カザー星系の所有する観光用トレインの旅... K.K星系のボスとのカザー星系と地球をかけた勝負(12)
「Room332になります」
受付のお姉さんはミミアにカードを渡す。
「ありがと」
ミミアとミアお姉さんは、VR用の部屋番号が書いてあるルームキーを受け取った。
「エレベータで上にあがるわよ」
「うん」
ミミアの後をついて歩くミアお姉さん。
こういうところ結構いっぱいあるのかな?
ミアお姉さんはエレベーターで上がったあと、廊下を歩きながら思う。
なんかカラオケボックスみたい。
扉が並ぶ廊下を進む…
ミミアは部屋番号を見て立ち止まった。
カードキーで部屋の中に入る。
ホテルの部屋をちょっと狭くしたみたいな部屋。
座り心地のよさそうな椅子が置いてある。
それとVR機器。
「ねえ。使い方教えて」ミアお姉さんはミミアに言う。
「まずはトイレに行ってから椅子に座るの。途中でトイレに行きたくなったら中断しないといけないからね…」
ミミアはトイレに入る。
ミアお姉さんは、別にしたくないがとりあえず出しておくことにした。
☆☆☆
「じゃあね。ここに座ってこれを頭にくっつけて…」
感覚共有用のセンサーとゴーグルをつける。
ミミアにいろいろ教えてもらい、座り心地が良い椅子に座る。
疲れないように程よい固さの椅子だ。
ミアお姉さんはひじ掛けについているボタンを押した。
☆☆☆
「あ。座っているのに立っているわね」ミアお姉さんは何もない空間に立っているのに気が付いた。
すぐにミミアの姿も表示された。
「どう? もし現実に戻りたかったらタッチパネルで一時停止を押すの」
「うん」ミミアが手で触ったら目の前に操作パネルが出てきたのを見て同じように手を動かす。
あ。これかな。メニューが出ていてきちんと日本語になっている。
「まずは移動するわね。あ。移動と言ってもあたし達が移動するんじゃないからね」
ミミアはいろいろ操作をした。
何もない部屋から外になった。
横に景色がスクロールしていき、すごい速さで動いていった。
ミミアは手を動かす。
どこかの惑星。
通行人は止まっている。
「ここは?」ミアお姉さんはミミアに聞いた。
「ここは次経由する星系の第2惑星。ここのこれ…」
ミミアは手を動かし、お店が目の前まで移動してきた。
ミミアはそのまま歩いて中に入る。
きちんとドアも動作する。
中の椅子に座ると、すぐに人気メニューがテーブルの上に並んだ。
湯気もきちんと見える。
「すっごくリアルね…なんかおなかすいてきちゃった」
ミアお姉さんはテーブルの上にならんでいる料理に目をちかづける。
料理のにおいまで感じる。
パンのようなものを手でさわってみる。
ぷにっとした感触もある。
「でしょ。メニューとか、雑誌の紹介や動画で見るのとは違ってお店の中に実際に入って…
お店の雰囲気もたしかめながら料理を食べたときの感じも確かめるのよ。
ここで実際に料理を食べて歯ごたえとか食感も確かめることができるんだけど…
食べるのは現実でいいわよね。お楽しみということで…」
「そうね」ミアお姉さんは料理に手をかざしてみる。
料理のあったかさも感じる。
「でね…」
ミミアは手を動かすと料理は消えて、料理の紹介と食べている人の食レポの画面が目の前に表示された。表示というか、実際に隣の席で本当に食べているようだ。
「いいわね…」
「このお肉は、この惑星でとれたもの。それをすぐに取り寄せてから調理をしている。
まずは各種香辛料を入れたスープにつけこんでその後焼く。表面をさっと焼いてから、じっくり厨房の機械で熱を加えるんだ。その温度が絶妙で、一番素材の味がひきたつように…ジューシーさを残すように調理をする。
そして…できあがりはTMRの技術を使った時間凍結調理台の上においておく。それで次の料理をつくる。
テーブルに運ばれてくるときは、どれも出来立てのものだ。
だからうまい…時間がかかって冷めていることもないし…いっぱい料理を頼んでもこちらが言ったとおりの順で、一度に2種類の料理を出してくれとかいう注文にも対応できる。
あつあつの料理が苦手なら、ちょっと冷ましてという注文も可能…
