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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
105/138

カザー星系の所有する観光用トレインの旅... ちびっこ用の怪獣イベントとドジっ子ララお姉さん(10)

 次のイベント。

 休憩時間を1時間30分とった後、別の場所まで施設に備え付けられているTMRにて移動する。


「へー。この惑星の住人。腕が4本あるんだって…それに小柄で器用な種族と大柄で力持ちの種族が一緒に暮らしているんだって…で、この都市の模型すごいわね」

 ミミちゃんが、トラとレオにパンフを見せる。


「ほんとだ。本物の街並みそっくり…でも地球の街並みとはちょっと違うね」

「うん」


「ほぉ。どれどれ…」ララお姉さんもパンフを覗き込む。


 どうやら次のちびっこ向けイベントは、怪獣と正義の味方になって町を守るか、多くの建物と人工的に作られたマイクロロボットを踏みつぶすかを競うことになる。点数が与えられ、減点されたり、加点されたりする。


☆☆☆


「これこれ…結構面白いのよね。あたしは撮影のほうだけど…特殊スクリーンが観客の前にあって、特殊効果がリアルタイムに反映されるの。あたしはこっちから撮影しているからね」

 12歳のララちゃんは見たことがない撮影機材を手にもっている。

 タブレットのような表示装置。それと空中に浮かぶ撮影機材が3つ。タブレットから撮影ポイントまで移動させ、映像をタブレットまで転送するタイプだ。


「ネコミミっ子達はどっちにする? 怪獣? それとも正義の味方?」


 ネコミミっ子とうさ耳っ子。それに鳥のハーフの子。それぞれ話し合う。

「レオとトラは怪獣。ココとミルクは正義の味方。シロは正義の味方でソラは怪獣。

ミミちゃんは正義の味方で、ラミちゃんとララちゃんは怪獣。

ララお姉さんは正義の味方で、ギンちゃんは怪獣ね」


「本当は正義の味方がいいのじゃが、たまには悪役もと思ってな…」

 狐っ子のギンちゃんは悪役になる。


「怪獣なんてお似合いね。ブタの怪獣? あんたが踏んだら都市が滅びるわね」

 ミミちゃんがラミちゃんに言う。


「ぐぬぬ。あんた細いから怪獣にすぐにやられるのよ。あたしが踏んであげるから…

おなかとか尻尾とか…」


「うさぎの丸焼きにしてあげる。 あ。間違えた。ブタの丸焼きだったわね」


「くー。このクロネコ。もっと真っ黒に焦がしてあげるから… それはもうこんがりと…

ふっふっふ」


「ふっふっふ。しょうぶね。最終的に得た得点を共通マネーにしてその金額で負けたほうがメイドね…」


「そうよ。でも残念ね。正義の味方のほうにララお姉さんがいるんだもん。どうなるか…」

 もう始める前から言い争っているネコミミとうさ耳の子。


「がおー」

 トラが怪獣用の服を着て言う。


「あはは。おもしろーい。翼竜になったみたい…」

 ソラが飛行用の機械を背中につけてミニチュアの都市の上を飛ぶ。


「あたしも飛べるのよね。羽あるし…空中戦はあたしの出番ね」

 シロも飛ぶ。


「じゃあ。始めて…ルールは正義の味方は怪獣の進行を阻止するか、やっつけること。

怪獣は正義の味方をやっつけるか、都市を破壊すること。ちなみに足もとを動いているのはマイクロロボット。生物じゃないからね。踏んだら潰れて怪獣のほうに得点が入るから…」


