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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとユキの二人だけの旅…再び
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ブラックホールの眺めがよい惑星と星空の観察

 ばたばたばた。


 音がしてユキは目をさました。


 風がテントをなびかせて出している音。


 風はそれほど強くはないが、たまに風がある。


 隣を見るとキララはまだ寝ていた。


 時間を確認するとまだ夕方。


 ユキはキララの寝顔をじっと見ていることにした。

 すーすと寝ているキララ。

 たまにきつね耳がぴこっと動く。


 しっぽはわからない。

 寝袋の中をみればわかるんだけど…


 このとき耳ふーふーをしたらどうなるんだろうとユキは思った。

 けれどもしない。


 あれ。なんだろ。またかいだことがあるシャンプーのにおいがした気がした。

 なんだろ。

 ララお姉さんがいるわけないし…

 ユキはそっとテントから出た。


 誰もいない。


☆☆☆


 さてと…どうしよう。たき火の薪になるものと。

 ユキは探すけど…水に濡れた感じの木しかなかった。


 雨でも降ったのかも。


 ユキはテントの外に腰を下ろして空を見上げる。


 夕方。だんだん日が暮れてくる。


 あ。そうだ。明かり。明かりはないかな。


 ユキは探すが…明かりはまだ出してなかった。


 もうちょっと待っていよう。


テントの外で空を見上げていると…

「先に起きていたんだね」

 キララがテントの中から出てくる。


「うん。ちょっとだけキララの寝顔を見てた」


「やっぱり…」


 キララはユキの隣に腰を下ろした。

「もうすぐで暗くなるかも」

 ユキはキララに言った。


「あ。そうだね。明かりを用意しないと…このあたりには薪になる木がなさそうだね」

 キララは辺りを見回してから言う。


「うん」


「ホームセンターで買ったランタンがあるよ」

 キララは宅配ボックスの中からランタンを出す。


 それと食材。パスタとウニに似た巨大なものを取り出す。

 同時に大きなタライみたいなものを出す。


「それは…」ユキは聞いてみた。


「えーとね。調べてみると海水につけておくとおいしくなるとのことだよ」

 大きなウニみたいなものの食材の処理についてキララが調べてくれた。

 海水に付けておく。


 他の食材は魚介らしい。


 パスタメインで他にも食材を買っていたので調理の準備をする。


 キララはごはんを炊く準備をする。

「飯盒でほかほかのごはんを炊くよ」

 キララが準備をする。


「これは僕たちの時代のもの?」

 キララが宅配ボックスから出したものを見る。


「いいや。さらに古い時代のものだよ。その時代に行って買って来たの。

1990年代のものだよ」

 と…


「へー」

 かなり昔のものだが…その時代で買ってきたもの。


「丈夫に出来ているから…お気に入り」

 キララが言う。


 各時代により微妙な違いがあるらしい。

 コストをかけて作られているもの。

 コストをカットしているので使い勝手が変わってしまったもの。

 いろいろだ。

TMRがあるのでその時代に行っていいものを購入していたキララ。


 時代が後になったほうが、改良されていいものがある場合があるんだけど…

 逆にコストを削減することになり、機能が限定されているものとか…耐久性が犠牲になったものがある。


☆☆☆


 飯ごうからいい感じの匂いがしてくる。

 お米が炊けたにおいだ。


「いいね」

 ユキがキララに言う。


「うん」

 ゆっくりと流れていく時間。


 文明はない。


 月曜日という感覚もない。


 学校でいやなテストがあるとか苦手な授業があるとかもない。


 苦手な友達やいじめとかいうこともない。


 いやなことは何もない。


 ごはんが炊けるのを待っている。


 キララが食材を調理している。


☆☆☆


 あたりはすっかり真っ暗になった。


 空には形がおかしい弓状の光が見える。

「綺麗だね」

 ユキは空を見て言う。


 満天の星空。


 それとこの惑星とガス型惑星との間に設置されたミニブラックホール。

 その影響でガス惑星が活性化して恒星みたいになっている。

 それとブラックホールの影響でガス惑星からの光がこっちへ届く間に、重力レンズで湾曲されて、地球上では見えない形の光になっている。それが空に見えている。

 実にダイナミックな感じの星空になっている。


「すごいよね。さて。もうご飯が炊けたと思うよ。今蒸らしているから…」

 キララがごはんの用意をしながら星空を見上げる。


 ゆっくり流れる時間。


☆☆☆


「次はどうする」

 キララが聞いてくる。


「ねえ。見たくはないんだけど…この星の最後が見たい」

 ユキが言った。


「そう…えーとね調べるからね」

 キララはTMRで調べる。


「えーとね。この星は1289年後にブラックホールに飲み込まれるよ」

 とキララが言う。


「結構時間がかかるね」


「うん。飲み込まれるのがだけど…安全にこの星に降り立つことができる期間はもっと短いけどね…」

 とキララが言う。


「そっか」

 空を見上げる。


 キララが飯盒に手を伸ばす。

「いい感じ…でもパスタを調理しないと…」


 キララはパスタを調理することにした。

 巨大なウニみたいなものを手にとり、中身を出す。

 海水にさらしてから…中身をフライパンにあける。


 大きさによらず中身はそれほどでもなかった。

 でも2人で食べるのには十分な量だった。


 ソースを作り、パスタを茹でて、パスタを絡める。

「できたよ」

 うまそうなソースとそれにからめてあるパスタ。


「うわぁおいしそう」

 ユキは言う。じつにおいしそうだ。


☆☆☆