しかし…うまい。じつにうまい…」
食レポ。
ほんとうにおいしそう。
「あー。お腹すいてきた。次に行きましょ」
ミミアは次のお店を見るために手を操作する。
するとお店がズームアウトしていき、どんどん上空の風景になり、とうとう宇宙の映像になった。
そして…すぐに別の惑星が見えて来て、だんだん惑星へと降りていく。
どこかの大陸が見え、どんどん地面が近づいてきて、次第に町が見え、ある広場の真ん中に降り立った。
「なんか酔いそうね」
ミアお姉さんはVRになれていないのでミミアに言った。
「すぐに慣れるわよ…だからちょっと歩こうかなと思ってここにしたの…
ねえ。この街並み地球に似ているかしら…」
ミアお姉さんはあたりを見回す。
道路は石畳。
広場があり、中央には噴水がある。
人も行きかっている。
自動車や馬車もないが…徒歩で歩いている人ばかり。
のんびりと歩いている。
ミミアは「こっちよ」と言いながら歩いて行く。
ミアお姉さんは現実と同じように普通に歩いて行ってしまう。
ミアお姉さんは急いでミミアの後を追いかける。
左を見る。
何かのお店。
何を売っているお店かはわからない。透明な瓶がいくつか、棚に並んでいる。
右を見る。
布のようなものが棚に並んでいる。
さらに歩き左を見る。
よくわからない金属のものが瓶に入っているものを売っているようだ。
「ねえ。お店はどこにあるの?」ミミアの後をおいかけながら言う。
「あれよ…」ミミアは指で示した。
「あ。あれか」見た感じクッキーに緑色や白色のとろとろに溶かした甘いお砂糖をつけたようなデザインのお店だった。
たしかにスイーツのお店。
ミミアはそのお店の中に入りテーブルに座る。
ミアお姉さんが座ると、ミミアは手を動かした。
ずらり。
とっても美味しそうなスイーツがテーブルの上に並んだ。
こんなにあっても食べきれないという数のスイーツ。
透明なガラスの容器に入った甘そうなお菓子。
茶色の液体がかかっているチョコレートパフェのようなお菓子。
この惑星のものと思われる果物をふんだんに使ったお菓子。
それと湯気がたっているおしるこのようなものもあった。
「ねえ。これ何かな…」
ミアお姉さんが一番気になったスイーツを手にとる。
ミニニンジンに似た根菜のものが上にささっている。
その下は生クリームのようなもの。
その下には小さいクッキーがあり、その下には何かのジャム。
それを持ち上げてミミアのほうに差し出す…
はずだった…
あれ?
急に暗くなった。
「何? どうしたの?」ミミアの声。
じんわりと目にうかぶ別の空間。
それと知らない男の人が2名。目の前に立っているのに気が付いた。
1人はちょっと年配の人。もうひとりは若者。ちょっとイケメン…
「な。なんなの?」
ミアお姉さんは男の人を見る。
「ねえ。これってなに? トラブル? それとも? ん? あなた…見たことあるわね…」
ミミアはじっと年配の人を見る。
やりとりがあった後、男の人はミミアとミアお姉さんの前に姿を現したところだった。
☆☆☆
「ひさしぶりだな。ミミア。ハッシングして強制的にこちらの会議室に参加させた。
でな。お前のボスを呼び出してここのRoom332へつなげと言え。
あと…他には…そうだな。地球のクロも呼び出してくれ…」
「あなた。そういえば…ニュースで見たわね。悪人としてだったかしら…」
ミミアは年配の人をにらんだ。
「そうだ。良く知っているな。俺はK.K星系の企業のあるチームのボスをしている…
お前に言ってもしょうがないが…K.K星系が所有する資源採取用の地球と言われている惑星をよくも破壊してくれたな…こっちとしてはかなりの大損だ。このお礼をしようと思ってハッキングさせてもらった。これからの行動はお前に任せる」
とK.K星系のボスは若い男に言う。
「わかった。お楽しみ中悪いな…スイーツのお店にいたみたいだが…
俺も仕事なのでな…
そちらの子は? ミミアにそっくりだが…ミミアの親戚か?」若い男は言う。
「あたしはミア。ミミアの親戚でもなんでもないわよ。太陽系。第3惑星の地球というところから来たの。あんた…気にくわないわね」
