると…

 目の前に光が現れて、キララが出てきた。

「ああ。良かった。そこにいたんだね」

 と言いながらキララが抱きついてきた。

ぎゅーとする。


「僕もびっくりした」


「あれね。転送装置だったみたい。お店の主人が経営している別の町の店舗へ移動できる装置みたい」


「そうなんだ」

 ユキは見る。確かに、壁際にさっきのお店で見たのと同じタッチする端末が設置してある。


「一応いっておくけどね。地球以外の地域だと外観が似ていても、まったく別の役割を持っている機械があるから注意してね。今回は転送装置だったから良かったけどね。聞いたところによると一方方向の転送装置で、1回転送するとエネルギーが無くなっちゃうものがあるかもしれない」

 とキララは抱きついたまま言う。


「うん。今度から注意するよ」


 良かった。キララと離れ離れになったらどうしようと思った。


「じゃあ。このお店から出て、この町も外を歩いてみよう」

 キララが言う。


「手をにぎっていい?」

 ユキはキララに言う。


「いいよ」

 キララは手をだしてくる。


さっきは本当に離れ離れになるかと思ったから…手をつなぎたくなったのだ。


「植物が全くないね」

 僕はキララに言う。


「うん。枯れちゃったみたいだね」

 キララが歩きながら言う。


 しばらく街の中を歩く。


 ここは内陸のようだ。


 しばらく歩くが普通の街みたいで特に気になるものもなかった。


「ねえ。海沿いの街に行く? そこで今日泊まる場所を用意して…海に沈んでいく美しい夕日を見て過ごす?」

 キララが言ってくる。


「うん。外を歩くのは危ないかもしれないし…」

 ちょっとユキは臆病になっていた。


☆☆☆


 海沿いの都市に移動する。


 キララはTMRの宅配ボックスからシェルターカプセルを取り出す。


 手のひらに乗ってしまうぐらいの大きさの立方体のものだった。


 それを十分な広さがある地面に置いて後ろに下がった。


 すると自動的に立方体は展開されてシェルターの建物の形になった。


「へー」


「じゃあ入ろう」

 キララは入り口ボタンを押すと第一の入り口が開いた。


 僕とキララが入ると入り口のドアは閉まる。


 人が入ることができるカプセルがありキララはその中に入るように身振りで言う。


 僕はキララが入ったカプセルの隣に入る。


 カプセルは自動で閉まり、しゅーと音がする。

 中から見えるディスプレイに、防護服を脱いでもOKという表示が出た。


 カプセルが自動的に開く。


 ユキは防護服を脱ぐのに手間取っていると…キララが着て脱がせてくれた。


☆☆☆


「あー。防護服がない外。開放的」

 腕を伸ばした。


「あー。私も耳としっぽが窮屈だったよ…」

 言いながらぶんぶんとしっぽを左右にふる。


 耳も横に動かすキララ。


 シェルターカプセルから外を見る。


 窓からちょうどいい眺めで沈みゆく太陽が見える。


「ゆっくりしよう」

 キララが言い、宅配ボックスから飲み物を取り出してユキに手渡してくれた。


「ありがと」


 僕はシェルターカプセルの中にある座り心地のよさそうなソファに座る。

 お。かなりふっかふかだ。

 これは…きっと座った人をだめにしてしまうソファだ。


「座り心地いい?」

 キララが聞いてくる。


「うん。いいよ。ふっかふか」


「そう…キララは別のタイプのソファに座る」

 それも座り心地は良さそうだ。


 ユキはポケットからスマホを取り出して、電子書籍を読むことにした。


 キララからもらった飲み物を飲みながら…


 たまに電子書籍から目をはなして、外の沈みゆく夕日を見る。


 なんか夕日が綺麗だ。


 かなり綺麗。


 空気が綺麗だからなのか。放射能によるものなのか…色が鮮やかになっている。



 ユキはまた電子書籍に目線を戻した。










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