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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
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カザー星系の所有する観光用トレインの旅... 3番目の惑星での甲殻類メインの夕食(6)

「ここがリゾート地? なんかいいところだね」

 シマ君はキララに言う。


「うん。海沿いの食べ物がおいしいところだよ。えーとこのパンフレットによるとね。魚介とかお肉とか、何でもあるみたい…私たちが食べない微生物や惑星の無機物を固めたものもあるね」

 キララがみんなに聞こえるように言う。


「魚介。ぎょっかい…おっさかな。おさかな」

「おっさかな」

「さかな」

 ネコミミっ子達はみんなお魚を食べたいらしい。


「あたしはなんでもいいわ。根菜だけではなくて…お肉とか…お魚でも…」

「そうね」

 うさ耳っ子達も言う。


「ねえ。ユキ君は何が食べたいの?」

 キララはユキの隣で言う。


「そうだね。この惑星にしかないものとか…」

 キララの見ているパンフレットを横から覗き込む。


「じゃあ。甲殻類。エビに似たものとかカニに似たものとか…巨大なのがいるってさ」


「へー。いいじゃない…あたしもそれ気になる」

 ミミちゃんはユキの後ろから近づいてきてユキに抱きつく。


「うわぁ。ミミちゃんか… 一瞬ララお姉さんかと思った」


 そろそろと後ろから近づいてくる12歳のララちゃん。そして…「えいっ」

 ララちゃんがミミちゃんの後ろからユキ君の体に腕をまわして2人一緒にまとめて抱きつく。


「なに。ララちゃん。なんかララお姉さんみたい…」


「いいの。体が大きくなると、ユキ君が可愛く見えてきて…つい抱きつきたくなるの…」


 うさ耳をすりすりしてくる。でもミミちゃんの背中にだけど…


「ねえ。シロとソラも甲殻類でいい?」キララがみんなに聞く。


 みのるお兄さんは相変わらずヒメルとくっついている。

 見るとまたヒメルの頭をなでなでしている。


「ん。いいぞ。ヒメルもいいよな」みのるお兄さんはなでなでしながら言う。

「うん」


☆☆☆


 みんな海に近いところのデッキに移動する。そこにはテーブルと椅子。海のほうを見ると、海中にはなにやら、光が見える。


「いいところ…」ミケア・ミレイちゃんはシマ君と一緒のテーブルにつく。

 ユキとキララも同じテーブルにつく。


 ミミちゃんは海底を見て言う「ねえ。あれって海底都市?」

 その言葉にキララは海底を見る。そしてパンフをパラパラとめくる。


「あれは…海底モールだね。宿泊施設とか買い物ができるところとか。食べ物を売っている施設があるみたい」


「へー」


「あれ。あそこから海底モールへ行けるみたい」

 ユキ君が横のようを見て言う。


 たしかに海辺の建物から地下に向かって通路が通じているようだ。

 その通路には電飾があり、水の中を通じて明かりが見える。


「おなかすいた」幼稚園児のシロちゃんが言う。

「うん」同じく幼稚園児のララちゃんも言う。


「そうね。注文しましょ」ミアお姉さんはみんなに言う。

 メニューは電子式。

 紙のように見えるが、めくるときは紙の端にふれる。

 各国、各星系から人が訪れるため自動翻訳機能によりメニューが表示されるようになっている。

 お値段は共通マネーになっている。どれも日本円で500円から2500円の間みたい。


「ねえ。これ。ぜったいおいしそう」

 ミミちゃんは、甲殻類が使われている料理を指さす。

「ほんとだ…」

「うまそー」

 ネコミミっ子達は本当に魚介が好きだなとユキは思った。


「ユキ君はどれにする? このスープ? それともでっかい甲殻類?」


「うん。そうだね。じゃあこのでっかい甲殻類の皿を1つ。みんなで食べよう。

それとこの貝とエビに似たスープも…それと…お肉みたいなのと…パスタみたいなものも…」


「おっ。食べる気まんまんだね。いいよ。みんなそれぞれ好きなのを注文して…

もし食べきれなかったらみんなに分けてというか、みんなでいろいろな物を食べようね」

 キララはみんなの注文をまとめて、メニューをタッチして注文していく。


 飲み物は紅茶に似た色の冷たい飲み物を注文した。


☆☆☆


 料理は現地の人がワゴンに乗せて運んできた。


「ああ。いいにおい…」


 地球の魚介のカニとかエビとかに似たにおいがする。かいでいると『ぐー』と音が鳴った。