ミミアと同様にきつい目で見るミアお姉さん。
「そうか…ちょうどいいや。地球人さん…
ゲームをしようや…たしか地球にもあったな…オセロというものだ。ただしローカルルールがあるが…」若い男は手で空中をタッチした。そして続ける。
「8x8のマスに色のついた石を置いて、同じ色で挟んだ石。つまり間にあるものは同じ色にできるものだ。最終的に自分の色の石が多ければ勝ちだ。
お前たちが勝ったら、K.K所有の地球を破壊したことは不問としてやる。
俺たちが勝ったら…そうだな。カザー星系の主星の恒星のそばにあと10分後に超新星爆発する恒星を移動させてやる。それと…地球つながりでだな…太陽系のそばにもあと10分後に超新星爆発する恒星を移動させる。道連れというわけだ。それと太陽系がある航路の近くにだな…K.K星系が整備した恒星系から移動させたブラックホールや超新星爆発しそうでしない恒星を定期的に廃棄することにするとのことだ。
…聞いた話だと捨てる場所が無くて困っているみたいなんだ…」
と男が言いかけたのを遮った人がいた。
「な…何を勝手に…」
ミミアのボスだった。Room332にいつの間にか接続していたようだ。
「お前も久しぶりだな…」K.K星系のボスは言う。
「誰かと思えば…くそ野郎ではないか。前の星系買収の件。こっちはかなり損害を出したぞ…」
ミミアのボスはいきなり、K.K星系のボスの顔を見てくそ野郎と言う。
「くそ野郎とは…経緯を払いたまえ…まあいい…
カザー星系のせいで太陽系のほうも被害を食らうんだからな…うらむならカザー星系をうらめよ…それでだが…今後…まだ来ていない地球のネコ以外はこの会議室へ入ってくることも、また。退出だが…一度入ったらゲームが終了するまで退出することは認めない。外部への通信も不可にした。トイレに行きたくなったら我慢しろ」
K.K星系のボスはミミアとミアお姉さん。カザー星系のボスに向かって言う。
「勝手なことを言うなくそ野郎。…わしは忙しいのに接続してやったんだぞ…
出る…」
カザー星系のボスは指を空中にタッチしてメニューを出そうとした。
「退出することを認めないと言ったばかりではないか。あほか…
おい。先を説明しろ…始めるぞ…」
K.K星系のボスは勝手だし。一方的だし気に食わない…
ミアお姉さんはK.K星系のボスをにらんだ。
「ルールは分かっていると思うが…ゲームをやめた段階でお前たちの負けだ。
それとローカルルールがある。初期状態は8x8の盤面だが、ひっくり返せる石が無くなった段階で双方1回だけ8x8を10x10に拡張できる。10x10に拡張した後相手側も12x12に盤面を拡張できる。その後は両方石を打てなくなるか打ち終わったら終了。そのときの石の数で勝敗が決まる」
「わかった。でもな。K.K星系所有の資源採取用惑星の地球を破壊したぐらいで…
超新星爆発する天体を持ってくるとはずいぶんな報復だな…
ひどすぎると思わないのか? なあミミアよ」ボスはミミアのほうに向かって言う。
ミミアは…
「あたし達。トレインの旅の途中だったんだけど…
ボスたちに任せて退出しようと思ったのに無理ね…」
ミミアはメニューが効かないことを確かめる。
ミアお姉さんは、隣にいるミミアの二の腕をつっついた。
「ね。ねえ。ミミア。さっき超新星爆発って言ってたわよね…やばいんじゃない?」
ミアお姉さんは以前。キラに連れて行ってもらった宇宙のコンサートのことを思い出した。
演奏の背景に超新星爆発する星系をカメラから撮影した映像が流れていた。
惑星の大気がはぎとられ、吹っ飛び蒸発する惑星。
「ま。まあね。でも負けなければいいんじゃない…ねえ。ボス」
ミミアはボスに言う。
「た。たしかにな…でもな…もし負けた場合。超新星爆発する寸前の恒星が転送されてきてから10分後に爆発するのだぞ。身内の数人を避難させるぐらいの時間しかない…」
「そうだ。せいぜい負けないようにな…俺たちは負ける気はしないがな…
頭が切れるやつはいるのか?」
ミミアやボス。ミアお姉さんはみんなの顔を見る。
「じゃあ始めるか…」若い男が腕を動かしてタッチした。
空中に大きく盤面が表示される。