 20メートル四方はある街並みのセット。


 そんな中に怪獣役の子と正義の味方役の子が立っている。

 町のビルからみて、子供たちはララちゃんの背でも30メートルはある高さに見える。

 ララお姉さんはかなり巨大。


「うさ耳の大きいお姉さん。頑張れー」

 熱狂的なファンがいる。若い男性が多い。


「ちびっこも怪獣をやっつけろー」

 幼稚園児ぐらいの観客は、正義の味方と、怪獣の両方を応援している。


 そして細尾族の子はネコミミっ子を応援し、長耳族の人はウサギっ子を応援している。


「まずは…えいっ」ラミちゃんが近くにあるビルを大きな足でどんと蹴る。どんどん。どん。

 数回蹴るとビルがくずれ倒れる。


 どがん。音の効果音と、怪獣側に得点が入る。

 ビル1つで5000点が怪獣側に入る。そして中のマイクロロボットの人数かける10倍の分得点がラミちゃん本人にのみ入る。


「あら。すごいわね。じゃあ…」

 ソラは飛んでいたがジャンプして小ぶりのビルの屋上に着地する。


 どすん。ソラの体重でビルがくずれる。

 今のビル1つで3000点が怪獣側に入り、ソラ本人に7000点が入る。


「げっ。もうあんなに…悪い怪獣の進行を阻止するのよ…じゃあ冷凍光線発射」

 備品の冷凍光線をラミちゃんに向けて発射するララお姉さん。


「あ。なによ…」

 光線を浴びると、怪獣役の子が来ている服が硬化し一定時間動けなくなる。

 そして観客からは凍った風に映像効果がほどこされる。


「うふふ。いいわね。ちびっこ達。ララお姉さんに反撃よ…」

 12歳のララちゃんはちびっこ達に言う。


「じゃあ。口からほのおだ」

「そうだ」


 レオとトラはネコミミっ子に向かって炎を出す。

 ララちゃんは軽く炎をだし、ラミちゃんをあぶって氷漬けを解消させた。

 レオとトラ、回復したラミちゃん、そして、ギンちゃんはララお姉さんを、ラミちゃんはララお姉さんに向かって炎を出す。


「うわぁ」

「あちち」

 本当に炎が出た。

 けれども温度は低めの炎だ。


 ララお姉さんは後ろへ下がり、駐車場に停めてあった乗り物を踏みつける。

「あっ」


 車を踏みつぶしたので怪獣側に得点の500点が入り、ララお姉さん本人のポイントがマイナス400ポイントになる。正義の味方が建物を破壊したりマイクロロボットを踏みつぶすと人数×100の分得点がマイナスになる。


