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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとユキの二人だけの旅…再び
117/138

ブラックホールの眺めがよい惑星と。過去の海底ホテルでのお風呂

 ここ。そんなに広くないなあとユキは思った。

 見回してみると、山の山頂あたりだけ、海面に出ているような感じ。

 その他に建物がある。


 ずっと遠くを見ていると…

「ブラックホールの影響で海面の水がブラックホールがあるほうに集められて海面の高さがかわっちゃったんだよね。だからここから見えるあの向こうは水没した町だよ」とキララが言う。


「あの海面から出ているのはビル?」

 ぽつぽつと出ている何か。


「うん。超高層ビル。地球のとはデザインがちょっと違うけど、ほぼ同じ」


 へー。


 でも夜まで時間があるね。


「じゃあ。この惑星の反対側へ行こうか。そっちは廃墟になった町があるよ」

 キララが言う。


「うん」

 キララによりTMRでドアが開けられる。

「じゃあレッツゴー」

 キララがユキの肩を押す。


 ドアをくぐると同じ惑星の反対側の町だ。

「あ。ひょっとしてここは…」

 ユキはまわりを見た。


 海沿いの町。

 沿岸。

 防波堤みたいなものがあるが、ここは海の底。

防波堤のすぐ隣の海。

 ここは地上の地面の3~4メートルぐらい下にあるところに降り立ったところだ。


「ほら。あっち」

 キララがしっぽで僕の体をぱしぱしする。


 横を見ると、ガラス張りの建物があった。

「海底ホテルの入り口だよ。いったん地上にあがって中に入ってみる?」


「うん」

 沖のほうを見ても海水はない。

階段みたいになっているところから、陸地に上がる。


 そこに海底ホテルの入り口がある。

「入っていいのかな」

 ユキは聞いてみる。


「たぶんいいよ。誰もいないし…壊れて立ち入り禁止と書いてないし。あそうだ、どうせなら過去の海底ホテルに行ってみる?」


「あ。そうかTMRがあるし…」

 キララは、海底ホテルの入り口の横にTMRでドアを開ける。

「さあ。過去の海底ホテルへ。あ。注意があるんだけど…この惑星が廃墟になったことやブラックホールのことは過去の人には内緒ね」


「うん」

 キララにより開けられたTMRのドアをくぐると…ちゃんとした海底ホテルへの入り口があった。

 人もいる。地球人ではない人がほとんどだけど、ほぼ体の大きさや形は似ている。

 見たことがない服装をしている人ばかりだ。


「この中にショッピングスペースがあるから買い物していく? 写真撮影もOKだよ」


「ほんと? じゃあ」

 ユキは自分のスマホを取り出す。


 海底ホテルの入り口から中に入る。


だんだん下のほうへとおりていく。

 さっきはなかった海の水がちゃんとある。

 だんだん水の中へ…


「お。おさかなー」

 ネコミミとしっぽを付けた少女がお母さんといっしょに歩いていて、海を泳いでいるお魚を見ている。


「あら。おいしそうね」

「うん。あれ。食べることできるお魚かな?」

 と親子で会話している。


 別の親子は「あれ。空を飛んでいるみたいに泳いでいるね」

「そうね」

 背中に羽がある親子。鳥? でも足の太さが太いし体はがっしりしている。


「楽しみね。いいお部屋とってくれたんでしょ。ありがと」

「そうだぞ。奮発した」

 若いカップルが言う。


 ユキはまわりを見て楽しそうだと思った。僕たちもカップルで来ているんだけど…

 キララはユキの腕にだきついてきた。

 そして…しっぽをぱしぱしする。

「行こうよ。ほら」


「うん」

 キララと2人でまわりの海を見ながら降りていく。


「水族館とは違うね。お魚はまばらだし。見やすいわけでもないし」

 ユキは言う。


「まあね。これが自然だから。水族館は作り物」


「でも雰囲気はいいね」

 ユキはキララと一緒に歩く。


 前を行く家族やカップル。

 横に立ち止まって見ている人。写真を撮影している人。


 下りを走っていく子供がいる。ユキがじっと見ていると小さい子供は転んでしまう。

「ほらー。なにやっているの。走ったら転ぶでしょ」

 お母さんがその子供を起こす。

転んだ子供は「あまり痛くなかった」と言い、服についたほこりをはらう。


「うふ」キララが言う。


「どうしたの」

「いやぁ。僕も昔子供のころ、ああいうふうに走ってよく転んだんだよ。そのうち転ぶ直前に羽を広げると、転んだときの衝撃がやわらぐことを知ってね」

 とキララが言う。


「そうなんだ。今はあれかな。しっぽを前に出してクッションにするのかな?」

 ユキはキララのしっぽをもふもふする。


「どうだろ。転ばないし…でもねお尻から尻尾が生えていると前に転ぶことはないよ。重心が後ろにいくし…。羽があるときもだけどね。でも羽より尻尾のほうが下にあるからかなり違うよ」


