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死のダイアリー(2)
何度も何度もその冷たく硬くなった無機質の塊を触る。
蘇るのは後悔の記憶のみ。
何よりも鮮明と。
鋭く冷たく容赦なく突き刺さる。
あの時あの時と壊れた蓄音機の様に頭の中で繰り返す。
いっそ壊してしまいたいくらい鬱陶しく。
断罪するかの如く自分を自分で戒め続ける。
すまないすまないごめんごめん許してくれ。
その行動には意味は無く自分を唯唯削っていく。
後悔しない為の完璧な行動。
抗うことの出来ない定められた結果。
全てを理解し受け止めたが故に出来る覚悟。
しかし何もかもが実際の体験の前では打ち砕かれる。
耐えられるほど心は頑丈には出来ていなかった。
それでも彼の体を触り続ける。
何度も何度も感触を確かめ脳に刻み付ける。
その身が業火に召され
世界を去るその時まで
刻み付ける。
精読頂き有難うございました。