 で。でっかい甲殻類は予想より大きなものだった。

 ヘルメットぐらいの大きさの背中。それが3つつながっている。

 それと足。両側あわせて10本ある。


 甲殻類のパスタみたいなものもおいしそう。


「あ。あじつけは塩をベースにしているみたい。ここの惑星の塩を使っているんだって」

 シマ君はパンフを見ながらミケア・ミレイちゃんに言う。


 でっかい甲殻類の手には『はさみ』みたいなものがついている。それはお皿に乗っているだけ。すでに胴体からは取り外されている。

 ミケア・ミレイちゃんは2つ手にとって「シマ君のお耳からこれを生やしちゃうぞ」

 と言いながら、シマ君のお耳の先端にあてる。


「うわぁ。お耳にはさみがついちゃった。あ。ねえ。ユキ君。写真とって」

 シマ君と、シマ君にじゃれて甲殻類の手のはさみをシマ君のお耳にあてているミケア・ミレイちゃん。

 この姿をユキは写真におさめる。

 楽しそう。


 細身のグラスをかかげているキララの写真も撮影する。


「こら。遊んでないで…大人しく食べなさい」ミアお姉さんがミケア・ミレイちゃんとシマ君に言う。


「はーい」ミケア・ミレイちゃんははさみの手を皿の上に置く。


「じゃあ食べよ」


 ユキはまず、パスタを食べることにした。

 甲殻類。きっとエビに似たものなんだろう。色はオレンジだ。それとカニなのか、繊維質の何かをパスタに巻き付けて食べる。

「ああ。おいしい。これ…魚介のだしが効いていて。いいねこれ」

 ユキはフォークを使って食べて言う。


「どれどれ」キララもフォークでパスタをまきつけて食べる。


「おいしー」ミケア・ミレイちゃん。お姫様なのでいいものを食べている子なんだけど。顔を見る限りかなりおいしいみたい。


「にゃによこれ。うまいわね」

「おいしー」

 ネコミミっ子達も魚介を食べているみたい。


 お魚みたいなものも追加で注文する。

 塩気がきいている。


 それから見たことがある形のものがお皿に乗って出てきた。

「あれ? 身がないよ」ユキはそれを見て言う。

 巻貝だった。大きさは15cmぐらい。中身は空だった。


「え? おかしいな。他のは? あれ。ないね」

 キララは巻貝を手にとってみる。


 シマ君はパンフをパラパラとめくる。

「あ。それ巻貝に見えるけど、巻貝のところを食べるんだって、油みたいなもので揚げてあるみたい…」


「へー。そうなんだ。どんな味なんだろう」ユキは巻貝の部分を手にとり、ぱりっと割る。

 そして口に入れる。

 同時にキララもユキと同じタイミングで食べる。


「あ。これ。香ばしくておいしい。魚介の味がする」

「うん」


 外観が巻貝に似たものもおいしい。


 パスタはちょっと量は少な目だった。

 なので…キララは追加でラーメンに似たものを頼んでいた。ベースの味は塩。


「あ。来た来た」頼んでいたラーメンみたいな小ぶりのものが来た。

 お子様ラーメンぐらいの量。


 キララはそれをすする。

「うん。おいしい。ユキ君もたべてみて…ほら」

 小ぶりの入れ物をユキ君の前に置くキララ。


 ユキはフォークでそれをまきつけて食べる。そしてスープもスプーンですくって飲む。

「ああ。おいしい。ちゃんと魚介のだしがきいていて、それでいてベースの塩味のスープもおいしい。麺はラーメンと違うみたいだけど…これもいいね」


「うん」キララはミケア・ミレイちゃんとシマ君にもわけてあげる。


「たしかに。いいねこれ」シマ君もちょっと食べる。ミケア・ミレイちゃんもスープをスプーンですくって飲み麺も食べる。

「これ。なんとなくあたしの国のとあるスープに似てるかも…名前なんだっけ」


「そうなんだ。こんどミケア・ミレイちゃんの世界へ行ったとき食べてみようかな」

 シマ君は言う。


「うわぁ。なにこれ…汁が…すごくじゅーしー」

 ミアお姉さんの声がする。


 ユキが見ると、パンのようなものをほおばっているミアお姉さん。

 その中にジューシーな甲殻類のお肉が入っているみたいだった。

 その甲殻類は魚介ベースのスープで長時間煮込み、とろとろになっているスープがからんでいるみたいだった。

「ねえ。ミアお姉さんが食べているの注文しない?」キララが言う。

「うん。すごくおいしそう」


 注文して。数分すると人数分のパンのようなものがお皿に乗ってきた。


 ユキは注意深くちょっとだけパンを割る感じで中をみてみる。

「うわぁ。じゅーしー」中のスープと甲殻類が見える。

 一口で食べるにはちょっと大きいが頑張って食べる。


「おわぁ」シマ君は、中のジューシーな汁をちょっと服にこぼしてしまった。