「そうなんだ。じゃあ後ろには転びやすい? 例えばスケートとか。北国に行ったときとか…」


「まあね。きつねっ子になった直後はね。体の重心のバランスがかわって大変だったんだよ。

氷のある地域に行くとね。ま後ろにすってんと。転んでばっかりだったよ」

 歩きながら話す。


「あはは。大変だね」


「転んで尻尾をお尻の下にしいちゃうと痛いんだよ」

 キララは言う。


「痛いの?」ユキには尻尾がないからわからない。


「慣れないときは、自動ドアにしっぽをはさんだりね」


「うわぁ。痛そう。というか急に体が引っ張られるのかな?」

 ユキは想像してみた。ぐいっとしっぽが挟まるキララ。


 ユキは…「よしよし」と言いながらキララのしっぽをなでた。


「今は痛くないから…」

 キララはしっぽでぱしっとユキを軽くぶつ。


「あはは」


 と話していると、ホテルのロビーに到着。


「見てごらん。横の壁。綺麗なお魚がいっぱい泳いでいるよ。ライトアップもされているし…」

 というキララのことばにまわりを見てみる。


 天井が高いホテルのロビー。

 ガラス張りの壁。

 外にはもちろん海水があり、お魚が泳いでいる。

 カラフルなお魚や地味なお魚。それと体が大きなお魚が泳いでいる。

「いいね。海底ホテル」


「そういえば異世界のキラとミミちゃんが海底都市へ行ったという話を前に聞いたんだけどね」

とキララが言う。


「ああ。前ミミちゃんから聞いた。イケメンだって。それと海底ホテルに一泊して、海底を泳いでいたヒトデとかウニとか見ていたって」


「うふふ。食いしん坊だね」キララが笑う。

 食べ物として見てたのか、海底を動いているヒトデやウニが可愛くて見ていただけかもしれないし…

 ミミちゃんはネコだけど…


「どっちなんだろうね」キララがロビーの横から伸びている通路を見て続けて言う。

 キララがしっぽでロビーの横を示して言う「あっちに買い物ができるところがあるから行こう」


「うん」

 ユキはキララの隣を歩いて行く。

 この惑星名物の食べ物のお土産や、飲み物。お菓子など。あとTシャツや海産物が売っていた。


「な。なにこれ…」サッカーボル大のウニが真空パックぽいもので包まれたものが棚に置いてある。


 ユキが聞いてきたのでキララはTMRで調べる。

「名産だって。今夜これを使った料理を作ってみる? レシピも探せばあるし」


「すっごいね。あ。これミミちゃんへのお土産にしよう」


「うん。2個買っていこう」キララは2つ手に取る。

 海をモチーフとしたいろいろなお土産グッツが売っている。

 キーホルダーはありそうでなかった。

 文化が違うんだろう。


 食料品が売っているコーナー。

 食事はいらないから自炊したいという人向けのものもある。

 宇宙船で来て、違うところでキャンプする人もいる。

 また、今日はここに泊まって次の日にキャンプする人もいるし、キャンプしてから最終日にここに泊まる人もいる。 


「あ。海底のお風呂もあるって…ねえ。ここに泊まらないお客様もご利用可能だって」


「お。お風呂ね」宇宙船にもあるけど…せっかくだから…


「男子用。女子用。混浴用。カップル用といろいろあるみたい。どれにする?」

 キララがくっついてくる。


「えーとね。ど。どうしようかな…」

 ユキが迷っていると…


 自動販売機でチケットを買うキララ。

「買っちゃった」


 と言うキララ。


「どれにしたの?」

 とユキが聞くと…


 内緒…とだけキララが言う。


☆☆☆