「やーい。踏み物したな。ばーか」

 トラはララお姉さんに言う。


「えー。足元にあるそんなちっちゃいの見えなかったわよ」

 と言うララお姉さんに、ミミちゃんは「見えるわよ。何やってるのよ…もう」ミミちゃんはため息をついた。


「怪獣側が優勢だな。今度は目から光線を出してビルを破壊はどう?」

「ほう。そんなこともできるのか。わらわはあっちの大きいビルの土台を熱するのじゃ」

「あたしは上からやるわね」ソラは飛び上がる。


 一番大きいビルというか観光用タワーと連結しているビルを狙う怪獣たち。


「そうはさせないわよ。行きなさい」

 ララお姉さんはネコミミっ子のココとミルクに言う。そしてシロには「ソラは上からシロをやっつけちゃいなさい」


「うん」ソラは飛び上がる。


 ソラは計算する。ソラはシロに向かって飛んでいきシロに向かって体当たりをする。


 シロとソラは一緒になって少し離れたところに落ちる。

 でもそこは森。誰もいないし建物もない。

「怪獣のエネルギーの元になっているものを吸い取るのよ…それで悪さはできなくなるから…」


 ソラはシロの上に馬乗りになって、エネルギーを吸い取る。

「こら。やめなさい。お母さんの言うこと聞けないの?」

「こんなときだけ。お母さんなんて…今は同い年でしょ。はい…おとなしくして…

こーしょこしょ…」

 脇腹をくすぐるソラ。


「あ。なんで…そこ。そこはだめ。ソラ。ホントダメだって…」

 馬乗りになってシロをくすぐるソラ。


「あはは」足をばたばた。羽をばたばたさせてもがくが…いいところにソラが馬乗りになっているので、どうにもならない。


「じゃあ。あたしが上から…」ラミちゃんがウサギジャンプをして、観光用のタワーの上にしがみつく。


 どすっ。タワーの部分がしなったが、タワーは崩れない。

「あたしが乗っても崩れないのね。じゃあ上からぽきぽき折っていくわね」

 ラミちゃんが上の方に手をかけて、タワーの上部分をぽきぽき折っていく。


「やっちゃえ。じゃああたしは目からビームで土台を…」

「わしもじゃ。これはでっかいから得点がすごいかもなのじゃ…」


「やめなさい」ララお姉さんは怪獣のほうに向かって歩いて行く。


 足元を見て踏みつぶさないように歩いて行く。

「あ。そこ危ないわよ…きっとそこは…」ミミちゃんはララお姉さんが歩いて行く先を見る。


 町の中心。道路が広くなっている。きっとそこには…


 どすん。

 ララおねえさんが道路に足を乗せて体重をかけたとき…

 ばきばきどごん。道路が陥没した。


「えー。なにこれー」

 どす。どす。左足が埋まったので、右足を踏みだしたらそこも陥没した。


「あはは。何やっているのよララお姉さん。そこは地下街があるの。巨大化した正義の味方が踏み抜いたらだめじゃない」

 12歳のララちゃんは撮影しながら観客席からララお姉さんに言う。


「ほんと。ドジなんだから…」

「そうだな。でもちびっこ達も頑張っているな…怪獣に向かっていったぞ」

 みのるお兄さんとヒメルは観客席で見物中。

 ちっちゃいシロはみのるお兄さんの膝の上。

 シロはお姉さんのシロの行動をじっと見ている。

 自分自身の未来の姿。

 ソラにこちょこちょをされているのを見て自分がこちょこちょされているかのような顔になる。


「やめなさい」

「こらー」

 ちびっこはそれぞれトラとレオに抱きつく。そして、押し倒す。

 ごろごろ。道路の上をころがり、小さいお店を下敷きにしながら転がる。


「あ」ココはレオに抱きついたまま転がっていたが、ちょうどバスのような乗り物の真上にレオの背中が乗っかりその上からココが乗っかる。

 バスのような乗り物は大破し、怪獣側に得点が入る。


「えー。なんで? 怪獣側に有利じゃない」

 ココのネコミミがしおれる。


「がんばれーネコミミの子。ほら…」

 ココ個人の得点に応援の点が入る。

 どんどんプラスされていく。

 そして力も強くなっていく。


「なんだそれ…反則だぞ…僕には応援はないのか?」

 レオは言う。


「ごめんね。怪獣側には応援の得点はないの…」12歳のララちゃんはレオに言う。


「そうなのか…じゃあ破壊するしかないのか」

 レオはココの肩に手をかけてひっくり返す。その後にレオが立ち上がり、ちっちゃい建物を踏み、中ぶりのビルに向かって目からビームを出す。

 土台が曲がり、中から炎があがる。


☆☆☆


「待ちなさーい」空中からシロがソラに言う。


 ソラは飛び回り、目からビームを飛びながらビルや道路を歩いている集団に向かって発射する。

 得点は怪獣側とソラ個人に入る。

 商店街。その屋根に着地し、屋根を破壊する。

「あ。これ…破壊しちゃお」ソラはいかにも悪徳な金融会社風の看板を表示している建物数件に向かって腕を出し薙ぎ払う。


「こらー」シロはソラの隣に着地する。

 どん。


「やば」ソラは再び飛び立つ。


「こらー。ちょこまかと逃げないの」シロは再び飛ぶ。


☆☆☆


「もう。なんなのよ。これ…」

 ララお姉さんはやっと地下街に埋まった足をひきあげる。

 ウサギジャンプをして広い敷地がある学校のグラウンドに着地する。


 だけど…

 どす。着地してまた足がちょっとめりこみバランスをくずす。

「ええー」なんとかしようと思って手を出すが、今度は学校の校舎にもたれかかり、お尻で屋上に乗ってしまう。

 どん。学校はくずれる。

 正義の味方の方の得点がマイナスになる。