 ほかほかのごはんとパスタ。量は調整している。

 で、他に魚介のおかず。

 ほかほかのごはんとあいそうだ。


「いただきます」

「いただきます」


 ぱくっと食べる。

 キララも食べる。


 ほかほかのごはんの上に魚介のおかずを乗せて食べる。

 完全に和食。


 それとパスタ。ごはんを食べた後にパスタを食べる。

「これ。おいしい」

「うん。よかった」

 したづつみをうつ。


 パスタもおいしい。ごはんもおいしい。

 おかずもちょうどいい量になっている。


 そして…外で食べるごはん。おいしい。


 誰もいない惑星。僕たち2人しかいない。


 たき火はないがキャンプ用のガスのコンロをかこんで料理して、ゆっくり星空をみながら夕食を食べる。


 時間がゆっくり流れる。


 文明も忘れて、いまのひとときを過ごす。


☆☆☆


 夕食の後。テレビとかスマホとか、ネット動画を見るわけにもいかないので…星空を見て過ごす。


「今日はね。こっちの天体観測機器を使うよ。小さい小型衛星をつかってブラックホールの中の直前まで近づくよ。捜査をミスったらそのまま飲み込まれるけどね」


「へー」


 目にコンタクトレンズのようなものをつける。

「これがこの小型衛星から来た映像を表示する装置になるから…びっくりしないでね」

 キララが言い僕はキララの言われるまま目にとりつける。


 半透明でまわりの景色が見えるが…

「うん。やって」

 ユキは言う。


「実はね。ブラックホールの中身なんだけど。重力が大きくて光でさえも脱出不可能なんだけど。唯一通過できるものがあるんだよ。何かな…ユキ君の時代だと解明されていないんだけどね」

 とキララが言う。


「えー。何かな。光でさえも脱出できないんでしょ。えーと。えーと。えーと。えーと」

 とユキが考えていると…


「正解は重力。重力はブラックホールの中から外に影響を及ぼしているからね…でね。この天体観測機器なんだけど…重力の強弱をつかって映像を外に送ることができるから…ブラックホールの情報伝達の境界面と言われる光でさえ脱出ができない地平線を超えたところの映像をね。重力の強弱の信号に変換して外に送るの。だからブラックホールの中の映像を見ることができるよ。あまり面白いものではないけどね」

 とキララが言う。


「へー。そんなの見たことがない」


「でもね。天然のブラックホールではないから…でもね仕組みは同じだから天然のものと同じだけどね」


 とキララが言う。

 キララは天体観測機器を地面に置く。


 コントローラーから発射させる。

「大気圏を超えてから、光の速度の0.5倍で目標まで近づけるよ」


「へー」

 どんどん加速していく視界。


「ざんねんながら光の速さででも40分かかるんだよね。でね。TMRの技術をつかってジャンプできるから...5分で到着するよ」

 とキララが言う。


「ほんとTMRは便利だよね」

 ジャンプしながら天体観測機器が近づく。


 視界の大部分が巨大な球の穴になってくる。

 球の穴の外は星。星が湾曲して見える。

  

☆☆☆


「じゃあ。ブラックホールの中へ…」


「うん」


「生身というか、TMRを使ってもブラックホールの中には行けないからね。いったん入ったら脱出は不可能だよ」


「うん」

 視界いっぱいに黒い穴が広がる。


 そして…


 ブラックホールの中に入った。

 目立つ何かはない。


 ブラックホールの中。

 しばらく映像が黒いまま進むと…ぷつんと映像が途切れた。


「もう。ブラックホールの中心近くまで到達したみたい。機器が耐えきれなかったみたい」


「これで終わり?」


「うん。そうだよ。ど派手な光の模様とかないし…超重力だからね」


「そっか」


「大部分が真っ暗で…そのまま進むと。生きていればだけど。いきなりぷっつんと死ぬよ。潰されてね」


「そっか」


 ブラックホールに飲み込まれる直前までかな。綺麗なのは…


 そう思った。


「ねえ。もう一基あるから。ブラックホールの重力の影響で綺麗に見える地点を調べておいたんだよね」

 キララが言う。


「本当。どうなのかな。楽しみ」

 ユキはせっかくなのでキララのそばに移動する。

 キララの隣に腰を下ろしてキララのしっぽを自分の膝に乗せる。

「それ。わたしのしっぽだからね」

 キララが言う。


「ちょっと寒くなってきたから」

 と言うと…

「いいよ。いいよ。勝手に使っていいよ」

 とキララが言う。


 キララが位置を調整する。


 そして発射。


 ゆっくりと視界が変化していき…

 ブラックホールによる重力レンズの歪み。それとこの星系の外にある星系の星空の色がマッチして綺麗な映像を見せてきた。


「うわぁすごい」

 思わず声に出した。

 すごく綺麗。


 普通の銀河が…ブラックホールの重力レンズ歪み、普通の銀河とは違う星空を見せてくる。


「いいね。撮影もできるよ」


「じゃあ今。今の星空を撮影したい」

 ユキは言う。


「うん。ここね」


 実にいい感じの星空が撮影できた。


 キララは何か所かに天体観測機器を移動させて、それぞれの位置から撮影する。

「いいね」


 だいぶいい感じひとときを過ごした。


 気が付くと地球で言う夜0時を過ぎていた。

「もう寝ないとね」キララが言う。


「そうだね」

 ユキは伸びをした。


 天体観測機器を片づけてテントの中に入る。


 少し冷えてきた。


「今日も一緒に…」

 ユキはキララのしっぽとぬくもりが恋しいので言った。


「そうだね」

 ひとつの大きな寝袋に2人で入る。

 2人で入るとお互いの体温であったかくなる。


「おやすみ」


「うん。いい夢見ようね」

 とキララ。


 今日もいい日だった。

 ユキは目を閉じた。


 









 



























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