 他の食材を購入してTMRの宅配ボックスの中に放り込む。


 で。


 まわりの海底を見た後…

「お風呂。カップル向けにした」

 キララが言う。


「そうなんだ」

 キララとのお風呂。

 異星での異性とのお風呂。


 中に入る。


 脱衣所で一緒に服を脱ぐ。


 後ろを向いていたが…


「ねえ。ユキくん」

 キララが言い、そっちを振り向くと…

 手ぬぐいで胸だけ隠したキララがいた。

 下はしっぽで隠している。


「べ。便利だねしっぽ」

 恥ずかしくなってすぐに後ろを向いてしまう。


 ユキは下半身だけ手ぬぐいで隠す。


「カップル向けだと他の人の目を気にしないでもいいね」

 キララが言い先にお風呂場へと歩いて行く。


☆☆☆


 体にかけ湯をして湯船の中へ…


 壁はガラス張り。


 外は海底。


 お魚が泳いでいる。


 湯船の中を見ると、ヒトデのようなものが底にいる。

 それととげとげのウニのような生き物や、平べったい見たことがない固い殻に覆われた生き物がいる。


「これは…」

 ユキは手に取る。

 生き物ではなくて飾りだった。


「飾りみたい。さっきその平べったいの湯船の中で踏んじゃった」

 キララが言う。


「そうなんだ。こっちのウニみたいなのを踏まなくてよかった。踏んでたら痛そうだし」

 ユキは底からウニみたいなとげとげのものを拾う。


「でもあんまり痛くないかも。とげとげ柔らかいし… にぎにぎすると気持ちいいよ」

 キララがウニみたいなものをにぎってみる。


 たしかに…ウニみたいに固いとげではない。

「ねえ。あのでっかいウニみたいなもの。地球のウニとは違うのかな」

 ユキは聞いてみた。


「うん。姿は似ているけど違うみたい。でも味はおいしいらしいよ」

 キララは自分のしっぽでお湯をかきまぜる。

 そのかき混ぜたお湯の波がこっちにくる。


 ぱしぱしと水面を軽くたたくキララ。


 キララは空中に指で円を描くように指先を動かすと…何かがキララの前に表示された。

「ここ。ゼスチャーインターフェースが使えるよ。えーと照明…」

 キララが空中を指でつっつくと、照明が暗くなっていく。

 それと同時に海中の照明が強くなる。


 一気にお風呂場の中が暗くなるが、海中の中の明かりが強くなったおかげで、お風呂場の中も海中のように思い始める。

「えーとホログラムのお魚と」

 キララは指でタッチする。


 すると空中を泳ぐお魚のホログラムが表示される。


 ますます海底にいるように思えてくる。

「綺麗だね」


「カップルや家族向けのお風呂についている機能みたい。いいね。あ。水族館にも取り入れようかな」

 キララが言う。


「えーとお風呂?」

 ユキが言うと…


「いいや違うよ…演出。空中を泳ぐお魚…」


「いいね」

 ユキは横を泳ぐお魚を見ながらお湯を手でかきまぜる。

 ユキにはしっぽがないから両手を使うしかない。


 お湯の波がやさしくユキのほうへとたどり着く。


 キララが片手で空中に浮かんだゼスチャーインターフェースを操作して、逆の手で胸のタオルを持ち、しっぽでお湯に波をつくっている。


 のんびりとお風呂を楽しむキララとユキであった。


☆☆☆


「さて…もっとこうしていたいけど…時間制限もあるし…のぼせちゃうね」

 と言いキララが湯船からあがる。


「そうなの」

 ユキはキララの後からついて行く。


 するとキララの後ろ姿が見える。

 水に濡れてしぼんだきつねしっぽが見える。

「しっぽ。スリムになっているね」ユキが言う。