若い男が言う「お前たちから始めろ。別に代表を決めることはしなくてもよい。順番でもいいし、1人でやるのも良かろう。なお…石を置くのに時間がかかりすぎたら手番は相手に移るようにする。5分待つことにしよう」
ミミアは一歩前に出た。
ミミア達は黒の石。K.K星系のボスたちは赤い石だった。
10数分が過ぎた。
「あそこ。8x2の位置。あそこにしない?」ミアお姉さんがミミアに言う。
「じゃあ。8x2の位置へ黒の石を」と言う。
すると、縦に1つ。横に4つ。斜め方向に3つひっくり返せる石があり、それらの石がひっくり返り、ミミア達の石の数が増えた。
「やったわね。あたし達の石のほうが多いわよ」
ミアお姉さんが石を見て言う。
「ちっ。俺たちが負けているな…じゃあ。これかな…」
若い男は赤い石を置く。けれども1つしか赤にできなかった。
☆☆☆
途中。クロがやってきた。
床をタッチしてクロが人間の姿になる。
「ずいぶんと勝手なことをしてくれるね。地球を破壊とはひどいじゃないか…」
クロはK.K星系のボスに向かって言う。
「そうだろ。カザー星系の人が資源採取用の惑星を破壊したんだからな…」
「そっちの地球じゃない。僕たちが住んでいる地球のことさ。超新星爆発が近くで発生したら、耐えられない。大勢の人が地球には暮らしているんだ。まだTMRを個人で持っていない人が大勢いるんだ。
避難できない…」
「ふん。知らんな… そんな内情」K.K星系のボスは言う。
若い男が盤面の石を置く。
徐々に赤の石が増えていく…
☆☆☆
ミミアが石を置き終わる。
「ねえ。どうしましょ」ミミアが言う。
ミミア達が置ける石の場所が無くなったからだ。
「ローカルルールを適用するか?
このままだとお前たちが負けるしな」若い男が言う。
ミミア達は盤面を8x8から10x10に拡張した。
その後はミミアが石を置き、すぐに若い男が赤の石を置いた。
男はなるべく盤面の端に石を置かないようにしているみたいだった。
☆☆☆
「お。また取られたな…」若い男が言う。
ミミア達は盤面の隅の辺に石を置き、だんだんと黒の石の数を増やしていった。
「ねえ。石の数。あたし達のほうが多くなったんじゃない? これならいけそうね」
ミアお姉さんは、盤面の石の数を見て言う。
「なあ。ミア。あれ。だめなんじゃないのか?」
猫の黒がミアに言う。
「え?なんで?」ミアはクロに聞く。
「わかってないのか?」クロは脳を改造された本物のネコだ。
頭はいい。
☆☆☆
さらに15分後。
若い男の人が石を置けなくなり、盤面を10x10から12x12に拡張した。
それで…
若い男が石を置き、赤にひっくり返っていく石を見てミミアは言った。
「うかつだったわ。拡張は最後にしたほうが有利だったようね」
12×12のマス目。一番外側に赤を置くと、内側のほうまで石が赤に塗り替えられていく…
「これはやばいわ」
ミミアはあせりだした。
その姿を見て…K.K星系のボスは言った。
「おい。もうそろそろ転送の準備をしろ。カザー星系の主星付近と銀河系の中にある太陽系。第3惑星の地球だ。地球と言ってもいっぱいあるから、カザー星系みたいに間違わないようにしろ。転送装置の設置が終わったら連絡しろ。ミミア達の負けが決まったら有無も言わず恒星系を転送しろ」
「は。わかりました」
K.K星系のボスは部下に指示をだしていた。
「なんとかしてくれ…ミア。せっかく終末にデートする予定なのに…」
クロがしょんぼりして言う。
「デート?」ミアお姉さんがクロに聞く。
「そうだよ。白い毛並みが綺麗なネコでね…ちょっと前に見かけて声をかけたんだ…」
「まだ。負けが決まったわけじゃない。逆転もありえるから…」ミアお姉さんはちょっと緊張していが気がほぐれた。
☆☆☆
そしてとうとうミミアの番でつまった。
残りの場所に石を置くと次の手で取られる。そしてさらに赤色が増える。
「なんとかするのだ…」カザー星系のボスもいつもは冷静だが…あせりだした。
「ごめん。クロ。デートできないかも…」
ミアお姉さんはクロの体をぎゅっとする。
「なんとかならないのか…」
クロは言う…