「こぼしちゃって。ちょっと待ってね。あたしが拭いてあげるから」

 バックからティッシュみたいなものを取り出し、服をふいてあげるミケア・ミレイちゃん。


「これ。注意したほうがいいよ。中身こぼれちゃう」

 中のちょっとあったかい汁をこぼさないように食べるシマ君。


一番おいしかったのはパンみたいな食べものだった。その次はラーメンみたいなもの。その次がパスタとでっかい甲殻類。

 どれもおいしかった。


☆☆☆


「あー。おなかいっぱい」シマ君はお腹をさすりながら海を見て言う。

 すっきりとした感じの飲み物を注文して食後に飲んでいるところだ。


「ユキ君もおなかいっぱい?」キララはユキを見て言う。


「うん。さすがにおなかいっぱいだよ」


 いろいろ注文してしまった。


「あー。食べ過ぎちゃったわ」

 ミミちゃんもいろいろ注文していたみたい。


 みんな海辺のデッキを後にして、トレインの中へ戻ることにした。

 海底モールも見たかったが、おなかいっぱいであまり動けそうになかったからだ。


☆☆☆


 トレインのそれぞれの車両へ戻り、ソファへと座るユキとキララ。


「ねえ。寝るにはもうちょっと時間があるみたいだけど…どこに寝ればいいの?」

 シマ君がキララに聞く。


「え。ああ。これに書いてあるよ」キララはパンフの最後のほうを示す。


「あ。ほんとだ」シマ君はパンフをめくり説明を読む。

 横からミケア・ミレイちゃんも見ていて読みあげる「えーと。横の壁のボタンを押すとハシゴが壁から出てくるからそれを上って天井の上の寝台ルームで眠ることができますってあるね。ねえ。あがってみよ。ねえ。ボタンはこれかな」

 ミケア・ミレイちゃんはボタンを押す。

 すると、壁にハシゴがうかびあがり上へと行けるようになった。

 ミケア・ミレイちゃんは上がる。

 その後に続いてシマ君も上がる。


「あ。いいねこれ。結構広いよ」


 シマ君の声がする。


 ユキとキララはソファの近くの壁についているボタンを押した。

 そちらのハシゴから上へと行く。


「うん。広いね」

 寝るにはちょうどいい広さの空間。天井は丸みを帯びた形になっている。

 天井近くにスイッチがある。

 天井は低く、簡単に手が届く。

 天井近くのスイッチを押してみる。


 すると、天井が開き、宇宙の星空が見えた。

「うわぁ。星が綺麗」

 

 流れゆく星々。遠くに銀河団が見える。

 地球からは見たことがない星の並び。

 結構にぎやかな星空。


 ベッドもふかふかすぎず、固すぎずちょうどいい。

 毛布のようなものもあり、枕もちょうどいい高さ。

 でも枕は数種類備え付けられていた。


 2人で眠れるぐらいの広さはある。シマ君達の区画とは区切られている。


 2人で端のほうにならんで、空を見てみる。空と言っても星空なんだけど…


 ムードもいい。


 天井から見える流れゆく銀河と星々。今は星系内での航行なので低速で移動している。


「あ。下から本を持ってこよう」ユキは立ち上がり、下へとおりる。 


 下にそなえつけられている飲み物を持って上へ行く。


 ユキはキララの隣に座り、飲み物を手渡す。

「なんかいいよね」キララがユキに言う。


「うん」銀河鉄道。


 キララはパンフをめくる。

「あ。明日なんだけど…銀河の撮影ができる催しがあるみたい…でもなんだろ。タイプAのみ可とあるね」


「ん? どれどれ」ユキはキララにくっつくようにして見る。


 ユキはパンフを読み言った「こっちはタイプBとあるね。グルメの星系めぐり。そしてこっちはちびっこ向けの冒険ができる催しがあるって。あ。これは…」

 ユキは内容を読んでからキララに言う「えーとね。たぶんこのトレインは明日から2日間3方向に分かれるみたい。それぞれの方向へ分かれて進んだトレインごとに催しものが違うみたい。銀河の撮影ができるタイプA。グルメの星系めぐりのタイプB。ちびっこ向けの冒険が楽しめるタイプC。きっとネコミミっ子達はタイプCだね」

 12歳のララちゃんはミアお姉さんのところに行っている。このトレインの車両にはユキとキララ。それとシマ君とミケア・ミレイちゃんしかいない。


「明日聞いてみよう。シマ君達。そのまま私たちと同じように2人ですごしているみたいだから」

 キララは気をつかって言う。


「そうだね…」


 パンフレットと本。それと天井に見える流れゆく星々を見ながら夜を過ごすユキとキララであった。


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