「あ」とキララが言い片手でしっぽをおさえる。

そして言う「ユキ君のえっち」


「えー」ユキは急いでキララの隣に並ぶ。


「別にそんなつもりじゃ…」と言うと…


「気にしてないよ」キララが言い、しっぽでユキの腰をぱしっとうつ。

 水を含んだしっぽ。衝撃が強いのとちょっと冷たい液体がかかる。


「うわぁ。しっぽの水がつめたいよ」


「このっこのっ」キララがさらにしっぽをぱしぱししてくる。


「やめてって」


 じゃれる2人。


☆☆☆


 服を着る前。


 ユキはキララに髪を乾かしてもらう。


 キララは自分の髪とミミを乾かしている間、ユキにしっぽを乾かしてもらう。 

「いやぁ。助かるよ。しっぽ。なかなか乾かなくてね」

 キララはしっぽを乾かしてもらっているときなんだけど、気持ち良さそうな顔をしている。


 だいぶしっぽがふかふかになってきた。

「わたしもしっぽを乾かすよ。一緒にやれば早いかな」

 キララもしっぽを乾かす。

 後ろをむいてしっぽを乾かすのでずっと後ろを向いているのがつらそうだ。


「いいよ。そのドライヤーを貸してもらえれば、両手で持つよ」

 ユキはドライヤーを二つ持つ。


「じゃあ私はしっぽを手で持っているよ」

 しっぽの付け根を持つキララ。

 乾かしやすいようにしっぽを動かす。


 かなりふかふかになってきた。


 やっとしっぽが乾かし終わる。


 キララはしっぽ用のトリートメントのスプレーをかける。そしてごわごわして毛並みをそろえる。


「いい感じになったよ」ユキはキララのしっぽを見る。


「うん。やっぱり乾かすといいね。ふかふかになるし…水に濡れた状態だとしっぽが重いし…」

 とキララはしっぽを左右に動かす。


 キララはユキの方を見て続けて言う「じゃあ出よう。ちょっと写真を撮ったら入り口まで戻って、今の時代へと戻るよ。と言ってもユキ君が住んでいる時代からだと未来だけどね」


「うん。良かったよ。このお風呂」


「そうだね」


☆☆☆


 お風呂を出て、ホテルのエントランスへと戻る。


 そしてその後入り口へと戻っていく。


 まだ人は多い。


「結構にぎわっているね」


「うん。観光名所だからね」


 キララのしっぽが左右にゆれる。


☆☆☆


「じゃあTMRで戻るよ」キララがTMRの操作をする。


TMRの自動ドアをくぐると元の時代になっている。


 さっきのにぎやかさはない。


 さらに自動ドアを開けてこの惑星の反対側へと行く。


 山頂。


「テントを…」キララが宅配ボックスからキャンプ道具一式を取り出す。


「僕がやるよ」

 今は午後3時ぐらいかな。ちょうどいい。


 山頂の見晴らしがよくて平らなところにテントを広げる。


 テントを広げて、中に寝袋を置くと…

 ユキはその上にばふっと横になった。


「疲れた?」キララが外からテントの中を覗き込む。


「うん」


「じゃあ」

 キララも中にはいってきた。


 キララがしっぽを見せて続けて言う「はい。しっぽ布団」


「ありがと…」ユキはキララのしっぽをつかむ。

「やっぱりふっかふかだね」ユキはキララのしっぽをごわごわする。


「自慢のしっぽだよ」


 ユキはキララのしっぽを抱き寄せる。


「ちょとだけ目を閉じるよ」ユキは言う。


「私も…1時間ぐらい…」


 こういうのもいい。隣にはキララ。


 しっぽが心地良い。


 うとうととしだした。



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