超新星爆発…
やばい。
☆☆☆
「もうミミア達は負けだな」K.K星系のボスは言い…さらに若い男に向けて言った。
「なあ。もう終わりにしないか…終わりにしたら、すぐに恒星系の転送を実行するぞ。
お前にもお金を払っているからな。おっと。もうすぐで2時間か。後払いのお金は2時間を超えると割り増し料金を払うこと…
となっていたが、わしは払わないぞ。
お前がわざとゲームに時間をかけて長引かせているんだからな」
と勝手に言った。
「なんだと。そんなことはしていない。契約違反だ」若い男はK.K星系のボスに言う。
「わしは払わないといったら後払いの通常料金しか払わん。若い小僧調子に乗るなよ。ひよっこが」
とボスは若い男に言う。
「くっ。気に食わないやつだと…はじめに一目見た時から思っていたんだ…割り増し料金はなんとしても払ってもらう。まだ…ゲーム中だ」
「そんなもの。だめだ。割り増し料金は無効だ。ほら。どうする。ゲームの進行が止まっているぞ」
K.K星系のボスは若い男を見ている。
☆☆☆
「な。なあ。わしの管轄の資源採取用惑星3つをK.K星系の所有にしてやろう。
3つだぞ…それで損害はうめられる。どうだ」
カザー星系のボスは言いだした。
「最初にくそ野郎と言っていたではないか。却下だ」
「おい。石を置いたぞ」
若い男が言い、いくつかミミアが盤面に石を置けるようになった。
「じゃあね。えーと。えーとね」
ミミアは考えているようだ。
そして石を置いた。
いくつか石が黒にひっくりかえる。
若い男の番になった。
そんなとき…
クロネコが現れた。
「え?」ミアお姉さんはネコを見た。
ここには誰も来る予定はないし…入って来られない。
あ。ネコは大丈夫だっけ?
でも…誰?。耳のところに髪飾りもつけているし…
そのネコは床をタッチして人型になる。
「ミアお姉さん」ネコはミミちゃんの姿になった。
「なんで君が?」クロは言う。
「クロちゃん? ずっと前の仮想現実以来ね。その姿。
ところで何のゲーム?」
ミミちゃんは事情を知らずに来た。
ミミちゃんは空間に浮かんで表示されているオセロの盤面を見た。
「なんでここに来たの?」ミミアが言う。
「えーとね。ララちゃん。12歳のララちゃんが行ってきてと言いだしたからきたの。
きっと困っていると思うからと…
あたしが来たら何か解決する?」
何も知らないミミちゃんは、知らない男の人を見る。
年配の人と若い男。
若い男?
どっかで見たことがあるような…
ミミちゃんが考えると、若い男の人は笑い出した。
「なに?」ミミアとミアお姉さん。カザー星系のボスは若い男のほうを見てからK.K星系のボスを見た。
K.K星系のボスは「おっと猫が入ってくるとは…お前さん。誰かな?」K.K星系のボスは言う。
「あたし。ミミ。太陽系の地球っていう所から来たの。このミアお姉さんと一緒に過去からトレインの旅に参加するために、過去から来たんだけど。あなたは誰?」
「ほう…そうか。過去から…おい。この嬢ちゃんの来た時代は?
え?何? ふむ。そうか。わかった」
K.K星系のボスは部下と連絡を取り。その次に若い男に向かって続けて言った。
「そうだ。いいことを思いついた。過去の地球。この嬢ちゃんの時代にも恒星を設置してやろう。トレインの旅から戻った直後の10分後に設置するのはどうだ?
そして…ミミア。ボス。クロ。ミミちゃん。それぞれのこのゲームの記憶を消して…
恒星設置後。超新星爆発によって消し飛ぶか。TMRでどこかに避難するかは運にまかせようじゃないか」
「な」
「え?」
ミミアとミミちゃんが言う。
ミアお姉さんは何も言えず固まっていた。
「デート。デートできない」クロはしょんぼりしていた。
デートどころじゃないんだけどとミアお姉さんは思っていた。
地球。それと過去の地球。カザー星系の主星。
K.K星系により超新星爆発間際の恒星が転送され、転送先の星系は超新星爆発によりふっとぶ。
ということをミミちゃんはクロから聞いた。
「なによそれ…」ミミちゃんは若い男の人を見る。
じっと見る。
「おまえ。どこかで見たと思ったらカードを拾ってくれた嬢ちゃんか?
