9月の短編小説〜幻想に終わる月〜
今回は東方からの一ヶ月短編小説です。
今日は、十五夜。
満月が光り輝き、豊作を祝う日。
餅を食べ、月を見る日。
そんな日に、幻想郷の男が1人、人里の子供の夢を叶えるために働いていた。
「すまないな。こんなことをお願いしてしまって。」
「いいんですよ。俺だって綺麗な満月、見たいですから。」
「そうか…恩に着る。」
「顔を上げてください。それじゃあ、行って来ますね。」
そう言って、男、博麗霊斗は翼を広げ、翔び立つ。
〜白玉楼〜
うーん…いないな…
「あれ?霊斗さん、どうしたんですか?」
「いや、音楽三姉妹を探していたんだが…」
「え?3人なら人里で見ましたよ?」
「あちゃー…無駄足だったか…
あ、そうだ。幽々子も連れて、今夜人里の広場に来てくれ。」
「広場ですね?分かりました。」
その返事を聞くと、霊斗は飛び去って行った…
〜永遠亭〜
「おーい、兎ー!餅はできたかー?」
「あ、霊斗さん。」
「おお、鈴仙じゃないか。餅はどうだ?」
「ええ、とっても美味しいものができてますよ。今夜人里に持って行きますね。」
「ああ、頼むね。あと、永琳と輝夜も連れて来てくれ。」
「分かりました、一応伝えておきますね。」
それを聞くと、霊斗は飛び去ってしまった。
〜上空〜
「あれ?魔理沙か。おーい!魔理沙!」
「うう…さっぶ!…ん?霊斗!」
霊斗は魔理沙に急速で近ずき、魔理沙の前でピタッと止まる。
「魔理沙、どこまで行った?」
「マヨヒガと紅魔館、守矢神社…私の知ってる限り、全部行ってきたぜ!」
「そうか、ありがとう。それじゃ、人里に向かおう」
「おう!」
〜夜の人里〜
広場には、昼には無かったステージができ、たくさんの人や妖怪で賑わっている。
「慧音さん、それは?」
慧音に手首に着けている鈴の様な物につい聞く。
「霊夢に作って貰ったんだ。変身を付けている間は抑えてくれる優れものだが、あまり長く持たないらしい。」
「大丈夫なんですかね、それ。」
「まぁなんとかなるだろう。」
結構軽いな…
「…そろそろ、始めますね。」
「ああ、よろしく頼む。」
そう言うと慧音はスウーと大きく息を吸って、ステージの上に上がり、
「みんな!月見祭りだ!!」
そう大声で言う。
そう言うと、「いええええ!!!」
とか「うおおおおおおおお」
という声が聞こえてくる。
「今年は月が隠れてしまったが、私達の力で晴らしてやろうじゃないか!頼むぞ霊斗ー!」
「霊斗兄ちゃん!」
「霊斗さん!」
子供も盛り上がってるな。
さて、やりますか。
「衝撃〈閃光強風〉」
俺がそう唱えると、雲が散らされて満月が出てくる。
俺が降りると、霊夢が迎えてくれた。
「お疲れ様。それにしても、綺麗ね」
「本当だな。」
満月を閃光の光が飾る様に降ってくるので、ここら一帯は神聖な場所になった様に感じた。
「満月を見るのもいいけど、夜雀の歌も最高だよね⁉︎」
「いええええ!!!」
「ミスチー、プリズムリバー三姉妹率いる、幻想楽団!よろしくぅ!」
…うん。慧音さん大丈夫か?
ま、いいや。
「霊夢、そろそろじゃないか?」
「そうね。行って来る。」
「行ってらっしゃい。」
演出担当は主にスペルが使える物達だ。
霊夢、魔理沙、幽々子、紫、レミリア、藍、輝夜等等…
その月見祭りは、次の日の夜まで続き、また、一部の者は、二次会、三次会まで開催したのだとか。