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Ⅰ. 私の救い
閲覧注意作品
私を救ってくれるのは小さな粒。
色もなく、味もなく、匂いもない。
何も主張しない。
ただの無機質な物質。
でも、私にとってそれは何よりも愛おしい。
狂う程に愛おしい。
自分の肌身から離すのが怖くなるくらい。
何よりも。
そばにいてほしい。
普通では分からなかった。
異常になって初めて分かった。
何も主張しなかったそれが、私に手を差し伸べていることに。
抵抗は無かった。
私は中は既に空っぽだったから。
私はその手を取った。
その無機質な物質からは想像のつかない程に
暖かく、やわらかく、私を満たしていく。
私を澄んだ世界へと|誘〈いざな〉ってくれる。
(呼吸が楽になり、全身から痛みと、力が抜けていく。)
痛く、辛い蟠りが消えていく。
耐え続けていた身体が溶かされるように。
気づけば……私は涙をこぼしていた。
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