それに…なんとなくだが…昔の恋人に似ているな…
そうか。そうか…じゃあ…」
くっくっく。と笑いながら腕を動かす。
「む? なんだ? 何をする気だ?」
K.K星系のボスは若い男のほうを見る。
「いや。なーに。このミミちゃん。俺が落としたカードを拾ってくれた人だ。
それに昔の恋人。思い出すなあ。そのじっとこっちを見つめてくる目。
気に入った。俺は借りを返すと言った。
今返してやる。ここを操作すると…」
若い男は操作すると、黒の石が赤に。赤の石が黒になった。
「は?」ミミアは何が起きたかわからず若い男を見た。
「今。仮を返した。黒の石は赤に。赤の石は黒にした。これでミミア達の手番になった。
俺はおけないから全部石を置いていい」
「何を勝手に…」K.K星系のボスは言うが…
「わかったわ」ミミアはいそいで黒の石を置いて行く。
そして赤の石はおけないまま。ミミアの置ける石はつきた。
☆☆☆
「これにてゲームは終了だ。K.K星系のほうは地球の破壊を不問にするんだったな…」
若い男はボスの部下に直接命令をするために言う「ゲームは終了。こっちの負けだ。
恒星の転送は中止だひきあげろ」
「はい。では。中止ということで…」
「バカ。何を勝手に命令を出しているんだ。おい」
K.K星系のボスは言うが…
「申しわけありません。作業は終了とのことで…以上をもちましてひきあげます」
「おい。命令者はおれだぞ。おい。待て」
通信は勝手に切れた。
「これで借りは返した。じゃあな。俺は消える」
ぶん。と目の前から若い男の姿は消え。代わりにディスプレイの表示に男の映像が映った。
そして…
「こんにちは。K.K星系側が不利だから。僕から資源採取用の惑星を3つあげる。
ボスのところに権利書を転送しておくから…
それと…この男を異世界へ送り届けるから。おいとまするよ」
と言う人。
それは異世界を転移できるTMRを持つ男のキラだった。
「なんで君がそこにいるのだ」カザー星系のボスは男のキラを始めて見た。
「あれが男の子のキラか。結構イケメンじゃないか」
ミミアは言う。
「あ。こんにちは」ミミちゃんはキラを見て言う。
「やあ。子猫ちゃん。また会ったね…またいつか海底都市にでも行きたいね…
じゃあ。僕は急いでいるから…」
とキラ。キラの横にいる若い男の人は壁に開けた自動ドアによって異世界へと消えた。
☆☆☆
「ねえ。ボス。あたし達スイーツのお店のところに行っていたんだけど」
「そうか。悪かったな…それと…ミミちゃん。非常に助かったありがとう。お礼を言わせてもらう」
カザー星系のボスは言う。
「ねえ。ボス。あたし達スイーツのお店のところに行っていたんだけど」
同じことを2回言うミミア。
「そうか…」
「ねえ。ボス。あたし達スイーツのお店のところに行っていたんだけど」
「わかった。わかった。割引券をミミアにやる。それとミミちゃん。というかお前たち全員にVIPパスをあげよう…わしからの気持ちだ。これはポケットマネーからだ」
「そう。ありがと…」
この後。トレインの旅に戻り、スイーツのお店でおいしいものを食べることになった。
ボスはそのまま仕事に戻ることになった。
「ねえ。なんで12歳のララちゃんは、わかってたの?
ここのRoom332につなげとか…」
ミアお姉さんはミミちゃんに聞く。
「あとで聞いてみる。きっと異世界で同じようなことがあったんじゃない?」
隣のクロを見ながらミミちゃんは言う。
ミミちゃんはクロの背後にまわり、ララお姉さんがユキ君にするように後ろから抱きついた。
「なんだよ」クロは言う。
「デートなんだって?」ミミちゃんはクロに言う。
「そうなんだよ。どこに行こうかなと思って…」
「公園とかは?」
ミミちゃんはネコと人間のハーフだが、本物のネコのデートスポットはわからない。
「そうだな…商店街はどうだろう。たまに食べものをくれるんだ」
クロはミミちゃんに言う。
「そうね。それって普通じゃない?
いい男と思わせないと…白い毛の猫ちゃんでしょ」
「うん。そうだが…」
ミミちゃんとクロちゃん。もう少しVRでつないでいると言い出した。
「じゃあ。あたしはさっきの続きをしていましょう。一緒に来る?」
さっきのスイーツのお店。
ミミアがメニューを操作すると店内の映像になった。
「ねえ。これは何?」
ミアお姉さんは手にスイーツが入っているパフェ用の容器を手に持ってミミアに見せた。