 ララお姉さん個人の得点はマイナス4万点を超えている。

「えーん。こんなはずじゃ…」

 大きい大人のララお姉さんは本泣きになりそうだ。

 目が赤くなってきている。


「ドジっ子大きいお姉さん。がんばれー。少しぐらいの失敗を気にするな。体が大きいからちびっこ怪獣をまとめてやっつけろ」

「そうだそうだ」

 大人の男の人から応援され、応援の得点がどんどん入る。

 ララお姉さん個人の得点はマイナスから一気にプラスになり10万点を超えた。


☆☆☆


 ラミちゃんは巨大ビルの上のタワー部分をすっかりぽきぽき折ってしまったところだったが

「ひえー。なんなのあれ…」ララお姉さんの得点がすごいことになったのを見てつぶやく。

 ラミちゃんはジャンプして巨大ビルの屋上部分になんども着地する。

 どすん。どすん。


 土台はちびっこ達が目からビームで壊しているところ。

 ついに…土台がひんまがり、ビルは傾き始めた。

 そして…怪獣側に10万点が入った。ビルを壊していた個人にも10万点入る。


「やった」ラミちゃんはジャンプしてビルから離れ、近くにあった別のデパートのようなビルの屋上に着地する。

 その衝撃で屋上に穴が空き、ラミちゃんの下半身はビルの中にめり込む。


「よっしゃ。あのウサギをコロスのよ」ミミちゃんは、ラミちゃんを指指す。


「え?」ネコミミっ子をみるラミちゃん。


 ココとミルクは、ラミちゃんの上半身の脇腹あたりをこしょこしょしはじめた。

「そーれそれ」

「くすぐり攻撃」


 ネコミミっ子達によるラミちゃんの攻撃。ラミちゃんの体力が減っていく。

 何度もジャンプしたりして疲れている。疲れを数値化しているが、段々減っていく。

 残り20%になったとき…

「吸い取るわよ」いつのまにか背後にいたミミちゃんがラミちゃんのエネルギーを完全に吸い取る。


 そして…ラミちゃん個人に入っていたポイントがミミちゃんに移動する。

「やった。これでメイドはあんたに確定ね…」


「くっそ。あとで覚えておきなさいよ…」

 デパートのようなビルに下半身を埋めたまま動けなくなったラミちゃん。


☆☆☆


「えーいどうじゃ。これでどうじゃ。ほーれほれ。尻尾攻撃じゃぞ…」

 そのころギンちゃんは、ビルの屋上にいるマイクロロボットをしっぽではらっていた。

 びたんびたんと尻尾を打ち付ける。または、しっぽではらい、屋上を綺麗にする。

 マイクロロボットはしっぽの一撃で壊れる。

 どんどん得点がギンちゃん個人に入る。


「こらー。やめなさい。悪徳きつね」ミミちゃんはギンちゃんの近くへ歩いて行く。


 空中からソラの声がした。

「やめて」


 ミミちゃんはいきなり空中から降ってきたソラ押し倒される。

 ミミちゃんはなんとかして、道路の上に倒れながら四つん這いになる。


 下を見ると、大型バスのような乗り物。

 ミミちゃんのお腹の下にある。

「あぶないわね。え? なんか書いてあるわね…えーと。これには幼稚園児一行が乗っているから…もしこれを壊したら15万点? げっ危なかったわね」

 4つんばいになっているから大丈夫だ。


☆☆☆


「あ。おっとっと」上からララお姉さんの声がした。

 ミミちゃんは首を曲げて上を見ると、何かを踏んでバランスをくずしたララお姉さんがいて目が合った。


「えー」ミミちゃんは動けずそのままいたが…

 どすん。

 ララお姉さんの尻もちをミミちゃんの腰で受けた。

 ぷち。


 バスはミミちゃんのお腹の下だ。

 つまり…

「あー」ミミちゃんは自分の得点がマイナスになったのを見た。

 正義の味方のほうの得点もかなり下がった。


 そこで…終了宣言が出た。


「はい。終わり…えーと。怪獣側の勝ちね。最後のララお姉さんのドジっぷり。これが敗北につながったわね。ララお姉さん個人の得点は応援の得点があったからそれほどマイナスにはならなかったけど…

ララお姉さんの下敷きになったミミちゃん可哀想ね」


「くっ」

 個人でマイナスになった分の得点は0点になった。


「ごめんなさい」ララお姉さんはミミちゃんに謝る。


「お。重いからどいて…つぶれてぺっちゃんこになる…」

 ミミちゃんはもがく。


「ご。ごめん」ララお姉さんは立ち上がる。


☆☆☆


「ほら。ララお姉さんはドジっ子なんだってば…」ソラはシロに言う。


 ソラは得点を共通マネーに交換して、半分をシロにあげた。

「いいの?」


「あとでお買い物しましょ」


 みのるお兄さんはミミちゃんとラミちゃんに言う。

「なあ。得点はマイナスと0点だったって? 大変だな…

これでネコミミメイドとバニーがるメイドだな…

ユキにも言っておくか…」


「くっ」

「ララお姉さんめ…」


 ララお姉さん本人は5000ポイントのプラスで共通マネーも5000クレジット分得た。

「あとでおごってあげるから…ごめん…」

 うさ耳お姉さんは頭を下げた。


「とっておきのニンジン」

「あたしは海産物」


 そのころのユキとキララ、シマ君とミケア・ミレイちゃんは惑星上を走る夜の列車から満天の星空を満喫していた。


 ミミアとミアお姉さんも、別の惑星上で各星系から集めたスイーツを食べることができるイベントに参加して満喫していた。


 次は分かれていたみんなが合流する。といってもVRの中だけど…


 ララお姉さんは次ユキ君に会ったら『ユキ君に抱きついちゃお』と思った。


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